解説記事2013年12月09日 【第2特集】 平成26年度税制改正、すでに決まった項目は?(2013年12月9日号・№526)
第2特集
償却資産の固定資産税の抜本的見直しは検討課題に
平成26年度税制改正、すでに決まった項目は?
自由民主党税制調査会(野田毅会長)は現在、平成26年度税制改正に向けた検討を行っているが、12月3日の会合では、同党政務調査会の各部会が重点要望した項目に対する採否の審議(いわゆる○×審議)を実施している。すでに明らかになったところでは、国際課税原則の見直しや復興特別法人税の1年前倒しでの終了が決まったほか、償却資産に対する固定資産税の平成26年度での抜本的見直しは検討課題となっている。本特集では、今回の○×審議において、明らかとなった改正項目の採否を紹介する(表参照)。
国際課税は総合主義から帰属主義へ
12月3日に開催された自民党の税制調査会小委員会の○×審議では、一部ではあるがすでに平成26年度税制改正大綱に盛り込まれることが決まった項目が明らかとなっている。
国税関係では、総合主義から帰属主義への変更(国際課税原則の見直し)や復興特別法人税の1年前倒し終了が盛り込まれることになった。また、地方税関係では、ゴルフ場利用税については、文部科学部会が廃止すべきと主張したものの、現行制度が存続することになっている。
越境消費税は検討課題 一方、平成26年度税制改正では実現しないものの、検討課題とされた項目も数多くある。
国税関係では、法人実効税率の引下げや国境を越えた役務提供等に対する消費税の課税のあり方の見直しは検討課題となり、今後、政府の税制調査会などでも検討が進められることになる(今号11頁参照)。
また、財務金融部会が要望していたNISA口座開設手続の簡素化や金融商品に係る損益通算範囲に総合取引所のデリバティブ取引を含める点も検討課題とされ、先送りとなっている。そのほか、低炭素化設備の普及のための世代間資産移転促進に関する非課税措置の創設も検討課題となっている。
地方税関係では、秋の税制改正で論点の1つとなっていた設備等の償却資産に対する固定資産税の平成26年度における抜本的な見直しについてはされないことになった。国際的に稀な制度であり中小企業の設備投資を阻害しているなどの意見があったが、財源等の問題から実現には至らなかった。
死亡保険金の相続税非課税限度額は行わず
死亡保険金の相続税非課税限度額の拡充は行わないことが決まったほか、集積区域における集積産業用資産の特別償却制度の延長はされないことになった。
償却資産の固定資産税の抜本的見直しは検討課題に
平成26年度税制改正、すでに決まった項目は?
自由民主党税制調査会(野田毅会長)は現在、平成26年度税制改正に向けた検討を行っているが、12月3日の会合では、同党政務調査会の各部会が重点要望した項目に対する採否の審議(いわゆる○×審議)を実施している。すでに明らかになったところでは、国際課税原則の見直しや復興特別法人税の1年前倒しでの終了が決まったほか、償却資産に対する固定資産税の平成26年度での抜本的見直しは検討課題となっている。本特集では、今回の○×審議において、明らかとなった改正項目の採否を紹介する(表参照)。
国際課税は総合主義から帰属主義へ
12月3日に開催された自民党の税制調査会小委員会の○×審議では、一部ではあるがすでに平成26年度税制改正大綱に盛り込まれることが決まった項目が明らかとなっている。
国税関係では、総合主義から帰属主義への変更(国際課税原則の見直し)や復興特別法人税の1年前倒し終了が盛り込まれることになった。また、地方税関係では、ゴルフ場利用税については、文部科学部会が廃止すべきと主張したものの、現行制度が存続することになっている。
越境消費税は検討課題 一方、平成26年度税制改正では実現しないものの、検討課題とされた項目も数多くある。
国税関係では、法人実効税率の引下げや国境を越えた役務提供等に対する消費税の課税のあり方の見直しは検討課題となり、今後、政府の税制調査会などでも検討が進められることになる(今号11頁参照)。
また、財務金融部会が要望していたNISA口座開設手続の簡素化や金融商品に係る損益通算範囲に総合取引所のデリバティブ取引を含める点も検討課題とされ、先送りとなっている。そのほか、低炭素化設備の普及のための世代間資産移転促進に関する非課税措置の創設も検討課題となっている。
地方税関係では、秋の税制改正で論点の1つとなっていた設備等の償却資産に対する固定資産税の平成26年度における抜本的な見直しについてはされないことになった。国際的に稀な制度であり中小企業の設備投資を阻害しているなどの意見があったが、財源等の問題から実現には至らなかった。
死亡保険金の相続税非課税限度額は行わず
