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解説記事2014年07月21日 【税制改正解説】 平成26年度における所得税関係の改正について(下)(2014年7月21日号・№555)

税制改正解説
平成26年度における所得税関係の改正について(下)
 岡村淳平

Ⅲ 租税特別措置法等(所得税関係の土地・住宅税制関係)の改正

1 土地の譲渡等に係る事業所得等の課税の特例の改正
 特例の適用除外となる土地等の譲渡から独立行政法人環境再生保全機構に対する土地等の譲渡が除外されるとともに、特例の適用停止措置の期限が平成29年3月31日まで延長された。

2 優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の改正
(1)
適用対象に、マンションの建替え等の円滑化に関する法律の売渡し請求に基づく一定のマンション敷地売却事業を実施する者に対する土地等の譲渡又はそのマンション敷地売却事業に係る認可を受けた分配金取得計画に基づくそのマンション敷地売却事業を実施する者に対する土地等の譲渡が追加された。
(2)特定の民間再開発事業に係る措置の対象となる施行区域について、次の改正が行われた。
① 都市再生特別措置法の認定誘導事業計画の区域が追加されるとともに、同法の認定整備事業計画の区域が除外された。
② 都市計画法の地区計画の区域が除外された。
(3)都市再生特別措置法の一定の都市再生推進法人に対する土地等の譲渡が引き続き本特例の対象とされた。
(4)適用対象から、独立行政法人環境再生保全機構に対する土地等の譲渡が除外された。
(5)適用期限が平成28年12月31日まで3年延長された。

3 収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例の改正
(1)
簡易証明制度について、次の改正が行われました。
① 対象に、地方公共団体、社会福祉法人又は学校法人が新幼保連携型認定こども園を設置する事業が追加されるとともに、現行の幼保連携型認定こども園を構成する幼稚園又は保育所の設置に関する事業が除外された。
② 対象に、地方公共団体又は社会福祉法人が小規模保育事業の用に供する施設を設置する事業が追加された。
③ 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律の一部改正に伴う所要の整備が行われた。
(2)収用等証明書の記載事項の特例の対象から、独立行政法人中小企業基盤整備機構が工業再配置等業務に関連して卸電気事業者に代わり資産を買い取る場合が除外された。

4 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2,000万円特別控除の改正  適用対象に、重要文化財、史跡、名勝又は天然記念物として指定された土地が博物館法の規定により博物館相当施設として指定された博物館又は植物園の設置及び管理の業務を行うことを主たる目的とする地方独立行政法人に買い取られる場合が追加された。

5 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除の改正
(1)
適用対象に、都市再生特別措置法の一定の都市再生推進法人が行う立地適正化計画に記載された公共施設の整備に関する事業の用に供するために土地等が買い取られる場合が追加された。
(2)適用対象に、通行障害既存耐震不適格建築物に該当する決議要除却認定マンションの敷地の用に供されている土地等につきマンションの建替え等の円滑化に関する法律のマンション敷地売却事業(その事業に係る認定買受計画に、その決議要除却認定マンションを除却した後の土地に新たに建築されるマンションに関する事項の記載があるものに限る。)が実施された場合において、その土地等に係る分配金取得計画に基づき分配金を取得するとき又はその土地等が同法の売渡し請求により買い取られたときが追加された。
(3)適用対象に、農用地区域内にある農用地が農業経営基盤強化促進法の買入協議に基づいて、農地中間管理事業の推進に関する法律により創設された農地中間管理機構(一定のものに限る。)に買い取られる場合が追加された。

6 農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合の800万円特別控除の改正  適用対象に、農地中間管理事業の推進に関する法律により創設された農地中間管理機構(一定のものに限る。)に農地売買等事業のために農用地区域内にある農地等を譲渡した場合が追加された。

