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コラム2016年02月01日 【未公開裁決事例紹介】 税務署内での面接は「実地の調査」に該当せず(2016年2月1日号・№628)

未公開裁決事例紹介
税務署内での面接は「実地の調査」に該当せず
審判所、事前通知の要否で判断

○事前通知がなかったため、調査手続に違法があるかどうかが争点の1つになった事案。国税不服審判所は、国税通則法74条の9第1項に規定する「実地の調査」については、納税義務者の支配・管理する事業者や事務所等に臨場して質問検査等を行うものであると指摘。納税義務者に来署を依頼し、税務署内において行う調査が「実地の調査」に該当しないことは明らかであると判断した(平成27年2月24日、棄却)。

事  実
(1)事案の概要
 本件は、審査請求人(以下「請求人」という。)が平成24年分の贈与税の期限後申告書を提出したところ、原処分庁が国税通則法第66条《無申告加算税》第1項を適用して無申告加算税の賦課決定処分を行ったのに対し、請求人が、当該期限後申告書は調査があったことにより提出したものではないなどとして、原処分の全部の取消しを求めた事案である。
(2)審査請求に至る経緯(略)
(3)関係法令等の要旨(略)
(4)基礎事実
 以下の事実は、請求人及び原処分庁との間に争いがなく、当審判所の調査の結果によってもその事実が認められる。
イ 請求人は、××に死亡した××(以下「本件被相続人」という。)の共同相続人の一人であり、この相続(以下「本件相続」という。)に係る相続税(以下「本件相続税」という。)について、相続税の申告書を法定申告期限までに原処分庁へ提出した(以下、この提出した申告書を「本件相続税申告書」という。)。
ロ 本件相続税申告書第1表の「⑤純資産価額に加算される暦年課税分の贈与財産価額」欄には、××と記載されているが、同表の「⑫暦年課税分の贈与税額控除額」欄には金額の記載がない。また、同第14表の「1 純資産価額に加算される暦年課税分の贈与財産価額及び特定贈与財産価額の明細」欄には、請求人が平成24年5月24日に本件被相続人から現金××の贈与を受けた旨の記載がある。
ハ 本件相続税申告書には、××の本件被相続人名義の総合口座通帳(口座番号××)の写し(以下「本件通帳写し」という。)が添付されていた。
  本件通帳写しには、平成24年5月17日に××、同月21日に××及び同月24日に××がそれぞれ出金された旨記帳され、欄外に「24.6.19××購入 ××名義 3年以内の贈与に加算」と手書きで記載されている。
ニ 請求人は、平成24年分の贈与税について、法定申告期限である平成25年3月15日までに、贈与税の申告書を提出しなかった。
ホ 原処分庁は、平成25年10月18日付で、請求人に対し、「贈与税の申告について」と題する文書(以下「本件文書」という。)を送付した。
  なお、本件文書には、要旨、別紙2(編注:略)のとおりの記載がされている。
へ 請求人は、平成25年10月28日に××に出向き、原処分庁所属の職員(以下「原処分担当職員」という。)と面接(以下「本件面接」という。)をした。
  その際、請求人は、「修正申告等について」と題する文書(以下「本件教示文」という。)を受け取り、本件教示文(控用)に署名押印をした。
  なお、本件教示文には、要旨、別紙3(編注:略)のとおりの記載がされている。
ト 請求人は、本件被相続人から、平成24年5月17日に××、同月21日に××及び同月24日に××の現金の各贈与(以下、これらを併せて「本件各贈与」という。)を受けたとして、原処分庁に対し、平成25年10月31日に、①課税価格××、②納付すべき税額××と記載した平成24年分贈与税の申告書(以下「本件期限後申告書」という。)を提出した。
チ 本件賦課決定処分に係る賦課決定通知書(以下「本件賦課決定通知書」という。)には、要旨、別紙4(編注:略)のとおりの記載がされている。
  なお、以下、本件賦課決定通知書に付記された処分の理由を「本件付記理由」という。

争  点 イ 本件期限後申告書は、調査があったことにより提出されたものであるか否か。
ロ 本件期限後申告書の提出は、通則法第66条第5項に規定する「決定があるべきことを予知してされたものでないとき」に当たるか否か。
