解説記事2012年06月25日 【税制改正解説】 平成23年12月・24年度資産税関係の改正について(1)(2012年6月25日号・№456)

税制改正解説
平成23年12月・24年度資産税関係の改正について(1)
 金山裕道

はじめに

 平成23年度税制改正大綱に記載された事項のうち、昨年6月に成立・公布された「現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律」に盛り込まれていない部分については、同年1月に提出された「所得税法等の一部を改正する法律案」が修正されて「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律案」として国会において継続審議とされたところであるが、その後の更なる政府修正及び議院修正を経て、同法律案は平成23年11月30日に可決・成立し、関係政省令とともに同年12月2日に公布(平成23年法律第114号)された。〔17頁参照〕
 また、東日本大震災の復興支援等という観点から、「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律」が平成23年12月7日に可決・成立し、関係政省令とともに同月14日に公布(平成23年法律第119号)された。〔19頁参照〕
 さらに、平成24年3月30日には、平成24年度の税制改正である「租税特別措置法等の一部を改正する法律」が可決・成立し、関係政省令とともに翌31日に公布(平成24年法律第16号)された。〔25頁、次号以降参照〕
 本稿では、これらの税制改正に盛り込まれた改正事項のうち、相続税・贈与税・登録免許税関係の改正の概要について説明する。
(備考)1.所得税・法人税とは異なり、資産税関係では復興増税に関する改正はない。
    2.平成24年度税制改正は、政府案どおり可決・成立した。

平成23年12月改正関係

Ⅰ.更正の請求関係の改正

〈1〉贈与税の更正の請求の特則の改正

1.改正の内容
 法定外の手続により非公式に税務当局に対して税額の減額変更を求める「嘆願」という実務慣行を解消し、納税者の救済を図る観点から、納税者が申告税額の減額を求めることができる「更正の請求」について、請求をすることができる期間を5年(改正前:1年)に延長する国税通則法の改正が行われ、この結果、後発的事由がない場合の相続税の更正の請求期間も5年となった(新通法23①)。
 他方、贈与税について課税庁がする更正若しくは決定又は賦課決定の期間制限は法定申告期限から6年間とされていたところ(旧相法36①)、今般の国税通則法の改正の趣旨を踏まえ、税務当局がする増額更正の期間制限と納税者が行う更正の請求期間を一致させる観点から、相続税法において国税通則法の特則を定め、贈与税についての更正の請求期間を法定申告期限から6年(改正前:国税通則法の規定により1年)とすることとされた(新相法32②)。

2.適用関係  上記1の改正は、平成23年12月2日以後に申告書の提出期限が到来する贈与税について適用され、同日前に申告書の提出期限が到来した贈与税については従前どおり(平成23年12月所法等改正法附則27)。

〈2〉更正の期間制限の延長

1.改正の内容
 更正の請求がされた場合には、税務当局は、その内容について調査した上で、更正をし、又は更正をすべき理由がない旨を通知する必要がある(通法23④、28①)が、納税者から贈与税の更正の請求期間(6年)の終了間際に更正の請求がされた場合には、税務当局の検討期間を考慮すると更正の期間制限が更正の請求期間と同じ6年では対応が困難な場合も想定される。
 そこで、請求期間の終了する日前6月以内に更正の請求があった場合には、税務当局は、その更正の請求があった日から6月を経過する日まで更正をすることができることとされた(新相法36②)。

2.適用関係  上記1の改正は、平成23年12月2日以後に申告書の提出期限が到来する贈与税について適用され、同日前に申告書の提出期限が到来した贈与税については従前どおり(平成23年12月所法等改正法附則27、36①)。

〈3〉更正の請求範囲の拡大

1.改正の内容
 更正の請求の事由は、納税申告書の記載した課税標準等又は税額等の「計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと」又は「計算に誤りがあったこと」により税額が過大であった場合に限られていた(旧通法23①一)ため、当初申告時に選択した場合に限り適用が可能な措置については、当初申告時に選択がなされていない場合は上記の更正の請求事由に該当せず、更正の請求によって事後的に当初申告時に遡って当該措置を適用することはできないこととされていた。
 今回、事後的な適用を認めても問題がない措置(相続税及び贈与税に関しては以下の3つの措置)については、「当初申告要件」を廃止し、所要の書類を添付することにより事後的に更正の請求を認めることとされた。
・配偶者に対する相続税額の軽減(旧相法19の2)
・贈与税の配偶者控除(旧相法21の6)
・相続税額から控除する贈与税相当額等(旧相令4)
(備考)今回の見直しは、相続税及び贈与税に関しては上記の3つの措置が対象であり、租税特別措置法に定める小規模宅地等の特例(措法69の4)などは対象とされていない。

2.適用関係  上記1の改正は、平成23年12月2日以後に申告書の提出期限が到来する相続税又は贈与税について適用され、同日前に申告書の提出期限が到来した相続税又は贈与税については従前どおり(平成23年12月所法等改正法附則27、平成23年12月相令改正令附則2)。

