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コラム2012年11月19日 【解説】 個別対応方式における課税仕入れ等の用途区分クイズ(2012年11月19日号・№475)

課税売上げ? 非課税売上げ?
個別対応方式における課税仕入れ等の用途区分クイズ

 平成23年度税制改正の6月改正では、平成24年4月1日以後に開始する課税期間から、95%ルールの適用対象を課税期間における課税売上高が5億円以下の事業者に限定されることになった。このため、課税売上高が5億円を超える事業者については、課税売上割合が95%以上であっても、95%ルールを適用することができなくなり、仕入控除税額の計算に当たっては、個別対応方式または一括比例配分方式のいずれかの方法で計算することとなった。
 このうち、個別対応方式を適用する場合については、そのすべての課税仕入れ等について、①課税売上げにのみ対応するもの、②非課税売上げにのみ対応するもの、③課税売上げ・非課税売上げに共通するものの3つに区分することとされている。しかし、用途区分の判定については、間違えやすいものであり、国税当局に対しても納税者からの問い合わせが多い項目といわれている。本コーナーでは、用途区分について、納税者からのよくある質問や国税庁の質疑応答事例などをもとにクイズ形式で解説する。

クイズ  個別対応方式における課税仕入れ等の用途区分について、以下のものは①課税売上げにのみ対応するもの、②非課税売上げにのみ対応するもの、③課税売上げ・非課税売上げに共通するもののどれに区分されるでしょうか。
01 試作目的またはサンプルとしてとして無償で提供する物品の製造に用いた原材料
02 法人税法上、寄附金として経理処理される物品の仕入れ
03 取引先等に贈るお中元・お歳暮
04 工事現場で支出する交際費
05 自己の店舗等で引換給付する課税対象の物品に係る商品券の印刷費
06 株主総会の会場費等
07 新株発行費用等
08 創業20周年記念で従業員等に配布する記念品
09 課税対象となる製品のみを製造している法人の研究開発費
10 自社店舗およびテナントが入る貸ビルを建設する土地の造成費
11 販売目的で取得した土地を資材置場として利用している場合の造成費
12 損害賠償金を得るために要した交通費、弁護士費用等
13 国外で行う土地の譲渡のために国内で要した費用
14 社宅や従業員寮の取得費、借上料 

01
試作目的またはサンプルとしてとして無償で提供する物品の製造に用いた原材料
回答
①課税売上げにのみ対応するもの
 当該原材料等に係る仕入れが課税仕入れに該当するものであれば、試作目的またはサンプルとして無償で提供するための物品の製造に用いられるものであっても、仕入税額控除の対象となります。また、試作品またはサンプルが課税資産の譲渡等に係る販売促進等のために配布されるものである場合、当該原材料等の課税仕入れは、課税売上げにのみ対応するものに区分されます(消費税法基本通達11-2-14)。
(試供品、試作品等に係る仕入税額控除)
11-2-14
 課税資産の譲渡等に係る販売促進等のために得意先等に配布される試供品、試作品等に係る課税仕入れ等は、課税資産の譲渡等にのみ要するものに該当する。

02
法人税法上、寄附金として経理処理される物品の仕入れ
回答
③課税売上げ・非課税売上げに共通するもの
 棚卸資産等を寄附した場合であっても、その取得が課税仕入れ等に該当するものであれば、仕入税額控除の対象となります。この場合、寄附物品の購入は、課税売上げ・非課税売上げに共通するものに区分されます(消費税法基本通達11-2-17)。
(金銭以外の資産の贈与)
11-2-17
 事業者がした金銭による寄附は課税仕入れに該当しないが、金銭以外の資産を贈与した場合の当該資産の取得が課税仕入れ等に該当するときにおける個別対応方式の適用に当たっては、当該課税仕入れ等は、原則として課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに該当するものとして取り扱う。

03
取引先等に贈るお中元・お歳暮
回答
③課税売上げ・非課税売上げに共通するもの(①課税売上げにのみ対応するもの)
 金銭以外の資産を贈与するために購入した物品に係る課税仕入れ等については、原則として、課税売上げ・非課税売上げに共通するものに区分されます。
 しかし、得意先に配るための物品の購入で、交際費に該当するような課税仕入れ等は、交際費支出の目的、相手方との取引の内容(課税資産の譲渡等に該当するか否か)に応じて判断することとなります。したがって、たとえば、得意先(取引先がすべて課税資産の譲渡等)に対するお歳暮等に係る課税仕入れは、課税売上げにのみ対応するものに区分されます。