ハ 調査手続に違法があるか否か。
ニ 本件付記理由は、行政手続法第14条に規定する不利益処分の理由の提示の要件を欠いているか否か。

主  張  当事者の主張は表1~4のとおり。
【表1】争点イ(本件期限後申告書は、調査があったことにより提出されたものであるか否か。)について
請 求 人 原処分庁
 本件期限後申告書は、以下のとおり、行政指導により提出したものであり、調査があったことにより提出されたものではない。
 調査手続通達1-2では、特定の納税義務者の課税標準等又は税額等を認定する目的で行う行為に至らないものは、調査には該当しない旨定めているところ、本件文書には印鑑のみ持参すれば足りる旨記載されていることから、本件面接は、請求人の課税標準等又は税額等を認定する目的で行う行為に至らないものである。
 本件期限後申告書は、次のとおり、調査があったことにより提出されたものである。
 本件期限後申告書は、原処分担当職員が、①机上調査により本件各贈与の事実を発見し、本件期限後申告書の提出が必要であると判断したこと、②請求人に対し、調査を行う旨を記載した本件文書を送付したこと、及び、③請求人に対し、贈与税の申告が必要である旨を具体的に指摘し期限後申告を勧奨したことにより提出されたものと認められる。

【表2】争点ロ(本件期限後申告書の提出は、通則法第66条第5項に規定する「決定があるべきことを予知してされたものでないとき」に当たるか否か。)について
請 求 人 原処分庁
 仮に、本件面接が調査であったとしても、本件期限後申告書の提出は、以下のとおり、通則法第66条第5項に規定する「決定があるべきことを予知してされたものでないとき」に当たる。
 本件面接において、原処分庁が請求人に対し持参を求めた書類等は印鑑のみであり、請求人は本件各贈与の事実を証する資料等の提示や提出を一切求められていない。また、本件通帳写しに手書きで記載された内容は、本件相続税の申告に関わった税理士が記載したものであるところ、請求人は、本件面接において、その事実やそれらが記載された状況、いきさつや事情、それらに関する資料等の存否などの確認や質問さえも受けることなく、また、決定処分の根拠となる本件各贈与の事実を証する証拠資料やそれに基づいた説明もなく、単に期限後申告の勧奨を受けたのみである。
 したがって、本件期限後申告書が、請求人が本件面接を経て決定処分に至るであろうということを相当程度の確実性をもって予知し得る段階を経て提出されたものであるとはいえない。
 本件期限後申告書の提出は、以下のとおり、通則法第66条第5項に規定する「決定があるべきことを予知してされたものでないとき」には当たらない。
 請求人は、原処分担当職員が、①机上調査により本件各贈与の事実を発見し、本件期限後申告書の提出が必要であると判断したこと、②請求人に対し、調査を行う旨を記載した本件文書を送付したこと、及び、③請求人に対し、贈与税の申告が必要である旨を具体的に指摘し、期限後申告を勧奨したことにより本件期限後申告書を提出したものであるから、請求人は、調査の内容を認識し、決定があるべきことを予知していた。

【表3】争点ハ(調査手続に違法があるか否か。)について
請 求 人 原処分庁
 仮に、本件面接が調査に該当するとしても、以下のとおり、調査手続に違法がある。
 本件面接が調査であるとするならば、通則法第74条の9に規定する事前通知が必要であるにもかかわらず、その手続がされていない。
 調査手続通達3-4が「納税義務者の支配・管理する場所に臨場して質問検査を行うもの」を「実地の調査」と定めているのは、通常、質問検査権を行使する際、検査等の対象とすべき帳簿書類等が「納税義務者の支配・管理する場所」に所在するからであって、この場所以外の場所であっても更正決定等を目的として質問検査権を行使する場合においては、事前通知が必要であるというべきである。
 以下のとおり、調査手続に違法はない。
 通則法第74条の9に規定する事前通知の対象となる「実地の調査」について、調査手続通達3-4は、国税の調査のうち、当該職員が納税義務者の支配・管理する場所(事業所等)等に臨場して質問検査等を行うものをいう旨定めているところ、本件面接は、請求人に××への来署を依頼し、同署の庁舎内で行われていることから、「実地の調査」には該当しないので、通則法第74条の9に規定する事前通知は必要がない。

