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コラム2013年12月16日 【SCOPE】 株主優待券、交際費に該当する3要件とは?(2013年12月16日号・№527)

審判所、株主への接待供応行為に該当
株主優待券、交際費に該当する3要件とは?

 個人投資家に人気の株主優待制度。無配当であっても株価が安定することなどから株主優待券を配布する上場企業も多い。この株主優待券の経理処理を巡った裁決がこのほど明らかとなった。東証2部の上場企業が売上値引きとして経理処理したところ、交際費に該当するとの更正処分が行われ、国税不服審判所(以下、審判所)もこれを容認している(関裁(法)平25第8号)。審判所は交際費に該当する3要件を示したうえ、株主優待券がこれに該当するか否か検討を行っている。関東信越国税局管内では以前も株主優待品の送料が交際費となった事案があった(本誌441号4頁参照)。株主優待制度を設けている上場企業は、自社の株主優待が交際費に該当するか否か経理処理を洗い直す必要がありそうだ。

売上値引きか交際費か?
 東証2部上場企業で飲食業を営む請求人は、直営店舗およびFC店(フランチャイズ契約店)で現金と同様に使用することができる券面額500円の株主優待券を1,000株以上の株主に無償で配布する制度を設けており、使用された株主優待券については、その券面額を売上値引き等として経理処理を行っていた。しかし、これを原処分庁が当該株主優待券の使用に係る費用の額が交際費に該当するとして更正処分を行ったもの。
 今回の事案は、これを不服とした請求人が同処分の一部の取消しを求めたものである。
請求人、優待券は使用者を制限しないと主張  請求人は、株主優待券は、①使用者を制限していない、②導入した目的は販売促進・広告宣伝などにある、③株主としての当然の権利として考えている株主も多い(接待供応行為は成立しない)などと主張。
 一方、原処分庁は、株主優待券は、①株主に特別な経済的利益を受けることができる権利を贈答している、②飲食等を提供することにより株主の歓心を買い、株主が請求人の株式を取得し株主の地位を維持することの動機となることを期待している、③使用者に対して、一般消費者が受けることができる値引きの範囲を超えた特別の割引きを受けることができるとし、交際費に該当するとしていた。
交際費となる3要件を示す  審判所は、特定の費用が交際費等(措置法61条の4③)に該当するか否かの判断をするには、①支出の相手方が事業に関係ある者等であり、②支出の目的等が事業に関係ある者等との間の親睦の度を密にして事業の円滑な遂行を図ること、③行為の形態が接待供応行為であることの3要件を満たす必要があるとした。
 そのうえで本件についてみると(参照)、請求人は、株主に対して、持株数に応じて請求人の店舗等で現金同様に使用可能な株主優待券を配布し、その飲食代から株主優待券使用額分の値引きを行っていたことから、同行為は接待供応行為に該当するとした。

 また、「支出の目的」についても、株主を安定株主とするための方策として株主優待制度を実施することは一般的に行われているものであり、本件でもこれを否定する証拠もないことなどから、株主の地位を維持する関係を構築することにあると指摘。一般株主を安定株主とし、市場の好感を得て株価を安定、上昇させるなどして、事業の円滑な遂行を図ることにあると認めるのが相当であるとの判断を示し、請求人の主張を退けている。

東京高裁は「支出の目的」を取引関係に限定も
 大手製薬会社が大学病院の医師等から依頼された英文添削の料金の一部を負担した費用が交際費に該当するか否かで争われた東京高裁の判決では、交際費等に該当するどうかの判断基準として①支出の相手方(事業に関係のある者)、②支出の目的(事業関係者等との間の親睦の度を密にして取引関係の円滑な進行を図る)、③行為の形態(接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為)である旨を示していた(平成14年(行コ)第242号、本誌36号参照)。
 今回の裁決によれば、請求人は支出の目的については、「事業の円滑な遂行」ではなく、「取引関係の円滑な進行」を図ることと解すべきとの主張を行っていたが、審判所は「取引関係の円滑化だけに限定するのは相当ではなく、より広く、当該法人の事業の円滑な遂行を目的と考えるべき」と指摘。また、前述の東京高裁の判決については、「同判決は取引先が支出の相手方となった事案に対するものであり、その判示において支出の目的を取引関係の円滑な遂行のみに限定した趣旨と解することはできない」との見解を示している。

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