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解説記事2016年07月18日 【税制改正解説】 平成28年度における法人税関係の改正について(上)(2016年7月18日号・№651)

税制改正解説
平成28年度における法人税関係の改正について(上)
 角田一平

はじめに

 平成28年度税制改正においては、現下の経済情勢等を踏まえ、経済の好循環を確実なものとする観点から成長志向の法人税改革等を行うとともに、消費税率引上げに伴う低所得者への配慮として消費税の軽減税率制度を導入することとされ、併せて、少子化対策・教育再生や地方創生の推進等に取り組むとともに、グローバルなビジネスモデルに適合した国際課税ルールの再構築を行うための税制上の措置を講ずることとされた。このほか、震災からの復興を支援するための税制上の措置等を講ずることとされた。
 このうち法人税関係については、平成27年度税制改正で決定した欠損金の繰越控除の見直しにおけるさらなる見直し、減価償却における建物附属設備及び構築物の償却方法の見直し並びに生産性向上設備投資促進税制等の租税特別措置の見直しを行う制度改正による課税ベースの拡大等により、財源を確保して、法人税率をさらに引き下げることとされた。このほか、円滑・適正な納税のための環境整備としての組織再編税制の所要の見直し等が行われた。
 本稿は、これらの改正の内容を紹介するものである。

法人税法の改正
Ⅰ 法人税率の引下げ

1 改正の内容
 内国法人の各事業年度の所得に対する法人税の税率(いわゆる基本税率)が、23.2%(改正前:23.9%)に引き下げられた(法法66①)。
 ただし、内国法人の平成28年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する事業年度の所得に対する法人税の税率は、23.4%とされている(改正法附則26)。
 また、連結納税制度の場合についても同様に、連結親法人の各連結事業年度の連結所得に対する法人税の税率が、23.2%(改正前:23.9%)に引き下げられた(法法81の12①)。
 ただし、連結親法人の平成28年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する連結事業年度の連結所得に対する法人税の税率は、23.4%とされている(改正法附則27)。

2 適用関係  上記1の改正は、法人の平成28年4月1日以後に開始する事業年度の所得に対する法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度の所得に対する法人税については、従前どおりとされている(改正法附則21)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則21)。

