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解説記事2012年08月27日 【第2特集】 Q&Aで読み解く譲渡所得に係る重複適用の可否(2012年8月27日号・№464)

ローン控除適用不可の場合も措法41条の5は適用できるか?
Q&Aで読み解く譲渡所得に係る重複適用の可否

 譲渡所得に関する租税特別措置法の特例について、それぞれの特例の要件に該当する場合に重複適用ができるかどうかは1つの論点になるところ。本誌では建物について措法33条の4(収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除)を適用し、土地について措法31条の2(優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例)をそれぞれ適用できる事例を紹介しているが(本誌449号16頁参照)、本特集では、その他の譲渡所得に関する事例について、課税当局の資料等に基づきQ&A形式で解説する。
 Q&Aでは、「国外の不動産を譲渡した場合における居住用財産の譲渡所得の特例の適用関係」「敷地を2年にわたって譲渡した場合の居住用財産の譲渡所得の課税の特例の適用」「措法41条の適用対象とならない家屋を措法41条の5の買換資産とすることの可否」の3つを取り上げている。

Q1
国外の不動産を譲渡した場合における居住用財産の譲渡所得の特例の適用関係
 イギリスから帰国したことにより日本の居住者となった甲は、帰国前のイギリスに居住していた際に、イギリス国内にある自己の居住用の不動産の売買契約を締結し(平成24年6月)、帰国後(同年7月)に引渡しを行っています。
 甲は、本件国外不動産に係る譲渡所得の申告において、措法35条(居住用財産の譲渡所得の特別控除)と措法31条の3(居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例)の規定を適用することを考えていますが、認められますか。
 なお、措法35条と措法31条の3の規定を適用するための他の要件は満たしています。

A  甲は、本件国外不動産の譲渡について措法35条の規定は適用できますが、措法31条の3の規定は適用することができません。
 措法35条および同法31条の3の規定は、個人が居住の用に供している家屋および当該家屋の敷地の用に供されている土地等を譲渡した場合の特例ですが、措法35条は居住用財産の所在地についての制限規定がないため、海外に所在する居住用財産を譲渡した場合であっても、他の要件を満たしている限りにおいては同様の規定を適用することができます。
 一方、措法31条の3は、同条2項1号において「当該個人がその居住のように供している家屋で政令で定めるもののうち国内にあるもの」と規定していることから、譲渡した居住用財産が国外に所在している場合には適用することができないこととなります。
 なお、居住用財産の譲渡に係る他の特例である措法36条の2、36条の5、41条の5および41条の5の2の規定の適用に当たっても、居住用財産は国内に所在するものに限られていることから留意する必要があります。

Q2
敷地を2年にわたって譲渡した場合の居住用財産の譲渡所得の課税の特例の適用
 甲は、A家屋(平成元年取得・国内に所在)を平成23年8月に取り壊し、その敷地(平成元年取得)の一部を同年10月に第三者である乙に対して3,000万円で譲渡したところ、当該譲渡により2,000万円の譲渡益が生じたことから、平成23年分の確定申告において、措法35条の規定を適用し申告しました。
 その後、甲は平成24年5月にその敷地のうち、乙に譲渡した部分以外の部分を第三者である丙に3,000万円で譲渡しました。当該譲渡により2,000万円の譲渡益が生じましたが、本件残地部分に係る2,000万円の譲渡益について、措法31条の3の規定を適用することができますか。
 なお、甲は平成元年から平成23年7月までA家屋に居住しており、A家屋の敷地はA家屋の取り壊し後、貸付けその他の用に供されていません。

