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解説記事2013年07月15日 【税制改正解説】 平成25年度国際課税関係の改正について(2013年7月15日号・№507)

税制改正解説
平成25年度国際課税関係の改正について
 寶村和典

はじめに

 国際課税については、近年の税制改正に引き続き、我が国の適切な課税権の確保と我が国経済の活性化のバランスを保ちつつ、国際課税を取り巻く環境の変化に対応するための改正が行われている。
 以下では、平成25年度における国際課税関係の改正について概説する。

Ⅰ 特定外国子会社等に係る所得の課税の特例(外国子会社合算税制)の改正
 外国子会社合算税制に係る本制度により親会社である内国法人の所得金額の計算上益金の額に算入された金額(以下「益金算入額」という。)は、外国税額控除の控除限度額の計算上、国外所得とされているが、外国税額控除制度において非課税国外所得を国外所得から除外する取扱いを受けて、その所得に対して外国法人税を課さない国又は地域(以下「無税国」という。)に所在する特定外国子会社等に係る益金算入額は、国外所得に該当しないこととされていた。
 他方で、内国法人の国外事業所等(外国支店等)を通じて行う事業に帰せられる所得については、外国支店等の所在地国及びその所得の源泉地国の双方が外国法人税を課さないこととしている場合に限り、非課税国外所得として国外所得に算入しないこととされており(法令142⑤二)、無税国に所在する特定外国子会社等に係る益金算入額を国外所得に算入しないこととする取扱いと比較した場合に、差異が生じていた。
 また、昭和63年12月改正で無税国に所在する特定外国子会社等に係る益金算入額の2分の1が国外所得に算入されないこととなって以後、断続的に国外所得への不算入割合が引き上げられ、平成23年12月改正においてその益金算入額の全額(注)が国外所得に算入されないこととなった。これにより、特定外国子会社等が本店所在地国以外の国で所得を得て課税される場合に、外国税額控除による二重課税調整が適切に機能しない可能性がより高くなっていた。
(注)内国法人の平成24年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する各事業年度については、6分の5相当額とされている(平成23年12月改正措令附則12)。
 これらを踏まえ、今回の改正では、適切な二重課税排除の観点から、無税国に所在する特定外国子会社等に係る益金算入額であっても、その益金算入額の計算の基礎となったその特定外国子会社等の所得のうちに他の国で課税されるものがある場合には、その特定外国子会社等に係る益金算入額の全額を国外所得として外国税額控除の限度額を設定することとされた(措令39の18⑨)。
 また、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われた(措令39の118⑨)。
 上記の改正は、内国法人の平成25年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用され、同日前に開始した事業年度分の法人税についてはなお従前の例によることとされた(改正措令附則14)。連結納税制度の場合は、連結法人の連結親法人事業年度が同日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用され、連結法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされた(改正措令附則25)。