Ⅱ 欠損金の繰越控除

1 改正の内容
 平成27年度税制改正において措置された欠損金の控除限度額の段階的引下げ等について、次の見直しが行われた。
(1)欠損金の控除限度額の段階的引下げ等を行う見直しのさらなる見直し  青色欠損金及び災害損失金の控除限度額の段階的引下げを行う見直しについて、さらなる見直しが行われ、次のとおりとされた(平成27年改正法附則27②)。
① 法人の平成27年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する事業年度……欠損金額控除前の所得の金額の100分の65相当額
② 法人の平成28年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する事業年度……欠損金額控除前の所得の金額の100分の60相当額
③ 法人の平成29年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する事業年度……欠損金額控除前の所得の金額の100分の55相当額
④ 法人の平成30年4月1日以後に開始する事業年度……欠損金額控除前の所得の金額の100分の50相当額
 また、連結欠損金の控除限度額の段階的引下げを行う見直しについても、同様の見直しが行われ、次のとおりとされた(平成27年改正法附則30②)。
① 連結親法人の平成27年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する連結事業年度……連結欠損金額控除前の連結所得の金額の100分の65相当額
② 連結親法人の平成28年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する連結事業年度……連結欠損金額控除前の連結所得の金額の100分の60相当額
③ 連結親法人の平成29年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する連結事業年度……連結欠損金額控除前の連結所得の金額の100分の55相当額
④ 連結親法人の平成30年4月1日以後に開始する連結事業年度……連結欠損金額控除前の連結所得の金額の100分の50相当額
 なお、連結欠損金額控除前の個別所得金額が債務の免除等による利益の額の合計額を超える場合における連結欠損金額控除後の個別所得金額から控除する金額の段階的引上げを行う見直しについても、同様の見直しが行われ、次のとおりとされた(平成27年改正法令附則10②)。
① 連結法人の連結親法人事業年度が平成27年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する連結事業年度……その超える部分の金額の100分の35相当額
② 連結法人の連結親法人事業年度が平成28年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する連結事業年度……その超える部分の金額の100分の40相当額
③ 連結法人の連結親法人事業年度が平成29年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する連結事業年度……その超える部分の金額の100分の45相当額
④ 連結法人の連結親法人事業年度が平成30年4月1日以後に開始する連結事業年度……その超える部分の金額の100分の50相当額
(2)欠損金の繰越期間の延長等の所要の見直し
 ① 青色欠損金、災害損失金及び連結欠損金の繰越期間の延長の所要の見直し
 青色欠損金及び災害損失金の繰越期間(改正前:9年)を、それぞれ10年に延長する改正の施行日(平成29年4月1日)について、平成30年4月1日とする見直しが行われ(平成27年改正法附則1八の二)、これらの改正は、法人の平成30年4月1日以後に開始する事業年度において生ずる欠損金額について適用し、法人の同日前に開始した事業年度において生じた欠損金額については、従前どおりとされた(平成27年改正法附則27①)。
 また、連結欠損金の繰越期間(改正前:9年)を10年に延長する改正の施行日(平成29年4月1日)についても、平成30年4月1日とする見直しが行われ(平成27年改正法附則1八の二)、この改正は、連結法人の平成30年4月1日以後に開始する連結事業年度において生ずる連結欠損金額について適用し、連結法人の同日前に開始した連結事業年度において生じた連結欠損金額については、従前どおりとされた(平成27年改正法附則30①)。
 ② 青色欠損金、災害損失金及び連結欠損金の帳簿書類保存要件における保存期間の延長の所要の見直し  青色欠損金及び災害損失金の帳簿書類保存要件における保存期間(改正前:9年)を、それぞれ10年に延長する改正の施行日(平成29年4月1日)について、平成30年4月1日とする見直しが行われ(平成27年改正法規附則1二)、これらの改正は、法人の平成30年4月1日以後に開始する事業年度において生ずる欠損金額について適用し、法人の同日前に開始した事業年度において生じた欠損金額については、従前どおりとされた(平成27年改正法規附則2①)。
 また、連結欠損金の帳簿書類保存要件における保存期間(改正前:9年)を10年に延長する改正の施行日(平成29年4月1日)についても、平成30年4月1日とする見直しが行われ(平成27年改正法規附則1二)、この改正は、連結法人の平成30年4月1日以後に開始する連結事業年度において生ずる連結欠損金額について適用し、連結法人の同日前に開始した連結事業年度において生じた連結欠損金額については、従前どおりとされた(平成27年改正法規附則2③)。

2 適用関係  上記1の改正は、未経過の期間の経過措置並びに未施行の経過措置及び施行期日に係る規定の改正であるため、この改正に伴う経過措置は、設けられていない。

Ⅲ 減価償却

1 改正の内容
 平成28年4月1日以後に取得をされた建物附属設備及び構築物について、選定可能な償却の方法が定額法のみとされた。また、同日以後に取得をされた鉱業用減価償却資産のうち建物、建物附属設備及び構築物についても、定率法による償却を選定できなくなり、これらの資産の選定可能な償却の方法が定額法と生産高比例法とのいずれかとされた(法令48の2①)。また、その他特別な償却の方法等について、所要の改正が行われた(法令48の4①等)。

2 適用関係  上記1の改正は、法人の平成28年4月1日以後に終了する事業年度の償却限度額の計算について適用し、法人の同日前に終了した事業年度の償却限度額の計算については、従前どおりとされている(改正法令附則6①)。

