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コラム2011年01月24日 【税実務Q&A】 特許権譲受時の源泉徴収(2011年1月24日号・№387)

税実務Q&A
No.055 所得税>非居住者に係る源泉徴収>譲渡所得
特許権譲受時の源泉徴収
 パートナーズ綜合税理士法人 税理士 井上未央

 当社は電子部品製造業を営む日本法人です。この度、海外進出のため、同業種のスイス法人A社、カナダ法人B社、韓国法人C社と製造に係る特許権譲受契約を締結しました。対価支払いの際に源泉徴収は必要でしょうか。なお、各社は契約実行後はいかなる権利も留保せず、また、日本に事務所等の恒久的施設はありません。


1.国内法と租税条約の関係
 所得税法は、非居住者に対し工業所有権等の使用料又は譲渡対価を支払う者は、その支払いの際、20%の源泉徴収をしなければならない旨を規定します(所法161①-7イ、同212①、213①)。
 他方、我が国は多くの国と租税条約を締結し、これらの租税条約では国内法とは異なる取り決めをしているものもあります。
 国内法と租税条約が競合する場合、租税条約が優先適用されるため、国際取引に係る源泉徴収要否を検討する場合は所得税法と租税条約の双方から行う必要があります。
2.OECD条約モデル  租税条約の雛型となるOECD条約モデルは、特許権譲渡に係る所得はその他所得として譲渡者の居住地国(スイス、カナダ、韓国)に課税権がある旨を規定します(同条約13条)。
 したがって、同条約に従う場合、所得税法の規定に関わらず日本で課税されません。
3.スイス法人A社への対価支払い  日瑞租税条約は、OECD条約モデルと同様の規定となっており、A社の居住地国で課税します(同条約13③、同交換公文6項)。したがって、日本に課税権がなく、送金時の源泉徴収は不要です。
4.カナダ法人B社への対価支払い  日加租税条約でも、特許権譲渡に係る所得はその他の資産の譲渡に係る条項が適用されます。同条約では日瑞租税条約と異なり、その他資産の譲渡所得は、所得を得た国(源泉地国)で課税される旨を規定します(同条約13④)。
 したがって日本に課税権が発生し、また、同条約上、税率の定めがないため国内法(所得税法)により送金時に20%の源泉徴収が必要です。
5.韓国法人C社への対価支払い  日韓租税条約は、特許権譲渡に係る所得は使用料収入に含み、使用料収入は源泉地国でも課税できる旨を規定します。源泉地国で課税する場合、税率は10%と定めています(同条約12①、②、⑤)。
 したがって、日本に課税権が発生しますが、税率は租税条約が優先され、送金時に10%の源泉徴収が必要です。
CAUTION  A社、C社が、租税条約に基づき源泉所得税の減免を受ける場合、御社を通じて「租税条約に関する届出書」の提出が必要です。

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