Ⅱ 国外関連者との取引に係る課税の特例(移転価格税制)の改正
 法人と国外関連者との間の取引(以下「国外関連取引」といいます。)を独立企業間価格に比して低価又は高価で行ったことにより、その法人の所得が減少する場合には、その取引が独立企業間価格で行われたものとみなして法人税の課税所得を計算することとされている(措法66の4①)。
(注1)「国外関連者」とは、その法人との間に50%以上の株式の保有関係等の特殊の関係のある外国法人をいう(措法66の4①、措令39の12①)。
(注2)国外関連者との取引に係る課税の特例については、連結法人の各連結事業年度の連結所得に対する法人税についても、同様の措置が講じられている(措法68の88)が、基本的な仕組みは、上記と同様とされているので、説明は省略する。
 今回の改正では、移転価格税制における独立企業間価格の算定方法の1つである「取引単位営業利益法」を用いて独立企業間価格を算定する際に使用する利益水準指標に営業費用売上総利益率(いわゆるベリー比)が追加された。
(注3)「取引単位営業利益法」とは、再販売価格基準法及び原価基準法が比較対象取引に係る売上総利益を基に国外関連取引に係る対価の額を算出する方法であるのに対して、比較対象取引に係る営業利益を基にして国外関連取引に係る対価の額を算出する方法をいう。
 ベリー比とは、営業費用に対する売上総利益の比率をいい、販売仲介業者の行う販売サービスのように、機能・リスクが限定的で、その利益が営業費用に比例する活動に係る利益率を検証する場合に有用な利益水準指標と考えられている。
 ベリー比は、OECD移転価格ガイドラインにおいて取引単位営業利益法を用いる場合の利益水準指標としてその利用が許容されており、諸外国においてもベリー比が導入されているところだが、「現行国内法において認められていないことから、販社等が行う機能・リスクが限定的な販売サービス活動に係る利益率を検証する際に、他の利益水準指標を使用せざるを得ない」といった意見が寄せられていた。
 そこで、このような国際的な動向や意見を踏まえ、企業活動の内容に即した独立企業間価格の算定が可能となるよう、取引単位営業利益法を用いて独立企業間価格を算定する場合の利益水準指標にベリー比を追加することとされた。
 具体的には、取引単位営業利益法において、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に定める方法とされている。
1 国外関連取引が棚卸資産の購入である場合 国外関連取引に係る棚卸資産の買手が非関連者に対してその棚卸資産を販売した対価の額(1において「再販売価格」という。)から、その国外関連取引に係る棚卸資産の販売のために要した販売費及び一般管理費の額に(1)に掲げる金額と(2)に掲げる金額との合計額の(2)に掲げる金額に対する割合を乗じて計算した金額を控除した金額をもって国外関連取引の対価の額とする方法(措令39の12⑧四)
(1)比較対象取引(再販売者が国外関連取引に係る棚卸資産と同種又は類似の棚卸資産を非関連者に対して販売した取引をいう。1において同じ。)に係る棚卸資産の販売による営業利益の額の合計額
(2)比較対象取引に係る棚卸資産の販売のために要した販売費及び一般管理費の額
  なお、比較対象取引と国外関連取引に係る棚卸資産の買手がその棚卸資産を非関連者に対して販売した取引とが売手の果たす機能その他において差異がある場合には、その差異により生ずる割合の差につき必要な調整を加えた後の割合を用いることとされている。
2 国外関連取引が棚卸資産の販売である場合 国外関連取引に係る棚卸資産の売手の購入その他の行為による取得の原価の額に、その国外関連取引に係る棚卸資産の販売のために要した販売費及び一般管理費の額に(1)に掲げる金額と(2)に掲げる金額との合計額の(2)に掲げる金額に対する割合を乗じて計算した金額を加算した金額をもって国外関連取引の対価の額とする方法(措令39の12⑧五)
(1)比較対象取引(国外関連取引に係る棚卸資産と同種又は類似の棚卸資産を、購入(非関連者からの購入に限る。)その他の行為により取得した者がその同種又は類似の棚卸資産を非関連者に対して販売した取引をいう。2において同じ。)に係る棚卸資産の販売による営業利益の額の合計額
(2)比較対象取引に係る棚卸資産の販売のために要した販売費及び一般管理費の額
  なお、比較対象取引と国外関連取引とが売手の果たす機能その他において差異がある場合には、その差異により生ずる割合の差につき必要な調整を加えた後の割合を用いることとされている。
(参考)OECD移転価格ガイドラインでは、「ベリー比については、いかなる移転価格算定方法や財務指標の選択及び決定においても必要な注意を払わず、適切でない場合に使用されていることがあるとの懸念が表明されている。(中略)ベリー比の決定における一般的な困難の1つは、ベリー比が、原価を営業費用に分類するか否かということに極めて敏感であり、それゆえ、比較可能性の問題を生じる場合があるということである。(中略)ベリー比によって関連者間取引の報酬を適切に検証するためには(例えば、製品の販売における場合)、以下の要件を満たすことが必要である。
 ・関連者間取引で遂行された機能の価値(使用された資産及び引き受けられたリスクを考慮する。)が営業費用に比例しており、
 ・関連者間取引で遂行された機能の価値(使用された資産及び引き受けられたリスクを考慮する。)が販売された製品の価値によって重要な影響を受けていない、すなわち、売上に比例しておらず、かつ、
 ・納税者が、関連者間取引において、その他の方法又は財務指標を用いて報酬が支払われるべき他の重要な機能(例えば、製造機能)を遂行していない。」
  とされています(OECD移転価格ガイドライン・パラグラフ2.101)。
 上記の改正は、法人の平成25年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用される(改正措令附則14)。