Ⅳ その他

(1)組織再編税制
 組織再編税制について、次の見直しが行われた。
① 分割型分割に、分割により分割対価資産の全てが分割法人の株主等に直接に交付される分割が追加されるとともに、合併及び分割による資産等の時価による譲渡について、その追加される分割の分割法人がその分割承継法人からその分割対価資産をその時の価額により取得し、直ちにその分割対価資産をその分割法人の株主等に交付したものとすることとされた(法法2十二の九イ、62①後段)。
② 適格現物出資の対象となる現物出資について、外国法人に国内資産等の移転を行う現物出資のうちその国内資産等の全部がその移転によりその外国法人の恒久的施設を通じて行う事業に係るものとなる一定の現物出資が追加されるとともに、外国法人が他の外国法人に国外資産等の移転を行う現物出資のうちその国外資産等の全部又は一部がその移転によりその他の外国法人の恒久的施設を通じて行う事業に係るものとなる現物出資及び内国法人が外国法人に特定国外資産等の移転を行う現物出資のうちその特定国外資産等の全部がその移転によりその外国法人の恒久的施設を通じて行う事業に係るものとなる現物出資以外の現物出資が除外された(法法2十二の十四、法令4の3⑨⑩⑪)。
③ 共同で事業を営むための分割について、対象となる分割に、分割に係る分割法人の全てが資本又は出資を有しない法人である分割型分割が追加されるとともに、その分割型分割に係る適格要件の判定においては、株式継続保有要件を除外することとされた(法令4の3⑧)。
④ 共同で事業を営むための株式交換又は株式移転の適格要件のうち役員継続要件について、その株式交換又は株式移転前の株式交換完全子法人又は株式移転完全子法人若しくは他の株式移転完全子法人の特定役員の全てがその株式交換又は株式移転に伴って退任をするものでないこととされた(法令4の3⑱二、二)。
⑤ 共同で事業を営むための合併、分割又は株式移転の適格要件、共同で事業を営むための株式交換又は株式移転の適格要件のうち事業継続要件及び適格株式移転における支配関係継続要件について、所要の規定の明確化が行われた(法令4の3④等)。
⑥ 株式交換完全親法人又は株式移転完全親法人が適格株式交換又は適格株式移転により取得をしたその適格株式交換又は適格株式移転の直前において株主の数が50人以上である株式交換完全子法人又は株式移転完全子法人の株式の取得価額について、その株式交換完全子法人又は株式移転完全子法人の前期期末時の資産の帳簿価額から負債の帳簿価額を減算した金額に相当する金額とすることとされた(法令119①九ロ・十一ロ)。
(2)役員給与の損金不算入
 ① 届出が不要となる事前確定届出給与への特定譲渡制限付株式による給与等の追加
  届出が不要となる事前確定届出給与の対象となる給与に、その役員の職務につき株主総会等の決議(その職務の執行の開始の日から1月を経過する日までにされるものに限る。)により所定の時期に確定額を支給する旨の定め(その決議の日から1月を経過する日までにその職務につきその役員に生ずる債権の額に相当する特定譲渡制限付株式を交付する旨の定めに限る。)をした場合におけるその定めに基づいて交付される特定譲渡制限付株式による給与及びその特定譲渡制限付株式に係る承継譲渡制限付株式による給与が追加された(法法34①二、法令69②)。
 ② 利益連動給与の算定の基礎となる「利益に関する指標」の範囲の明確化   利益連動給与の算定の基礎となる「利益に関する指標」が「利益の状況を示す指標」とされ、利益連動給与が「利益の状況を示す指標を基礎として算定される額を支給する給与」とされるとともに、その指標の範囲が「利益の額、利益の額に有価証券報告書に記載されるべき事項による調整を加えた指標その他の利益に関する指標」であることについて、規定の明確化が行われた(法法34①二・三イ、法令69⑫一)。
(3)国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入  対象となる国庫補助金等について、次の見直しが行われた。
 ① 除外   対象となる国庫補助金等から公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律に基づく独立行政法人空港周辺整備機構、成田国際空港株式会社又は新関西国際空港株式会社の補助金及び電波法に基づく指定周波数変更対策機関の給付金が除外された(旧法令79四・七)。
 ② 追加   対象となる国庫補助金等に日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律附則第5条第1項に基づく独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の助成金のうち日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律施行規則附則第5条第1項第2号ロ(1)に掲げる鉄道施設等の整備に充てられるものが追加された(新法令79六、新法規24の2)。
(4)貸倒引当金  対象となる銀行又は保険会社に準ずる内国法人に株式会社日本貿易保険が追加された(新法令96④三)。
(5)譲渡制限付株式を対価とする費用の帰属事業年度の特例(創設)  この措置は、内国法人が個人から役務の提供を受ける場合において、その役務の提供に係る費用の額につきその対価として特定譲渡制限付株式が交付されたとき(承継譲渡制限付株式が交付されたときを含む。)は、その役務の提供を受ける内国法人は、その個人においてその役務の提供につき給与等課税事由が生じた日においてその役務の提供を受けたものとして、法人税法の規定を適用するというものである(新法法54①)。
(6)公益法人等が普通法人に移行する場合の所得の金額の計算  累積所得金額から控除し、又は累積欠損金額に加算する措置の対象となる場合に特定公益法人等が普通法人に該当することとなった場合におけるその普通法人による累積所得金額又は累積欠損金額の益金又は損金算入の適用を受ける内国法人が医療法第42条の3第1項に規定する実施計画に係る同項の認定を受けた医療法人である場合が、対象となる金額に移行日以後に医療法第42条の3第1項に規定する救急医療等確保事業に係る業務の継続的な実施のために支出される金額が、それぞれ追加された(法法64の4③、法令131の5①五)。
(7)特定同族会社の特別税率(留保金課税)
 ① 「法人税額からその法人税額に係る税額控除額を控除した金額」に乗ずる割合の引下げ
 留保金額の計算上控除する道府県民税及び市町村民税の額を計算する場合における「法人税額からその法人税額に係る税額控除額を控除した金額」に乗ずる割合が10.4%(改正前:16.3%)に引き下げられた(法令139の10①)。
 ② 特定寄附金につき道府県民税及び市町村民税の額から控除される金額がある場合における留保金額の計算上控除する道府県民税及び市町村民税の額  留保金額の計算上控除する道府県民税及び市町村民税の額は、「法人税額からその法人税額に係る税額控除額を控除した金額」に10.4%(改正前:16.3%)を乗じて計算した金額とされているが、特定同族会社がその事業年度において支出した地方税法附則第8条の2の2第1項に規定する特定寄附金につき同項及び同条第7項(同条第13項の規定により読み替えて適用する同法第734条第3項において準用する場合を含む。)の規定により道府県民税及び市町村民税(都民税を含む。)の額から控除される金額がある場合には、その計算した金額から、その特定寄附金の額の合計額の20%相当額と調整地方税額に20%を乗じて計算した金額とのうちいずれか少ない金額を控除した金額とすることとされた(法令139の10①)。
 なお、連結留保金額の計算上控除する道府県民税及び市町村民税の額についても、上記①及び②と同様の改正が行われている(法令155の25)。

