カートの中身空

閲覧履歴

最近閲覧した商品

表示情報はありません

最近閲覧した記事

解説記事2015年01月19日 【ニュース特集】 適用時期から見る平成27年度税制改正大綱(2015年1月19日号・№579)

28年から施行の改正も多数
適用時期から見る平成27年度税制改正大綱

 自由民主党及び公明党は平成26年12月30日に平成27年度税制改正大綱を取りまとめた(本誌578号20頁参照)。平成27年度税制改正については、法人税率の引下げに伴う財源確保措置以外にも、消費税率10%引上げ時期の延期に伴う住宅取得等資金の贈与税の非課税措置の拡充、さらにはシニア世代から若年層への資産移転を促すような税制も措置されるなど、改正項目が多岐にわたっている。加えて、適用時期についてはかなりのバラつきが見受けられる。これは最近の税制改正の特徴といえそうだが、実務家にとっては適用時期の管理が必要になってこよう。本特集では、主な平成27年度税制改正項目の適用時期を見ながら重要改正のポイントを紹介する。

ジュニアNISAは平成28年から適用、現行制度と合わせれば年間200万
 個人所得課税関係の改正項目については、適用時期のバラつきが多く見受けられる。その1つが、新設されたジュニアNISAだ(図表1参照)。同制度は、既存のNISAの若年層版であり、高齢者の金融資産を孫などの若年層に移転することを目的としている。

 具体的には、20歳未満の人が開設するJ-NISA口座内の少額上場株式等の配当及び譲渡益を非課税とするものであり、非課税投資総額は最大400万円(80万円×5年間)とされている。適用時期は現行のNISAと同様、平成28年から平成35年までの8年間となっている。具体的には、平成28年1月1日以後に口座の開設の申込みがされ、同年4月1日から受け入れる上場株式等について適用される。
 なお、現行のNISAについても年間の投資上限額が100万円から年間120万円に増額される。平成28年分からとされており、ジュニアNISAと合わせると投資額は年間200万円となる。
住宅ローン控除は1年6か月延長  住宅ローン控除等については、適用期限が平成29年12月31日までとされているが、消費税率10%への引上げ時期が先送りされることを踏まえ、早々と延長が決定。適用期限は平成31年6月30日までとなる。最大控除額は現行と同様、一般住宅の場合は400万円、認定住宅の場合は500万円である。
 学校法人への個人寄附に係る税額控除については、いわゆるパブリック・サポート・テスト(寄附実績)に関する要件が緩和される。現行、学校法人等の設置する学校の定員の合計数が5,000人に満たない場合には3,000円以上の寄附者数が年平均100人以上であることが要件とされているが、幼稚園や小・中・高のみを設置するような小規模法人にとってはパブリック・サポート・テスト要件をクリアすることが困難な状況となっている。
 このため、平成27年度税制改正では学校の定員の合計数を5,000で除した数に100を乗じた数(最低10人)以上であることとするとともに、判定基準寄附者に係る寄附金の年平均の金額が30万円以上とされることになった。文部科学省によれば、今回の改正で対象となる学校法人が増える見込みとのことだ。この改正は平成27年分以後の所得税について適用される。
財産債務調書は平成28年1月から  いわゆる出国時課税制度(国外転出をする場合の譲渡所得等の特例)については、すでにお伝えしているとおり、平成27年7月1日から施行される(本誌577号9頁参照)。また、財産債務明細書(改正後は財産債務調書)の見直しは、平成28年1月1日以後に提出すべき財産債務調書について適用される。提出基準は「所得2千万円超」に加え、「総資産3億円以上又は有価証券等1億円以上(12月31日時点)」とされている(編注:本誌577号10頁掲載の「財産債務明細書の記載事項に「取得価額」」の記事では、取材当時の議論を踏まえ、「財産債務明細書の提出基準として「総資産1億円以上」が追加される」旨の記載としておりますが、平成26年末の税制改正議論の結果、平成27年度税制改正大綱では、最終的に「総資産3億円以上又は有価証券等1億円以上(12月31日時点)」との提出基準が追加されることになりましたのでご留意ください。)。
送金依頼書やクレジット利用明細書を想定  日本国外に居住する親族に係る扶養控除等の書類の添付等の義務化に関しては、親族関係書類及び送金関係書類を確定申告書等に添付することになる(本誌572号9頁参照)。
 親族関係書類とは、「戸籍の附票の写しその他国又は地方公共団体が発行した書類でその納税者の親族であることを証するもの及びその親族の旅券の写し」(納税者の親族が日本人である場合を想定)又は「外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類で、その納税者の親族であることを証するもの(その親族の氏名、住所及び生年月日の記載があるものに限る)」(納税者の親族が外国人である場合を想定)とされている。また、送金関係書類とは、「送金依頼書」又は「クレジットカード利用明細書」とされている。
 上記の改正は、平成28年1月1日以後に支払われる給与等及び公的年金等並びに平成28年分以後の所得税について適用される。
 そのほか、「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」や「贈与税の配偶者控除」など、確定申告書に住民票の写しを添付することとされている特例については、マイナンバー導入により、住民票の写し等の添付が不要となる(図表2参照)。こちらは個人番号の利用開始が予定されている平成28年以降、つまり平成28年分の確定申告書から適用されることになりそうだ。


