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解説記事2015年10月12日 【SCOPE】 税効果会計の適用税率は税制改正法案の“国会成立日”に(2015年10月12日号・№613)

平成28年3月期から適用へ
税効果会計の適用税率は税制改正法案の“国会成立日”に

 企業会計基準委員会(ASBJ)は、税効果会計に適用する税率について、現在の「公布日基準」から税制改正法案が「国会で成立した日」とする方向だ。現在の公布日基準では決算日前までに国会で税制改正法案が成立していても法律の公布が決算日間際までなされないことが多く実務的に問題とされていたものである。同委員会では平成28年3月期から適用できるよう「税効果会計に適用される税率に関する適用指針(仮称)」を別途開発する方針だ。

4月1日以降の公布でも新税率を適用
 税効果会計の適用税率については、日本基準では期末日現在で公布されている税法規定に基づいて算定したものとされている(個別税効果実務指針第18項)。したがって、3月決算会社の場合、3月末までに改正税法が公布されていれば、改正後の税率を適用することになる。
 しかし、税制改正法案が国会で成立していても法律の公布が決算日間際までされないことが多く実務的に問題があるとされていた。法律が公布されても各地方自治体の改正条例が3月末までに公布されないといった問題もある。実際、平成27年度税制改正では東京都における法人事業税の超過税率の改正条例が3月31日までに公布されなかったため(本誌590号40頁参照)、企業会計基準委員会は議事概要(下掲参照)を公表するなどの対応を図り実務が混乱することのないような配慮を行ってきたという経緯がある。

企業会計基準委員会の議事概要
 地方税法等の改正法が3月末までに公布されていても、各地方団体の改正条例が公布されていないこともあり得る。この場合は、新旧どちらの税率を適用すべきか疑問が生じるため、企業会計基準委員会は、平成27年度地方税制改正に伴う税効果会計の適用における法定実効税率について、実務の参考となる法定実効税率の算定例を示すために、同委員会のホームページ上に議事概要(平成27年3月6日付)を公表している。この議事概要によれば、平成27年3月末決算における法定実効税率は地方税法等改正後の事業税率(標準税率)を算定の基礎とすることとしている。また、東京都や大阪府など、法人事業税の超過税率を採用する地方団体の改正条例が公布されていない場合には、決算日現在の地方団体の条例に基づく超過税率が標準税率を超える差分を考慮して、法定実効税率の算定に用いる超過税率を算定する必要があるとしている。

 また、IFRS(国際会計基準)や米国会計基準との差異が生じているなどの問題点も指摘されている。 適用税率の問題については、税効果会計の実務指針を企業会計基準委員会に移管する中で対応する方針であったものの、企業を中心に早急に見直すべきとの意見が企業会計基準委員会に寄せられたため、平成28年3月期から適用できるよう別途、適用指針を開発することとしたものである。
 このため、企業会計基準委員会は、税効果会計の適用税率についてはIFRSと同様、実質的に税率が見直された税率、つまり、税率改正を伴う税制改正法案が「国会で成立した日」に見直す方針を示している。例えば、3月決算会社の場合、改正税法の公布日が4月1日になったとしても3月中に税制改正法案が国会で成立していれば新税率により法定実効税率を算定することになる(参照)。

 なお、決算日後に税制改正法案が国会で成立した場合には、その内容及び影響を注記することとし、これまでの実務と同様、旧税率で法定実効税率を算定する方向だ。

地方税における標準税率も国会の成立日で
 地方税の住民税(法人税割)及び事業税(所得割)に関する標準税率に関しては、法人税率と同様、地方税の改正法案が「国会で成立した日」の税率を用いる方向。標準税率は地方税法で定められるからだ。したがって、決算日前までに地方税の改正法案が国会で成立していれば、決算日に改正条例が公布されていなくても新税率を適用することになる。
超過税率は標準税率を超える差分を考慮  しかし、問題は超過課税による税率である。平成27年度税制改正の際にも問題になったように、超過課税による税率は地方団体の議会で条例が成立することにより決定されるからだ。
 この点、企業会計基準委員会では、これまでの実務を考慮し、決算日までに改正条例が成立していない場合については、改正地方税法で規定されている標準税率に、改正前の条例に基づく超過課税による税率が改正前の地方税法の標準税率を超える差分を加える取扱い(改正地方税法の標準税率に1.2を乗じた率を上限)とする方向で検討を進めるとしている。

IFRSでの取扱いは?
 IFRSでは、IAS第12号「法人所得税」第46項において、「当期及び過去の期間の当期税金負債(資産)は、報告期間の末日までに制定され又は実質的に制定されている税率を使用して、税務当局に納付されると予想される額で算定しなければならない」とされている。日本の場合でいえば、この“実質的に制定されている税率”とは、国会で成立した日が該当する。

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