7 特定の事業用資産の買換え等の場合の譲渡所得の課税の特例の改正
(1)
下記(2)から(12)までの改正が行われた上、長期所有の土地、建物等から国内にある土地、建物、機械装置等への買換え以外の措置の適用期限が平成29年12月31日まで3年延長された。
(2)適用対象となる資産の取得の範囲から、非適格現物分配による取得が除外された。
(3)既成市街地等の内から外への買換えについて、買換資産のうち農業又は林業以外の事業の用に供されるものの対象区域に、都市開発区域が追加された。 
(4)市街化区域又は既成市街地等の内から外への農業用資産の買換えについて、買換資産は認定農業者又は認定就農者の農業の用に供されるものに限定されるとともに、買換資産となる土地等はその面積が譲渡資産である土地等に係る面積を超えるもの又はその認定農業者若しくは認定就農者が所有権、賃借権若しくは使用貸借による権利を有する土地に隣接する土地等に限定された。
(5)航空機騒音障害区域の内から外への買換えについて、譲渡資産は特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法等の規定により買い取られ、又は補償金を取得する場合に譲渡をした資産に限定されるとともに、譲渡資産となる土地等については、平成26年4月1日又はその土地等のある区域が航空機騒音障害区域となった日のいずれか遅い日以後に取得をされたものが除外された。
(6)誘致地区の外から内への買換えに係る措置が除外された。
(7)都市開発区域等の外から内への買換えのうち首都圏整備法等の都市開発区域に係る措置が除外された。
(8)適用対象に、都市機能誘導区域以外の地域内にある土地等、建物又は構築物から都市機能誘導区域内にある特定資産で、その区域内における誘導施設等整備事業に係る認定誘導事業計画に記載された誘導施設において行われる事業の用に供されるものへの買換えが追加された。
(9)既成市街地等内における土地の計画的かつ効率的な利用に資する施策の実施に伴う土地等の買換えについて、買換資産が市街地再開発事業の施行される土地の区域の面積が5,000㎡以上である市街地再開発事業に関する都市計画に伴い取得するものに限定された。
(10)農用地区域等内にある土地等の買換えについて、譲渡資産が農業振興地域整備計画において農用地区域として定められている区域内にある土地等に限定されるとともに、買換資産が農用地区域内にある土地等で認定農業者又は認定就農者が農用地利用集積計画の定めるところにより取得をするもののうち、その面積が譲渡資産である土地等に係る面積を超えるもの又はその認定農業者若しくは認定就農者が所有権、賃借権若しくは使用貸借による権利を有する土地に隣接するものに限定された。
(11)防災再開発促進地区内にある土地等の買換えについて、対象区域が地震その他の災害が発生した場合に著しく危険な地区であって国土交通大臣が指定する地区に限定された。
(12)船舶から船舶への買換えについて、譲渡資産が日本船舶のうちその進水の日からその譲渡の日までの期間が一定の期間内のものに限定されるとともに、買換資産となる船舶の要件が見直され、船齢が譲渡船舶の進水の日からその譲渡船舶の譲渡の日までの期間に満たないもの(一定のものに限る。)のうち環境への負荷の低減に資する船舶として国土交通大臣及び農林水産大臣が財務大臣と協議して指定するものとされた。

8 既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例の改正  特定民間再開発事業に係る措置について、次の改正が行われた。
(1)特定民間再開発事業の施行区域について、都市再生特別措置法の認定誘導事業計画の区域が追加された上で、その認定誘導事業計画に係る認定権者は国土交通大臣とされた。あわせて、同法の認定整備事業計画の区域が除外された。
(2)特定民間再開発事業の施行区域から都市計画法の地区計画の区域が除外された。

9 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除等の改正
(1)
居住者が、建築後使用されたことのある家屋であって、耐震基準及び経過年数基準のいずれにも適合しないもので一定のもの(以下「要耐震改修住宅」という。)を取得した場合において、その要耐震改修住宅の取得の日までにその住宅に対して耐震改修を行うことにつき一定の申請をし、かつ、耐震改修によりその要耐震改修住宅がその者の居住の用に供する日(その取得の日から6月以内の日に限る。)までに耐震基準に適合することとなったことにつき証明がされたときは、この特別控除の適用を受けることができることとされた。
(2)東日本大震災の被災者等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額の特例についても、対象となる住宅の新築取得等の範囲に、上記(1)の対象となる要耐震改修住宅の取得が追加された。

10 特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例の改正  譲渡資産の譲渡に係る対価の額の要件が1億円以下(改正前:1億5,000万円以下)に引き下げられた上、その適用期限が平成27年12月31日まで2年延長された。