租税特別措置法(法人税関係の改正)
第一 税額控除関係
Ⅰ エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度(環境関連投資促進税制)

1 改正の内容
(1)即時償却に係る措置の廃止
 特定エネルギー環境負荷低減推進設備等についての即時償却に係る措置は、適用期限(平成28年3月31日)の到来をもって廃止された(旧措法42の5⑥)。
(2)車両及び運搬具の税額控除の対象からの除外  車両及び運搬具が、税額控除の対象から除外された(措法42の5②)。
(3)対象資産の見直し
 ① 追加
  次の資産が新エネルギー利用設備等に追加された。なお、上記(1)の改正に伴い、太陽光発電設備及び風力発電設備は新エネルギー利用設備等に統合されている。
 イ 太陽光発電設備のうち認定発電設備に該当しないもの
 ロ 風力発電設備のうち認定発電設備に該当しないもの
 ハ 地熱発電設備
 ニ 下水熱利用設備のうち管内設置型のもの
 ホ 木質バイオマス発電設備
 ヘ 木質バイオマス熱供給装置
 ② 除外   対象資産から次の資産が除外された。
 イ 太陽光発電設備のうち認定発電設備に該当するもの(旧措法42の5①一イ、旧平23.6財務告219別表1)
 ロ 新エネルギー利用設備等のうち次の設備
(イ)水熱利用設備(旧平23.6財務告219別表3(2))
(ロ)雪氷熱利用設備(旧平23.6財務告219別表3(3))
(ハ)バイオマス利用装置のうち紙・パルプ製造工程バイオマス燃焼ボイラー及びリグニン燃焼ボイラー(旧平23.6財務告219別表3(4一、二))
 ハ 二酸化炭素排出抑制設備等のうち次の設備
(イ)電気自動車専用急速充電設備(旧平23.6財務告219別表4(5))
(ロ)高効率型電動熱源機(旧平23.6財務告219別表4(6))
(ハ)定置用蓄電設備(旧平23.6財務告219別表4(7))
 ニ エネルギー使用制御設備(旧措法42の5①二、旧措令27の5⑤~⑦、旧措規20の2①②、旧平23.6財務告219別表5)。
(4)適用期限の延長  制度の適用期限が、平成30年3月31日まで2年延長された(措法42の5①)。
 なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)から(4)までと同様の改正が行われている(措法68の10①②、旧措法68の10①一イ二⑥、旧措令39の40②~④⑨、旧措規22の24)。