〈4〉登録免許税の過誤納金の還付に係る通知の請求期間の延長

1.改正の内容
 上記〈1〉1と同様の観点から、登録免許税の過誤納金の還付に係る通知の請求期間が5年(改正前:1年)に延長された(新登法31②)。

2.適用関係  上記1の改正は、平成23年12月3日以後に受ける登記等に係る登録免許税について適用され、同月2日以前に受けた登記等に係る登録免許税については従前どおり(平成23年12月所法等改正法附則31)。


Ⅱ.質問検査権等の規定の整備

1.改正の内容

 質問検査権の規定や官公署への協力要請の規定は、税務調査手続の見直しの一環として国税通則法において税目横断的に規定することとされ、相続税法から規定が削除された(旧相法60、60の2、新通法74の3、74の12)。

2.適用関係  上記1の改正後の国税通則法の規定は、平成25年1月1日以後に行う質問検査等について適用され(平成23年12月所法等改正法附則39①)、平成24年12月31日以前に行った質問、検査又は閲覧の要求(同日後引き続き行われる調査又は徴収(同日以前に調査又は徴収に係る質問又は検査を行っていたものに限る。)に係るものを含む。)については従前どおり(平成23年12月所法等改正法附則30)。

震災税特法一部改正関係

〈1〉住宅取得等資金の贈与を受けた場合の特例措置に係る住宅用家屋についての居住要件等の特例の改正

1.改正の内容
 「東日本大震災の被災者が住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税に係る住宅用家屋についての居住要件等の特例(震災税特法37)」及び「東日本大震災の被災者が住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例に係る住宅用家屋についての居住要件等の特例(震災税特法38)」は、ともに東日本大震災により家屋が滅失(通常の修繕によっては原状回復が困難な損壊を含む。)をした場合が適用対象であるところ、これらの特例の適用対象となる場合に、警戒区域設定指示等が行われた日においてその警戒区域設定指示等の対象区域内に家屋が所在していたことにより居住の用に供することができなくなった場合が追加された(新震災税特法37①、38①)。
(注)「警戒区域設定指示等」とは、平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故に関して原子力災害対策特別措置法の規定より内閣総理大臣又は原子力災害対策本部長が市町村長又は都道府県知事に対して行った次に掲げる指示をいう(新震災税特法37①一、新震災税特規13②)。
イ 原子力災害対策特別措置法の規定により読み替えて適用される災害対策基本法の規定による警戒区域の設定を行うことの指示
ロ 住民の避難のための立退きを行うことを求める指示、勧告、助言その他の行為を行うことの指示
 なお、イの指示に係るものとして警戒区域が、ロの指示に係るものとして避難指示区域、計画的避難区域、帰還困難区域、居住制限区域及び避難指示解除準備区域が設定されたところ。

2.適用関係  改正後のこれらの特例の規定は、平成23年12月14日から適用される(震災税特法改正法附則1)。

〈2〉東日本大震災の被災者が直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の創設

1.制度の内容
 平成23年3月11日から平成25年12月31日までの間(警戒区域設定指示等が行われた日においてその警戒区域設定指示等の対象区域内に所在する家屋をその居住の用に供していた者又はその居住の用に供しようとしていた者については、警戒区域設定指示等が行われた日からその警戒区域設定指示等が解除された日以後3月を経過する日までの間)にその直系尊属(父母、祖父母、養父母等)からの贈与(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を除く。以下〈2〉において同じ。)により住宅用家屋の新築、取得又は増改築等に充てるための金銭(以下〈2〉において「住宅取得等資金」という。)の取得をした一定の被災者が、住宅用家屋について一定の要件を満たす新築、取得又は増改築等を行った場合には、その贈与により取得をした住宅取得等資金のうち1,000万円までの金額(既にこの特例の適用を受けて贈与税の課税価格に算入しなかった金額がある場合には、その算入しなかった金額を控除した残額)については、贈与税の課税価格に算入しないこととされた(新震災税特法38の2①)。

