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解説記事2016年06月13日 【第2特集】 中小企業等経営強化法が平成28年7月施行へ(2016年6月13日号・№646)

第2特集
製造業など、事業分野別指針案が公表
中小企業等経営強化法が平成28年7月施行へ

 「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律の一部を改正する法律」(平成28年法律第58号)(以下、「中小企業等経営強化法」)が6月3日に公布された。同法に基づき、中小企業者が「経営力向上計画」を作成し、事業所管大臣から認定を受けた場合には、固定資産税の設備投資減税などの特例措置を受けることができる。6月4日には、政省令案や基本方針の一部改正案、事業分野別の指針案が公表されている(6月17日まで意見募集)。本特集では、中小企業等経営強化法の概要を紹介する。なお、本誌既報通り、施行は平成28年7月初旬が予定されている(本誌628号4頁参照)。

事業分野別指針がなければ基本方針を基に計画を策定
 中小企業等経営強化法では、国(経済産業大臣)が策定した基本方針(中小企業等経営強化に係る事業の促進の意義及び基本的な方向に関する事項について定めたもの)に基づき、事業所管大臣が事業分野ごとに生産性向上の方法などを示した指針を策定。中小企業等はこの事業分野別指針に沿って、自社の生産性を向上させるための人材育成や財務管理、設備投資などの取組みを記載した「経営力向上計画」を策定し、各大臣に申請し、認定を受けることになる(図表1参照)。これにより固定資産税の設備投資減税などの各種特例措置の適用を受けることができる。

5年間で労働生産性の伸び率が2%以上  経済産業大臣が策定する基本方針における経営力向上とは、「経営資源を事業活動において十分効果的に活用すること」とし、具体的には、「事業活動に有用な知識又は技能を有する人材の育成」「財務内容の分析の結果の活用」「商品又は役務の需要の動向に関する情報の活用」「経営能率の向上のための情報システムの構築等」とされた。
 また、「経営力向上計画」の期間については、3年から5年とし、労働生産性を計画認定の判断基準とした。原則として、5年間の計画の場合、計画期間である5年後までの労働生産性の目標伸び率を2%以上とするが、業種・事業規模等を勘案して弾力的に目標を設定することができることとしている。なお、労働生産性とは、営業利益、人件費及び減価償却費の合計を、労働投入量(労働者数又は労働者数×1人当たり年間就業時間)で除したものとなる。
サービス業の場合は基本方針で  基本方針に沿って策定されるのが事業分野別指針だ。すでに製造業、卸・小売業、船舶業、自動車整備業、貨物業、医療分野に関する指針(案)などが公表されているほか、外食・中食産業、旅館事業などの指針も策定される予定だ。事業分野別指針では、①現状認識(市場規模等)、②経営力向上の内容に関する事項、③経営力向上の実施方法に関する事項などが示されており、これに従って「経営力向上計画」を作成することになる。例えば、製造業であれば、労働生産性のほか、売上高経常利益率や付加価値額を指標とすることも可能になっている。
 一方、サービス業など、事業分野別指針が示されていない業態も多いが、この場合であっても中小企業等経営強化法の適用を受けることができる。この点、事業分野別指針がなければ基本方針に基づいて「経営力向上計画」を作成すればよいこととされている。
 なお、「経営力向上計画」の作成・申請に当たっては、税理士等の経営革新等支援機関のサポートを受けることができる。認定経営革新等支援機関に対しては、ローカルベンチマーク(今号42頁参照)を活用することが基本方針で求められている。
各種金融措置の適用も  「経営力向上計画」を策定した場合には、事業所管大臣に申請し、認定を受けることにより各種特例措置を受けることができる。
 このうち、固定資産税の設備投資減税については、中小企業等経営強化法の施行日(平成28年7月初旬)から平成31年3月31日までの間において、認定された「経営力向上計画」に記載された一定の機械装置(経営力向上設備)を取得した場合が対象になる。具体的には、①販売開始から10年以内のもの、②旧モデル比で生産性が年平均1%以上向上するもの、③1台又は1基の取得価額が160万円以上の3つの要件を満たすものと中小企業等経営強化法施行規則(案)及び地方税法施行令(案)で規定された。なお、経営力向上設備を取得する場合には、前述の要件を満たすことを証する書類を申請時に添付することになる。証明に関しては、中小企業等が証明書の発行をメーカー等に依頼し、工業会が設備の確認を行うことになる。
 固定資産税の設備投資減税のほかにも、政策金融機関の低利融資、民間金融機関の融資に対する信用保証、債務保証等の金融措置の適用を受けることができる(図表2参照)。

【図表2】固定資産税の軽減措置以外の支援措置
①商工中金による低利融資  経営力向上計画を策定した場合、商工中金の独自の融資制度により、低利融資を受けられる。
②中小企業信用保険法の特例  中小企業者は、経営力向上計画の実行(※)にあたり、民間金融機関から融資を受ける際に、信用保証協会による信用保証のうち、普通保険等の別枠の追加保証や保証枠の拡大が受けられる。
 ※新事業活動に該当する事業

③中小企業投資育成株式会社法の特例  経営力向上計画の認定を受けた場合、通常の投資対象(資本金3億円以下の株式会社)に加えて、資本金額が3億円を超える株式会社(中小企業者)も中小企業投資育成株式会社からの投資を受けることが可能に。
④日本政策金融公庫によるスタンドバイ・クレジット  経営力向上計画の認定を受けた中小企業者(国内親会社)の海外支店又は海外現地法人が、日本公庫の提携する海外金融機関から現地通貨建ての融資を受ける場合に、信用状を発行して、債務の保証を実施できる。  ○補償限度額:1法人あたり最大4億5,000万円  ○融資期間 :1~5年 ⑤中小企業基盤整備機構による債務保証  中堅クラスの企業等、信用保険法の特例が措置されていない中小企業者以外の者が、経営力向上計画を実施するために必要な資金について、保証額最大25億円(保証割合50%、保証料率 有担保0.3%、無担保0.4%)の債務の保証を受けられる。 ⑥食品流通構造改善機構による債務保証  食品製造業者等は、経営力向上計画の実行にあたり、民間金融機関から融資を受ける際に、食品流通構造改善機構による債務の保証を受けられる。
 (出典:中小企業庁)

中小企業者等の範囲を拡大  そのほか、今回公表された中小企業等経営強化法施行令等では、「経営力向上計画」の対象となる中小企業者等の範囲について、中小企業者、組合等に加えて、資本金の額若しくは出資金の額10億円以下又は常時使用する従業員の数2,000人以下の会社や、医療法人、社会福祉法人、特定非営利活動法人が追加されている。ただし、固定資産税の設備投資減税の適用を受けることができる中小企業等は資本金1億円以下等とされており、同法の中小企業者等の範囲とは異なっている。

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