コラム2012年01月30日 【税実務Q&A】 自己株式取得予定株式に係るみなし配当(2012年1月30日号・№436)
税実務Q&A
No.104 法人税>益金の額>受取配当等
自己株式取得予定株式に係るみなし配当
公認会計士緑川事務所 税理士 莟 秀明
問 当社が保有するX社株式(上場株式)は、平成23年12月(X社による自己株式の公開買付期間中)に、次の①及び②により取得したものです。
① 適格合併により、A社(被合併法人)から取得したX社株式
② 適格現物分配により、B社(現物分配法人)から取得したX社株式
当社がX社の公開買付に応募した場合には、みなし配当が生じますが、受取配当等の益金不算入の適用がありますか。なお、A社及びB社は、X社株式をいずれも公開買付の公表前から保有しています。
答
(1)概要 平成22年度税制改正により、内国法人が、自己株式の取得が予定されている株式を、平成22年10月1日以後に取得をした場合には、「みなし配当と譲渡損益の構造を租税回避的に利用した行為を防止するため」(平成22年度税制改正の解説338頁)、発行法人による取得によりみなし配当が生じても、そのみなし配当については、受取配当等の益金不算入の規定を適用しないこととされました(法法23条③)。
なお、適格合併、適格分割又は適格現物出資により移転を受けた株式については、自己株式の取得が予定されているか否かの判定時期について、例外的な取扱いがあります(法令20の2①)。
(2)質問の場合
① 適格合併により取得したX社株式 A社(被合併法人)の取得時点と、合併による当社(合併法人)への引継ぎ時点の両時点で、X社に自己株式として取得されることが予定されているときは、益金不算入の適用がありません(法令20の2①)。
質問の場合、A社がX社株式を取得する時点では、自己株式として取得されることが予定されていないため、受取配当等の益金不算入の適用があります。
② 適格現物分配により取得したX社株式 適格現物分配による当社(被現物分配法人)の取得時点で、X社に自己株式として取得されることが予定されているときは、益金不算入の適用がありません。
①の適格合併による引継ぎと異なり、被現物分配法人の取得時点のみで判定する理由は、「適格現物分配が事業の移転を前提とされていないこと」(平成22年度税制改正の解説339頁)とされています。
質問の場合、当社がX社株式を取得する時点で、自己株式として取得されることが予定されているため、受取配当等の益金不算入の適用がありません。
そのため、実務上は、B社がX社の公開買付に応募し、B社が得た現金を当社に配当する等の対応が必要かと考えます(100%グループ内の現金配当は、源泉徴収は必要ですが、負債利子を控除せずに、その全額が益金不算入となります)。
No.104 法人税>益金の額>受取配当等
自己株式取得予定株式に係るみなし配当
公認会計士緑川事務所 税理士 莟 秀明
問 当社が保有するX社株式(上場株式)は、平成23年12月(X社による自己株式の公開買付期間中)に、次の①及び②により取得したものです。
① 適格合併により、A社(被合併法人)から取得したX社株式
② 適格現物分配により、B社(現物分配法人)から取得したX社株式
当社がX社の公開買付に応募した場合には、みなし配当が生じますが、受取配当等の益金不算入の適用がありますか。なお、A社及びB社は、X社株式をいずれも公開買付の公表前から保有しています。
答
(1)概要 平成22年度税制改正により、内国法人が、自己株式の取得が予定されている株式を、平成22年10月1日以後に取得をした場合には、「みなし配当と譲渡損益の構造を租税回避的に利用した行為を防止するため」(平成22年度税制改正の解説338頁)、発行法人による取得によりみなし配当が生じても、そのみなし配当については、受取配当等の益金不算入の規定を適用しないこととされました(法法23条③)。
なお、適格合併、適格分割又は適格現物出資により移転を受けた株式については、自己株式の取得が予定されているか否かの判定時期について、例外的な取扱いがあります(法令20の2①)。
(2)質問の場合
① 適格合併により取得したX社株式 A社(被合併法人)の取得時点と、合併による当社(合併法人)への引継ぎ時点の両時点で、X社に自己株式として取得されることが予定されているときは、益金不算入の適用がありません(法令20の2①)。
質問の場合、A社がX社株式を取得する時点では、自己株式として取得されることが予定されていないため、受取配当等の益金不算入の適用があります。
② 適格現物分配により取得したX社株式 適格現物分配による当社(被現物分配法人)の取得時点で、X社に自己株式として取得されることが予定されているときは、益金不算入の適用がありません。
①の適格合併による引継ぎと異なり、被現物分配法人の取得時点のみで判定する理由は、「適格現物分配が事業の移転を前提とされていないこと」(平成22年度税制改正の解説339頁)とされています。
質問の場合、当社がX社株式を取得する時点で、自己株式として取得されることが予定されているため、受取配当等の益金不算入の適用がありません。
そのため、実務上は、B社がX社の公開買付に応募し、B社が得た現金を当社に配当する等の対応が必要かと考えます(100%グループ内の現金配当は、源泉徴収は必要ですが、負債利子を控除せずに、その全額が益金不算入となります)。
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