2.適用関係  この特例の規定は、平成23年3月11日以後に贈与により取得をした住宅取得等資金に係る贈与税について適用される(新震災税特法38の2①)。

〈3〉被災した認定贈与承継会社等に係る非上場株式等についての納税猶予の特例の創設

1.制度の内容
 非上場株式等についての贈与税の納税猶予(措法70の7)、非上場株式等についての相続税の納税猶予(措法70の7の2)、非上場株式等の贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予(措法70の7の4)について、次の特例措置が講じられた。
(1)雇用確保要件・資産管理会社非該当要件の緩和  認定贈与承継会社等(非上場株式等についての贈与税の納税猶予に係る認定贈与承継会社、非上場株式等についての相続税の納税猶予に係る認定承継会社又は非上場株式等の贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予に係る認定相続承継会社をいう。以下〈3〉において同じ。)が、次に掲げる場合に該当することとなった場合には、雇用確保要件(贈与又は相続時における常時使用従業員数の8割の雇用を維持)等を緩和することとされた(新震災税特法38の3)。
① 認定贈与承継会社等の事業の用に供する資産が東日本大震災によって甚大な被害を受けた場合 
② 認定贈与承継会社等の事業所が東日本大震災によって被害を受けたことにより、その認定贈与承継会社等における雇用の確保が困難となった場合
③ 東日本大震災により認定贈与承継会社等(東日本大震災の発生直前において指定地域内に本店を有していた会社又は現にその事業の用に供していた建物が東日本大震災により滅失若しくは損壊をした会社に限る。)の売上金額が大幅に減少した場合
(注)「指定地域」とは、東日本大震災により相当な損害を受けた地域として財務大臣の指定する地域をいい(震災税特法34①)、具体的には、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県及び千葉県の全域、埼玉県加須市(旧北川辺町及び旧大利根町の区域に限る。)、埼玉県久喜市、新潟県十日町市、新潟県中魚沼郡津南町、長野県下水内郡栄村が指定されている(平成23年4月財務省告示第144号)。
(2)相続税・贈与税の納税猶予の免除事由の特例  東日本大震災により被害を受けた認定贈与承継会社等が、上記(1)①から③までに掲げる場合に該当する場合において、その認定贈与承継会社等又はその会社に係る経営承継受贈者等(非上場株式等についての贈与税の納税猶予に係る経営承継受贈者、非上場株式等についての相続税の納税猶予に係る経営承継相続人等又は非上場株式等の贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予に係る経営相続承継受贈者をいう。以下〈3〉において同じ。)が、次のいずれかに該当することとなったときは、猶予税額を免除することとされた(新震災税特法38の4①③⑤)。
① 経営承継受贈者等が認定贈与承継会社等の株式等の全部を一定の者に譲渡又は贈与をしたとき
② その認定贈与承継会社等について破産手続開始の決定又は特別清算開始の命令があったとき
(3)相続税の納税猶予に係る適用時の要件緩和
 ① 認定承継会社等に係る要件緩和
 平成23年3月11日から東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律(平成23年法律第119号。以下「震災税特法改正法」という。)の施行の日(平成23年12月14日)以後6月を経過する日(平成24年6月13日)までの間に相続若しくは遺贈により会社の非上場株式等の取得をした場合又は非上場株式等の贈与者が死亡した場合の相続税の課税の特例(措法70の7の3)により贈与者から相続若しくは遺贈により特例受贈非上場株式等の取得をしたものとみなされた場合において、その非上場株式等又は特例受贈非上場株式等に係る会社が次に掲げる場合に該当するときは、その会社が資産管理会社に該当する場合でも納税猶予の適用を受けることができることとされた(新震災税特法38の5①③⑤)。
イ その会社の事業の用に供する資産が東日本大震災によって甚大な被害を受けた場合
ロ 会社の事業所が東日本大震災によって被害を受けたことにより、その会社における雇用の確保が困難となった場合
ハ 東日本大震災によりその会社(東日本大震災の発生直前において被災地内に本店を有していた会社又は現にその事業の用に供していた建物が東日本大震災により滅失若しくは損壊をした会社に限る。)の売上金額が大幅に減少した場合
 ② 経営承継相続人等に係る要件緩和  平成23年3月11日から震災税特法改正法の施行の日(平成23年12月14日)以後6月を経過する日(平成24年6月13日)までの間に相続又は遺贈により会社の非上場株式等の取得をした場合において、その非上場株式等に係る認定承継会社が上記(1)①から③までに掲げる場合に該当するときは、その者が次の要件を満たしていない場合でも納税猶予の適用を受けることができることとされた(新震災税特法38の5⑤)。
イ 相続の開始の直前において、円滑化省令に規定する確認を受けた会社の特定後継者であること
ロ 相続の開始の直前において、確認を受けた会社の役員であったこと

2.適用関係  この特例の規定は、平成23年12月14日から適用される(震災税特法改正法附則1)。

〈4〉延納・物納の許可の申請等に係る期限等の特例の創設

1.制度の内容
 東日本大震災によって被害を受けたことにより延納・物納の許可の申請に係る手続に関し、国税通則法第11条の規定による期限延長の適用を受ける者又はその申請に係る延納の許可若しくは却下をしようとする税務署長については、その申請等に係る期限(延納の場合は最長6月、物納の場合は最長1年)に、国税通則法第11条の規定により延長された期間を加算することとされた(新震災税特法38の6①③、38の7①③)。
 なお、この加算した期間のうち一定の期間については、延納分納税額に係る利子税、延納・物納の申請の却下等があった場合の利子税又は延滞税の計算の基礎となる期間に算入しないこととする等の措置が講じられている(新震災税特法38の6⑤~⑦、38の7⑤~⑦)。
(参考)国税通則法の規定に基づく申告期限等の延長
 青森県、岩手県、宮城県、福島県及び茨城県に国税の納税地を有する者に係る国税に関する申告期限等ついては、平成23年3月15日に、国税通則法の規定に基づき、別途国税庁が告示で定める期日まで延長措置が講じられた(平成23年3月国税庁告示第8号)。その後の期日指定の状況については、国税庁ホームページ(http://www.nta.go.jp)を参照。

