コラム2011年07月04日 【税実務Q&A】 契約解除に伴う損失の取扱い(2011年7月4日号・№409)
税実務Q&A
No.077 法人税>損金>損失の額
契約解除に伴う損失の取扱い
公認会計士緑川事務所 税理士 鈴木健太郎
問 当社(不動産賃貸業)は、当社ビル脇の平置き駐車場2台分のスペースを、A社に賃貸しております。
今般、A社よりこの駐車場料金について、4台分の料金を請求されているとの苦情があり、事実関係を確認したところ、前事業年度において2台分の解約の申し出があったにもかかわらず、当社において契約解除の手続きを失念していたことが判明しました。
そこで当社は、契約解除の申出があった前事業年度に遡及して解約手続きを行い、過大請求分の駐車場料金を返還することにしました。
この場合、契約解除により生じた損失の取扱いはどのようになりますか。
答
(1)国税通則法の取扱い 国税通則法上、申告等に係る課税標準等の計算の基礎となった事実に係る契約が、解除権の行使によって解除され、若しくは契約の成立後生じたやむを得ない事情によって解除された場合等(後発的事由の発生)には、その事由が生じた日の翌日から2か月以内に更正の請求を行うことが認められています(国通23②、通令6①二)。
(2)法人税法の取扱い 法人税法上、法人の所得計算は、継続企業の原則に従い、当期において生じた収益と費用・損失を対応させ、その差額をもって所得を認識するものとされています。
そのため、損失等の発生原因が何であるかを問わず、当期において生じたものすべてを当期に属する損益として認識することになります。
したがって、過年度の売上高に係る契約等が当期において解除されたことにより生じた損失は、当期において認識し、既往の課税関係を修正しないことになります(法基通2-2-16)。
(3)設問の取扱い 前述のとおり、国税通則法では、後発的事由の発生をもって既往の課税の修正を求める更正の請求を認めていますが、これは、国税一般についてその手続きを包括的に定めたものです。
しかし、かかる後発的事由の発生が生じた場合であっても、その手続的要件のみではなく、国税に関する法律の規定に従っていなかったこと等により過大申告が行われたという、法人税法等の課税に係る実体的要件の充足が必要となります。
設問の場合、租税実体法である法人税法上は、契約の解除等により生じた過年度損益に係る損失については、当事業年度において認識し、過年度の課税標準等に変更を及ぼさないことになります。
したがって、契約の解除が前事業年度に遡及された場合においても、これらの事実に基づいて生じた損失の額は、当事業年度の損金の額に算入することになります。
No.077 法人税>損金>損失の額
契約解除に伴う損失の取扱い
公認会計士緑川事務所 税理士 鈴木健太郎
問 当社(不動産賃貸業)は、当社ビル脇の平置き駐車場2台分のスペースを、A社に賃貸しております。
今般、A社よりこの駐車場料金について、4台分の料金を請求されているとの苦情があり、事実関係を確認したところ、前事業年度において2台分の解約の申し出があったにもかかわらず、当社において契約解除の手続きを失念していたことが判明しました。
そこで当社は、契約解除の申出があった前事業年度に遡及して解約手続きを行い、過大請求分の駐車場料金を返還することにしました。
この場合、契約解除により生じた損失の取扱いはどのようになりますか。
答
(1)国税通則法の取扱い 国税通則法上、申告等に係る課税標準等の計算の基礎となった事実に係る契約が、解除権の行使によって解除され、若しくは契約の成立後生じたやむを得ない事情によって解除された場合等(後発的事由の発生)には、その事由が生じた日の翌日から2か月以内に更正の請求を行うことが認められています(国通23②、通令6①二)。
(2)法人税法の取扱い 法人税法上、法人の所得計算は、継続企業の原則に従い、当期において生じた収益と費用・損失を対応させ、その差額をもって所得を認識するものとされています。
そのため、損失等の発生原因が何であるかを問わず、当期において生じたものすべてを当期に属する損益として認識することになります。
したがって、過年度の売上高に係る契約等が当期において解除されたことにより生じた損失は、当期において認識し、既往の課税関係を修正しないことになります(法基通2-2-16)。
(3)設問の取扱い 前述のとおり、国税通則法では、後発的事由の発生をもって既往の課税の修正を求める更正の請求を認めていますが、これは、国税一般についてその手続きを包括的に定めたものです。
しかし、かかる後発的事由の発生が生じた場合であっても、その手続的要件のみではなく、国税に関する法律の規定に従っていなかったこと等により過大申告が行われたという、法人税法等の課税に係る実体的要件の充足が必要となります。
設問の場合、租税実体法である法人税法上は、契約の解除等により生じた過年度損益に係る損失については、当事業年度において認識し、過年度の課税標準等に変更を及ぼさないことになります。
したがって、契約の解除が前事業年度に遡及された場合においても、これらの事実に基づいて生じた損失の額は、当事業年度の損金の額に算入することになります。
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