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解説記事2012年11月12日 【ニュース特集】 過去から学ぶ消費税率UPに伴う経過措置のポイント(各論編Ⅱ)(2012年11月12日号・№474)

賃貸アパート経営者などは要注意!
過去から学ぶ消費税率UPに伴う経過措置のポイント(各論編Ⅱ)

 改正消費税法により、消費税率については、平成26年4月1日から8%、平成27年10月1日から10%へ引き上げることとされた。ただし、旅客運賃や入場料金の前売券などについては、消費税創設時や消費税率5%への引上げ時と同様の経過措置が設けられている。
 詳細は今後公布される政省令や消費税法基本通達を待つことになるが、総論編(本誌466号6頁参照)、各論編Ⅰ(本誌470号4頁参照)に引き続き、資産の貸付けや役務の提供に係る経過措置について、過去の取扱いをベースにQ&A形式で解説する(消費税率引上げは2段階で行われるが、本稿は5%から8%への引上げ時での取扱いを示している)。

Q1
資産の継続貸付け
資産の貸付けの経過措置の対象となる「……指定日の前日までの間に締結した資産の貸付けに係る契約に基づき、施行日前から施行日以後引き続き当該契約に係る資産の貸付けを行っている場合」とは、具体的にはどのような貸付けをいうのでしょうか。
A  資産の貸付けに関する経過措置については、平成8年10月1日から平成25年10月1日(指定日)の前日までの間に締結した資産の貸付けに係る契約に基づき、施行日(平成26年4月1日)前から引き続き行われている資産の貸付けで、一定の要件を満たすものとされている(改正消法5条4項)。
 「施行日前から施行日以後引き続き当該契約に係る資産の貸付けを行っている場合」とは、その貸付けのための資産の引渡しの日が施行日前であり、かつ、施行日以後も引き続き貸付けが継続している場合となる。

Q2
資産の貸付けの経過措置の適用範囲
資産の貸付けの経過措置の対象となる「……資産の貸付けの期間及び当該期間中の対価の額が定められていること」とありますが、対価の額が変動するものは対象外となると考えてよいですか。
A  貸付けの期間中の対価の総額が具体的な金額によりあるいは具体的な金額を計算できる方法により定められている必要がある。料金の一部しか定められていないもの、製品の販売数量、固定資産税の額など、変動する金額等に一定の割合を乗じて計算するようなものは対象外となる。たとえば、賃貸料を固定資産税の額の3倍とするなどといった場合には経過措置の対象とはならない。

Q3
賃貸料の改訂ができないケース
平成25年10月1日(指定日)よりも前に賃貸借契約を締結した場合で、2年間は賃貸料を改訂できないこととされている場合は、経過措置の対象となり、施行日以後も消費税は5%のままでよいことになりますか。
A  平成25年10月1日(指定日)の前日までの間に締結された賃貸借契約で、2年間は賃貸料の改訂ができないこととされている場合には、施行日以後に受領する賃貸料のうち、契約日から2年間については経過措置が適用され、この場合は5%のままとなる。


Q4
転勤等によるやむを得ない事情による解約
長期契約で家屋を賃貸していますが、転勤等のためやむを得ない事情が生じた場合には、解約できる旨の契約となっています。この場合、経過措置の対象となるのでしょうか。
A  経過措置の対象となる資産の貸付けについては、①その契約に係る資産の貸付けの期間およびその期間中の対価の額が定められていること、②事業者が事業の変更その他の理由によりその対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと、③契約期間中に当事者の一方または双方がいつでも解約の申入れをすることができる旨の定めがないこと、その他対価に関する契約の内容が政令で定める要件に該当していることの要件のうち、①および②、または①および③の要件に該当すればよいこととされている。
 したがって、①および②の要件を満たせば、経過措置の適用を受けることができる。

Q5
自動継続する賃貸借契約
2年の契約期間の賃貸借契約で、自動継続条項が付されている場合、経過措置の対象はありますか。
A  たとえば、契約書上の契約期間は2年であり、対価の定めがあり、対価の額を変更できる定めがなければ、平成25年10月1日(指定日)の前日までに契約した賃貸借契約については、その2年間については経過措置の適用を受けることができる。