2.適用関係  この特例の規定は、平成23年12月14日から適用される(震災税特法改正法附則1)。

〈5〉東日本大震災の被災者等が新築又は取得をした建物に係る所有権の保存登記等の免税措置等の改正

1.制度の内容
 東日本大震災の被災者等が新築又は取得をした建物に係る所有権の保存登記等の免税措置(震災税特法39)及び東日本大震災の被災者等が被災代替建物に係る土地を取得した場合の所有権の移転登記等の免税措置(震災税特法40)について、次の改正が行われた。
(1)滅失建物等の範囲の見直し  これらの特例の前提となる東日本大震災により滅失等した建物(〈5〉において「滅失建物等」という。)は、東日本大震災により滅失した建物又は損壊したため取り壊した建物とされていたが(旧震災税特法39①、40①)、この滅失建物等の範囲に、警戒区域設定指示等が行われた日においてその警戒区域設定指示等の対象区域内に所在していた建物が追加された(新震災税特法39①、40①)。
(2)特例の適用対象者の範囲の見直し  これらの特例の適用対象者は、相続等があった場合を除き、東日本大震災により建物が滅失等した被災者自身とされていたが(旧震災税特令30)、その被災者が住宅用の代替建物の新築又は取得をすることが困難な場合には、その被災者の三親等内の親族でその被災者と同居をしていたこと等の要件を満たす者も、特例の適用対象者とされた(新震災税特令30②五)。

2.適用関係
(1)原則
 この特例の規定は、平成23年12月15日以後に受ける登記について適用される(震災税特法改正法附則17①③、改正震災税特令附則5①②)。
(2)還付  この特例の規定は、平成23年3月11日から平成23年12月14日までの間に、被災者等が被災代替建物の新築又は取得をした場合において、その期間内に受けた被災代替建物に係る所有権の保存登記等についても準用され、既に納付している登録免許税の還付を受けることができる(震災税特法改正法附則17②④、改正震災税特令附則5②、登法31②、登令31②、改正震災税特規附則2一二)。

〈6〉東日本大震災の被災者等が取得した農用地に係る所有権の移転登記等の免税措置の創設

1.制度の内容
(1)所有権の移転登記の免税
 東日本大震災の被災者(農業を営む者に限る。)であって一定の者又はその者の相続人等(以下〈6〉において「被災者等」という。)が受ける、被災農用地に代わるものとして取得をした農用地(農業経営基盤強化促進法第4条第1項第1号に規定する農用地をいう。以下〈6〉において同じ。)で一定のものの所有権の移転の登記については、震災税特法改正法の施行の日の翌日(平成23年12月15日)から平成33年3月31日までの間(警戒区域設定指示等が行われた日においてその警戒区域設定指示等の対象区域内に所在していた被災農用地に代わる農用地の所有権の移転登記にあっては、その農用地の取得後1年以内に受けるものに限り、登録免許税が免税とされる(新震災税特法40の2①)。
(2)抵当権の設定登記の免税  前記(1)の所有権の移転登記の免税の特例を受ける農用地の取得のための資金の貸付け(貸付けに係る債務の保証を含む。)が行われるとき又はその対価の支払が賦払の方法により行われるときにおけるその貸付けに係る債権(その保証に係る求償権を含む。)又はその賦払金に係る債権を担保するために受けるその農用地を目的とする抵当権の設定登記については、前記(1)の登記と同時に受けるものに限り、登録免許税が免税とされる(新震災税特法40の2②)。

2.適用関係
(1)原則
 この特例の規定は、平成23年12月15日以後に受ける登記について適用される(震災税特法改正法附則17⑤)。
(2)還付  この特例の規定は、平成23年3月11日から震災税特法改正法の施行の日(平成23年12月14日)までの間に、被災農用地に代わるものとして農用地を取得した場合において、その期間内に受けた農用地の所有権の移転登記又はその農用地を目的とする抵当権の設定登記についても準用され、既に納付している登録免許税の還付を受けることができる(震災税特法改正法附則17⑥、登法31②、登令31②、改正震災税特規附則2三)。

〈7〉東日本大震災により被災した鉄道事業者が取得した鉄道施設に係る土地の所有権の保存登記等の免税措置の創設

1.制度の内容
 東日本大震災により被災した鉄道事業法に規定する第一種鉄道事業者が東日本大震災により鉄道事業の用に供することができなくなった鉄道施設であって鉄道事業法の規定による事業の休止又は廃止の届出に係るもの(以下〈7〉において「被災鉄道施設」という。)に代わるものとして建設する鉄道施設で一定のものの敷地の用に供される土地の所有権又は地上権若しくは賃借権の取得をした場合において、その土地の所有権の保存若しくは移転又は地上権若しくは賃借権の設定若しくは移転の登記(震災税特法第40条第1項の規定の適用を受けるものを除く。)については、震災税特法改正法の施行の日の翌日から平成28年3月31日までの間に受けるものに限り、登録免許税が免税とされる(新震災税特法40条の3)。
(注1)「第一種鉄道事業者」とは、鉄道事業法の規定により、第一種鉄道事業(他人の需要に応じ、鉄道による旅客又は貨物の運送を行う事業をいう。)の許可を受けた者をいう(鉄道事業法13①)。
(注2)「鉄道施設」とは、鉄道線路、停車場、車庫及び車両検査修繕施設、運転保安設備、変電所等設備並びに電路設備をいう(鉄道事業法8①、鉄道事業法施行規則9)。

