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解説記事2016年03月14日 【SCOPE】 監査法人のガバナンス・コードは年内にも策定へ(2016年3月14日号・№634)

有識者懇談会が会計監査の提言
監査法人のガバナンス・コードは年内にも策定へ

 金融庁に設置された「会計監査の在り方に関する懇談会」(座長:脇田良一名古屋経済大学大学院教授)は3月8日、提言を取りまとめ、公表した(今号32頁参照)。提言では、監査法人のガバナンス・コードの導入を求めており、これを踏まえ金融庁では、有識者会議を早急に設置し、年内にも監査法人のガバナンス・コードを策定する方針を明らかにしている。また、監査法人のローテーションに関しては、監査法人の独立性の確保の観点から有効な選択肢の1つであるとしたが、現時点での導入・実施は困難であるとしている。

会計士協会はコードの策定主体とならず
 「会計監査の在り方に関する懇談会」は、昨今の株式新規公開を巡る会計上の問題や、会計不正事案などを踏まえて昨年9月に金融庁に設置されたもの。取りまとめられた提言では、イギリスやカナダで導入されている「監査法人のガバナンス・コード」(参照)の策定を求めている。これを受け、金融庁は、4月頃にも学者や会計士、企業関係者などで構成される有識者会議を設置し、年内にも「監査法人のガバナンス・コード」を策定したい考えだ。

 コードは、大手上場企業等を監査する監査法人において実効的なガバナンスを確立し、マネジメントを有効に機能させていくための取り組みを進めるに当たって確保されるべき原則(プリンシプル)を示すもの。具体的な内容はこれからの議論となるが、職業的懐疑心の発揮を促すための経営陣によるリーダーシップの発揮、運営・監督体制の構築とその明確化、人材啓発、人事配置・評価の実施等について規定することが想定されている。法令上の措置とはされないが、コーポレートガバナンス・コードのように“Comply or Explain”(コンプライ・オア・エクスプレイン:原則を実施するか、実施しない場合にはその理由を説明するか)となるかは現段階では未定としている。
 なお、コードの策定自体は金融庁が行うとしており、日本公認会計士協会は策定主体にはならないとしている。

監査法人のローテーション、現時点での導入は困難
 監査法人のローテーションに関しては、欧州で導入が決まっているなど、前回の公認会計士法の改正時と状況が変化していることから、再度検討すべきとの意見があった一方、監査人の知識・経験の蓄積が中断されることによる監査品質の低下や、日本の場合は大手監査法人が少ない点がネックになるとの両論の意見があり、最終的には現時点での導入・実施が困難との結論となっている。この点、金融庁では、監査法人のローテーション導入に伴うメリット・デメリットについて調査・分析を行うこととしている。
虚偽表示リスク記載で監査基準改正も  そのほか、現行の監査基準や品質管理基準、不正リスク対応基準等に関しては、相当程度整備されてきたとし、監査法人等には監査基準等の実施を徹底させることが求められるとした。ただし、今後、会計監査に関する開示の充実の観点からは、企業側は監査人が当該企業の監査に従事してきた期間などを有価証券報告書に記載することが検討される。また、現行の監査報告書に関しては、財務諸表が適正と認められるか否かの表明以外の監査人の見解の記載は限定的となっている。このため、監査人が着目した虚偽表示リスクなどを監査報告書に記載する制度の導入について検討を進めるべきとしている。この点については、監査基準等の改正が想定される。
自民党も監査の改革の方向性で提言を取りまとめ
 自民党の金融調査会・企業会計に関する小委員会が3月8日に取りまとめた「品質の高い会計監査の確立に向けて」と題する提言では、例えば、監査法人の問題では、監査法人のマネジメントを強化する観点から、監査法人のガバナンス・コードの策定を求めている。また、監査法人のローテーションについては、導入した場合のメリットとデメリットについて当局で調査・分析を行うことが重要と指摘している。
 根本匠金融調査会長は、政府に対して「可及的速やかに施策を実施すべき」としており、「会計監査の在り方に関する懇談会」の提言は、自民党の提言を踏まえたものとなっている。

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