死亡保険金の相続税非課税限度額の拡充は行わないことが決まったほか、集積区域における集積産業用資産の特別償却制度の延長はされないことになった。
【表】自民党税制調査会における○×審議結果 |
税制改正が行われる主な項目(○) | |
国税関係 | (法人税法関係) ・国際課税原則の見直し(総合主義から帰属主義への変更)に関する所要の税制措置を講ずること(外国法人等の申告対象を恒久的施設(PE)に帰属する所得に限定すること。なお、PEに帰属する所得の範囲については、本支店間の取引を認識することを前提とするOECDアプローチ(AOA)を踏まえて見直すにあたり、金融機関への影響を十分に考慮すること) ・復興特別法人税の1年前倒し終了 (消費税関係) ・軽減税率制度の導入についての慎重な対応 (廃止・縮減) ・中小企業等協同組合法の一部改正に伴い、所要の税制措置(利子所得等に対する源泉徴収不適用措置の廃止)を講ずること ・独立行政法人環境再生保全機構に土地を譲渡した場合の課税の特例の廃止 ・特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例の対象の見直し ・独立行政法人中小企業基盤整備機構が行う工業再配置等業務・産炭地域経過業務に係る非課税措置の廃止 ・小規模企業者等設備導入資金助成法の廃止に伴う所要の措置 |
地方税関係 | (個人住民税関係) ・個人住民税の充実確保 (固定資産税・都市計画税関係) ・預金保険法に基づく特定管理を命ずる処分があった場合における預金保険機構を固定資産課税台帳を閲覧できる者に追加すること ・固定資産税の安定的な確保 (ゴルフ場利用税関係) ・現行制度の堅持 (鉱区税関係) ・特定鉱区制度に係る試掘権のみなし期間について、現行のみなし期間と同様に鉱区税の対象となるよう所要の措置を講ずること (廃止・縮減) ・特定の基金に対する負担金等の必要経費算入の特例の対象の見直し ・一般放送事業者が新設した高度テレビジョン放送施設に係る課税標準の特例措置の廃止 ・公共の危害防止のために設置された施設または設備に係る課税標準の特例措置の対象資産の見直し ・独立行政法人森林総合研究所が行う特定中山間保全整備事業の用に供する固定資産に係る非課税措置の廃止 ・排出ガス規制新基準に適合した特定特殊自動車に係る課税標準の特例措置の廃止 ・日本環境安全事業株式会社が事業の用に供する不動産を取得した場合に係る非課税措置の廃止 ・地方分権改革の実現に不可欠な地方税財源の確保・充実 ・県費負担教職員に係る権限移譲を行う場合における道府県から政令指定都市への税源移譲 |
長期検討とされた主な項目(△) | |
国税関係 | (所得税法関係) ・子育て支援に係る税制上の措置の検討 ・NISA口座開設手続等の簡素化(NISA口座開設時の重複口座確認については、社会保障・税番号制度を用いることとし、口座開設時における住民票の写し等の提出を不要とすること) ・NISAの拡充(資産形成の支援と成長マネーの供給を更に促進する観点から、早期に同制度を拡充すること) ・金融所得課税の一体化に向けた税制上の措置(金融商品に係る損益通算範囲について、デリバティブ取引・預貯金についても拡大すること。特に、総合取引所に係るデリバティブ取引については、早期に実現すること) ・社会保障・税番号制度が記載された、特定口座年間取引報告書または支払通知書については、確定申告書への添付義務を免除すること ・小規模事業者の振興を図る税制措置について検討すること(持続的経営や成長志向の活動を行う個人事業主を含む小規模事業者が直面する事業承継や事業主報酬などの課題を踏まえ、その振興を図る観点から、個人事業主、同族会社、給与所得者の課税バランス等にも配慮しつつ、小規模事業者に係る税制のあり方を検討すること) (法人税法関係) ・法人実効税率の引下げ ・投資法人に係る課税の特例(みなし配当の算出方法の見直し) (相続税・贈与税関係) ・低炭素化設備の普及のための世代間資産移転促進に関する非課税措置の創設 (消費税関係) ・特定収入に係る消費税制上の所要の措置 ・医療に係る消費税の課税のあり方の検討 ・関連銀行および関連保険会社が日本郵便株式会社に業務委託する際に支払う手数料にかかる消費税の非課税制度の創設 ・国境を越えた役務提供等に対する消費税の課税のあり方の見直し (たばこ税関係) ・国民の健康の観点からたばこの消費を抑制することを目的とした、たばこ税の税率の引上げ (エネルギー関係諸税関係) ・原料用石油製品等に係る免税・還付措置を本則化すること (印紙税関係) ・印紙税のあり方について検討すること (その他) ・難病患者等について障害者控除等の適用 ・研究開発法人への寄附に係る税制措置 ・独立行政法人国立美術館、独立行政法人国立文化財機構および独立行政法人日本芸術文化振興会への寄附に係る税制措置 ・国際協力を使途とする資金を調達するための税制度の新設 |
