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解説記事2013年12月23日 【ニュース特集】 適用時期から読み解く平成26年度税制改正大綱(2013年12月23日号・№528)

給与所得課税や相続税の取得費加算の特例の見直しはいつから?
適用時期から読み解く平成26年度税制改正大綱

 自由民主党および公明党は12月12日、平成26年度税制改正大綱を取りまとめた(今号16頁参照)。最後まで調整が続いた消費税率の軽減税率制度については、「税率10%時に導入する」と明記されたうえ、今後、与党税制協議会において対象品目の選定、区分経理等のための制度設計などについて検討し、平成26年12月までに結論を得ることとされた。
 10月1日に与党が取りまとめた秋の税制改正大綱(本誌518号参照)は設備投資減税など、企業減税が中心だったものの、第二弾となる今回の税制改正大綱は給与所得控除の見直しなど、全般的に増税色が強い内容となっている。本特集では、適用時期を見ながら重要改正のポイントを紹介する。

個人所得課税関係の増税はいつから?
 増税項目が並ぶことになったのが個人所得課税関係だ。すでにお伝えしているとおり、現行、給与所得控除の上限額が適用される給与収入1,500万円が引き下げられることになる(本誌527号5頁参照)。具体的には、平成28年分の所得税より上限額が適用される給与収入は1,200万円となり、給与所得控除は230万円が上限となる。引き続き、平成29年分以後の所得税より上限額が適用される給与収入は1,000万円となり、給与所得控除の上限は220万円に引き下げられる。
少人数私募債利子の見直しは28年1月から  特定公社債の対象となる「平成27年12月31日以前に発行された公社債」の範囲から、同族会社が発行した社債が除外されることになる(図表1参照)。

 つまり、同族会社が発行した社債で一般公社債に該当するものの課税関係は、①平成28年1月1日以後に支払いを受けるべき同族会社発行社債の利子のうち、その同族会社の役員等が支払いを受けるものはすべて総合課税の対象となり、②平成28年1月1日以後に行う同族会社発行社債の譲渡による所得は、一般公社債に係る譲渡所得として20%申告分離課税の対象となる。
 本誌が報じたとおり、少人数私募債利子の節税メリットはあと2年ということになる(本誌526号4頁参照)。
 一方、20%申告分離課税の対象となる特定公社債については、その範囲が一部拡大される。発行日前9月以内(現行6月以内)に有価証券報告書等を提出している法人が発行する社債が対象となる。
ストックOP節税策封じは26年4月から  税制非適格ストックオプションを権利行使せず、発行会社に売却することで申告分離課税の適用を受けることができる節税策があるが(本誌526号7頁参照)、これは平成26年4月1日以後に行う譲渡から封じ込まれる。譲渡所得(20%申告分離課税)から「給与所得等」として課税されることになる(図表2参照)。

取得費加算特例の見直しは27年1月から  居住用財産の買換特例については、適用期限が2年延長されたものの、平成24年度税制改正に引き続き、同特例の適用要件の1つである「譲渡価額要件」が1億円以下(現行:1億5,000万円以下)に引き下げられる。適用は平成26年1月1日以後に行う居住用財産の譲渡からとされる(今号10頁参照)。
 また、ゴルフ会員権やリゾート会員権の譲渡損失と他の所得との損益通算の廃止は、平成26年4月1日以後に行う資産の譲渡について適用されることになる(本誌526号8頁参照)。僅かではあるものの、売却するか否かの考慮期間ができたことになる。
 相続税の取得費加算の特例の見直しは、平成27年1月1日以後に相続または贈与により取得した資産を譲渡する場合に適用される。現行制度は、相続財産である土地等の一部を譲渡した場合に、相続したすべての土地等に対応する相続税額を取得費に加算できるが、改正後は実際に譲渡した土地等に対応する相続税額に限り譲渡所得の取得費に加算することができることになる(本誌526号9頁参照)。
NISAの見直しは27年1月から  そのほかでは、NISA(少額投資非課税制度)が平成26年1月1日から適用されることとされているが、①同一勘定設定期間内(最長4年間)における口座開設金融機関の変更ができない、②一度開設したNISA口座を廃止した場合、同一勘定設定期間内の再開設ができないなど、利用者にとって不便な点があることが指摘されている。
 この点については、今回の改正で見直されることとされており、平成27年1月1日以後に提出される変更届出書や廃止届出書から適用となる。
源泉徴収表等の一括提出が可能  また、支払調書、源泉徴収表等の提出方法について、提出義務者の選択により、本店等の所在地の所轄税務署長への一括提出が可能になる。ただし、e-Taxまたは光ディスク等で提出する場合が対象となる(図表3参照)。平成26年4月1日以後に提出すべき調書等について適用される。