2.適用関係  この特例の規定は、平成23年12月15日以後に受ける登記について適用される(震災税特法改正法附則1、新震災税特法40の3)。

〈8〉独立行政法人中小企業基盤整備機構が建築した仮設建築物に係る所有権の保存登記の免税措置の創設

1.制度の内容
 独立行政法人中小企業基盤整備機構が独立行政法人中小企業基盤整備機構法第15条第1項第13号に掲げる業務により整備する工場又は事業場の用に供する仮設建築物であって東日本大震災により著しい被害を受けた市町村の区域の復興に資する一定のものの建築をした場合には、その仮設建築物の所有権の保存の登記については、震災税特法改正法の施行の日の翌日から平成25年3月31日までの間に受けるものに限り、登録免許税が免税とされる(新震災税特法40の4)。

2.適用関係  この特例の規定は、平成23年12月15日以後に受ける登記について適用される(震災税特法改正法附則1、新震災税特法40の4)。

〈9〉東日本大震災の被災者等が受ける本店等の移転の登記等の免税措置の創設

1.制度の内容
 東日本大震災の被災者であって一定の者又はその者の相続人等(以下〈9〉において「被災者等」という。)が、その本店等の用に供する建物が滅失等した場合において、震災税特法改正法施行の日の翌日から平成33年3月31日までの間にその本店等の移転について登記を受けるときは、その登記については、登録免許税が免税とされる(新震災税特法41の3)。

2.適用関係
(1)原則
 この特例の規定は、平成23年12月15日以後に受ける登記について適用される(震災税特法改正法附則17⑦)。
(2)還付  この特例の規定は、平成23年3月11日から震災税特法改正法の施行の日(平成23年12月14日)までの間に、被災者等が本店等の移転について受けた登記についても準用され、既に納付している登録免許税の還付を受けることができる(震災税特法改正法附則17⑧、登法31②、登令31②、改正震災税特規附則2四)

平成24年度改正関係

〈1〉相続税の連帯納付義務の見直し

1.改正の内容
(1)連帯納付義務の見直し
 相続税の連帯納付義務について、連帯納付の責めに任ずる者(本来の納税義務者を除く。以下〈1〉において「連帯納付義務者」という。)にとって過酷となるケースの発生を防止しつつ、一般納税者との公平を確保する観点から、次の相続税については連帯納付義務を解除することとされた。
 ① 申告期限から5年を経過した場合  納税義務者の納付すべき相続税額に係る相続税について、申告期限等から5年を経過する日までに税務署長(国税局長が徴収の引継ぎを受けた場合には、その国税局長。以下において同じ。)がその相続税について連帯納付義務者に対し、納付すべき金額及び納付場所その他必要な事項を記載した納付通知書(旧相法34⑦)を発していない場合におけるその連帯納付義務者については、その納付すべき相続税額に係る相続税の連帯納付義務を負わないこととなる(新相法34①一)。
(注1)上記の「申告期限等」とは、次の期限又は日をいう。
ア 相続税法第27条第1項の規定による申告書の提出期限
イ その相続税が期限後申告書若しくは修正申告書を提出したことにより納付すべき相続税額である場合には、その期限後申告書若しくは修正申告書の提出があった日
ウ その相続税が更正又は決定に係る相続税額である場合には、税務署長がその更正又は決定に係る更正通知書又は決定通知書を発した日
エ その相続税が賦課決定に係る相続税額である場合には、税務署長がその賦課決定に係る賦課決定通知書を発した日
(注2)上記の「5年」は、国税の徴収権の消滅時効(通法72)が5年とされていること等を参考にしたもの。
 なお、連帯納付義務が解除されるか否かは税額ごとに判断することから、例えば、ある納税義務者の相続税について、当初申告分の税額については申告期限から5年を経過したため連帯納付義務を負わない場合であっても、修正申告分の税額については連帯納付義務を負う場合もある。
 ② 延納の許可を受けた場合  納税義務者が相続税法第38条第1項(同法第44条第2項において準用する場合を含む。)又は第47条第1項の規定による延納の許可を受けた場合におけるその納税義務者に係る連帯納付義務者については、その延納の許可を受けた相続税額に係る相続税の連帯納付義務を負わないこととなる(新相法34①二)。
 なお、延納の許可がされた税額とそれ以外の税額がある場合には、連帯納付義務を負わないこととされるのは前者の税額についてであり、後者の税額、例えば、申告期限に納付することとされている税額や延納申請・物納申請が却下された場合の税額などは、引き続き連帯納付義務の対象となる。ただし、この場合であっても、上記のとおり、申告期限等から5年を経過した日までにその相続税について納付通知書が発せられなかった場合には、連帯納付義務を負うことはない。
 ③ 納税猶予の特例の適用を受けた場合  納税義務者が相続税について、次に掲げる納税猶予の特例の適用を受けた場合におけるその納税義務者に係る連帯納付義務者については、その納税の猶予がされた相続税額に係る相続税の連帯納付義務を負わないこととなる(新相法34①三、新相令10の2)。
イ 農地等についての相続税の納税猶予等(措法70の6)
ロ 山林についての相続税の納税猶予(措法70の6の4)
ハ 非上場株式等についての相続税の納税猶予(措法70の7の2)
ニ 非上場株式等の贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予(措法70の7の4)
 連帯納付義務を負わないこととされる相続税の範囲は、上記又はの場合と同様、税額ごとに判断するため、納税の猶予がされた税額については連帯納付義務を負わないこととなる場合であっても、それ以外の税額については連帯納付義務を負う場合もある。
 また、納税猶予の期限の確定事由や繰上げ事由に該当したことにより納税猶予の期限が確定し、猶予税額及び利子税を納付する場合にも、その猶予税額及び利子税については、上記②の場合と同様、連帯納付義務を負うことはない。
(2)その他  上記(1)①の改正に伴い、延納又は物納の申請があった場合に送付することとされている連帯納付義務がある旨の通知は、廃止することとされた(旧相法34⑤)。
 なお、今般の改正は相続税の連帯納付義務(相法34①)についての見直しであり、連帯納付義務者の相続人に係る連帯納付義務(相法34②)、転得財産に係る連帯納付義務(相法34③)、贈与税の連帯納付義務(相法34④)については、改正がされていない。