2 適用関係  上記1(1)から(3)までの改正は、法人が平成28年4月1日以後に取得又は製作若しくは建設をするエネルギー環境負荷低減推進設備等について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をしたエネルギー環境負荷低減推進設備等及び特定エネルギー環境負荷低減推進設備等については、なお従前の例によることとされている(改正法附則86①)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則107①)。
 なお、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法等の一部を改正する法律(平成28年法律第59号)の施行の日(平成29年4月1日)の前日までの間は、太陽光発電設備のうち本制度の対象外となる認定発電設備(上記1(3)①イ)は、改正前の電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法第3条第2項に規定する認定発電設備とされている(改正法附則86②)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則107②)。

Ⅱ 国家戦略特別区域において機械等を取得した場合の特別償却等又は法人税額の特別控除制度

1 改正の内容
(1)即時償却に係る措置の廃止
 特定中核事業用設備についての即時償却に係る措置が廃止された(措法42の10①)。
(2)繰越税額控除限度超過額に係る税額控除の廃止 ① 繰越税額控除限度超過額に係る税額控除は、廃止された(旧措法42の10③)。
② 上記①の改正に伴い、連結納税の承認を取り消された場合の法人税額の調整(取戻し課税)も廃止された(旧措法42の10⑤)。
(3)適用期限の延長  制度の適用期限が、平成30年3月31日まで2年延長された(措法42の10①)。
 なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)から(3)までと同様の改正が行われている(措法68の14①③、旧措法68の14③⑤)。

2 適用関係
(1)
上記1(1)の改正は、法人が平成28年4月1日以後に取得又は製作若しくは建設をする特定機械装置等の償却限度額について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をした特定機械装置等の償却限度額については、なお従前の例によることとされている(改正法附則88①)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則109①)。
(2)上記1(2)①の改正は、法人の平成28年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則85)。連結納税制度の場合については、連結法人の平成28年4月1日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用し、連結法人の同日前に開始した連結事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則85)。
(3)上記1(2)②の改正は、連結法人が連結納税の承認を取り消された場合におけるその連結法人のその取消しの日前5年以内に開始した各連結事業年度のうち平成28年4月1日前に開始した連結事業年度において税額控除された金額については、なお従前の例によることとされている(改正法附則88②、109②)。

Ⅲ 国際戦略総合特別区域において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度

1 改正の内容
(1)特別償却割合の見直し
 特別償却割合が、機械及び装置並びに開発研究用の器具及び備品については40%(改正前:50%)に、建物及びその附属設備並びに構築物については20%(改正前:25%)に、それぞれ引き下げられた(措法42の11①)。
(2)税額控除割合の見直し  税額控除割合が、機械及び装置並びに開発研究用の器具及び備品については12%(改正前:15%)に、建物及びその附属設備並びに構築物については6%(改正前:8%)に、それぞれ引き下げられた(措法42の11②)。
(3)繰越税額控除限度超過額に係る税額控除の廃止 ① 繰越税額控除限度超過額に係る税額控除は、廃止された(旧措法42の11③)。
② 上記①の改正に伴い、連結納税の承認を取り消された場合の法人税額の調整(取戻し課税)も廃止された(旧措法42の11⑤)。
(4)適用期限の延長  制度の適用期限が、平成30年3月31日まで2年延長された(措法42の11①)。
 なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)から(4)までと同様の改正が行われている(措法68の14の2①②、旧措法68の15③⑤)。

