コラム2012年01月09日 【年頭所感】 年頭所感 川北 力 国税庁長官(2012年1月9日号・№433)
年頭所感
新年の御挨拶を申し上げます
川北 力 国税庁長官
平成24年の年頭に当たり、謹んで新年の御挨拶を申し上げます。
はじめに、東日本大震災により被災された皆様に、改めて心からお見舞い申し上げます。
震災発生以降、国税庁として、被災地における申告・納付期限の延長、震災特例法に基づく雑損控除等の適用措置の周知・広報とその申告相談、酒類製造免許等の弾力的な取扱いや酒類の安全性確保のための放射能分析などの取組、仙台国税局職員の被災地の地方公共団体への派遣など、全庁挙げて様々な対応を行ってまいりました。
年も改まり、震災特例法に基づく調整率を適用した相続税・贈与税の申告期限が到来します。また、平成23年分確定申告期を迎え、引き続き、雑損控除を適用する多くの被災者の方の来署が見込まれます。国税庁としては、被災された方々をはじめ、納税者の皆様が円滑に申告・納付等を行うことができるよう、納税者の皆様の立場に立って親切・丁寧な対応を行ってまいります。また、被災された納税者の実情を踏まえて、納税緩和制度を引き続き適切に適用いたします。
次に、年頭に当たり、税務行政の運営に関する基本的な考え方を申し述べたいと思います。国税庁の使命は「納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する」ことであり、このような使命を果たすため、第1に、納税者の皆様に申告・納税を「簡単・便利・スムーズ」に行っていただけるよう、サービスの充実に努めております。
特に、国税電子申告・納税システム(e-Tax)については、関係各位のご協力も得て、22年度は所得税・法人税における電子申告の利用率が半数に近づくに至りました。本年は、オンライン利用率に加え、利用者の利便性の向上や行政運営の効率化といった視点も取り入れた新たな「業務プロセス改革計画」に基づき、引き続き、e-Taxの一層の普及及び定着に積極的に取り組んでいくこととしています。
また、本年の確定申告に当たり、国税庁では、引き続き、自宅等からのITを利用した申告の推進に取り組むこととしています。国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」等を是非活用いただきたいと思います。
第2に、納税者の権利利益の保護を図りつつ、適正な調査・徴収に努めております。
先般、調査手続の透明性と納税者の予見可能性を高めるなどの観点から、国税通則法が改正され、平成25年1月から、定められた税務調査手続に基づき調査を実施するとともに、全ての不利益処分及び申請に対する拒否処分について理由附記を行うこととなりました。国税庁として、この法改正の趣旨・内容をきちんと踏まえ、適正かつ円滑な執行に取り組んでまいります。
税務調査等につきましては、大口・悪質な不正事案に厳正に対応するほか、社会・経済情勢の変化に鑑み、富裕層・無申告・国際化事案などの重点課題に積極的に取り組むこととしています。
国際的租税回避行為については、租税条約等に基づく情報交換を積極的に進めています。我が国では、昨年、香港、バハマ、マン島及びケイマン諸島等との租税条約等が新たに締結されたほか、スイスとの間では租税条約が改正され、情報交換規定の新設等がなされました。更に我が国は、多国間の枠組みである「税務行政執行共助条約」に昨年11月に署名したところであり、同条約の発効後には、より多くの国々と幅広い分野で執行協力を推進していくことが可能となります。国税庁では、こうした二国間及び多国間の枠組みも十分に活用しつつ、国際的租税回避行為に厳正に対処してまいります。
近年の税務行政に関する国際的な議論の場においては、税務に関するコーポレートガバナンスの充実が大企業の税務コンプライアンスの向上に重要であるとの認識が共有されています。国税庁では、大企業に対し、税務に関するコーポレートガバナンスの充実に関する説明会を実施することに加え、税務調査終了時にトップマネジメントと意見交換を実施する取組を進めています。
第3に、国民の皆様からの理解と信頼を得られるように、国税当局が取り組むべき課題や取組方針、各種施策についての実行性ある計画の策定とその実施、実施結果の評価・検証について、ホームページ、報道発表、国税庁レポート(年次報告書)、実績の評価書等を通じて、できる限り分かりやすくお知らせしていきたいと考えております。各種施策の実施結果の評価・検証を踏まえ、税務行政の改善に努めてまいります。
本年も、様々な面で質の高い税務行政を進めることにより、税務行政に寄せられている国民の信頼に応え、更に揺るぎないものにしてまいりたいと考えています。
新しい年、平成24年が、皆様と御家族にとって幸せの多い年でありますよう祈念いたしまして、年頭の御挨拶とさせていただきます。
