解説記事2016年01月25日 【第2特集】 マイナンバーの記載省略は税制改正前も弾力的運用を容認(2016年1月25日号・№627)
第2特集
住宅ローン控除申告書も対象に
マイナンバーの記載省略は税制改正前も弾力的運用を容認
平成28年度税制改正では、納税者が税務当局等に提出する税務関係書類に記載する個人番号(マイナンバー)の省略が可能になる。個人番号の記載が省略される書類については、大綱には明記されていなかった給与所得者の配偶者特別控除申告書や住宅ローン控除申告書なども対象であることが明らかになっている。また、平成28年度税制改正法(案)の施行日前であっても個人番号の記載省略ができるとの弾力的な運用を認めることも分かった。
個人番号省略は金融機関等にとって朗報に
平成28年1月1日より、納税者が税務当局等に提出する税務関係書類には個人番号の記載が必要になっている。しかし、特定個人情報に該当する個人番号の管理や、本人確認手続き等といった実務上の負担を軽減するため、平成28年度税制改正では、マイナンバー記載の対象書類の見直しが行われる予定だ(本誌621号11頁参照)。
昨年の12月24日に閣議決定された平成28年度税制改正大綱では、提出者等の個人番号を記載しなければならない税務関係書類(申告書及び調書等を除く)のうち、①申告等の主たる手続と併せて提出され、又は申告等の後に関連して提出されると考えられる書類、②税務署長等には提出されない書類であって提出者等の個人番号の記載を要しないこととした場合であっても所得把握の適正化・効率化を損なわないと考えられる書類については、提出者等の個人番号の記載を要しないこととされている(下表参照)。
この税務関係書類だが、財務省が対象となる書類の一覧(案)を明らかにしている(14頁以降参照)。大綱には明記されていないが、前述の①の書類には、「給与所得の源泉徴収票の提出・交付の特例の承認に関する申請書」などが対象となっている。また、②の書類には、「給与所得者の配偶者特別控除申告書」や「給与所得者の保険料控除申告書」などが対象となる。加えて、「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」なども記載省略が可能だ。書類を受け取る金融機関等にとっては個人番号を取り扱わなくてよくなるだけに朗報といえそうだ。
青色申告承認申請書は平成28年中も省略可 ただし、問題となるのは前述②の改正の適用時期だ。税制改正大綱には、①の改正については、平成29年1月1日以後に提出すべき書類から適用されるとしているが、改正税法の施行日前においても、運用上、個人番号の記載がなくてもよいとの弾力的な運用を認める旨が明記されている。このため、「所得税の青色申告承認申請書」や「給与所得の源泉徴収票の提出・交付の特例に関する申請書」等については、平成28年中に提出する場合であっても、個人番号を記載しなくてもよいとの取扱いがなされることになる。
平成28年1月~3月提出分もOK 一方、②の改正は、平成28年4月1日以後に提出すべき書類について適用されることになっているが、①の改正とは異なり、運用上、個人番号の記載がなくてもよいとの記載がない。したがって、「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」等については、②の改正に含まれるため、法令上、平成28年4月1日以後の提出分からしか記載省略が可能とならず、平成28年1月1日から3月31日までに提出される分は、個人番号の記載が求められるという不均衡が生じることになる。
このため、財務省では②の対象となる書類についても、①の書類と同様、仮に個人番号の記載がなくても「手続が滞ることがない取扱いとする」弾力的な運用を認める方向だ。
個人番号を帳簿で管理すれば平成28年分も また、平成28年度税制改正では、従業員等が勤務先等に対して扶養控除等申告書を提出する場合において、その勤務先等が従業員から過去に提出を受けた扶養控除等申告書等に基づき個人番号を帳簿で管理している場合には、2回目以降に提出する扶養控除等申告書等には、その従業員等の個人番号の記載を求めないこととし、平成29年分以後の所得税について適用される。
対象となる申告書は、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」のほか、「従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書」「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」「退職所得の受給に関する申告書」とされている。
平成28年中提出の退職所得受給申告書も 例えば、扶養控除等申告書に関しては、平成28年分の所得税において個人番号を従業員等から集め、これを帳簿として管理している場合には、平成29年分の所得税から個人番号の記載は要しないことになる。しかし、「退職所得の受給に関する申告書」については、平成28年中に退職者がいればその提出が求められることになるため、今回の税制改正の恩恵を受けることができない。
この点、財務省では、従業員等から個人番号を収集し、これを帳簿で管理していれば、平成28年中に提出される「退職所得の受給に関する申告書」であっても個人番号を記載しなくてもよいとの取扱いを認める方向だ。
住宅ローン控除申告書も対象に
マイナンバーの記載省略は税制改正前も弾力的運用を容認
平成28年度税制改正では、納税者が税務当局等に提出する税務関係書類に記載する個人番号(マイナンバー)の省略が可能になる。個人番号の記載が省略される書類については、大綱には明記されていなかった給与所得者の配偶者特別控除申告書や住宅ローン控除申告書なども対象であることが明らかになっている。また、平成28年度税制改正法(案)の施行日前であっても個人番号の記載省略ができるとの弾力的な運用を認めることも分かった。
