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コラム2014年08月25日 【SCOPE】 独立役員の複数選任だけでないコーポレートガバナンス・コード(2014年8月25日号・№559)

株主総会の基準日なども論点になる可能性
独立役員の複数選任だけでないコーポレートガバナンス・コード

 金融庁と東京証券取引所は「コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議」(座長:池尾和人慶應義塾大学経済学部教授)を設置。8月7日に第1回目の会議を開催し、上場企業のコーポレートガバナンス上の諸原則を記載した「コーポレートガバナンス・コード」の策定に着手した。今年6月に閣議決定された「日本再興戦略」改訂2014を踏まえたもの。11月頃を目途に原案を策定し、平成27年6月総会での活用をするよう求める。法令上の義務はないものの、東京証券取引所はコーポレートガバナンス・コードを踏まえた上場規則を規定することとしており、一定程度の規範性を有することになる。独立役員の複数選任のほか、株主総会の基準日なども論点に浮上してくる可能性もありそうだ。

OECDコーポレートガバナンス原則を指針に
 コーポレートガバナンス・コードは、英国、フランス、ドイツなどで策定されているもので(表1参照)、独立役員設置など、企業統治におけるベストプラクティスの採用とその開示の統一化等に関し、「Comply or Explain」(原則を実施するか、実施しない場合にはその理由を説明するか)の下で企業に促すための企業統治の具体的姿勢を示したもの。日本でも、今年6月24日に閣議決定された「日本再興戦略」改訂2014を踏まえ、金融庁と東京証券取引所が事務局となり、有識者会議を立ち上げたものだ。

 コーポレートガバナンス・コード策定に関しては、「OECDコーポレートガバナンス原則」を踏まえたものとしている。具体的には、①株主の権利、②株主の平等な取扱い(株主の権利侵害に対する有効な救済など)、③株主以外のステークホルダーの役割、④開示及び透明性、⑤取締役会の責任である(表2参照)。

上場規則で企業には一定の規範性が  なかでも議論となりそうなのは独立取締役の複数確保を努力義務とするかどうかだ。自民党の日本経済再生本部が5月にまとめた「日本再生ビジョン」では、「取締役である独立役員を少なくとも2名以上確保しない場合、当該事業年度に関する定時株主総会において、取締役である独立役員を少なくとも2名以上置くことが相当でない理由を説明しなければならない」と明記されているからだ。コーポレートガバナンス・コードは法令上の義務はないが、東京証券取引所では上場規則を改正することとしており、一定程度の規範性を有することになる。同取引所の調査によると、全上場会社のうち独立社外役員を選任している会社は1,595社(46.7%)となっているため、仮に導入された場合には、ある程度の影響を及ぼすことになりそうだ。

定款で基準日を定めれば7月以降でも総会開催が可能に
 ただ、上場企業といっても大企業からベンチャー企業までその規模は様々だ。海外投資家が売買するような上場企業とそれ以外の上場企業とで規定を同じにするべきではないとの意見もあり、今後の論点となりそうだ。
 また、場合によっては経済産業省が検討している株主総会の開催日や基準日の設定についてもコーポレートガバナンス・コードを策定する上での論点に上がる可能性がある。
 前述の「日本再興戦略」改訂2014では、「企業と投資家との対話の促進の観点から、株主総会の開催日や基準日の設定等について国際的な状況を踏まえてその運用の在り方についての検討を行うとともに、産業関係団体等におけるガイドラインの検討を行う。」ことが明記されている。
 例えば、多くの3月決算会社では、定時株主総会について毎年3月31日を基準日とし、毎年6月に招集する旨を定款で規定しているのが一般的だ。
 ただ、会社法上は事業年度の終了後の一定の時期に定時株主総会を開催すればよいとされているため、基準日を別に定めれば、6月末までに定時株主総会を開催しなくても法令違反にはならない。したがって、定時株主総会の開催時期をずらすことにより投資家との対話を促進させることは可能。結局は企業の対応次第ということになるため、今回のコーポレートガバナンス・コード策定の論点となり得るわけだ。

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