Ⅲ 国外支配株主等に係る負債の利子等の課税の特例(過少資本税制)の改正
 内国法人の各事業年度の国外支配株主等及び資金供与者等に対する負債の平均残高が内国法人に対する国外支配株主等の資本持分の3倍を超える場合には、その事業年度において国外支配株主等及び資金供与者等に支払う負債の利子等の額のうちその超過額に対応する部分の金額は、損金の額に算入しないこととされている(措法66の5①)。ただし、各事業年度の総負債に係る平均負債残高がその事業年度の自己資本の額の3倍以内である場合には、この制度の適用はないこととされている。
 なお、本制度は、国内において事業を行う外国法人が支払う負債の利子等(国内事業に係るものに限る。)についても適用があることとされている(措法66の5⑩)。
(注1)国外支配株主等とは、非居住者又は外国法人(以下「非居住者等」という。)で、内国法人との間に、非居住者等が内国法人の発行済株式等の50%以上を直接又は間接に保有する関係その他の特殊の関係のあるものをいう(措法66の5⑤一、措令39の13⑫)。
(注2)資金供与者等とは、内国法人に資金を供与する者及びその資金の供与に関係のある者をいう(措法66の5⑤二、措令39の13⑭)。
(注3)国外支配株主等の資本持分とは、内国法人の自己資本の額に国外支配株主等の内国法人に対する直接及び間接の持分割合を乗じて計算した金額をいう(措法66の5⑤六、旧措令39の13⑳~ )。
(注4)負債の利子等とは、負債の利子及び資金調達に係る費用をいう(措法66の5⑤三、措令39の13⑮~⑰)。
(注5)自己資本の額とは、内国法人の総資産の帳簿価額から総負債の帳簿価額を控除した残額(その金額が法人税法に規定する資本金等の額に満たない場合には、資本金等の額)をいう(措法66の5⑤七、措令39の13 )。
 本制度を適用する場合において、内国法人は、適用要件の判定と損金不算入額の計算をする際に、当該内国法人に係る国外支配株主等の資本持分及び当該内国法人の自己資本の額に係る各倍数に代えて、当該内国法人と同種の事業を営む法人で事業規模その他の状況が類似するもの(以下「類似法人」という。)の総負債の額の純資産に対する比率に照らし妥当と認められる倍数を用いることができることとされている(措法66の5③)。
 そして、本制度により計算された金額が、その事業年度に係る関連者等に係る純支払利子等の課税の特例(過大支払利子税制)により計算された金額を下回る場合には、本制度の適用はないこととされている(措法66の5④⑩、措令39の13⑪ )。
 また、連結納税制度の場合については、本制度により計算された連結グループ全体の金額が、過大支払利子税制により計算された金額を下回る場合には、本制度の適用はないこととされている(措法68の89④、措令39の113⑪)。
 関連者間の利子を利用した租税回避に対応するため、平成24年度税制改正において過大支払利子税制が導入された。過大支払利子税制は過少資本税制を補完するために設けられた制度であり、過大支払利子税制と過少資本税制の双方で損金不算入額が計算される場合には、いずれか多い金額を損金不算入とすることにより、制度の重複適用の排除を行っている。
 しかし、この重複排除調整を行った結果、いずれの制度も適用されないケースが生じ得ることとなっていた。
 すなわち、重複排除の適用を受ける法人から過大支払利子税制の適用除外となる者が除外されていないため、重複排除調整によって過大支払利子税制を適用すると判定されても、過大支払利子税制の適用除外要件を満たす法人については、結果として過大支払利子税制も過少資本税制のいずれの制度も適用されない状況が生じ得ることになっていた。
 そこで、今回の改正では、過大支払利子税制の適用除外要件を満たす法人は、過少資本税制における過大支払利子税制との重複排除の規定を適用しないこととし、いずれの制度も適用されない状況が生じないよう改正が行われた(措法66の5④)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられている(措法68の89④)。
 上記の改正は、法人の平成25年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用される(改正法附則61)。連結納税制度の場合についても同様である。