2.適用関係  上記1による改正後の規定は、平成24年4月1日以後に相続税の申告書の提出期限(延納若しくは物納の許可の申請の却下若しくは取下げ又は延納若しくは物納の許可の取消しがあった場合には、その却下に係る書面が発せられた日若しくは取下げがあった日又は取消しに係る書面が発せられた日)又は分納税額の納期限(以下2において「申告期限等」という。)が到来する相続税について適用される(改正法附則57①)。
 なお、平成24年3月31日以前に申告期限等が到来した相続税で平成24年4月1日において未納となっているものについても、上記の改正後の規定を準用する(改正法附則57②)。したがって、平成24年3月31日以前に申告した相続税であっても同年4月1日において未納(滞納、延納、納税猶予)であるものについては、改正後の規定を適用するとしたならば連帯納付義務を負わないこととなる相続税は、同日以後は連帯納付義務を負わないこととなる。

〈2〉延納及び物納の申請手続等の見直し

1.改正の内容
(1)申請者の準備期間の延長
 申請者の準備期間が延長される場合は、次の又はの場合に大別され、それぞれ次のとおり手続の期限が延長される。
 ① 国税通則法第11条の適用がある場合  国税通則法第11条(災害等による期限の延長)の規定の適用がある場合において、国税通則法の規定では延長されない期限について、災害等により手続を行うことができない期間(災害等延長期間)の分、手続の期限を延長する措置が講じられた(新相法39 一、42 一)。
 すなわち、担保提供関係書類・物納手続関係書類(以下〈2〉において「担保提供関係書類等」という。)の訂正又は提出等の再延長の届出書を提出する場合に、訂正又は提出等について最大限延長が可能な期間である「6ヶ月(延納の場合)」又は「1年(物納の場合)」について、「国税通則法第11条に規定する災害その他やむを得ない理由が生じた日から同条の規定により延長された期限までの期間を加算した期間」とすることとされた。
 この場合の国税通則法第11条の規定の適用とは、国税通則法施行令第3条第1項の「地域指定」又は同条第2項の「個別指定」の適用をいう。
 ② その他やむを得ない事由が生じた場合  災害等が発生した場合には上記のとおりであるが、それ以外の場合であっても申請者又は税務署において延納又は物納の許可の申請の手続を進めることが困難な場合や従来の規定をそのまま適用すると不合理な結果となる場合がある。そのような場合にも、上記①と同様、準備期間の延長の措置が講じられた。
 具体的には、次のイ又はロに掲げる事由が生じた場合には、それぞれ担保提供関係書類等の提出期限その他の手続に関する期限については、当該事由により手続を行うことができない期間について期限を延長することとされた(新相法39二、42 二)。
イ 延納又は物納の許可の申請に係る手続を行う者が死亡した場合
 手続を行う者が死亡した場合には、次のいずれか長い期間については、上記①と同様、手続に関する期限を延長することとされた(新相令16の2①一③一、19の4①一③一)。
 a 手続を行う者が死亡した日の翌日から同日以後10ヶ月を経過する日までの期間
 b 手続を行う者が死亡した日の翌日からその者の相続財産について民法第952条第2項(相続財産の管理人の選任)の規定による公告があった日までの期間
(注)「手続を行う者が死亡した場合」には、当初の申請者本人が死亡した場合(二次相続)のほかその相続人が死亡した場合(三次相続)が含まれるが、税理士等の代理人が死亡した場合は含まれない。
ロ 延納又は物納の許可の申請に対する処分に係る不服申立て又は訴えの提起があった場合
  申請者が延納又は物納の許可の申請に対する処分に係る不服申立て又は訴えを提起した場合には、税務署長による処分があった日の翌日から不服申立て又は訴えについての決定若しくは裁決又は判決が確定する日までの期間について期限が延長される(新相令16の2①二③二、19の4①二③二)。
(備考)物納及び延納に関する以下の手続についても上記の改正に併せて同様の改正が行われている。
① 物納申請の却下に係る延納申請(新相法44、新相令25の2)