2 適用関係
(1)
上記1(1)の改正は、法人が平成28年4月1日以後に取得又は製作若しくは建設をする特定機械装置等の償却限度額について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をした特定機械装置等の償却限度額については、なお従前の例によることとされている(改正法附則89①)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則110①)。
(2)上記1(2)の改正は、法人が平成28年4月1日以後に取得又は製作若しくは建設をする特定機械装置等を特定国際戦略事業の用に供する日を含む事業年度においてその特定機械装置等につきその事業年度の所得に対する調整前法人税額から控除される金額について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をした特定機械装置等を特定国際戦略事業の用に供する日を含む事業年度においてその特定機械装置等につきその事業年度の所得に対する調整前法人税額から控除される金額については、なお従前の例によることとされている(改正法附則89①)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則110①)。
(3)上記1(3)①の改正は、法人の平成28年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則85)。連結納税制度の場合については、連結法人の平成28年4月1日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用し、連結法人の同日前に開始した連結事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則85)。
(4)上記1(3)②の改正は、連結法人が連結納税の承認を取り消された場合におけるその連結法人のその取消しの日前5年以内に開始した各連結事業年度のうち平成28年4月1日前に開始した連結事業年度において税額控除された金額については、なお従前の例によることとされている(改正法附則89②、110②)。

Ⅳ 雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除制度(改正後:特定の地域において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除制度)(雇用促進税制)

1 改正の内容
(1)基準雇用者数に係る措置の見直し
 基準雇用者数に係る措置の対象が、雇用機会が不足している地域における無期かつフルタイムの新規雇用者に限定された。具体的には、基準雇用者数に係る措置による税額控除限度額が、40万円にその法人のその適用年度の特定地域基準雇用者数を乗じて計算した金額とされた(措法42の12①)。
(2)組織再編成が行われた場合における基準雇用者数の調整計算の見直し  本制度の適用を受ける法人が適用年度において行われた合併に係る合併法人又は適用年度において行われた分割等に係る分割法人等若しくは分割承継法人等に該当する場合のその法人の雇用者の数が零であるかどうかの判定並びに基準雇用者数及び基準雇用者割合の計算について、所要の見直しが行われた。
(3)適用期限の延長  基準雇用者数に係る措置(改正後:特定地域基準雇用者数に係る措置)の適用期限が、平成30年3月31日まで2年延長された(措法42の12①⑤一)。
 連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の15の2①⑤一・三・五⑧、措令39の45の2⑥⑩、措規22の29②)。

2 適用関係
(1)
上記1(1)の改正は、法人の平成28年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則85)。連結納税制度の場合については、連結法人の連結親法人事業年度が平成28年4月1日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用し、連結法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則111)。
(2)上記1(2)の改正は、法人の平成28年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正措令附則13)。連結納税制度の場合については、連結法人の連結親法人事業年度が平成28年4月1日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用し、連結法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正措令附則27)。

Ⅴ 認定地方公共団体の寄附活用事業に関連する寄附をした場合の法人税額の特別控除制度(創設)

1 制度の概要
 この制度は、青色申告書を提出する法人が、地域再生法の一部を改正する法律(平成28年法律第30号)の施行の日(平成28年4月20日)から平成32年3月31日までの間に、地域再生法の認定地方公共団体が行った同法のまち・ひと・しごと創生寄附活用事業に関連する寄附金(特定寄附金)を支出した場合には、その支出した日を含む事業年度において、その支出した特定寄附金の額の合計額の20%相当額からその特定寄附金の支出について地方税法の規定により道府県民税及び市町村民税の額から控除される金額として一定の方法により計算した金額を控除した金額(その金額がその事業年度において支出した特定寄附金の額の合計額の10%相当額を超える場合には、その合計額の10%相当額)の税額控除(特別控除税額は、当期の調整前法人税額の5%相当額を上限とする。)ができるというものである(措法42の12の2①)。
 連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられている(措法68の15の3)。

2 適用関係  上記1の制度は、地域再生法の一部を改正する法律(平成28年法律第30号)の施行の日(平成28年4月20日)から施行されている(改正法附則1十二)。

Ⅵ 特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除(連結:特定中小連結法人が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除)制度

1 改正の内容
 農業協同組合法等の一部を改正する等の法律(平成27年法律第63号。以下「改正農協法等」という。)により農業協同組合法が改正され、農業協同組合中央会の制度が廃止され、改正農協法等の施行の際現に存する農業協同組合中央会は、改正農協法等の施行後も、改正農協法等による改正前の農業協同組合法の規定により設立された農業協同組合中央会としてなお存続するものとされ、このなお存続する組合を「存続中央会」ということとされた(旧農業協同組合法第3章、改正農協法等附則9、10)。これに伴い、存続中央会が認定経営革新等支援機関に準ずる法人とされた(措令27の12の3①六)。
 また、改正農協法等により農業委員会等に関する法律が改正され、都道府県農業会議の制度が廃止され、都道府県農業会議は、一般社団法人に移行するか、解散することとされた(旧農業委員会等に関する法律第3章、改正農協法等附則32~34、40)。これに伴い、都道府県農業会議が認定経営革新等支援機関に準ずる法人から除外された(旧措令27の12の3①九)。
 なお、連結納税制度の場合についても同様である。