個人番号省略は金融機関等にとって朗報に
平成28年1月1日より、納税者が税務当局等に提出する税務関係書類には個人番号の記載が必要になっている。しかし、特定個人情報に該当する個人番号の管理や、本人確認手続き等といった実務上の負担を軽減するため、平成28年度税制改正では、マイナンバー記載の対象書類の見直しが行われる予定だ(本誌621号11頁参照)。
昨年の12月24日に閣議決定された平成28年度税制改正大綱では、提出者等の個人番号を記載しなければならない税務関係書類(申告書及び調書等を除く)のうち、①申告等の主たる手続と併せて提出され、又は申告等の後に関連して提出されると考えられる書類、②税務署長等には提出されない書類であって提出者等の個人番号の記載を要しないこととした場合であっても所得把握の適正化・効率化を損なわないと考えられる書類については、提出者等の個人番号の記載を要しないこととされている(下表参照)。
| 【表】個人番号の記載を不要とする書類 |
| 個人番号の記載を不要とする税務関係書類の分類 | 具体的な届出書等の例 |
| ①申告書等の主たる手続と併せて提出されることが想定されること、又は個人事業者など申告等を行っている者からその申告等の後に関連して提出されること等から、個人番号の記載を要しないと認められる書類 (※平成29年1月1日施行も弾力的な取扱い可能) | ・所得税の青色申告承認申請書 ・所得税の棚卸資産の評価方法の届出書 ・消費税簡易課税制度選択届出書 ・相続税延納・物納申請書 ・納税の猶予申請書 |
| ②税務当局には提出されないとともに、所得把握の適正化・効率化を損なわないことから、個人番号の記載を要しないと認められる書類 (※平成28年4月1日施行も弾力的な取扱いも可能) | ・給与所得者の配偶者特別控除申告書 ・給与所得者の保険料控除申告書 ・給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書 |
この税務関係書類だが、財務省が対象となる書類の一覧(案)を明らかにしている(14頁以降参照)。大綱には明記されていないが、前述の①の書類には、「給与所得の源泉徴収票の提出・交付の特例の承認に関する申請書」などが対象となっている。また、②の書類には、「給与所得者の配偶者特別控除申告書」や「給与所得者の保険料控除申告書」などが対象となる。加えて、「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」なども記載省略が可能だ。書類を受け取る金融機関等にとっては個人番号を取り扱わなくてよくなるだけに朗報といえそうだ。
青色申告承認申請書は平成28年中も省略可 ただし、問題となるのは前述②の改正の適用時期だ。税制改正大綱には、①の改正については、平成29年1月1日以後に提出すべき書類から適用されるとしているが、改正税法の施行日前においても、運用上、個人番号の記載がなくてもよいとの弾力的な運用を認める旨が明記されている。このため、「所得税の青色申告承認申請書」や「給与所得の源泉徴収票の提出・交付の特例に関する申請書」等については、平成28年中に提出する場合であっても、個人番号を記載しなくてもよいとの取扱いがなされることになる。
平成28年1月~3月提出分もOK 一方、②の改正は、平成28年4月1日以後に提出すべき書類について適用されることになっているが、①の改正とは異なり、運用上、個人番号の記載がなくてもよいとの記載がない。したがって、「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」等については、②の改正に含まれるため、法令上、平成28年4月1日以後の提出分からしか記載省略が可能とならず、平成28年1月1日から3月31日までに提出される分は、個人番号の記載が求められるという不均衡が生じることになる。
このため、財務省では②の対象となる書類についても、①の書類と同様、仮に個人番号の記載がなくても「手続が滞ることがない取扱いとする」弾力的な運用を認める方向だ。
個人番号を帳簿で管理すれば平成28年分も また、平成28年度税制改正では、従業員等が勤務先等に対して扶養控除等申告書を提出する場合において、その勤務先等が従業員から過去に提出を受けた扶養控除等申告書等に基づき個人番号を帳簿で管理している場合には、2回目以降に提出する扶養控除等申告書等には、その従業員等の個人番号の記載を求めないこととし、平成29年分以後の所得税について適用される。
対象となる申告書は、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」のほか、「従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書」「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」「退職所得の受給に関する申告書」とされている。
平成28年中提出の退職所得受給申告書も 例えば、扶養控除等申告書に関しては、平成28年分の所得税において個人番号を従業員等から集め、これを帳簿として管理している場合には、平成29年分の所得税から個人番号の記載は要しないことになる。しかし、「退職所得の受給に関する申告書」については、平成28年中に退職者がいればその提出が求められることになるため、今回の税制改正の恩恵を受けることができない。
この点、財務省では、従業員等から個人番号を収集し、これを帳簿で管理していれば、平成28年中に提出される「退職所得の受給に関する申告書」であっても個人番号を記載しなくてもよいとの取扱いを認める方向だ。
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