② 物納申請の却下に係る物納再申請(新相法45、新相令25の3)
③ 物納の撤回に係る延納申請(新相法47、新相令25の5)
④ 特定物納の申請(新相法48の2、新相令25の7)
(2)税務署長の審査期間の延長  災害その他やむを得ない事由が生じた場合には、上記(1)のとおり国税通則法の規定及び相続税法の規定により申請者の準備期間が延長されるところ、税務署長が審査を行っている間に災害等が発生することも想定されるため、税務署長の審査期間も申請者サイドにおいて延長されるのと同一の期間、延長することとされた。
 具体的には、税務署長が延納又は物納の許可に係る審査を行う場合において、上記(1)①の国税通則法第11条に規定する災害その他やむを得ない理由が生じたとき、又は上記(1)②のやむを得ない事由が生じたときは、税務署長の審査期間(原則3ヶ月。延納の場合6ヶ月、物納の場合9ヶ月まで延長可能。)は、上記(1)①の災害等延長期間又は(1)②イ若しくはロにより延長される期間を加算した期間となる(新相法39 、42⑱)。
 なお、税務署長の審査期間については、上記(1)の改正による準備期間の延長の場合と同様に、文理上審査期間が延長されることから、申請者における準備期間中に災害が発生した場合に審査期間が二重に延長されることがないよう調整規定が置かれている(新相法39、42 )。
 また、税務署長は、審査期間を延長した場合には、申請者にその旨を通知しなければならないこととされている(新相法39 、42⑲)。
(3)利子税の計算期間の見直し
 ① 準備期間・審査期間が延長された場合の利子税の取扱い
 次のイからホまでに掲げる場合には、それぞれイからホまでに定める期間に応じ年7.3%(注1)の割合の利子税を納付する必要があるが、上記(1)又は(2)の改正により手続等が延長される期間については、災害その他手続を行うことができないことについてやむを得ない事由がある期間であることから、その期間は利子税の計算期間から除外することとされた(新相法52④、53①③④⑥⑦)。
イ 延納の申請の却下又はみなし取下げがあった場合 申告期限等の翌日から却下又はみなし取下げがあった日までの期間
ロ 物納の許可があった場合 申請者が物納手続関係書類の訂正などに要した期間
ハ 物納の撤回があった場合 申告期限等の翌日から撤回に係る相続税を納付する日までの期間(注2)
ニ 物納の申請の却下又はみなし取下げがあった場合 申告期限等の翌日から却下又はみなし取下げがあった日までの期間
ホ 物納の許可の取消しがあった場合 申告期限等の翌日から取消しの日までの期間
(注1)上記の利子税の割合(7.3%)については、租税特別措置法の特例が適用されるため、特例基準割合(前年11月末日における日本銀行の商業手形の基準割引率に4%を加算した割合)に軽減されている(措法93①三)。平成24年分(平成23年11月30日における基準割引率が0.3%の場合)は、4.3%となる。
(注2)物納の撤回に係る延納の許可を受けた場合には、申告期限等の翌日から延納の許可を受けた日までの期間は7.3%となり、許可を受けた日の翌日から各分納期限までの間は延納利子税の割合となる。
② 災害等により延納の許可が第一回目の分納期限より後になった場合  延納の許可が申請書に記載された第一回に納付すべき分納税額の納期限後にされたときは、延納の許可を受けた日までに申請書に記載された納期限が到来した分納税額に係る利子税については、当該申請書に記載された第一回に納付すべき分納税額の納期限前に延納の許可があったものとして計算したところによることとされた(新相法52⑤)。
(4)延滞税の計算期間の見直し  延納又は物納の許可の申請を取り下げた場合には、申告期限等の翌日から延納又は物納の申請を取り下げた日までの期間に応じた延滞税を納付する必要があるが、上記(1)又は(2)の改正により手続等が延長される期間については、災害その他手続を行うことができないことについてやむを得ない事由がある期間であることから、上記(3)の利子税と同様、その期間は延滞税の計算期間から除外することとされた(新相法51②三四、③三)。

