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コラム2014年11月10日 【レポート】 ノンコミットメント型ライツ、上場制度見直しで濫用に歯止め(2014年11月10日号・№570)

ノンコミットメント型ライツ、上場制度見直しで濫用に歯止め
東証、株主総会決議などが必要に

 ノンコミットメント型ライツ・オファリングが濫用的に利用されているとの問題に対応するため、東京証券取引所は10月24日、新株予約権証券の上場制度の見直しに係る取引参加者規程等を一部改正した(原則として10月31日から施行)。ノンコミットメント型ライツ・オファリングの上場については、既存の上場基準に加え、株主の意思確認又は証券会社による審査を求めるほか、当該上場会社の経営成績及び財務状態に係る形式基準を設置している。

大半がノンコミットメント型  ライツ・オファリングとは、「公募増資」や「第三者割当増資」と同様、企業の増資手法の1つ。すべての既存の株主に新株予約権無償割当てを行い、行使して資金を払い込んだ株主は新株を取得、行使しない株主は予約権を市場で売却する制度であり、第三者割当増資などに比べて、株式の希薄化をできる限り回避できる手法となっている。東京証券取引所が新株予約権証券の上場基準を緩和(平成22年12月30日施行)したことにより制度整備が図られた。
 ライツ・オファリングには、コミットメント型とノンコミットメント型の2類型がある(図表1参照)。コミットメント型は株主が権利不行使だった場合には証券会社がライツを取得して権利行使(払込み)することになり、上場会社は満額の資金調達が可能になる。一方、ノンコミットメント型は、既存株主が権利を行使しなければ消滅することになる。この場合、上場会社は満額の資金調達はできないことになる。

 東京証券取引所によると、これまで実施されたライツ・オファリング30件のうち、27件がノンコミットメント型となっている。ライツ・オファリングが普及する英国などとは大きく異なり、日本でノンコミットメント型を採用する上場企業の多くは、経営成績や財政状態が悪く、他の増資手法では増資の引き受け手がいないところが多いというのが特徴となっている。

株主は割安な価格で投げ売りするのみ  ライツを割り当てられた株主については、①行使、②放棄、③売却の選択肢があるが、実際には③の「売却」しか残されていないのが実態だったようだ。ノンコミットメント型を採用する上場企業については経営成績や財政状態が悪い会社であり、増資に応じても業績回復とはならないため株主が権利を「行使」する選択肢はない。また、ノンコミットメント型であるため、増資に応じなければライツは消滅し、ライツの価値に相当する経済的な損失を被ることになるため、「放棄」という選択肢も考えにくい。したがって、株主は割安な価格で投げ売りするしかない状況となっている(図表2参照)。

 一方、上場企業の方は、市場で割安で新株予約権を購入した投資家が利益確定のためにライツを行使することにより、満額とはならないものの資金調達には成功するという状況となっている。

2期連続赤字や債務超過なら上場できず  このため、東京証券取引所では、ノンコミットメント型の場合には、増資の合理性を評価する手続きとして、株主総会決議による株主の意思確認、又は証券会社による審査を求めることとされている。
 加えて、当該上場会社の経営成績及び財務状態に係る形式基準を設置。①2期連続で経常赤字でないこと、②直前事業年度又は直前四半期会計期間の末日において債務超過でないこと2つの要件に該当することが必要とするよう、上場制度の見直しを行っている。

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