【表4】争点ニ(本件付記理由は、行政手続法第14条に規定する不利益処分の理由の提示の要件を欠いているか否か。)について
請 求 人 原処分庁
 本件付記理由は、以下のとおり、行政手続法第14条に規定する不利益処分の理由の提示の要件を欠いている。
 本件付記理由は、法律の文言を記載しているだけであり、①請求人が行政指導と誤認せざるを得ない文章である本件文書に基づいて行われた本件面接が、面接終了の時点に至り、調査であることを必要とするに至った具体的な理由、②合法的に質問検査権が行使されたことを証する説明、③本件期限後申告書が、請求人が贈与税の決定があるべきことを予知して提出された申告書であるとされる理由、及び、④本件面接により新たに収集した資料等が、決定処分に必要な課税要件事実を証するための資料を満たしていることの説明についての記載がないことから、不備がある。
 本件付記理由は、以下のとおり、行政手続法第14条に規定する不利益処分の理由の提示の要件を満たしている。
 本件付記理由は、①本件期限後申告書の提出があった旨、②本件期限後申告書により納付すべき贈与税額に通則法第66条の規定に基づき計算した無申告加算税を賦課決定する旨、③本件期限後申告書は、調査の結果に基づくものであるため決定を予知してされたものでない期限後申告には該当しない旨、及び、④期限内申告書の提出がなかったことについて正当な理由があると認められない旨が記載されており、いかなる事実関係に基づき、いかなる法規を適用して本件賦課決定処分がなされたか、本件賦課決定通知書の記載内容から極めて容易に了知できるから、不備はない。

判  断
争点イ(本件期限後申告書は、調査があったことにより提出されたものであるか否か。)について
 イ 法令解釈
(イ)通則法第66条第5項に規定する「調査」とは、課税庁が行う課税標準等又は税額等を認定するに至る一連の判断過程の一切を意味すると解され、課税庁の証拠資料の収集、証拠の評価あるいは経験則を通じての課税要件事実の認定、租税法その他の法令の解釈適用を経て決定処分に至るまでの思考や判断を含む極めて包括的な概念であると解される。
(ロ)「調査」の意義について、調査手続通達1-1は、国税に関する法律の規定に基づき、特定の納税義務者の課税標準等又は税額等を認定する目的で行う一連の行為をいうものと定めている。また、「行政指導」については、行政手続法第2条第6号において定義され、さらに、調査手続通達1-2では、「調査」に該当しない行為について、特定の納税義務者の課税標準等又は税額等を認定する目的で行う行為に至らないものと定めており、納税申告書の提出がない場合においては、納税申告書の提出義務の有無を確認するために必要な基礎的情報の自発的な提供を要請した上で、必要に応じて納税申告書の自発的な提出を要請する行為をいうものと定めている。これらの取扱いは、上記(イ)と合致するものであり、当審判所においても相当であると認められる。
 ロ 請求人の答述の要旨  請求人は、当審判所に対し、本件面接の状況について、要旨次のとおり答述した。
(イ)原処分担当職員から、本件被相続人から現金の贈与があったか否かの質問はなかった。
(ロ)原処分担当職員から、贈与税の申告が必要である旨の説明は受けた。
(ハ)原処分担当職員から、贈与税及び延滞税が課される旨の説明は受けたが、無申告加算税が課される旨の説明は受けなかった。
(ニ)原処分担当職員から、本件教示文に記載されている内容の説明は受けたが、内容についてはよく理解できなかったし、あまり記憶にない。
 ハ 原処分担当職員の答述の要旨  原処分担当職員は、当審判所に対し、要旨次のとおり答述した。
(イ)本件文書の送付に至る経緯
 A 本件相続税申告書第14表に、請求人が平成24年5月24日に現金××の贈与を受けた旨記載がされており、本件通帳写しから贈与の事実が確認できたが、贈与税の申告書が提出されていないことから、平成24年分の贈与税の申告の要否について調査を行うため、本件文書を送付した。