Ⅳ 関連者等に係る純支払利子等の課税の特例(過大支払利子税制)の改正
 平成24年度税制改正において、関連者間において所得金額に比して過大な利子を支払うことを通じた租税回避を防止し、わが国の課税ベースの浸食を防止する観点から、本制度が措置された。
 なお、本制度は、法人の平成25年4月1日以後に開始する事業年度又は連結法人の連結親法人事業年度が同日以後に開始する連結事業年度から適用することとされている。
 制度の概要は以下の13のとおりである。

1 関連者等に係る支払利子等の損金不算入  法人のその事業年度の関連者純支払利子等の額が調整所得金額の50%相当額を超える場合には、その超える部分の金額は、その事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しないこととされている(措法66の5の2①)。
 ここで「関連者純支払利子等の額」とは、関連者(直接・間接の持分割合50%以上の親法人・子法人等)への支払利子等の額(支払利子等の受領者側でわが国の法人税の課税対象所得に算入されるもの等を除く。)の合計額からこれに対応する受取利子等の額を控除した残額をいう(措法66の5の2①~③、措令39の13の2②~⑯)。
 また、「調整所得金額」とは、法人税法第23条(受取配当等の益金不算入)等の規定を適用せず計算した場合のその事業年度の所得の金額(欠損の場合はマイナスの金額)に、関連者純支払利子等の額や減価償却費の額を加算する等の調整を行った金額をいう(措法66の5の2①、措令39の13の2①)。
 ただし、法人が次のいずれかに該当する場合には、本制度の適用はないこととされている(措法66の5の2④)。
(1)法人のその事業年度の関連者純支払利子等の額が1,000万円以下であるとき。
(2)9法人のその事業年度の関連者支払利子等の額の合計額がその事業年度の総支払利子等の額の合計額の50%以下であるとき。
 法人のその事業年度に係る本制度(過大支払利子税制)により計算された金額が、その事業年度に係る過少資本税制により計算された金額以下となる場合には、本制度(過大支払利子税制)の規定は、適用されないこととされている(措法66の5の2⑦、措令39の13の2⑰)。

2 超過利子額(損金不算入額の繰越額)の損金算入  法人の超過利子額(各事業年度開始の日前7年以内に開始した事業年度において本制度により損金の額に算入されなかった金額(過年度に本制度により損金の額に算入されたものを除く。)をいう。)がある場合には、その調整所得金額の50%相当額から関連者純支払利子等の額を控除した残額に相当する金額を限度として、損金の額に算入することとされている(措法66の5の3①)。

3 連結納税における過大支払利子税制  連結納税における過大支払利子税制は、連結グループ全体の関連者純支払利子等の額と連結グループ全体の連結調整所得を比較して、損金不算入額の計算等を行うこととされている(措法68の89の2①)。連結超過利子額(連結親法人の各連結事業年度開始の日前7年以内に開始した連結事業年度において本制度により損金の額に算入されなかった金額(過年度において本制度により損金の額に算入されたものを除く。)をいう。)がある場合の損金算入額の計算においても同様である(措法68の89の3①)。
 また、連結超過利子額はグループ全体のものとして管理されるため、連結子法人の連結グループへの加入・離脱等に伴う調整を行う必要から、連結納税固有の取扱いが措置されている。

