コラム2013年01月21日 【税実務Q&A】 自然発生借地権等の評価(2013年1月21日号・№483)
税実務Q&A
No.151 資産税>相続税>株式評価
自然発生借地権等の評価
青空税理士法人青山事務所 税理士 川村 徹
問 平成24年12月1日に父が亡くなり、父が大株主(60%保有)である取引相場のない株式A社の株価を純資産価額方式で評価することとなりました。A社株式の評価に際して、A社が所有している以下の借地権(いずれも借地権の設定に際して権利金を支払う取引上の慣行がある地域で借地権割合は70%)の評価はどのようになるのでしょうか。
① 昭和55年に設定した借地権(地主は第三者、権利金7,000万円及び通常の地代を支払う。設定当時の土地の更地価額1億円)。平成24年における土地の自用地としての相続税評価額3億円。
② 平成10年に設定した借地権(地主は父、権利金の授受はなく、相当の地代年額1,800万円を支払う。地代の額は据置、設定当時の土地の自用地としての相続税評価額3億円)。平成24年における土地の自用地としての相続税評価額4億円、相当の地代年額2,400万円、通常の地代年額720万円。
答
1.通常の権利金が支払われた場合の借地権の相続税評価(設問①) 課税時期において借地権の目的となっている土地の自用地としての価額にその土地が所在する地区における借地権割合を乗じた金額によって評価します。従って設問①の借地権の相続税評価額は3億円×70%=2.1億円となります(財基通27)。
2.相当の地代に満たない地代を支払っている場合の借地権の相続税評価(設問②) 借地権の設定に際して権利金の授受に代えて相当の地代により土地の賃貸借契約を締結し、その地代を固定した場合において、その後に土地の価額が上昇したときは、その土地の価額の上昇分はすべて借地人に帰属することとなるため、この土地の価額の上昇により自然発生的に借地権が生じることとなります。この点、設問②では自然発生借地権が生じているため以下の算式で借地権を評価します(昭和60.6.5付 直資2-58長官通達)。
自用地としての価額×借地権割合×{1-(実際に支払っている地代の年額-通常の地代の年額)/(相当の地代の年額-通常の地代の年額)}
従って設問②の借地権の相続税評価額は4億円×70%×{1-(1,800万円- 720万円)/(2,400万円-720万円)}=1億円となります。
なお、地代の額を据置ではなく相当の地代の額になるよう改訂していた場合や土地の賃貸借契約締結時に土地所有者である父と借地人であるA社との連名で土地の無償返還に関する届出書を提出していた場合には、上記によらず、土地の自用地としての価額×20%で評価します。従って、4億円×20%=8,000万円が借地権の相続税評価額となります。
No.151 資産税>相続税>株式評価
自然発生借地権等の評価
青空税理士法人青山事務所 税理士 川村 徹
問 平成24年12月1日に父が亡くなり、父が大株主(60%保有)である取引相場のない株式A社の株価を純資産価額方式で評価することとなりました。A社株式の評価に際して、A社が所有している以下の借地権(いずれも借地権の設定に際して権利金を支払う取引上の慣行がある地域で借地権割合は70%)の評価はどのようになるのでしょうか。
① 昭和55年に設定した借地権(地主は第三者、権利金7,000万円及び通常の地代を支払う。設定当時の土地の更地価額1億円)。平成24年における土地の自用地としての相続税評価額3億円。
② 平成10年に設定した借地権(地主は父、権利金の授受はなく、相当の地代年額1,800万円を支払う。地代の額は据置、設定当時の土地の自用地としての相続税評価額3億円)。平成24年における土地の自用地としての相続税評価額4億円、相当の地代年額2,400万円、通常の地代年額720万円。
答
1.通常の権利金が支払われた場合の借地権の相続税評価(設問①) 課税時期において借地権の目的となっている土地の自用地としての価額にその土地が所在する地区における借地権割合を乗じた金額によって評価します。従って設問①の借地権の相続税評価額は3億円×70%=2.1億円となります(財基通27)。
2.相当の地代に満たない地代を支払っている場合の借地権の相続税評価(設問②) 借地権の設定に際して権利金の授受に代えて相当の地代により土地の賃貸借契約を締結し、その地代を固定した場合において、その後に土地の価額が上昇したときは、その土地の価額の上昇分はすべて借地人に帰属することとなるため、この土地の価額の上昇により自然発生的に借地権が生じることとなります。この点、設問②では自然発生借地権が生じているため以下の算式で借地権を評価します(昭和60.6.5付 直資2-58長官通達)。
自用地としての価額×借地権割合×{1-(実際に支払っている地代の年額-通常の地代の年額)/(相当の地代の年額-通常の地代の年額)}
従って設問②の借地権の相続税評価額は4億円×70%×{1-(1,800万円- 720万円)/(2,400万円-720万円)}=1億円となります。
なお、地代の額を据置ではなく相当の地代の額になるよう改訂していた場合や土地の賃貸借契約締結時に土地所有者である父と借地人であるA社との連名で土地の無償返還に関する届出書を提出していた場合には、上記によらず、土地の自用地としての価額×20%で評価します。従って、4億円×20%=8,000万円が借地権の相続税評価額となります。
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