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コラム2013年01月21日 【SCOPE】 インサイダー取引の規制緩和、知る前契約による売買等も対象(2013年1月21日号・№483)

影響は証券会社だけにあらず
インサイダー取引の規制緩和、知る前契約による売買等も対象

 金融審議会の「インサイダー取引規制に関するワーキング・グループ」は12月25日、「近年の違反事案及び金融・企業実務を踏まえたインサイダー取引規制をめぐる制度整備について」と題する報告書を公表した。今回の見直しは、昨今の公募増資に関連したインサイダー取引などを踏まえたもの。証券会社などの情報漏えい者についても、インサイダー情報を受けた者が実際に株式の売買取引を行った場合に課徴金の対象とするなどの見直しが行われる。ただ、見直しは証券会社等にとどまらない。インサイダー取引規制の緩和なども行われることになる。これらについては、一般事業会社やコンサルタント会社のほか、公認会計士、税理士などの企業関係者にとっても影響がある見直しとなる。

公開買付け実務の規制を緩和へ  まずは、公開買付け等事実の情報受領者に係る適用除外だ(本誌477号40頁参照)。
 現在は、公開買付け等事実の情報受領者による被買付企業の株券等の買付けは、公開買付者等が当該事実を公表するまで原則禁止とされているが、①情報受領者が公開買付けを行う場合に「公開買付開始公告」および「公開買付届出書」に伝達を受けた情報を記載した場合、②情報受領者が最後に伝達を受けてから相当の期間経過した場合には適用除外とする(図1参照)。この②の「相当の期間」とは、「6か月」が考えられている模様だ。

 一方では、公開買付け等に係る規制の対象者の範囲を拡大する。最近のインサイダー取引事案では、公開買付対象者(被買付企業)の役職員やその情報受領者によるものが増加している。現行、被買付企業およびその役職員であることをもって「公開買付者等関係者」とは位置づけられていない。このため、これらの者も規制対象とすることを明確化するとしている。
 また、いわゆるクロクロ取引に係る適用除外についても見直しが行われる(本誌477号40頁参照)。
 現行、会社関係者のインサイダー取引規制(金商法166条)に係るクロクロ取引については、会社関係者と第一次情報受領者との間での取引が適用除外とされているが、第一次情報受領者と第二次情報受領者との間で行う取引も適用除外の対象とする(図2参照)。


13類型も包括的な適用除外を規定へ  ①上場会社に係る重要事実を知る前に締結された契約の履行として売買等をする場合(いわゆる「知る前契約」)、②上場会社に係る重要事実を知る前に決定された計画の実行として売買等をする場合(いわゆる「知る前計画」)についても規制を緩和する。
 現行、上場会社に係る未公表の重要事実を知った者が行う売買等であっても、重要事実を知ったことと無関係に行われる売買等であることが明らかな場合であり、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令59条で列挙する13類型に該当するものについてはインサイダー取引規制の適用除外としている(金商法166条6項8号)。
 しかし、13類型に該当しない取引の場合には、適用除外とされないため、実務上の弊害が生じているとの指摘がされている。
 たとえば、上場会社との間で「知る前契約」を締結した者が行う一定の売買等については、インサイダー取引規制が適用除外とされるが、上場会社以外の者の間での「知る前契約」に基づく売買等については適用除外とならない。
適用除外となる類型をガイドラインで  このため、①重要事実を知る前に締結・決定された契約・計画であること、②当該契約・計画の中で、それに従った売買等の具体的な内容が定められており、裁量的に売買等が行われるものでないこと、③当該契約・計画に従った売買等であることといった視点に基づいた考え方を明確化し、包括的な適用除外規定を設けることとし、必要に応じて適用除外となる類型をガイドラインで示す方向となっている。

自民党税調、課徴金は改正でも損金不算入に
 平成24年にも金融商品取引法改正により課徴金制度が見直されている。具体的には、オリンパスの粉飾決算事件を踏まえ、虚偽開示書類の提出に加担した外部協力者についても課徴金の対象としたほか、知人等や顧客の口座を利用して行う不公正取引についても対象としている。
 ところで、課徴金については税務上、損金不算入とされているが(法法55④四)、平成25年度税制改正大綱を策定している自民党税制調査会では、従来どおり改正後も課徴金は損金不算入となる旨を明確化している。

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