新年の御挨拶を申し上げます
川北 力 国税庁長官

平成24年の年頭に当たり、謹んで新年の御挨拶を申し上げます。
はじめに、東日本大震災により被災された皆様に、改めて心からお見舞い申し上げます。
震災発生以降、国税庁として、被災地における申告・納付期限の延長、震災特例法に基づく雑損控除等の適用措置の周知・広報とその申告相談、酒類製造免許等の弾力的な取扱いや酒類の安全性確保のための放射能分析などの取組、仙台国税局職員の被災地の地方公共団体への派遣など、全庁挙げて様々な対応を行ってまいりました。
年も改まり、震災特例法に基づく調整率を適用した相続税・贈与税の申告期限が到来します。また、平成23年分確定申告期を迎え、引き続き、雑損控除を適用する多くの被災者の方の来署が見込まれます。国税庁としては、被災された方々をはじめ、納税者の皆様が円滑に申告・納付等を行うことができるよう、納税者の皆様の立場に立って親切・丁寧な対応を行ってまいります。また、被災された納税者の実情を踏まえて、納税緩和制度を引き続き適切に適用いたします。
次に、年頭に当たり、税務行政の運営に関する基本的な考え方を申し述べたいと思います。国税庁の使命は「納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する」ことであり、このような使命を果たすため、第1に、納税者の皆様に申告・納税を「簡単・便利・スムーズ」に行っていただけるよう、サービスの充実に努めております。
特に、国税電子申告・納税システム(e-Tax)については、関係各位のご協力も得て、22年度は所得税・法人税における電子申告の利用率が半数に近づくに至りました。本年は、オンライン利用率に加え、利用者の利便性の向上や行政運営の効率化といった視点も取り入れた新たな「業務プロセス改革計画」に基づき、引き続き、e-Taxの一層の普及及び定着に積極的に取り組んでいくこととしています。
また、本年の確定申告に当たり、国税庁では、引き続き、自宅等からのITを利用した申告の推進に取り組むこととしています。国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」等を是非活用いただきたいと思います。
第2に、納税者の権利利益の保護を図りつつ、適正な調査・徴収に努めております。
先般、調査手続の透明性と納税者の予見可能性を高めるなどの観点から、国税通則法が改正され、平成25年1月から、定められた税務調査手続に基づき調査を実施するとともに、全ての不利益処分及び申請に対する拒否処分について理由附記を行うこととなりました。国税庁として、この法改正の趣旨・内容をきちんと踏まえ、適正かつ円滑な執行に取り組んでまいります。
税務調査等につきましては、大口・悪質な不正事案に厳正に対応するほか、社会・経済情勢の変化に鑑み、富裕層・無申告・国際化事案などの重点課題に積極的に取り組むこととしています。
国際的租税回避行為については、租税条約等に基づく情報交換を積極的に進めています。我が国では、昨年、香港、バハマ、マン島及びケイマン諸島等との租税条約等が新たに締結されたほか、スイスとの間では租税条約が改正され、情報交換規定の新設等がなされました。更に我が国は、多国間の枠組みである「税務行政執行共助条約」に昨年11月に署名したところであり、同条約の発効後には、より多くの国々と幅広い分野で執行協力を推進していくことが可能となります。国税庁では、こうした二国間及び多国間の枠組みも十分に活用しつつ、国際的租税回避行為に厳正に対処してまいります。
近年の税務行政に関する国際的な議論の場においては、税務に関するコーポレートガバナンスの充実が大企業の税務コンプライアンスの向上に重要であるとの認識が共有されています。国税庁では、大企業に対し、税務に関するコーポレートガバナンスの充実に関する説明会を実施することに加え、税務調査終了時にトップマネジメントと意見交換を実施する取組を進めています。
第3に、国民の皆様からの理解と信頼を得られるように、国税当局が取り組むべき課題や取組方針、各種施策についての実行性ある計画の策定とその実施、実施結果の評価・検証について、ホームページ、報道発表、国税庁レポート(年次報告書)、実績の評価書等を通じて、できる限り分かりやすくお知らせしていきたいと考えております。各種施策の実施結果の評価・検証を踏まえ、税務行政の改善に努めてまいります。
本年も、様々な面で質の高い税務行政を進めることにより、税務行政に寄せられている国民の信頼に応え、更に揺るぎないものにしてまいりたいと考えています。
新しい年、平成24年が、皆様と御家族にとって幸せの多い年でありますよう祈念いたしまして、年頭の御挨拶とさせていただきます。
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