地方税関係 | (法人住民税・事業税関係) ・投資減税や法人実効税率の引下げを行う場合における地方税財源の確保 ・社会保険診療報酬に係る非課税措置の見直し(または存続) ・医療法人の自由診療部分等に係る軽減税率の存続 ・電気供給業について、現行の収入金額課税方式に付加価値割および資本割を導入すること ・償却資産に対する固定資産税の見直し ・セルフメディケーションの推進に資する薬局に係る課税標準の特例措置の創設 ・買取再販において住宅性能の向上が図られた中古住宅を取得する際の非課税措置の創設 (地方消費税関係) ・地方消費税の充実確保 (軽油引取税関係) ・バイオディーゼル燃料に係る特例措置の創設 (事業所税関係) ・事業所税のあり方の検討 |
税制改正が行われないこととされた主な項目(×) | |
国税関係 | (所得税法関係) ・個人型の拠出限度額の引上げ ・確定拠出年金の中途引き出し要件の緩和 ・特定健診・保険指導における医療費控除の対象の拡充 ・上場株式の組織再編等における個人株主の課税方法の簡素化等を講ずること ・空きビルのテナント入替え等を行う場合の地権者の所得に対する課税の特例の創設 ・三世代同居・近居に係る税制上の軽減措置の創設 ・デリバティブ取引に際し外国金融機関が提供する現金担保の利子を非課税とすること ・OECDにおいて合意された、共通化された税務上の特典付与手続を我が国でも導入すること (法人税法関係) ・厚生農業協同組合連合会の行う医療保険業における差額ベッドに係る要件の緩和 ・大阪国際空港の運営権者が行う環境対策事業のための助成金の追加 ・個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入限度額の引上げ ・社会医療法人認定取消時の一括課税の見直し ・資産に係る控除対象外消費税額等の損金算入制度について、繰延消費税額等の全額を発生時に損金算入できることとすること ・国際戦略総合特別区域における税制措置の創設(地方税軽減額を損金の額とみなす制度の創設、欠損金の繰越控除限度額の上限緩和) ・国際戦略総合特別区域において機械等を取得した場合の特別償却または法人税額の特別控除制度(統轄事業を実施する法人に係る要件の見直し、対象区域の追加) ・国際戦略総合特別区域における指定特定事業法人の課税の特例(所得控除率の引上げ、対象事業の拡充、特定国際戦略事業および事業区域に係る専ら要件の緩和、統轄事業を実施する法人に係る要件の見直し) ・特定外国子会社等に係る課税の特例措置(外国子会社合算税制)について、トリガー税率(当該税制の対象となる基準税率)の引下げ等の制度の適正化を図ること ・集積区域における集積産業用資産の特別償却制度の延長 (相続税・贈与税関係) ・死亡保険金の相続税非課税限度額について、現行限度額に「配偶者分500万円+未成年の被扶養法定相続人数×500万円」を加算すること (登録免許税関係) ・海外で行う外国銀行代理業務の認可については、登録免許税の課税対象から除外すること (消費税関係) ・福祉車両等の仕入れに係る消費税の取扱いに関する所要の措置 (エネルギー関係諸税関係) ・農林漁業用軽油に対する石油石炭税の還付措置の創設 (その他) ・農地中間管理機構(仮称)の整備に伴う課税の特例措置の創設等(出し手が農地を機構に一括贈与した場合に納税猶予されている相続税・贈与税を免除する措置の創設、農地の出し手・受け手と機構の契約等に係る印紙税の減免措置の創設、受け手が利用配分計画により機構から農地を購入した場合の登記に係る登録免許税の減税措置の創設) |
地方税関係 | (個人住民税関係) ・資産に係る控除対象外消費税額等の必要経費算入制度について、繰延税金消費税額等の全額を発生時に必要経費算入できることとすること (法人住民税・事業税関係) ・次世代育成支援対策に係る基準適合認定を受けた場合の建物等に係る特例の拡充 (固定資産税・都市計画税関係) ・合理的な再生計画に基づき事業再生が行われる中小企業者が事業の用に供する固定資産に係る課税標準の特例措置の創設 ・認定中心市街地商業活性化事業者(仮称)が認定特定中心市街地経済活力向上事業計画(仮称)に基づき取得した土地等に係る課税標準の特例措置の創設 ・農地を農地中間管理機構(仮称)に一括贈与した場合に、徴収猶予されている徴収金に係る納税義務を免除すること ・利用配分計画により農地中間管理機構(仮称)から取得した農地に係る課税標準の特例措置の創設 (地方消費税関係) ・福祉車両等の仕入れに係る消費税の取扱いに関する所要の措置 |
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