 B 調査の目的は、請求人に、本件文書に記載した現金贈与について事実を確認し、その事実が確認できれば、申告と納税が必要なことから、平成24年分の贈与税の期限後申告を勧奨することであった。
(ロ)本件面接の状況
 A 請求人は、平成25年10月28日午前9時頃、一人で来署し、本件文書と印鑑を持参していた。請求人に対しては、調査を開始する旨については、本件文書に既に記載済であったため、改めて請求人には言わなかったが、本件面接が調査に該当することは明確に説明した。
 B 請求人に対し、本件文書の「3 お尋ねしたい事項」欄を指し示しながら、ここに記載した計××の現金贈与を受けた事実があったことに間違いないかを確認したところ、請求人から間違いない旨の回答があった。
 C 請求人に対し、××の贈与を受けた場合、贈与税の基礎控除である1,100,000円を超えているため、贈与税の申告と納税が必要であること、××に対する具体的な納税額は××になること、ただし、相続税の贈与税額控除として同じ額の××が控除されることになり、充当することも可能であるため、実際には本税の納付手続は不要であることを説明した。
 D また、平成24年分の贈与税の申告期限及び納期限は平成25年3月15日であり、既に申告期限及び納期限を経過していることから、期限後申告書の提出が必要となること、本税のほかに無申告加算税と延滞税が発生すること、無申告加算税の具体的な額は××であり、延滞税は現時点で××発生していることを、あらかじめ作成・印刷しておいた平成24年分贈与税の申告書を指し示しながら説明した。
 E 本件教示文の記載内容について、請求人に、本件教示文を指し示しながら、記載されている内容を一通り説明し、その上で請求人に本件教示文を交付した。
  本件面接の時間は、午前9時頃から午前9時30分頃までの30分程度だったと思うが、その間、請求人からの質問は特になかったと記憶している。
 ニ 結論 (イ)原処分担当職員は、本件文書を請求人に送付した経緯について、上記ハ(イ)Aのとおり答述しているところ、当該経緯に関する答述については、上記ロ及びハの客観的事実にも整合するものといえ、また、特に虚偽を述べる事柄に関する事項でもないことから、当該経緯に関する答述は信用することができる。そうすると、原処分担当職員は、本件相続税申告書の記載内容及び本件通帳写しから本件各贈与に関する資料を収集したものと認められ、さらに、本件各贈与に係る贈与税の申告がないことから、請求人に対する贈与税の調査が必要であると判断し、本件文書を送付することにより、請求人の来署を依頼したものと認められる。
(ロ)そして、本件面接における事実関係、すなわち、原処分担当職員が請求人に対して、本件各贈与の事実があったか否かを確認したか、及び、無申告加算税の説明をしたかについては、原処分担当職員の答述と請求人の答述とが齟齬していることから、以下、原処分担当職員及び請求人の答述の信用性について審理する。
(ハ)原処分担当職員は、本件面接の状況について、上記ハ(ロ)のとおり答述しているところ、異議調査の段階から一貫した答述をしていること、その内容も具体的であることに加え、納税者に来署を依頼した上での言動として極めて自然な内容であることなどからすると、原処分担当職員の答述は信用することができるといえ、原処分担当職員の答述するとおりの事実があったものと認めることができる。そうすると、原処分担当職員は、本件面接において、請求人に本件各贈与が事実であるか否かを確認した上、課税標準が××であること及び税額が××であることを認定して、請求人に対して期限後申告を勧奨したものと認められる。
  以上のような事実関係からすると、原処分担当職員が本件相続税申告書及び本件通帳写しから資料を収集した行為及び原処分担当職員が行った本件面接は、請求人の課税標準等又は税額等を認定する目的で行った一連の行為であると認められ、これら一連の行為は、通則法第66条第5項に規定する「調査」に該当するというべきである。
  よって、本件期限後申告書は、調査があったことにより提出されたものと認められる。
争点ロ(本件期限後申告書の提出は、通則法第66条第5項に規定する「決定があるべきことを予知してされたものでないとき」に当たるか否か。)について
 イ 法令解釈