2.適用関係  上記1による改正後の規定は、原則として平成24年4月1日以後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用され、平成24年3月31日以前に相続若しくは遺贈又は贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税については従前どおり(改正法附則58、相令改正令附則2①)。
 ただし、物納の撤回に係る延納申請及び特定物納の申請については、平成24年4月1日以後に物納の撤回に係る延納の申請書又は特定物納の申請書を提出する場合について適用される(相令改正令附則2②)。

〈3〉直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置の改正

1.改正の内容
(1)非課税限度額の引上げ等
非課税限度額(改正前:1,000万円)について、特定受贈者が住宅取得等資金を充てて新築若しくは取得又は増改築等をした次に掲げる住宅用の家屋の区分に応じ、それぞれに定める金額とされた(新措法70の2①、②六)。
① 省エネ住宅又は耐震住宅 最初に住宅取得等資金の贈与を受けた日の属する年の次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める金額
 イ 平成24年 1,500万円
 ロ 平成25年 1,200万円
 ハ 平成26年 1,000万円
② ①に掲げる住宅以外の住宅 最初に住宅取得等資金の贈与を受けた日の属する年の次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める金額
 イ 平成24年 1,000万円
 ロ 平成25年 700万円
 ハ 平成26年 500万円
(注1)「省エネ住宅又は耐震住宅」とは、エネルギーの使用の合理化に著しく資する住宅用の家屋又は大規模な地震に対する安全性を有する住宅用の家屋として国土交通大臣が財務大臣と協議して定める基準に適合するものをいい(新措令40の4の2⑥)、具体的には、次のとおりとされている(平成24年3月国土交通省告示第389号)。
 ① 省エネ住宅  イ 住宅用家屋の新築又は建築後使用されたことのない住宅用家屋の取得の場合
 評価方法基準(平成13年国土交通省告示第1347号)第5の5の5-1(3)(省エネルギー対策等級)の等級4の基準に適合する住宅
 ロ 既存住宅用家屋の取得又は増改築等の場合
 評価方法基準第5の5の5-1(3)の等級4の基準に適合する住宅用の家屋と同程度にエネルギーの使用の合理化に著しく資すると認められる住宅
 ② 耐震住宅  イ 住宅用家屋の新築又は建築後使用されたことのない住宅用家屋の取得の場合
 評価方法基準第5の1の1-1(3)(耐震等級)の等級2若しくは等級3の基準又は評価方法基準第5の1の1-3(3)の免震建築物の基準に適合する住宅
 ロ 既存住宅用家屋の取得又は増改築等の場合
 評価方法基準第5の1の1-1(4)の等級2若しくは等級3の基準又は評価方法基準5の1の1-3(4)の免震建築物の基準に適合する住宅
 なお、贈与税の申告の際には、建設住宅性能評価書の写しなど、住宅用の家屋が省エネ住宅又は耐震住宅に該当する旨を証する書類を贈与税の申告書に添付することとされている(新措規23の5の2⑥、平成24年3月国土交通省告示第390号)。
(注2)「省エネ住宅又は耐震住宅」に係る非課税限度額の500万円上乗せは、これらの住宅については、通常の住宅より数百万円規模の追加費用(かかり増し費用)が生じること等を勘案したもの。
(注3)上記の改正に伴い、この特例の対象となる増改築等の範囲に、省エネ住宅又は耐震住宅に適合させるための修繕又は模様替が追加された(新措令40の4の2③五)。
(2)面積要件の見直し  この特例の対象となる住宅用家屋の床面積は50㎡以上とされており、上限は設けられていなかったが、平成24年度改正では、上記(1)の非課税限度額の引上げに併せ、床面積240㎡以下いう上限が設けられた(新措令40の4の2①④)。
(3)適用期間の延長  適用期間が平成24年1月1日から平成26年12月31日まで(改正前:平成22年1月1日から平成23年12月31日まで)とされた。
(参考)東日本大震災の被災者が直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置(震災税特法38の2)についても同様の改正がされたが、非課税限度額については逓減せず(平成26年まで、省エネ住宅又は耐震住宅:1,500万円、その他の住宅:1,000万円)、また、床面積の上限は設けられていない。

2.適用関係  改正後のこの特例の規定は、平成24年1月1日以後に贈与により取得をする住宅取得等資金に係る贈与税について適用され、同日前に贈与により取得をした住宅取得等資金に係る贈与税については従前どおり(改正法附則40⑤)。
 なお、所得税法等の一部を改正する法律(平成22年法律第6号)第18条の規定による改正前の租税特別措置法第70条の2第1項又は改正前の租税特別措置法第70条の2第1項の規定の適用を受けた者(平成21年から平成23年までに住宅取得等資金の取得をし、改正前のこの特例の適用を受けた者)については、平成24年1月1日以後に贈与により取得をした住宅取得等資金に係る贈与税については、改正後のこの特例の適用を受けることはできないこととされている(改正法附則40⑥)。

〈4〉特定の贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例の改正

1.改正の内容
 適用期限が平成26年12月31日まで3年間延長された(措法70の3①)。
 なお、この特例については、上記〈3〉の特例と異なり、適用対象となる住宅用家屋の床面積について上限は設けられていない。

2.適用関係  継続適用。

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