04
工事現場で支出する交際費
回答
①課税売上げにのみ対応するもの
 交際費に該当するような課税仕入れ等は、交際費の支出の目的や相手方との取引の内容(課税資産の譲渡等に該当する取引か否か)に応じて判断することになります。
 工事現場で支出する交際費の場合、建設事業者が交際費について、課税売上げである建設工事の工事現場において支出する交際費と販売費・一般管理費に該当する交際費とに明確に区分している場合には、少なくとも工事現場において支出する交際費は、課税売上げにのみ対応するものに区分することが認められます。

05
自己の店舗等で引換給付する課税対象の物品に係る商品券の印刷費
回答
①課税売上げにのみ対応するもの
 課税対象の物品に係る商品券は、商品券により引換給付を請求する者に対する課税売上げを予定して発行しているものであることから、当該商品券の印刷費は課税売上げにのみ対応するものに区分されます。

06
株主総会の会場費等
回答
③課税売上げ・非課税売上げに共通するもの
 株主総会のための課税仕入れは、課税売上げ・非課税売上げに共通するものに該当します。

07
新株発行費用等
回答
③課税売上げ・非課税売上げに共通するもの
 創立費、開業費または開発費等の繰延資産に含まれる課税仕入れ等に係る対価の額は、その課税仕入れを行った日の属する課税期間において消費税法30条1項または2項(仕入れに係る消費税額の控除)の規定を適用することとされています(消費税法基本通達11-3-4)。
 したがって、新株発行または社債発行を行う場合の事務委託費等も課税仕入れに該当することから、その課税仕入れを行った日の属する課税期間において仕入れに係る消費税額の控除をすることとなり、個別対応方式により仕入控除税額を計算する場合には、課税売上げ・非課税売上げに共通するものとなります。

08
創業20周年記念で従業員等に配布する記念品
回答
③課税売上げ・非課税売上げに共通するもの
 記念品として従業員等に配布するために購入した物品等に係る課税仕入れ等は、課税売上げ・非課税売上げに共通するものに区分されます。

09
課税対象となる製品のみを製造している法人の研究開発費
回答
①課税売上げにのみ対応するもの
 製造原価に含まれるような研究開発費用は、課税対象となる物品の製造のためだけに直接要した費用であると考えられることから、課税売上げにのみ対応するものに区分されます。
 また、製造原価に含まれないような研究に要した研究開発費用についても、課税対象となる製品のみの製造を行う事業者が行う研究(課税対象となる製品を生み出すために行うもの)は、課税売上げにのみ対応するものに区分されます。

10
自社店舗およびテナントが入る貸ビルを建設する土地の造成費
回答
①課税売上げにのみ対応するもの
 自社店舗の営業活動およびテナントの賃貸のために要するものであるため、ビル建築のための一連の費用のうち、課税仕入れに当たるものは課税売上げにのみ対応するものとなります。土地購入あっせん手数料および土地造成費用は、課税売上げにのみ対応するものに区分されます。

11
販売目的で取得した土地を資材置場として利用している場合の造成費
回答
②非課税売上げにのみ対応するもの
 販売目的で取得した土地についての造成費用となりますので、一時的に自社の資材置場として使用しているとしても、非課税売上げにのみ対応するものに区分されます。

12
損害賠償金を得るために要した交通費、弁護士費用等
回答
③課税売上げ・非課税売上げに共通するもの
 課税の対象外となる損害賠償金を得るために要した課税仕入れについては、個別対応方式を適用する場合においては、課税売上げ・非課税売上げに共通するものに区分されます。

13
国外で行う土地の譲渡のために国内で要した費用
回答
①課税売上げにのみ対応するもの
 国外において行う資産の譲渡等はすべて課税資産の譲渡等に該当することになります。したがって、国外に所在する土地の譲渡のように、国内で行えば非課税となる資産の譲渡等のために要する課税仕入れ等であっても、個別対応方式を適用する場合には課税売上げにのみ対応するものに区分することになります(消基通11-2-13)。
(国外取引に係る仕入税額控除)
11-2-13
 国外において行う資産の譲渡等のための課税仕入れ等がある場合は、当該課税仕入れ等について法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》の規定が適用されるのであるから留意する。
  この場合において、事業者が個別対応方式を適用するときは、当該課税仕入れ等は課税資産の譲渡等にのみ要するものに該当する。

14
社宅や従業員寮の取得費、借上料
回答
②非課税売上げにのみ対応するもの(③課税売上げ・非課税売上げに共通するもの)
 会社が取得した社宅や従業員寮の取得費用は、有償で従業員に貸し付けている場合は、非課税売上げにのみ対応するものに区分されます。また、従業員から使用料を徴収せず、無償で貸し付けている場合は、原則として課税売上げ・非課税売上げに共通するものに区分されます。
 なお、従業員に貸すために借り受ける場合の家賃は、住宅家賃として非課税になりますので、課税仕入れには該当しません。したがって、仕入税額控除の対象となりません。

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