11 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の改正  適用期限が平成27年12月31日まで2年延長された。

12 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の改正  適用期限が平成27年12月31日まで2年延長された。

Ⅳ 租税特別措置法等(事業所得等の課税の特例関係その他)の改正

1 肉用牛の売却による農業所得の課税の特例の改正
 適用期限が平成29年まで3年延長された。

2 社会保険診療報酬の所得計算の特例の改正  適用対象となる社会保険診療の範囲に、次の医療が追加された。
(1)難病の患者に対する医療等に関する法律の規定によって特定医療費を支給することとされる支給認定を受けた指定難病の患者に係る指定特定医療のうち一定の部分
(2)児童福祉法の規定によって小児慢性特定疾病医療費を支給することとされる医療費支給認定に係る小児慢性特定疾病児童等に係る指定小児慢性特定疾病医療支援のうち一定の部分

3 債務処理計画に基づく減価償却資産等の損失の必要経費算入の特例の創設  青色申告書を提出する個人が、その個人について策定された債務処理に関する計画で一般に公表された債務処理を行うための手続に関する準則に基づき策定されていることその他一定の要件を満たすものに基づきその有する債務の免除を受けた場合において、その個人の不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業の用に供される減価償却資産その他の資産の価額についてその準則に定められた方法により評定が行われているときは、その資産の損失の額は、その免除を受けた日の属する年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入することとされた。

4 被災した個人について債務処理計画が策定された場合の課税の特例の創設  東日本大震災によって被害を受けたことにより過大な債務を負っている次に掲げる個人で青色申告書を提出するものについて、債務処理に関する計画で一般に公表された債務処理を行うための手続に関する準則に基づき策定されていることその他一定の要件を満たすものが策定された場合には、その個人も上記3の「債務処理計画に基づく減価償却資産等の損失の必要経費算入の特例」の適用を受けることができることとされた。
(1)株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法の支援決定の対象となった個人
(2)株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法の産業復興機構の組合財産である債権の債務者である個人

5 相続財産に係る譲渡所得の課税の特例の改正
(1)
この制度により、相続財産である土地等の一部を譲渡した場合の譲渡所得の金額の計算上、取得費に加算して控除できる金額を、「その者が相続又は遺贈により取得した全ての土地等に対応する相続税に相当する金額」から「その譲渡をした土地等に対応する相続税に相当する金額」とされた。
(2)相続財産の譲渡をした日の属する年分の確定申告期限の翌日から相続税の申告期限までの間に相続税申告書の提出をした者が、その資産の譲渡についてこの制度を適用することにより、その者の確定申告書又は決定に係る所得税の課税標準等又は税額等が過大となる場合には、その相続税の期限内申告書の提出をした日の翌日から2月以内に限り、税務署長に対し、更正の請求をして本制度の適用を受けることができることとされた。
(3)適用対象者に、非上場株式等についての贈与税の納税猶予の適用を受けていた個人で、その非上場株式等の贈与者の死亡によってその非上場株式等を相続又は遺贈により取得した者とみなされるものが追加された。
(4)対象となる相続財産の譲渡に、譲渡所得の基因となる不動産等の貸付けが追加された。
(5)計算の基礎となる相続税額は、同一の被相続人からの相続又は遺贈による財産の取得をした者のうちに農地等についての相続税の納税猶予等の適用を受ける者がある場合には、その適用に係る納付税額とされた。
(6)対象となる相続財産に、相続財産に係る換地処分又は権利変換により取得した資産が追加された。
(7)同一年中に本制度の対象となる相続財産の譲渡を2回以上した場合には、本制度により取得費に加算する金額は、その譲渡をした資産ごとに計算することとされた。
(8)本制度の適用において、相続税の修正申告書の提出により相続税額が異動した場合には、その修正申告後の相続税額を基礎として計算することとされた。