 通則法第66条第5項の規定は、無申告加算税の制度趣旨が申告秩序を維持し、適正な申告を促すための行政制裁であることに鑑み、課税庁が手数をかけるまでもなく、納税者が自発的に申告を決意し、期限後申告書を提出した場合について、例外的に無申告加算税を軽減したものと解される。
 そして、期限後申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について決定があるべきことを予知してされたものであるか否かの判断に当たっては、通則法第66条第5項の文言及び趣旨からすると、調査の内容・進捗状況、それに関する納税者の認識、期限後申告に至る経緯、期限後申告と調査の内容との関連性等の事情を総合考慮して判断すべきである。
 ロ 当てはめ (イ)調査の内容・進捗状況
 原処分担当職員は、本件文書を発送する時点において、本件各贈与に関する資料を収集しており、さらに、原処分担当職員が請求人に対し期限後申告を勧奨した時点では、贈与事実や課税標準の認定も終了していたと認められる。
(ロ)調査の内容・進捗状況に関する請求人の認識
 請求人は、本件面接において、原処分担当職員から贈与税の申告及び納税が必要であるとの説明を受けていることから、請求人は、本件期限後申告書を提出する時点において、贈与事実やそれに基づく具体的な課税標準を原処分担当職員が把握しており、申告書を提出しなければいずれ決定に至るであろうことを認識していたと推認することができる。
(ハ)期限後申告に至る経緯
 本件期限後申告書は、本件面接において原処分担当職員が請求人に期限後申告を勧奨した後に提出されたものであるから、請求人は、自発的に申告を決意して提出したものではなく、本件面接において原処分担当職員から贈与税の期限後申告の勧奨を受けたことにより、本件期限後申告書を提出する旨を決意したものと推認することができる。
(ニ)期限後申告と調査の内容との関連性
 原処分担当職員は、請求人に対し、本件文書により来署を求め、本件面接において贈与税の期限後申告を勧奨しているのであるから、本件期限後申告書の提出と本件面接の内容には、関連性が認められる。
(ホ)小括
 以上を総合すると、請求人は、本件面接において、贈与税の申告が必要であり、申告書を提出しなければやがて決定に至るであろうことを認識したということができ、その後、その認識した調査の内容と関連性を有する本件期限後申告書を提出しているから、本件期限後申告書は、調査を受けたことを原因として決定される可能性があるとの認識によって提出されたものと認めることができる。
 したがって、本件期限後申告書の提出は、「調査があったことにより決定があるべきことを予知してされたものでないとき」に当たらない。
(へ)請求人の主張について(編注:略)
争点ハ(調査手続に違法があるか否か。)について
 イ 事前通知の要否について
(イ)法令解釈
 通則法第74条の9第1項に規定する「実地の調査」について、調査手続通達3-4は、国税の調査のうち、納税義務者の支配・管理する事業所や事務所等に臨場して質問検査等を行うものをいう旨定めている。
 従来から、納税義務者の事業所や事務所等に臨場して調査を行う場合には、課税実務における運用上の取扱いとして、原則として事前通知を行うこととされていたところ、通則法第74条の9第1項はこのような運用上の取扱いを法令上明確化したものである。
 この通則法改正の経緯及び「実地の調査」の字義からすると、納税義務者に来署を依頼し、税務署内において行う調査が「実地の調査」に該当しないことは明らかであり、調査手続通達3-4の取扱いは、当審判所においても相当であると認められる。
(ロ)当てはめ
 本件面接は、××庁舎内で行われており、請求人の支配・管理する事業所や事務所等に臨場していないことから、通則法第74条の9第1項に規定する「実地の調査」に該当しないことは明らかである。
 したがって、本件面接においては、同項の規定は適用されない。
 ロ 調査の終了の際の手続について  本件面接において、原処分担当職員は、請求人に対し、贈与税、無申告加算税及び延滞税の額について数字をあげて説明した上で、期限後申告を勧奨し、さらに、本件教示文を交付しており、原処分担当職員が通則法第74条の11第2項及び第3項の規定に基づき、調査結果の内容の説明等を行ったものと認められる。