A  措法31条の3の規定を適用することができます。
 本件残地部分は、①A家屋が取り壊された日の属する年の1月1日において所有期間が10年を超えること、②その譲渡に関する契約がA家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、A家屋をその居住の用に供さなくなった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡されていること、③A家屋を取り壊した後、譲渡に関する契約を締結した日まで、貸付けその他の用に供されていないこと、④A家屋の所有期間がその取壊しの日の属する年の1月1日において10年を超えていることから、措法31条の3第2項に規定する「居住用財産」に該当することになります(措通31の3-5)。
 また、本件残地部分は、A家屋の敷地の一部であるところ、居住用家屋の敷地の一部の譲渡に関して措通31の3-18(2)は、災害により滅失した家屋の敷地の用に供されていた土地等の一部を譲渡した場合、当該譲渡はすべて措法31条の3第1項に規定する譲渡に該当する旨を定めていますが、同項柱書において、災害により滅失した家屋には、措通31の3-5に定める取り壊した家屋を含むこととされているためA家屋の敷地の一部である本件残地部分の譲渡は、措法31条の3の規定の適用対象となる譲渡に該当することになります。
 さらに、措法31条の3の規定は、居住用財産を譲渡した年の前年または前々年において既に措法35条の規定の適用を受けている場合であっても、適用することができます。
 以上のことから、甲の本件残地部分の譲渡によって生じた2,000万円の譲渡益については措法31条の3の規定を適用することができます。

Q3
措法41条の適用対象とならない家屋を措法41条の5の買換資産とすることの可否
 甲は、平成24年6月に居住用家屋(平成元年取得・国内に所在)およびその敷地を2,000万円で譲渡し、500万円の譲渡損失が生じました。
 また、甲は、同年7月に銀行からの借入れによって木造家屋(床面積50㎡以上・国内に所在。)およびその敷地を購入し、同年12月31日において当該買換資産に係る住宅借入金の残高(償還期間15年)を有しているものとします。
 甲が取得した買換資産は、築30年であり、かつ、耐震基準を満たさないため、措法41条(住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除)の規定の適用を受けることができませんが、措法41条の5(居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除)の規定の適用も受けることができませんか。
 なお、甲は買換資産を取得した同年中に居住の用に供しています。

A  甲が取得した買換資産は、居住の用に供している部分の床面積が50㎡以上であることから、措法41条の5の規定を適用することができます。
 個人が居住の用に供するために既存住宅を取得した場合、当該既存住宅が次の要件のすべてに該当するものである場合には、措法41条の規定の適用を受けることができます(措法41①、措令26②③)。
1 国内に所在するものであること。
2 その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら居住の用に供されるものであること。
3 1棟の家屋で床面積が50㎡以上であるもの(1棟の家屋で、その構造上区分された数個の部分を独立して住居その他の用途に供することができるものについてその各部分を区分所有する場合には、その区分所有する部分の床面積が50㎡以上であるもの)であること。
4 その家屋が建築後使用されたことのある家屋であること。
5 その家屋が次のいずれかに該当するものであること。
(1)その家屋が耐火建築物であるときは、取得の日以前25年以内に建築されたものであること。
(2)その家屋が耐火建築物以外であるときは、取得の日以前20年以内に建築されたものであること。
(3)その家屋が建築基準法施行令第3章および第5章の4の規定または国土交通大臣が財務大臣と協議して定める地震に対する安全性に係る基準に適合するものであること。
6 当該個人が、その居住の用に供する家屋を二以上有する場合には、これらの家屋のうち、その者が主としてその居住の用に供すると認められる一の家屋であること。
7 その家屋の購入時において自己と生計を一にし、その後においても引き続き自己と生計を一にしている親族等から購入したものでないこと。
 一方、措法41条の5の規定を適用することができる買換資産は、次の要件のすべてを満たす必要があります(措法41の5⑦、措令26の7⑤)。
1 国内に所在するものであること。
2 1棟の家屋の床面積のうち個人が居住の用に供する部分の床面積が50㎡以上であるもの(1棟の家屋のうち、その構造上区分された数個の部分を独立して住居その他の用途に供することができるものにつき、その各部分を区分所有する場合には、その区分所有する部分の床面積のうち、個人が居住の用に供する部分の床面積が50㎡以上であるもの)であること。
3 当該個人が、その居住の用に供すると認められる一の家屋であること。
 このように、措法41条の規定を適用できる居住用家屋と措法41条の5の規定を適用できる居住用家屋の要件は異なっており、措法41条の5の規定を適用できる居住用家屋には築年数の要件がないことから、措法41条の対象とならない家屋であっても、措法41条の5の買換資産とすることができます。

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