6 国等に対して財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税制度の改正
(1)
代替資産の範囲に、公益法人等が贈与等を受けた株式につき一定の株式交換又は株式移転による譲渡があった場合において、その取得する株式交換完全親法人の株式等若しくは親法人の株式等又は株式移転完全親法人の株式が追加された。
(2)非課税承認要件である贈与者等の所得税等を不当に減少させる結果とならないことを満たすための条件に、公益法人等がその贈与等により有することとなる株式が発行済株式の総数の2分の1を超えることとならないことが追加された。
(3)非課税承認の取消しにより公益法人等に課税する場合において、その公益法人等がその非課税承認が取り消された日の属する年以前に解散をしたときにおける納税義務の成立時期、課税年分、確定申告期間及び納付期限等について見直しが行われた。
(4)公益合併法人等が一定の公益法人等から合併等により資産の移転等を受けた場合に、その公益合併法人等が、その資産が非課税承認を受けて行われた贈与等に係る財産等であることを知った日以後2月以内に一定の書類を国税庁長官に提出することで、本非課税制度を継続して適用できることとされた。
(5)受贈資産を有する公益法人等が、その受贈資産の移転につき合併等に係る非課税制度の継続の特例措置を受けようとする場合には、国税庁長官に対し、その受贈資産が非課税承認を受けて行われた贈与等に係る財産等であることの確認を求めることができることとされた。
(6)非課税承認の要件の特例の対象となる地方独立行政法人の範囲に、博物館等の設置及び管理の業務を行うことを主たる目的とするものが追加された。

7 国等に対して重要文化財等を譲渡した場合の譲渡所得の課税の特例の改正  非課税の特例及び2分の1課税の特例の対象となる譲渡先の範囲に博物館法の規定により博物館相当施設として指定された博物館等の設置及び管理の業務を行うことを主たる目的とする地方独立行政法人が追加されるとともに、2分の1課税の特例の適用期限が平成28年12月31日まで2年延長された。

8 簡素な給付措置(臨時福祉給付金)及び子育て世帯に対する臨時特例給付措置の非課税措置の創設
(1)
住民基本台帳に記録されている者等のうち、市町村民税が課されていないもの等に対して臨時福祉給付金給付事業費補助金を財源として市町村又は特別区から給付される給付金については、所得税を課さないこととされた。
(2)児童手当法による児童手当の給付の支給を受ける者等に対して子育て世帯臨時特例給付金給付事業費補助金を財源として市町村又は特別区から給付される給付金については、所得税を課さないこととされた。

9 政治活動に関する寄附をした場合の寄附金控除の特例又は所得税額の特別控除の改正  適用期限が平成31年12月31日まで5年延長された。

10 雑損控除の特例の創設  東日本大震災により住宅又は家財等に損失が生じた場合において、震災関連原状回復支出についてやむを得ない事情によりその災害のやんだ日以後3年以内にすることができなかった居住者が、その事情のやんだ日以後3年以内にその支出をしたときは、その震災関連原状回復支出を災害関連支出とみなして、雑損控除及び雑損失の繰越控除を適用することができることとされた。

11 純損失の繰越控除の特例の創設  東日本大震災により事業用資産に損失が生じた場合において、震災関連原状回復費用についてやむを得ない事情によりその災害のやんだ日以後3年以内にその支出をすることができなかった居住者が、その事情のやんだ日以後3年以内にその支出をしたときは、その震災関連原状回復費用の支出の金額を災害に関連するやむを得ない支出の金額とみなして、被災事業用資産の損失の繰越控除を適用することができることとされた。

12 被災した法人について債務処理計画が策定された場合の課税の特例の創設  株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法の支援決定の対象となった内国法人(中小企業者に該当するものに限る。)の取締役等でその内国法人の債務の保証に係る保証債務を有するものが、その取締役等の有する資産でその資産に設定された賃借権、使用貸借権等が現にその内国法人の事業の用に供されているものを、その内国法人について策定された債務処理に関する計画のうち、一般に公表された債務処理を行うための手続に関する準則に基づき策定されていることその他一定の要件を満たすものに基づきその内国法人に贈与した場合には、「債務処理計画に基づき資産を贈与した場合の課税の特例(みなし譲渡課税の非課税)」の適用を受けることができることとされた。

13 その他  租税特別措置法及び東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の改正において、個人の事業所得等に係る特別税額控除及び特別償却、割増償却及び準備金制度について、法人税関係の改正とほぼ同様の改正が行われている。

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