 今回の改正では、以下の2点の改正が行われた。
(1)調整所得金額  調整所得金額は、法人税法第23条(受取配当等の益金不算入)等の規定を適用せず計算した場合のその事業年度の所得の金額(欠損の場合はマイナスの金額)に、関連者純支払利子等の額や減価償却費の額を加算する等の調整を行って計算される。その計算された金額がマイナスの金額となる場合には、調整所得金額はゼロとされることが、規定上明確化された(措令39の13の2①)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措令39の113の2①)。
(2)連結グループからの離脱等による連結超過利子額の調整の適正化  連結超過利子額は、その連結超過利子額が生じた連結事業年度後の連結事業年度において控除された場合にその相当額を減額することとされている。それ以外にも、連結法人が連結グループを離脱した場合等一定の事由に該当する場合に、その離脱した連結子法人の連結超過利子個別帰属額に相当する金額を減算することとされている(措法68の89の3④)。
 今回の改正では、この連結超過利子額から減額する金額に、次に掲げる事由の区分に応じそれぞれに定める金額を含めることとされた。
① 直前適格合併後に連結グループ内非適格合併が行われた場合  直前適格合併(連結子法人を合併法人とする適格合併でその連結子法人との間に連結完全支配関係がある他の連結子法人を被合併法人とするものをいう。)が行われた場合又はその連結子法人との間に連結完全支配関係がある他の連結子法人でその連結子法人が発行済株式若しくは出資の全部又は一部を有するものの残余財産が確定した場合において、その連結子法人がその直前適格合併の日又はその残余財産の確定の日(以下「直前適格合併等の日」という。)からその直前適格合併等の日を含む連結親法人事業年度終了の日までの間に、その連結子法人を被合併法人とする非適格合併(その連結子法人との間に連結完全支配関係がある他の連結法人を合併法人とするものに限る。)が行われたことにより連結納税の承認を取り消されたとき これらの他の連結子法人の引継対象超過利子額でその連結子法人の超過利子額とみなされてその非適格合併の日の前日を含む事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入された金額(措令39の113の2⑦一)。
(注)引継対象超過利子額とは、適格合併の日前7年以内に開始し、又は、残余財産の確定の日の翌日前7年以内に開始した各事業年度において生じた被合併法人等の超過利子額に係る事業年度のうち最も古い事業年度以後の各事業年度の確定申告書にその超過利子額に関する明細書の添付があること等の要件を満たしているその超過利子額をいう(措法66の5の3③、措令39の13の3④)。
② 直前非適格合併後に連結グループから離脱する場合  連結子法人を合併法人とする非適格合併でその連結子法人との間に連結完全支配関係がある他の連結子法人を被合併法人とするもの(以下「直前非適格合併」という。)が行われた場合において、その連結子法人がその直前非適格合併の日からその直前非適格合併の日を含む連結親法人事業年度終了の日までの間に連結納税の承認を取り消されたとき(その連結子法人を被合併法人とする合併(その連結子法人との間に連結完全支配関係がある他の連結法人を合併法人とするものに限る。)が行われたこと又はその連結子法人の残余財産が確定したことにより連結納税の承認を取り消されたときを除く。) 当該他の連結子法人のその直前非適格合併の日の前日を含む事業年度において生じた超過利子額(措令39の113⑧)。
 上記の改正は、法人の平成25年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用される(改正措令附則14)。連結納税制度の場合についても同様である。

Ⅴ 振替国債等の利子の課税の特例等の改正

1 適用期限の撤廃(恒久化)と期限延長
 振替社債等の利子等の課税の特例について、適用期限が撤廃(恒久化)された。ただし、振替特定目的信託受益権のうち社債的受益権の剰余金の配当及び東日本大震災復興特別区域法に規定する特定地方公共団体との間に完全支配関係がある内国法人が発行する利益連動債(地方公共団体が債務保証をしないものに限る。)の利子については、平成28年3月31日までに発行されたものに限ることとされた(措法5の3①④七、震災税特法10)。

