解説記事2016年05月23日 【法人税の別表四・別表五(一)の実務】 適格分社型分割(分割承継法人)(2016年5月23日号・№643)
法人税の別表四・別表五(一)の実務
第2回
適格分社型分割(分割承継法人)
税理士 野原武夫
(答) 別表四の申告調整は、不要です。
(解説) 申告調整は法人の会社処理と税務処理に差異が生じた場合、その差異を別表四及び別表五(一)において表示する技術的な作業となります。
1.税務処理について
(1)資産負債の取得価額 分割法人A社から受ける資産負債の取得価額は、適格分社型分割なので帳簿価額とされています(法令123の4)。
(2)資本金等の額の増加額 適格分社型分割である場合の資本金等の額の増加額は、次の算式により計算されます(法令8①七)。
したがって、B社の税務処理は、次のとおりです。
2.修正処理について
会社処理と税務処理とを比較すると、処理に差異が生じていますので修正処理する必要があります。
① 別表四の申告調整は、不要です。
② 別表五(一)は翌期以後の貸借対照表(資産、資本金等の額、利益積立金額)の消去処理のため、「資産」として700減算します。調整項目として、利益積立金額の計算明細は「資本金等の額」として700加算、資本金等の額の計算明細は「利益積立金額」として700減算します。
調整項目である利益積立金額上の「資本金等の額」として700加算、資本金等の額上の「利益積立金額」として700減算は、会計上修正処理しない限り解散清算するまで消去できません。
(参考)
法人税法
法人税法施行令
(有価証券の取得価額)
3.申告調整について
第2回
適格分社型分割(分割承継法人)
税理士 野原武夫
(設例) 分割法人A社は、事業の一部を分割承継法人B社に対して分割しました(適格分社型分 割)。分割状況は次のとおりです。B社の課税関係は、どのようになりますか。 (条件) ・A社は事業の一部、簿価純資産価額500を時価純資産価額1,200でB社に移転しました。 ・A社はその移転の対価としてB社株式を受けました。 ・B社は資本金300、資本剰余金900増加しました。 ![]() |
(答) 別表四の申告調整は、不要です。
(解説) 申告調整は法人の会社処理と税務処理に差異が生じた場合、その差異を別表四及び別表五(一)において表示する技術的な作業となります。
1.税務処理について
(1)資産負債の取得価額 分割法人A社から受ける資産負債の取得価額は、適格分社型分割なので帳簿価額とされています(法令123の4)。

(2)資本金等の額の増加額 適格分社型分割である場合の資本金等の額の増加額は、次の算式により計算されます(法令8①七)。

したがって、B社の税務処理は、次のとおりです。

2.修正処理について
会社処理と税務処理とを比較すると、処理に差異が生じていますので修正処理する必要があります。

① 別表四の申告調整は、不要です。
② 別表五(一)は翌期以後の貸借対照表(資産、資本金等の額、利益積立金額)の消去処理のため、「資産」として700減算します。調整項目として、利益積立金額の計算明細は「資本金等の額」として700加算、資本金等の額の計算明細は「利益積立金額」として700減算します。
調整項目である利益積立金額上の「資本金等の額」として700加算、資本金等の額上の「利益積立金額」として700減算は、会計上修正処理しない限り解散清算するまで消去できません。
(参考)
法人税法
(適格分社型分割による資産等の帳簿価額による譲渡) 第六十二条の三 内国法人が適格分社型分割により分割承継法人にその有する資産及び負債の移転をしたときは、第六十二条第一項(合併及び分割による資産等の時価による譲渡)の規定にかかわらず、当該分割承継法人に当該移転をした資産及び負債の当該適格分社型分割の直前の帳簿価額による譲渡をしたものとして、当該内国法人の各事業年度の所得の金額を計算する。 2 分割承継法人の資産及び負債の取得価額その他前項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。 |
(有価証券の取得価額)
(適格分社型分割における分割承継法人の資産及び負債の取得価額) 第百二十三条の四 内国法人が適格分社型分割により分割法人から資産及び負債の移転を受けた場合には、当該資産及び負債の取得価額は、法第六十二条の三第一項(適格分社型分割による資産等の帳簿価額による譲渡)に規定する帳簿価額に相当する金額(その取得のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)とする。 |
3.申告調整について

当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。
週刊T&Amaster 年間購読
新日本法規WEB会員
試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。
人気記事
人気商品
-
-
団体向け研修会開催を
ご検討の方へ弁護士会、税理士会、法人会ほか団体の研修会をご検討の際は、是非、新日本法規にご相談ください。講師をはじめ、事業に合わせて最適な研修会を企画・提案いたします。
研修会開催支援サービス -
Copyright (C) 2019
SHINNIPPON-HOKI PUBLISHING CO.,LTD.