コラム2014年07月07日 【税実務Q&A】 出向者に係る特定役員退職手当等(2014年7月7日号・№553)
税実務Q&A
No.221 所得税>退職所得(特定役員退職手当等)
出向者に係る特定役員退職手当等
パートナーズ綜合税理士法人 税理士 藤村浩一郎
問 当社(親会社)の社員Aは、3年前から子会社に役員として出向しています。
この度、Aが当社を退職することとなり、子会社の取締役も同時に退任することとなりました。
Aの退職金については、子会社へ出向していた期間分は、子会社から直接本人へ支払う予定ですが、通常の退職所得と同様に取り扱っても良いでしょうか。
答
1.特定役員退職手当等の概要 平成24年度税制改正により、平成25年分以後の退職手当等のうち、特定役員等退職手当等については、通常の退職所得と異なり、退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額を2分の1しないこととされました(所法30②)。
この特定役員退職手当等とは、役員等勤続年数が5年以下である者が、その役員等勤続年数に対応する退職手当等として支払いを受けるものをいいます(所法30④)。
2.役員等の範囲 特定役員退職手当等に係る役員等の範囲は、次に掲げる者とされています(所法30④)。
①法人税法第2条第15号に規定する役員
②国会議員及び地方公共団体の議会の議員
③国家公務員及び地方公務員
3.役員等勤続年数 役員等勤続年数は、退職手当等に係る勤続期間(調整後勤続期間)のうち、役員等として勤務した期間により計算した年数(役員等として勤務した期間に1年未満の端数がある場合は、これを1年に切り上げます)とされています(所令69②、69の2②)。
したがって、基本的には、退職手当等の支払者のもとにおいて、支払の基因となった退職の日まで引き続き勤務した期間のうち、役員等として勤務した期間が5年以下かどうかにより判定を行うこととなります。
4.事例の場合 Aは、親会社の使用人として子会社に出向している身分ですが、子会社では法人税
法第2条第15号に規定する役員に該当するため、上記2の役員等に該当します。
次に、Aの子会社での役員等としての勤続期間ですが、3年前から役員として出向しているということですので、役員等勤続年数が5年以下となり、Aが子会社から受け取る退職金は、特定役員退職手当等に該当します。
このため、Aの子会社からの退職金については、特定役員退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額を2分の1することは出来ません。
なお、子会社では、退職金の支払いの際に所得税等の源泉徴収が必要となりますが、親会社からも退職金の支払いがあるような場合には、退職所得控除額について一定の特殊計算が必要となりますので留意が必要です。
No.221 所得税>退職所得(特定役員退職手当等)
出向者に係る特定役員退職手当等
パートナーズ綜合税理士法人 税理士 藤村浩一郎
問 当社(親会社)の社員Aは、3年前から子会社に役員として出向しています。
この度、Aが当社を退職することとなり、子会社の取締役も同時に退任することとなりました。
Aの退職金については、子会社へ出向していた期間分は、子会社から直接本人へ支払う予定ですが、通常の退職所得と同様に取り扱っても良いでしょうか。
答
1.特定役員退職手当等の概要 平成24年度税制改正により、平成25年分以後の退職手当等のうち、特定役員等退職手当等については、通常の退職所得と異なり、退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額を2分の1しないこととされました(所法30②)。
この特定役員退職手当等とは、役員等勤続年数が5年以下である者が、その役員等勤続年数に対応する退職手当等として支払いを受けるものをいいます(所法30④)。
2.役員等の範囲 特定役員退職手当等に係る役員等の範囲は、次に掲げる者とされています(所法30④)。
①法人税法第2条第15号に規定する役員
②国会議員及び地方公共団体の議会の議員
③国家公務員及び地方公務員
3.役員等勤続年数 役員等勤続年数は、退職手当等に係る勤続期間(調整後勤続期間)のうち、役員等として勤務した期間により計算した年数(役員等として勤務した期間に1年未満の端数がある場合は、これを1年に切り上げます)とされています(所令69②、69の2②)。
したがって、基本的には、退職手当等の支払者のもとにおいて、支払の基因となった退職の日まで引き続き勤務した期間のうち、役員等として勤務した期間が5年以下かどうかにより判定を行うこととなります。
4.事例の場合 Aは、親会社の使用人として子会社に出向している身分ですが、子会社では法人税
法第2条第15号に規定する役員に該当するため、上記2の役員等に該当します。
次に、Aの子会社での役員等としての勤続期間ですが、3年前から役員として出向しているということですので、役員等勤続年数が5年以下となり、Aが子会社から受け取る退職金は、特定役員退職手当等に該当します。
このため、Aの子会社からの退職金については、特定役員退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額を2分の1することは出来ません。
なお、子会社では、退職金の支払いの際に所得税等の源泉徴収が必要となりますが、親会社からも退職金の支払いがあるような場合には、退職所得控除額について一定の特殊計算が必要となりますので留意が必要です。
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