Q6
借地借家法による賃借料の増減
借地借家法では、一定の場合には、賃借料の増減請求をすることが認められていますが、この場合、資産の貸付けに関する経過措置は適用できませんか。
A  建物の賃貸借については借地借家法が適用されるが、土地や建物の価格の上昇などの事情変更があった場合には、賃借料の増減請求をすることが認められている(借地借家法32条)。このため、借地借家法上は、建物の賃貸借に係る契約においてその貸付けに係る対価につき増減することができる旨の定めがない場合であっても、同法32条によりその契約については事実上貸付けに係る対価の額を変更することができる。
 しかし、当事者間の契約において対価の額を変更することができない旨の定めがない場合にまで経過措置が適用できないとするものではない。つまり、経過措置が適用できるかどうかは、当事者間の契約内容によることになる。

Q7
正当な理由に基づく対価の増減
賃貸人が当然行うべき修繕義務を履行しない場合において、対価の額が減額変更されることになりましたが、この場合は経過措置の対象にならないのでしょうか。
A  貸付けに係る契約において対価の額について変更することができない旨の定めがない場合であっても、何らかの事情により対価の額が変更された場合には、事実上、新たな貸付契約が締結されたとみなされ、変更後の貸付けに係る対価の額の全額は新しい税率の対象となる。しかし、対価の額が変更されたとしても、ご質問にあるように賃貸人が修繕義務を履行しない場合に行われたものであるなど、正当な理由に基づくものであれば、経過措置が不適用となるわけではない。

Q8
資産の貸付けに関する経過措置を適用した場合の通知
資産の貸付けに関する経過措置を適用した場合には、相手方に対して経過措置を適用した旨の書面を通知しなければならないのですか。
A  経過措置を受けた場合には、その課税資産の譲渡等に係る取引の相手方についても改正前の税率により仕入控除税額の計算を行うことになるため、書面で通知することが必要になる。なお、仕入税額控除の要件が帳簿および請求書等とされているため、経過措置対象取引である旨を請求書等に表示することでもよいとされている。

Q9
指定日以後の対価の額の変更
資産の貸付けと同様、役務の提供に関しても平成25年10月1日以降に対価の額が変更された場合には、経過措置の適用はできないのですか。
A  役務の提供に関する経過措置については、平成8年10月1日から平成25年10月1日(指定日)の前日までの間に締結した役務の提供に係る契約で、その性質上役務の提供の時期をあらかじめ定めることができないものであって、当該役務の提供に先立って対価の全部または一部が分割して支払われる契約に基づき、施行日以後にその契約に係る役務の提供を行う場合において、その契約の内容が、①その契約に係る役務の適用の対価の額が定められていること、②事業者が事業の変更その他の理由によりその対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないことの要件に該当するときは、その役務の提供については経過措置が適用され、5%となる。
 しかし、指定日以後にその役務の提供の対価の額の変更が行われた場合には、変更された対価の部分だけでなく、当該変更後においては、当該役務の提供そのものが経過措置の対象とはならず、新しい税率(8%)が適用されることになる。

Q10
デパートの積立会員制度
デパートの積立会員制度を利用した商品等の購入などについては役務の提供に関する経過措置の対象になりますか。
A  前回の5%への税率引上げの際には、経過措置の対象となる「指定役務の提供」として、冠婚葬祭のための施設の提供そのほかの便宜の提供等に係る役務の提供が該当するとされている。具体的には、冠婚葬祭互助会が対象となっていた。
 一方、前払いで分割して掛金を積み立て、一定の金額に達した時点で商品等の購入ができるデパートの積立会員制度などについては、「指定役務の提供」には該当せず、今回の改正でも経過措置の対象にはならないことになる模様だ。
 なお、「指定役務の提供」とは、割賦販売法2条6項に規定する前払式特定取引に係る契約のうち指定役務の提供に係るものが該当する。

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