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コラム2013年11月18日 【コラム】 エンドースメントされたIFRSの意義とは?(2013年11月18日号・№523)

エンドースメントされたIFRSの意義とは?

2014年秋頃には修正が完了に
 企業会計基準委員会は、企業会計審議会が6月20日に公表した「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方に関する当面の方針」を受け、自国基準にIFRSを取り込んだ「日本版IFRS」(エンドースメントされたIFRS)の開発に着手している。
 現在、IFRSを任意適用する場合は、金融庁長官がIFRSを指定国際会計基準として定めた上でこれを適用することとされている。現状は一部の基準を指定しないことも可能だが、基準の中の一部分を修正する仕組みとはなっていない。日本の場合、OCI(その他の包括利益)ノンリサイクリングなど、受け入れ難い基準があるため、日本にとって適したIFRSを開発することとしたものである。
 企業会計基準委員会はIFRSのエンドースメントに関する作業部会を設置。IFRSと日本基準を比較し、検討が必要な項目の候補を抽出しており、すでに4回開催している。2014年秋頃までには、2012年12月末までに公表されたIFRSに関するエンドースメント手続を完了させる予定。
4つの会計基準が並存することに  日本版IFRSは、最終的にはほとんどIFRSと差異のないものが出来上がりそうだが、批判があるのも事実。同基準が開発された場合には、現行の日本基準、米国基準、ピュアIFRS(国際会計基準審議会(IASB)が策定したもの)の4つの基準が並列するからだ。IFRSを適用したくないのであれば、わざわざ日本版IFRSではなく、現行の日本基準を適用すれば済む話である。
 それでは、なぜ日本版IFRSを開発する必要があるのか。まずは、あるべきIFRSを作成する観点から日本版IFRSとして合理的な形で示すことができることが挙げられる。現在、企業会計基準委員会、日本公認会計士協会、日本経済団体連合会、東京証券取引所、日本証券アナリスト協会などの関係者が一丸となり、日本の主張を取り入れるようIASBと協議しているからだ。
 また、緊急事態が起きた場合の1種のセーフハーバーとして機能することが期待されている。たとえば、日本でリーマン・ショックなどが起きた場合、日本向けに何らかの対応が採られるわけではない。日本版IFRSがあれば柔軟にその枠組みを修正することも可能となる。
IFRSへの1つのステップ  ただ、日本版IFRSが出来ても同基準を採用する企業はそれほど多くはないだろう。海外子会社を保有しているケースや米国市場に上場する場合にはそのままピュアIFRSを適用した方が得策といえる。また、金融庁も「推奨し押し売りするつもりはない」としているからだ。
 企業会計基準委員会が日本版IFRSを開発する際に、ガイダンスなどを作成し、解釈を示すことにより日本企業がIFRSを導入しやすくなるといったメリットはある。その意味で日本版IFRSは単一で高品質な国際的な会計基準への収斂の流れの1つのステップと位置づけられるものといえるだろう。

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