2 振替国債等の利子の課税の特例等の見直し
(1)振替国債等の利子の課税の特例の見直し
① 振替国債又は振替地方債の利子は、その支払を受ける非居住者又は外国法人の所有期間にかかわらず、その全額について、所得税を課さない、又は所得税の源泉徴収をしないこととされた。また、これに伴い、所有期間明細書の提出等の手続は廃止することとされた(措法5の2①⑤後段)。
② 非課税適用申告書を提出した者は、その記載事項に異動が生じない場合でも、非課税適用申告書を提出した後、5年を経過した場合には、申告書を提出しなければならないこととされた(措法5の2⑫)。
③ 適格外国仲介業者は、非課税適用申告書を提出した者が振替国債又は振替地方債の利子の支払を受ける場合には、その利子の支払を受けるべき日の前日までに源泉徴収の計算に関する事項を、その支払の確定した日の属する月の翌月10日までに利子の受領者に関する事項を、その適格外国仲介業者に係る特定口座管理機関等に通知しなければならないこととされた(措法5の2⑮⑯、措令3⑱ 、措規3の18⑳ )。
④ 本特例の適用を受ける振替国債又は振替地方債の利子に係る支払調書の提出については、その利子の支払事務の取扱いをする特定振替機関等が行うこととされた(措法5の2⑥による読替後の所法225①八)。
(2)振替社債等の利子等の課税の特例の見直し  振替国債等の利子の課税の特例における改正と同様の見直しが行われたほか、特殊関係者の判定時期等について、次の見直しが行われた。
① 振替社債等の利子等の支払を受ける者が特定振替社債等の発行者の特殊関係者に該当するかどうかの判定は、その支払を受ける利子等ごとに、その利子等の支払の日を含む発行者の事業年度開始の時の現況により行うこととされた(措令3の2④)。
② 非課税適用申告書を提出した者が特定振替社債等につきその利子等の支払を受ける場合には、特定振替機関等又は適格口座管理機関は、その利子等の支払を受けるべき日の前日までに、所得税の徴収をしないこととなる旨を、特定振替機関を経由してその特定振替社債等の発行者に通知しなければならないこととされた(措令3の2 )。
③ 特定振替社債等の発行者は、特殊関係者に関する事項を記載した書類を、その利子等の支払の日以後2月以内に、所得税の徴収をしないこととなる旨の通知をした特定振替機関等又は適格口座管理機関の本店又は主たる事務所の所在地の所轄税務署長に提出しなければならないこととされた(措令3の2 )。
(3)割引債の償還差益に対する課税の見直し  非居住者又は外国法人が支払を受ける割引債の償還差益のうち、その割引債を発行した外国法人の国内において行う事業に帰せられるものについては、国内にある資産の運用又は保有により生ずる所得とみなして、所得税又は法人税に関する法令を適用することとされた(措法41の13の2①、67の17④)。
(4)割引債の償還金に係る差益金額に対する課税の特例  振替公社債等の利子等の非課税制度と同様に、割引債の償還金に係る差益金額に対する源泉徴収を不適用とし、償還差益に対する所得税及び法人税を非課税とする制度が整備された(措法41の13の3)。

Ⅵ 租税条約等実施特例法関係の改正

1 上場株式等の配当等に係る源泉徴収義務等の特例の適用がある場合における租税条約の適用手続に関する特例の創設
 上場株式等の配当等に係る源泉徴収義務等の特例の適用がある場合における租税条約の適用手続について、支払の取扱者の事務負担を軽減する観点から、次のとおり特例を創設することとされた。
(1)支払の取扱者を通じて支払を受ける上場株式等の配当等につき租税条約の適用を受けようとする非居住者又は外国法人は、配当等に関する事項の記載を要しない届出書を提出することができることとされた(実特規2⑩)。
(2)上記(1)の届出書を提出した非居住者又は外国法人は、配当等に関する事項を支払の取扱者に通知しなければならないこととし、通知を受けた支払の取扱者は、通知を受けた事項等を光ディスク等に記録して、その支払の取扱者の納税地の所轄税務署長に提供しなければならないこととされた(実特規2⑩)。

2 申告不要第三国団体配当等及び申告不要特定配当等に対する申告分離課税制度の改正  申告不要第三国団体配当等及び申告不要特定配当等に対する申告分離課税制度の対象となる申告不要第三国団体配当等及び申告不要特定配当等の範囲に、利子所得を加えることとされた(実特法3の2⑭⑮⑳ 、実特令2の2②~④、2の3⑦~⑨)。

3 徴収共助制度の見直し  徴収共助制度について、租税条約等の相手国等との間の送金及び送金の受領に関し、わが国側の窓口を国税庁長官が指定した国税局長に一元化することができるように措置が講じられたほか、所要の見直しが行われた(実特法11、11の2)。

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