住宅取得等資金贈与のタイミングはいつ?
 資産課税関係では、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置について適用期限が平成31年6月30日まで延長された上、その拡充が平成27年1月から実施される。これは消費税率が平成29年4月から10%に引き上げられることに伴う改正である。
 耐震・エコ・バリアフリー住宅については、平成27年1月~12月は1,500万円(現行1,000万円)に引き上げる。平成28年1月~9月は駆け込み増を考慮して非課税枠を縮小。その一方、平成28年10月~平成29年9月までは消費税率10%が適用される住宅購入者のみを対象として非課税枠を3,000万円に引き上げる。その後、平成29年10月~平成30年9月は1,500万円に引下げ、平成30年10月~平成31年6月については1,200万円とする(今号9頁参照)。
 なお、一般住宅の場合は耐震・エコ・バリアフリー住宅の場合と比べて非課税枠が各期間で500万円低くなっている。
出産費用など、1,000万円まで非課税  新たに創設される結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置は、平成27年4月1日から平成31年3月31日までの間に拠出されるものが対象となる。同制度は、親・祖父母(贈与者)が金融機関に子・孫(20歳~50歳。受贈者)名義の口座を開設し、一括して拠出した結婚・子育て資金を、子・孫ごとに1,000万円までを非課税とするものである(結婚に際して支出する費用は300万円が限度)。払出し可能な使途としては、挙式費用、新居の住居費、引越費用、不妊治療費、出産費用、産後ケア費用、子の医療費、子の保育費(ベビーシッター費含む)となっており、受贈者が50歳に達する日に口座は終了する。使い残しの資金については贈与税が課せられることになる(今号10頁参照)。
滞在費は対象外  そのほかでは、教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置について、適用期限を平成31年3月31日(現行:平成27年12月31日)まで延長した上、非課税となる教育資金の使途の範囲に通学定期代、留学渡航費が追加されることになる。
 なお、留学渡航費とはあくまで渡航費のみを指し、滞在費はこれまでどおり非課税とはならない。

法人実効税率の引下げ、税効果会計に留意
 主な法人課税関係の改正については、すでに本誌578号4頁でお伝えしたとおりである。例えば、改正後の法人税率については、平成27年4月1日以後開始する事業年度から適用されることになり、平成27年度の法人実効税率は32.11%に引き下げられることになる。
 なお、1月下旬に予定されている通常国会に提出される平成27年度税制改正法案は年度内成立し、平成27年3月31日までに公布されることが見込まれるが、3月決算法人の場合、税効果会計については改正後の税率に基づき算定されることになるので留意しておきたい点だ。
平成30年3月末までの配当は従前どおり  国際課税関係では、外国子会社配当益金不算入制度から損金算入配当を除外する見直し(本誌576号9頁参照)は、平成28年4月1日以後に開始する事業年度において受ける配当について適用される。ただし、企業の事務負担に配慮した経過措置が設けられており、平成28年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する各事業年度において受ける配当(平成28年4月1日において有する株式等に係るものに限る)については、従前の取扱いを維持することとされている。

消費税転嫁対策法も平成30年9月30日まで延長へ
 消費課税関係では、消費税率の10%引上げ時期が変更される。具体的には、「景気判断条項」を削除した上、施行日をこれまでの平成27年10月1日から「平成29年4月1日」に変更。これに伴い、工事の請負等や資産の貸付けに係る適用税率の経過措置の指定日も平成27年4月1日から「平成28年10月1日」に変更されることになる。
 また、総額表示の緩和など、消費税転嫁対策特別措置法の適用期限も消費税率引上げ時期の変更に合わせ、平成30年9月30日まで1年半延長される。
電子書籍への課税は平成27年10月から  国境を超えた役務の提供に対する消費税の課税の見直しについては、国外事業者が国境を越えて行う電子書籍・音楽・広告の配信等の電子商取引に、消費税を課税することとし、平成27年10月1日から施行される予定だ(図表3参照)。サービス提供者が国外事業者である場合の課税方式については、①事業者向け取引については、「リバースチャージ方式」を導入し、②消費者向け取引については、国外事業者が申告納税を行う方式とされている。

 また、国外事業者による芸能・スポーツ等の役務の提供に係る消費税の課税方式の見直し(本誌574号7頁参照)については、平成28年4月1日以後から適用されることになる。
 現行、国内において行われた芸能・スポーツ等の役務提供は、消費税が課税されており、役務提供を行った国外事業者が消費税の申告・納税義務を負っているが、申告漏れが散見されていることから、消費税の納税義務について、役務提供を行う事業者から役務提供を受ける事業者に転換するものである。

当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。

週刊T&Amaster 年間購読

お申し込み

新日本法規WEB会員

試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。

週刊T&Amaster無料試読申し込みはこちら

人気記事

人気商品

  • footer_購読者専用ダウンロードサービス
  • footer_法苑WEB
  • footer_裁判官検索