コラム2012年10月29日 【税実務Q&A】 非適格合併における親会社株式の取扱い(2012年10月29日号・№473)
税実務Q&A
No.141 法人税>組織再編成>非適格合併
非適格合併における親会社株式の取扱い
公認会計士緑川事務所 税理士 鈴木健太郎
問 内国法人A社は、子会社である内国法人B社との間で、B社が保有するA社株式(親会社株式)の持合解消のため、B社を被合併法人とする合併を行うことになりました。
なお、A社とB社との間には、完全支配関係は有しておらず、また、一部の少数株主には、合併の対価として金銭を交付することから、この合併は、非適格合併となります。
この場合、A社及びB社における、A社株式(親会社株式)の取扱いはどのようになりますか。
答
(1)A社の取扱い 非適格合併が行われた場合において、自己の株式を取得することになった場合は、資本金等の額が減少することになります(法令8①十八)。
この場合、減少する資本金等の額は、自己株式の合併時の時価となります。
したがって、A社は、B社が保有するA社株式の合併時の時価に相当する金額の資本金等の額が減少することになります。
(2)B社の取扱い 内国法人が合併により合併法人にその有する資産等を移転したときは、移転をした
資産等を合併の時の価額により譲渡したものとして、各事業年度の所得の金額を計算
することになります(法法62①)。
また、法人の株主等である内国法人が、その法人の自己の株式の取得により金銭その他の資産の交付を受けた場合には、一定の金額は配当等とみなされることになります(法法24①四)。
ただし、合併による被合併法人からの自己の株式の移転については、前述のみなし配当が生ずる自己の株式の取得に該当しないこととされています(法令23③五)。
これは、「合併、分割又は現物出資によって、被合併法人、分割法人又は現物出資法人の移転資産に自己株式が含まれていたような場合まで、利益の分配が行われたとしてみなし配当を行うことは実態に則した課税とはいいがたいことによるものと解される。」(DHCコンメンタール法人税 第2巻 1282頁)と考えられています。
したがって、B社は、A社株式を発行法人に譲渡したものとされるため、通常であればみなし配当とその譲渡したA社株式の譲渡損益が計上されることになりますが、前述のとおり、みなし配当が生ずる自己の株式の取得に該当しないため、譲渡損益のみが計上されることになります。
〈参考〉 ※A社とB社に完全支配関係がある場合
通常、完全支配関係がある法人間における自己株式の取得については、その自己株式の取得に係る譲渡損益は計上されません(法法61の2⑯)。
しかし、前述のとおり、合併による被合併法人からの自己の株式の移転については、みなし配当事由に該当しないため、B社において譲渡損益が計上されることになります。
No.141 法人税>組織再編成>非適格合併
非適格合併における親会社株式の取扱い
公認会計士緑川事務所 税理士 鈴木健太郎
問 内国法人A社は、子会社である内国法人B社との間で、B社が保有するA社株式(親会社株式)の持合解消のため、B社を被合併法人とする合併を行うことになりました。
なお、A社とB社との間には、完全支配関係は有しておらず、また、一部の少数株主には、合併の対価として金銭を交付することから、この合併は、非適格合併となります。
この場合、A社及びB社における、A社株式(親会社株式)の取扱いはどのようになりますか。
答
(1)A社の取扱い 非適格合併が行われた場合において、自己の株式を取得することになった場合は、資本金等の額が減少することになります(法令8①十八)。
この場合、減少する資本金等の額は、自己株式の合併時の時価となります。
したがって、A社は、B社が保有するA社株式の合併時の時価に相当する金額の資本金等の額が減少することになります。
(2)B社の取扱い 内国法人が合併により合併法人にその有する資産等を移転したときは、移転をした
資産等を合併の時の価額により譲渡したものとして、各事業年度の所得の金額を計算
することになります(法法62①)。
また、法人の株主等である内国法人が、その法人の自己の株式の取得により金銭その他の資産の交付を受けた場合には、一定の金額は配当等とみなされることになります(法法24①四)。
ただし、合併による被合併法人からの自己の株式の移転については、前述のみなし配当が生ずる自己の株式の取得に該当しないこととされています(法令23③五)。
これは、「合併、分割又は現物出資によって、被合併法人、分割法人又は現物出資法人の移転資産に自己株式が含まれていたような場合まで、利益の分配が行われたとしてみなし配当を行うことは実態に則した課税とはいいがたいことによるものと解される。」(DHCコンメンタール法人税 第2巻 1282頁)と考えられています。
したがって、B社は、A社株式を発行法人に譲渡したものとされるため、通常であればみなし配当とその譲渡したA社株式の譲渡損益が計上されることになりますが、前述のとおり、みなし配当が生ずる自己の株式の取得に該当しないため、譲渡損益のみが計上されることになります。
〈参考〉 ※A社とB社に完全支配関係がある場合
通常、完全支配関係がある法人間における自己株式の取得については、その自己株式の取得に係る譲渡損益は計上されません(法法61の2⑯)。
しかし、前述のとおり、合併による被合併法人からの自己の株式の移転については、みなし配当事由に該当しないため、B社において譲渡損益が計上されることになります。
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