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解説記事2014年04月28日 【税務マエストロ】 新設分割等があった場合の納税義務の免除の特例(その2)(2014年4月28日号・№544)

税務マエストロ
税務における第一人者“税務マエストロ”による税実務講座

今週のマエストロ&テーマ
新設分割等があった場合の納税義務の免除の特例(その2)
#110 熊王征秀(税理士)

略歴 学校法人大原学園に税理士科物品税法の講師として入社し、在職中に酒税法、消費税法の講座を創設。その後、会計事務所勤務を経て税理士登録、独立開業。『消費税トラブルの傾向と対策』等、著書多数。
現在
東京税理士会会員相談室委員
東京税理士会税務審議部委員
東京地方税理士会税法研究所研究員
日本税務会計学会委員
大原大学院大学准教授

次回のテーマ
#111 移転価格税制への対応②
税理士法人プライスウォーターハウスクーパース 品川克己 税制改正や、中国進出企業の増加に伴い、国際課税上のリスクは高まっている。国際課税の第一人者がそのリスクを検証する。

※取り上げて欲しいテーマを編集部にお寄せください。
  e-mail:ta@lotus21.co.jp

マエストロの解説  前月号で解説したとおり、会社分割により設立された新設分割子法人は、新設分割親法人の実績を考慮した上で、納税義務を判定することとされている。この会社分割があった場合の納税義務の免除の特例規定は、新設分割子法人だけでなく、新設分割親法人についても適用しなければならない。つまり、新設分割親法人の基準期間における課税売上高が1,000万円以下であったとしても、これに対応する新設分割子法人の課税売上高を合算し、分割前の状態に戻したところで新設分割親法人の納税義務を判定するということである。
 今月は、新設分割親法人の納税義務の判定について、親法人が2社以上ある場合の取扱いもあわせ、その内容を確認する。
 納税義務の判定に用いる課税売上高は次のように計算する。なお、判定に用いる課税売上高は暦に従って計算し、1ヶ月未満の端数は1ヶ月とする(消令23⑧)。
 また、分割等による事業承継があったことにより、分割承継法人などが納税義務者となった場合には、「課税事業者届出書」とともに「相続・合併・分割等があったことにより納税義務者となる場合の付表」の提出が義務付けられている。

1 新設分割親法人の判定  新設分割親法人の、納税義務判定の対象事業年度開始の日の1年前の日の前々日以前に分割等があった場合には、図1中の「(イ)+(ロ)」の算式により、新設分割親法人の納税義務を判定する(消法12④、消令23⑤)。

 具体的な計算例は、図2参照。

 図2中③の期間の考え方は、新設分割親法人の特定事業年度(基準期間)における課税売上高(c)は、4月1日から9月30日までの6ヶ月分だけ、新設分割子法人の実績が欠けていることになる。そこで、新設分割子法人の課税売上高により、欠けている部分を計算するということである。

 ただし、次のいずれかに該当する場合には、納税義務免除の特例規定は適用されない。
○適用除外となる場合
・新設分割子法人が基準期間の末日において「特定要件」に該当しない場合
・新設分割親法人が2社以上ある場合
※新設分割親法人の、納税義務判定の対象事業年度開始の日の1年前の日の前日以後に分割等があった場合には、新設分割親法人の基準期間における課税売上高は分割前の実績をすべて反映しているため、特例判定をする必要はない。

2 親会社が2社以上ある場合の取扱い  新設分割親法人(親会社)が2社以上存在する場合の新設分割子法人(子会社)の納税義務判定について、設立第1期と第2期の判定はいずれか大きい親会社の課税売上高で判定し、第3期以降は分割の特例は適用除外とされている(本誌540号参照)。
 また、親会社の判定においても、親会社が2社以上存在する場合には分割の特例は適用除外となる。
 分割があった場合の納税義務免除の特例規定は、旧商法及び関連法が整備されるまでは、現物出資による会社設立の場合に限り、適用することとされていた。
 こういった理由から、特例規定の対象となる「分割等」の範囲には、「新設分割」だけでなく、「現物出資」や「事後設立」も含むこととされているのである(消法12⑦)。
 つまり、分割があった場合の納税義務免除の特例は、そもそもが親会社が1社で子会社が1社の場合を前提に規定されているものと考えられるのである。
 下図のように、親会社が事業の一部を分社して子会社を設立したとしても、その実態が同一法人と認められるような場合には、子会社の納税義務判定には親会社の実績を考慮し、また、親会社の納税義務判定には子会社の実績を考慮するということである。

 言い換えれば、下図のように、親会社が2社以上存在するような場合には、そもそもの親会社が別人格なのであり、あえて納税義務の特例判定は必要ないということである。

 ただし、親会社が2社以上ある場合をすべて適用除外とした場合には、子会社の基準期間がないという理由だけで子会社の設立第1期と第2期の納税義務が無条件に免除されることとなってしまう。そうすると、右図のように、明らかに租税回避を目的として親会社の事業の大半を子会社に移動させることが可能となることから、おそらくは、このような行為を防止するために、子会社の第1期と第2期についてだけは、親会社のいずれか大きい課税売上高が1,000万円を超える場合には、納税義務を免除しないこととしたのではないかと推察されるのである。
 また、親会社が2社以上ある場合の親会社の納税義務判定についてであるが、前述のように、それぞれの親会社は、そもそもが別人格の法人である。したがって、下図の親会社Aの納税義務を判定する際には、当然の事ながら、別の親会社であるBの実績を考慮する必要はない。
 以上、親会社が2社以上ある場合の新設分割の取扱いをまとめると、図3となる。



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