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コラム2014年05月26日 【コラム】 痛し痒しの消費税の転嫁対策(2014年5月26日号・№547)

痛し痒しの消費税の転嫁対策

4月だけで1,196件の便乗値上げの相談
 消費税率が4月から8%に引き上げられたが、これまでのところ中小企業者等に対する転嫁拒否などの悪質な事案は少なく、スムーズに転嫁が行われているようだ。
 その一方、消費者庁には便乗値上げに関する相談・苦情が相次いでいる。
4月中に消費者庁の相談窓口に寄せられた1,555件の相談等のうち、便乗値上げに関する相談等は1,196件にのぼっている。同庁によると、当初は事業者からの相談等が多かったが、今年の2月頃からは消費者からの相談等が急増しているという。
典型例は従来の税込価格に8%課税  典型的なものとしては、これまでの“税込価格”が“税抜価格”となり、この価格に8%が課されているというもの。たとえば、税込価格1,050円の商品の場合、これまでと同様の商品であれば税込価格1,080円となるところ、1,134円で売られているケースである。5%分が便乗値上げというわけだ。
罰則があるのは転嫁拒否のみ  しかし、消費税率引き上げ分を超える値上げがあったとしても、すぐに便乗値上げとされるわけではない。一般に商品の価格は、自由競争のもとで市場条件を反映して決定されるものであるため、便乗値上げに該当するかどうかは、商品の特性、需給の動向やコストの変動など、種々の要因を総合的に勘案されるからだ。
 また、平成25年10月1日から施行されている「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」については、転嫁拒否等に対する罰則等はあるものの、便乗値上げに対する罰則等はない。加えて、現行の法令等には行政処分等もない。
便乗値上げへの対策は?  消費者庁は、事業者に対しては消費者に対して値上げの合理的な理由を丁寧に説明することを求める一方、消費者に対しては事業者に値上げの要因を確認するようアドバイスするとともに、所管の各省庁へ情報提供を行うしかないのが実情のようだ(各省庁への情報提供後、どのような是正を行ったかは消費者庁が確認)。
 中小企業にとって死活問題となる転嫁拒否。消費税の転嫁がスムーズに行われていることは、消費税率の引き上げに際して政府の取り組みが成功したといえるだろう。
 しかし、一方では日に日に便乗値上げに関する相談等は増えている状況にもある。平成27年10月1日には10%への引き上げが予定されているだけに、消費者の感情を考えると、今後、何らかの対策が必要になってくる場面もありそうだ。

罰則等 公正取引委員会等の調査や立入検査により、減額や買いたたきなど、消費税転嫁対策法で禁止される行為が認められたときは行政機関による指導・助言が行われる。また、違反行為の程度が大きい場合などのケースでは事業者に必要な措置をとるよう勧告し、その旨を公表する。また、調査や立入検査に応じなかった場合には50万円以下の罰金に処せられる。

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