資料2013年01月07日 【重要資料】 中途解任した役員に支払う会社法第339条第2項に基づく損害賠償金に対する源泉徴収の要否について(2013年1月7日号・№481)
重要資料
中途解任した役員に支払う会社法第339条第2項に基づく損害賠償金に対する源泉徴収の要否について
中途解任した役員に支払う会社法第339条第2項に基づく損害賠償金に対する源泉徴収の要否について
別紙1 照会の趣旨
当社(株式会社)は、取締役甲をその任期の中途で解任しましたが、甲から正当な理由のない解任であるとして会社法第339条第2項に基づく損害賠償請求が提訴され、判決により、当社が甲に損害賠償金(以下「本件損害賠償金」といいます。)を支払うことが確定しました。
本件損害賠償金は、給与所得ではなく一時所得に該当すると考えられますので源泉徴収を行う必要はないと解してよいか照会します。
別紙2 照会に係る取引等の事実関係
会社法上、「役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる」とされており(会社法第339条第1項)、当社はこの規定に基づき有効に取締役甲の解任を行いました。
一方、この規定により解任された者は、「その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる」とされており(会社法第339条第2項)、甲から提訴された損害賠償請求はこの規定に基づくものです。
今般、判決により甲の請求が認められ、当社は甲に対してこの会社法第339条第2項の規定に基づき本件損害賠償金を支払うことが確定しました。なお、判決によれば、同項の損害は、取締役を解任されなければ残存任期期間中及び任期満了時に得べかりし利益を失ったことによる損害を指すとされ、甲の損害は、解任された日の翌月から任期満了時までの報酬相当額とされました。
別紙3 照会者の求める見解となることの理由
従業員の不当解雇が取り消された場合、通常は、解雇時に遡ってその身分が回復し解雇時に遡及して給与が支払われることになりますので、雇用者はその支払の際に所定の源泉徴収をする必要があります。
一方、株式会社の役員は、別紙2のとおり、会社法上株主総会の決議によっていつでも解任することができますので、たとえその解任に正当な理由があると認められず当社が本件損害賠償金を支払うことになったとしても、その解任自体は有効に成立しており、甲の取締役としての身分が遡って回復することにはならないと考えられます。
また、本件損害賠償金については、解任された日の翌月から任期満了時までの役員報酬の額を基に算定されていますが、甲は取締役を解任された後当社の取締役としての職務を行っていないことからすれば、本件損害賠償金に役員としての役務提供の対価たる役員報酬の性質は認められず、会社法の規定に基づき解任によって生じた逸失利益の賠償にすぎないと考えられます。
したがって、本件損害賠償金は、給与所得ではなく対価性のない一時の所得として一時所得に該当すると考えられますので、当社はその支払の際にこれを役員報酬(給与所得)として源泉徴収を行う必要はないと解されます。
中途解任した役員に支払う会社法第339条第2項に基づく損害賠償金に対する源泉徴収の要否について
〔照会〕 |
照 会 の 内 容 | ① 事前照会の趣旨(法令解釈・適用上の疑義の要約及び事前照会者の求める見解の内容) | 別紙の1のとおり |
② 事前照会に係る取引等の事実関係(取引等関係者の名称、取引等における権利・義務関係等) | 別紙の2のとおり | |
③ ②の事実関係に対して事前照会者の求める見解となることの理由 | 別紙の3のとおり | |
④ 関係する法令条項等 | 会社法第339条 | |
⑤ 添付書類 |
〔回答〕 |
⑥回答年月日 | 平成24年11月28日 | ⑦回答者 | 名古屋国税局審理課長 |
⑧ 回 答 内 容 | 標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。 ただし、次のことを申し添えます。 (1) ご照会に係る事実関係が異なる場合又は新たな事実が生じた場合は、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります。 (2) この回答内容は名古屋国税局としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではありません。 |
中途解任した役員に支払う会社法第339条第2項に基づく損害賠償金に対する源泉徴収の要否について
別紙1 照会の趣旨
当社(株式会社)は、取締役甲をその任期の中途で解任しましたが、甲から正当な理由のない解任であるとして会社法第339条第2項に基づく損害賠償請求が提訴され、判決により、当社が甲に損害賠償金(以下「本件損害賠償金」といいます。)を支払うことが確定しました。
本件損害賠償金は、給与所得ではなく一時所得に該当すると考えられますので源泉徴収を行う必要はないと解してよいか照会します。
別紙2 照会に係る取引等の事実関係
会社法上、「役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる」とされており(会社法第339条第1項)、当社はこの規定に基づき有効に取締役甲の解任を行いました。
一方、この規定により解任された者は、「その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる」とされており(会社法第339条第2項)、甲から提訴された損害賠償請求はこの規定に基づくものです。
今般、判決により甲の請求が認められ、当社は甲に対してこの会社法第339条第2項の規定に基づき本件損害賠償金を支払うことが確定しました。なお、判決によれば、同項の損害は、取締役を解任されなければ残存任期期間中及び任期満了時に得べかりし利益を失ったことによる損害を指すとされ、甲の損害は、解任された日の翌月から任期満了時までの報酬相当額とされました。
別紙3 照会者の求める見解となることの理由
従業員の不当解雇が取り消された場合、通常は、解雇時に遡ってその身分が回復し解雇時に遡及して給与が支払われることになりますので、雇用者はその支払の際に所定の源泉徴収をする必要があります。
一方、株式会社の役員は、別紙2のとおり、会社法上株主総会の決議によっていつでも解任することができますので、たとえその解任に正当な理由があると認められず当社が本件損害賠償金を支払うことになったとしても、その解任自体は有効に成立しており、甲の取締役としての身分が遡って回復することにはならないと考えられます。
また、本件損害賠償金については、解任された日の翌月から任期満了時までの役員報酬の額を基に算定されていますが、甲は取締役を解任された後当社の取締役としての職務を行っていないことからすれば、本件損害賠償金に役員としての役務提供の対価たる役員報酬の性質は認められず、会社法の規定に基づき解任によって生じた逸失利益の賠償にすぎないと考えられます。
したがって、本件損害賠償金は、給与所得ではなく対価性のない一時の所得として一時所得に該当すると考えられますので、当社はその支払の際にこれを役員報酬(給与所得)として源泉徴収を行う必要はないと解されます。
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