法人課税関係は減税項目が中心に
 法人課税関係で最初に挙げられるのは、復興特別法人税の1年前倒しでの廃止だ。
 復興特別法人税は、平成24年度から平成26年度までの間、法人税額の10%として付加されているもの。しかし、10月1日に取りまとめたれた「民間投資活性化等のための税制改正大綱」では、足元の経済成長を賃金上昇につなげることを前提に、復興特別法人税の1年前倒しでの廃止について検討することとされていたが、予定どおり平成25年度で廃止されることになる。法人実効税率は35.64%となる。
 なお、復興特別法人税の課税期間終了後、法人が各事業年度において利子および配当等に課される復興特別所得税の額は、各事業年度において利子および配当等に課される所得税の額と合わせて、各事業年度の法人税の額から控除する。この場合に、復興特別所得税の額で法人税の額から控除しきれなかった金額があるときは、その金額が還付される。

Column 税効果会計、3月決算法人は改正後の税率で算定
 平成26年度税制改正法案は来年の通常国会に提出される。年度内に成立し、平成26年3月31日までに公布されることが見込まれるが、3月決算法人の場合、税効果会計については改正後の税率に基づき算定することになるので注意したい点だ。
 また、繰延税金資産または繰延税金負債については、将来の回収の見込みについて毎期見直しを行わなければならないとされているため、期末における将来減算一時差異および将来加算一時差異の将来解消見込年度のスケジューリングを実施。改正税法に基づく将来解消見込年度に適用される税率により繰延税金資産等の金額を算定することになる。

交際費は平成26年4月以降の支出分から  交際費等については、大企業においても飲食のために支出する費用(社内接待費を除く)の額の50%を損金の額に算入することができることになる。適用は、平成26年4月1日以後開始事業年度からとされる。
 中小企業の場合は、現行の定額控除(800万円)との選択制としたうえで、適用期限を2年間延長し平成28年3月31日までの間に開始する各事業年度において支出する交際費等について適用される(本誌527号4頁参照)。
国家戦略特区内では大型の設備投資減税  先の臨時国会で成立し、12月13日に公布された「国家戦略特別区域法」の制定に伴い、設備投資減税や研究開発税制の特例などの税制措置が講じられる。
 たとえば、国家戦略特別区域内において、同法に基づく事業実施計画に記載された機械装置、開発研究用器具備品、建物およびその附属設備並びに建築物で一定の規模以上のものを取得等し、事業の用に供した場合には、50%の特別償却または15%の税額控除の選択適用ができる(図表4参照)。なお、特定中核事業の場合には即時償却も可能となっている。

 適用は平成26年4月1日または同法の区域計画に関する規定の施行の日のいずれか遅い日から平成28年3月31日までとされている。

不動産業等のみなし仕入率引下げはいつから?
 消費税に関しては、簡易課税制度の見直しが注目される(本誌527号5頁参照)。具体的には、金融業および保険業のみなし仕入率が50%(現行60%)、不動産業のみなし仕入率は40%(現行50%)に引き下げられることになる。適用は平成27年4月1日以後に開始する課税期間からとされている。
課税売上割合、金銭債権は5%でOK  また、消費税の課税売上割合の計算の見直しも行われる。
 課税売上割合の計算において、有価証券の譲渡については、その譲渡対価の5%のみを非課税売上として取扱う一方、金銭債権の譲渡については、その譲渡対価の全額が非課税売上として取扱われている。
 今回の見直しでは、金銭債権等の譲渡については、その譲渡に係る対価の額の5%相当額を資産の譲渡等の対価の額に算入すればよいこととされる。住宅ローンの証券化や企業再生支援に伴うファンドへの売却等、貸出債権の売買が一般化している近年の経済実態を踏まえた見直しといえそうだ。

国際課税は総合主義から帰属主義へ
 そのほか、国際課税原則については、OECDモデル租税条約等を踏まえ、現行の「総合主義」に基づく国内法上の規定を「帰属主義」に沿った規定に見直される(図表5参照)。

 総合主義とは、恒久的施設(PE)を国内に有する外国法人等には、恒久的施設に帰属する所得に限ることなく、すべての国内源泉所得に課税すべきという考え方。一方、帰属主義とは、恒久的施設に帰属するすべての所得に課税すべきという考え方である。PEに帰属しない国内源泉所得は申告対象外となるものの、PEに帰属する国外所得は申告の対象となる。
 平成28年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税および平成29年分以後の所得税について適用される。

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