コラム2013年04月15日 【SCOPE】 改正金商法でのインサイダー取引規制の緩和(2013年4月15日号・№495)
取引規制の対象者やクロクロ取引などで見直し
改正金商法でのインサイダー取引規制の緩和
政府が4月中にも国会に提出する予定の金融商品取引法等の一部を改正する法律案では、公募増資インサイダーを踏まえて罰則等が強化(本誌494号13頁参照)される一方で、実務上の問題等を解消するためインサイダー取引の規制緩和などが行われる予定となっている。たとえば、公開買付け等事実の情報受領者に係る適用除外やいわゆるクロクロ取引に係る適用除外などについて改正が行われる。施行は、公布の日から1年以内に政令で定める日とされている。
公開買付け被買付企業は「内部者」に該当
改正項目の1点目はインサイダー取引規制の対象者の見直しだ。昨今の「公開買付者等関係者」(金商法167条1項)に係るインサイダー取引事案では、公開買付対象者(被買付企業)の役職員やその情報受領者によるインサイダー取引が増加している。
これまでの課徴金事案においては、公開買付者との守秘義務契約等を基に被買付企業及びその役職員を公開買付者等関係者と認定しているケースが多いものの、現行制度では、被買付企業及びその役職員であることをもって「公開買付者等関係者」と位置付けていない。このため、被買付企業からの情報受領者は「第二次情報受領者」として規制の対象外となっている。
契約がなくても 今回の改正では、被買付企業は、公開買付者からの事前告知により、予め公開買付け情報を知っていることが一般的であることから、公開買付者との契約がなくても、「内部者」に該当することを明確化する(図1参照)。
情報伝達から6か月経過した場合は適用除外に
2点目は公開買付け情報の伝達を受けた者の適用除外だ。公開買付者等関係者に係るインサイダー取引規制(金商法167条)では、公開買付者等関係者に加えて、公開買付け等事実の伝達を受けた情報受領者についても、公開買付けの公表前に被買付企業の株券等を買い付けることは禁止されている(同法167条3項)。
しかし、実務上では、①上場会社の買収の実施を決定した者が他の潜在的な買収者に対して未公表の当該決定事実を伝達することにより、他の買収者は買付けができなくなる、②公開買付けの実施を決定した者が他の者(被提案者)に共同公開買付けを提案したが協議不調となった場合、当該被提案者は情報受領者となり、被買付企業の株券等の買付けができなくなるといった弊害が指摘されている。
公開買付届出書に記載した場合など このため、(1)情報受領者が自ら公開買付けを行う際に「公開買付届出書」等に伝達を受けた情報を記載した場合、(2)情報受領者が伝達を受けてから6か月経過した場合については、情報受領者による買付けを可能とする見直しが行われる(図2参照)。
第一次と第二次情報受領者との間で行う取引も適用除外に
いわゆるクロクロ取引に係る適用除外についても改正が行われる。
クロクロ取引とは、上場会社に係る未公表の重要事実・公開買付け等事実を知っている一定の者の間で取引所等の外(市場外)で行われる相対取引のことである。金融商品取引法上、会社関係者のインサイダー取引規制に係るクロクロ取引については、会社関係者と第一次情報受領者との間での取引がインサイダー取引規制の適用除外の対象とされている。
第一次情報受領者が株式を売却できず ただし、第一次情報受領者と第二次情報受領者との間で行う取引は適用除外の対象とはされていない(金商法166条6項7号)。この点、第一次情報受領者が保有株式を売却する際に実務上の弊害となっている。
今回の改正では、第一次情報受領者と第二次情報受領者との間で行う取引についても適用除外の対象とする(図3参照)。
改正金商法でのインサイダー取引規制の緩和
政府が4月中にも国会に提出する予定の金融商品取引法等の一部を改正する法律案では、公募増資インサイダーを踏まえて罰則等が強化(本誌494号13頁参照)される一方で、実務上の問題等を解消するためインサイダー取引の規制緩和などが行われる予定となっている。たとえば、公開買付け等事実の情報受領者に係る適用除外やいわゆるクロクロ取引に係る適用除外などについて改正が行われる。施行は、公布の日から1年以内に政令で定める日とされている。
公開買付け被買付企業は「内部者」に該当
改正項目の1点目はインサイダー取引規制の対象者の見直しだ。昨今の「公開買付者等関係者」(金商法167条1項)に係るインサイダー取引事案では、公開買付対象者(被買付企業)の役職員やその情報受領者によるインサイダー取引が増加している。
これまでの課徴金事案においては、公開買付者との守秘義務契約等を基に被買付企業及びその役職員を公開買付者等関係者と認定しているケースが多いものの、現行制度では、被買付企業及びその役職員であることをもって「公開買付者等関係者」と位置付けていない。このため、被買付企業からの情報受領者は「第二次情報受領者」として規制の対象外となっている。
契約がなくても 今回の改正では、被買付企業は、公開買付者からの事前告知により、予め公開買付け情報を知っていることが一般的であることから、公開買付者との契約がなくても、「内部者」に該当することを明確化する(図1参照)。

情報伝達から6か月経過した場合は適用除外に
2点目は公開買付け情報の伝達を受けた者の適用除外だ。公開買付者等関係者に係るインサイダー取引規制(金商法167条)では、公開買付者等関係者に加えて、公開買付け等事実の伝達を受けた情報受領者についても、公開買付けの公表前に被買付企業の株券等を買い付けることは禁止されている(同法167条3項)。
しかし、実務上では、①上場会社の買収の実施を決定した者が他の潜在的な買収者に対して未公表の当該決定事実を伝達することにより、他の買収者は買付けができなくなる、②公開買付けの実施を決定した者が他の者(被提案者)に共同公開買付けを提案したが協議不調となった場合、当該被提案者は情報受領者となり、被買付企業の株券等の買付けができなくなるといった弊害が指摘されている。
公開買付届出書に記載した場合など このため、(1)情報受領者が自ら公開買付けを行う際に「公開買付届出書」等に伝達を受けた情報を記載した場合、(2)情報受領者が伝達を受けてから6か月経過した場合については、情報受領者による買付けを可能とする見直しが行われる(図2参照)。

第一次と第二次情報受領者との間で行う取引も適用除外に
いわゆるクロクロ取引に係る適用除外についても改正が行われる。
クロクロ取引とは、上場会社に係る未公表の重要事実・公開買付け等事実を知っている一定の者の間で取引所等の外(市場外)で行われる相対取引のことである。金融商品取引法上、会社関係者のインサイダー取引規制に係るクロクロ取引については、会社関係者と第一次情報受領者との間での取引がインサイダー取引規制の適用除外の対象とされている。
第一次情報受領者が株式を売却できず ただし、第一次情報受領者と第二次情報受領者との間で行う取引は適用除外の対象とはされていない(金商法166条6項7号)。この点、第一次情報受領者が保有株式を売却する際に実務上の弊害となっている。
今回の改正では、第一次情報受領者と第二次情報受領者との間で行う取引についても適用除外の対象とする(図3参照)。

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