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解説記事2013年09月16日 【第2特集】 平成26年度における各省庁の税制改正要望は?(2013年9月16日号・№515)

投資減税以外は小幅な改正要望に
平成26年度における各省庁の税制改正要望は?

 各省庁等の平成26年度税制改正要望が出揃った。平成26年度税制改正要望での目玉となるのは秋に予定される臨時国会に提出予定の産業競争力強化法案(仮称)に関連する投資減税だ。しかし、それ以外は産業競争力強化法案と同じく日本再興戦略を踏まえた研究開発税制や中小企業投資促進税制の拡充・延長などがあるものの、全体的には小幅な税制改正項目となっている。本特集では、各省庁の主な税制改正要望を紹介する。

日本再興戦略を踏まえた税制改正要望も目白押し
 経済産業省では、6月14日に閣議決定された「日本再興戦略」を踏まえた産業競争力強化法案(仮称)に関連する投資減税が注目されるが(今号4頁参照)、それ以外にも企業等がその動向を注視すべき要望項目がある。
 その1つが研究開発税制の拡充・延長だ(図表1参照)。たとえば、増加型上乗せ措置の控除率を5%から30%に引上げることを求めている。これにより、およそ380億円の減税になるとしている。また、総額型措置のうち、中小企業の控除率を12%から20%に引き上げることも求めている。

ソフトウエア+事務機器等で120万円以上  また、中小企業投資促進税制が拡充される方向だ。同税制は、中小企業における生産性、事務効率の向上等を図るため、一定の設備投資を行った場合、税額控除(7%)または特別償却(30%)の選択適用を認めるものである(図表2参照)。今回の要望では、適用期限を平成27年度末まで2年間延長するとともに即時償却(現行30%の特別償却)あるいは、12%(現行7%)の税額控除への拡充を求めている。税額控除は資本金3,000万円以下の企業に限られているが、自己資本を充実させつつ設備投資を実施したいとの企業の声を受け、1億円以下の企業も税額控除を適用できるよう見直しを求めている。

 対象設備についてはソフトウエアおよびソフトウエアが組み込まれた設備等(3Dプリンタなど)を導入した場合を追加。要件としては、①一のソフトウエアの取得価額が120万円以上であるもの、②ソフトウエア+事務機器、通信機器、試験・測定機器、測定工具、検査工具の取得価額が合計120万円以上、③ソフトウエア+機械装置の取得価額が合計160万円以上、④取得価額が120万円以上の事務機器および通信機器、試験・測定機器、測定工具および検査工具または取得価額が160万円以上の機械装置であって、これらの設備を直接制御するためのソフトウエアがあらかじめ組み込まれているものが想定されている。
新規の設備投資の固定資産税を非課税に  償却資産課税の抜本的見直しも日本再興戦略に関連する項目だ。経済産業省は、工場の償却資産(設備等)に対する固定資産税は、国際的に稀な制度であると指摘。償却資産に対する課税は、投資に対する収益性を低下させ、国内投資の阻害要因になっているとしている。たとえば、償却資産に対する固定資産税のうち、「機械及び装置」について、①新規の設備投資分を非課税とする、②長期保有分の評価額の最低限度(5%部分)を段階的に廃止することなどが想定されている。
中小企業関係の要望は?  中小企業向けの税制改正要望では、平成26年3月末で期限切れとなる中小企業者の少額減価償却資産の特例や中小企業者の交際費課税の特例(800万円まで損金算入可能)の適用期限を平成27年度末まで2年間延長するよう要望している。
 また、小規模事業者の振興を図るための「基本法」の制定を目指すとともに、これに合わせて個人事業主について、純損失の繰越控除期間を3年間から5年間に延長するなどの措置を求めている。

損益通算の対象に総合取引所に係るデリバティブ取引を
 金融庁における平成26年度税制改正要望(本誌513号12頁参照)では、平成25年度税制改正で特定公社債等まで損益通算の範囲が拡大されたが、対象範囲にデリバティブ取引や預貯金も加えるよう求めている。特に総合取引所に係るデリバティブ取引については早期に実現すべきとしている。
 また、平成26年1月から開始されるNISA(少額投資非課税制度)の利便性の向上を求めている。
震災支援機構が支援する場合も  事業再生関連の税制措置では、①個人事業者に係る事業再生税制の創設、②事業再生に係る固定資産税の特例の創設、③地域経済活性化支援機構に係る企業再生税制の適用の拡大、④経営者の私財提供に係る非課税措置の東日本大震災事業者再生支援機構への適用を求めている。③は内閣府との共同での要望。地域経済活性化支援機構が債権買取を前提としない債権者間調整のみを行ったケースも「合理的な再生計画」に従って行われる事業再生として、企業再生税制の適用を認めることを求めている。
 また、④は復興庁との共同での要望だが、地域経済活性化支援機構や整理回収支援機構が支援する場合だけでなく、震災支援機構が支援する事業再生において、経営者が自ら経営する企業の再建のために私財提供した場合もみなし譲渡益を非課税にすべきとしている。
居住用財産の買換え特例などの期限延長を  国土交通省については、土地・住宅関連が主な要望項目といえる。たとえば、適用期限延長を求めるものとして、①居住用財産の買換え等に係る特例措置の2年間延長、②認定長期優良住宅における所有権保存登記、所有権移転登記に係る軽減税率の2年間延長、③新築住宅に係る固定資産税の減額措置(戸建て3年間、マンション5年間1/2)の2年間延長、④優良住宅地等のために土地等を譲渡した場合の譲渡所得の軽減税率の5年間延長、⑤土地等の譲渡益に対する追加課税制度の停止期限の5年間延長などが挙げられる。
学校法人への寄附要件はクリアできず  文部科学省では学校法人への個人寄附に係る税額控除の要件の撤廃などを求めている。税額控除制度を適用するには、①寄附金収入金額が経常収入金額の20%以上、または②3,000万円以上の寄附者数が年平均100人以上といった要件を満たす必要があるが、そもそも幼稚園や小・中・高のみを設置するような小規模な法人にとっては要件を満たすことは困難であるとしている。
大法人の交際費も損金算入に  厚生労働省では社会保険診療報酬に係る非課税措置の存続および医療法人の社会保険診療以外の部分に係る軽減措置の存続などを求めている。
 また、雇用促進税制の3年間の適用期限の延長や企業年金等の積立金に対する特別法人税の撤廃、交際費課税の特例の2年間の適用期限の延長とともに適用範囲に大法人も含めるよう求めている。

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