 したがって、通則法第74条の11第2項及び第3項に規定する調査の終了の際の手続は適正に行われたと認められる。
 ハ 小括  上記イ及びロのとおり、調査手続に違法はない。
争点ニ(本件付記理由は、行政手続法第14条に規定する不利益処分の理由の提示の要件を欠いているか否か。)について  イ 法令解釈  行政手続法第14条第1項本文が、不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは、名宛人に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨によるものと解される。そして、同項に基づいてどの程度の理由を提示すべきかは、上記の趣旨に照らし、当該処分の根拠法令の規定内容、当該処分に係る処分基準の存否及び内容並びに公表の有無、当該処分の性質及び内容、当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきであると解され、特段の理由がない限り、いかなる事実関係に基づき、いかなる法規を適用して当該処分がなされたのかを、処分の相手方がその記載自体から了知し得るものでなければならないと解される。
 ロ 当てはめ (イ)本件付記理由の不備について
 本件付記理由は、①本件期限後申告書の提出があったこと、②本件期限後申告書の提出により納付すべき税額に通則法第66条の規定に基づき計算した無申告加算税を賦課決定すること、③本件期限後申告書が調査の結果に基づくものであるため決定を予知してされたものでない期限後申告には該当しないこと、及び、④期限内申告書の提出がなかったことについて正当な理由があるとは認められないことの記載があり、本件賦課決定処分の原因となった事実及び根拠法令を具体的に示していることから、いかなる事実関係に基づき、いかなる法規を適用して処分がなされたのかを、その記載自体から了知し得るものであると認められる。
 したがって、本件付記理由は、行政手続法第14条に規定する不利益処分の理由の提示の要件を満たしている。
(ロ)本件付記理由の誤りについて
 請求人は、本件付記理由において、無申告加算税の額を誤って記載したことにより、手続要件に明白な不備があるため、本件賦課決定処分は違法である旨主張する。
 確かに、本件期限後申告書の提出により納付すべき税額は××であり、通則法第66条第1項の規定に基づき、納付すべき税額××に100分の15を乗じると無申告加算税の額は××となることからすると、本件付記理由にある「無申告加算税××」の記載は、「無申告加算税××」の誤りであると認められる。
 しかしながら、「1 この通知により納付すべき加算税の額」欄には××と記載されていること、及び、「2 加算税の計算」欄には「加算税の基礎となる税額」××に「加算税の割合100分の15」を乗じた金額として、××が加算税の額である旨記載されていることからすると、本件付記理由に記載された「無申告加算税××」が、「無申告加算税××」の誤りであることが容易に推測できる。また、上記イのとおり、行政手続法第14条が、不利益処分をする場合にその理由を示さなければならないとしているのは、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨によるものと解されることからすると、本件付記理由に、無申告加算税の額の記載誤りがあったとしても、本件付記理由は、上述のとおり、その趣旨目的を充足する程度に具体的に明示しているといえることから、行政手続法第14条の不利益処分の理由の提示の要件を欠いているところはないというべきである。
 したがって、この点に関する請求人の主張には理由がない。
(ハ)小括
 以上のとおり、本件付記理由は、行政手続法第14条に規定する不利益処分の理由の提示の要件を満たしている。
6 本件賦課決定処分について  以上審理したところによれば、本件賦課決定処分は、いずれの争点についても、これを取り消すべき理由はなく、また、請求人には通則法第66条第1項ただし書に規定する正当な理由があるとは認められないから、同条第1項の規定に基づいてなされた本件賦課決定処分は適法である。
7 その他(略)

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