2 適用関係  上記1の改正は、平成28年4月1日から施行されている(改正措令附則1)。

Ⅶ 雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除制度(所得拡大促進税制)

1 改正の内容
 本制度と雇用促進税制との重複適用禁止措置が廃止され、同一事業年度において本制度と雇用促進税制(措法42の12)の両方を適用することができることとされた(措法42の12の4①)。
 ただし、本制度の適用を受ける事業年度において雇用促進税制(措法42の12)の適用を受ける場合には、特定地域基準雇用者数、地方事業所基準雇用者数及び地方事業所特別基準雇用者数の算定の基礎となった者に対する給与等の支給額として一定の方法により計算した金額を、本制度による税額控除限度額の算定の基礎となる雇用者給与等支給増加額から控除することとされた(措法42の12の4①、措令27の12の4①~③)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の15の5、措令39の46)。

2 適用関係  上記1の改正は、法人の平成28年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則85)。連結納税制度の場合については、連結法人の連結親法人事業年度が平成28年4月1日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用し、連結法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則113)。

Ⅷ 生産性向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度(生産性向上設備投資促進税制)

1 改正の内容
 本制度は、適用期限(平成28年3月31日及び平成29年3月31日)の到来をもって廃止することとされた(旧措法42の12の5、旧措令27の12の5、旧措規20の10)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(旧措法68の15の6、旧措令39の47)。

2 適用関係  上記1の改正は、即時償却に係る措置及び5%又は3%の税額控除に係る措置にあっては法人が平成28年4月1日前に取得等をした特定生産性向上設備等について、50%又は25%特別償却に係る措置及び4%又は2%の税額控除に係る措置にあっては法人が平成29年4月1日前に取得等をした特定生産性向上設備等については、なお従前の例によることとされている(改正法附則91①)。また、法人が平成28年4月1日前に開始した事業年度において積み立てた、平成26年4月1日前に取得等をした特定生産性向上設備等に係る特別償却準備金の金額の益金の額への算入については、なお従前の例によることとされている(改正法附則91②)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則114①②)。

第二 特別償却関係
Ⅰ 特定設備等の特別償却制度

1 改正の内容
公害防止用設備の特別償却
(1)対象設備の見直し
 措置の対象となる公害防止用設備から土壌汚染対策法施行令のふっ素及びその化合物に含まれる1・1・1・3・3‐ペンタフルオロブタンに係る指定物質等回収設備が除外された(昭48.5大蔵告69別表1)。
(2)適用期限の延長  制度の適用期限が、平成29年3月31日まで1年延長された(昭48.5大蔵告69別表1)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様である。

2 適用関係
(1)
上記1(1)の改正は、法人が平成28年4月1日前に取得又は製作若しくは建設をした公害防止用設備については、なお従前の例によることとされている(平28.3財務告104前文)。
(2)上記1(2)の改正は、平成27年9月1日から施行されている(平27.8国土交通告964附則)。

Ⅱ 特定農産加工品生産設備の特別償却制度

1 改正の内容
 本制度は、適用期限(平成28年3月31日)の到来をもって廃止された(旧措法44の4、旧措令28の7、旧措規20の14)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(旧措法68の25、旧措令39の54、旧措規22の33)。

2 適用関係  上記1の改正は、法人が平成28年4月1日前に取得又は製作をした特定農産加工品生産設備については、なお従前の例によることとされている(改正法附則92①)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則115①)。

Ⅲ 特定信頼性向上設備等の特別償却制度(改正後:特定地域における電気通信設備の特別償却制度)

1 改正の内容
(1)特定電気通信設備の特別償却制度
 特定信頼性向上設備の特別償却制度について、特定通信・放送開発事業実施円滑化法の実施計画の認定を受けた法人が取得又は製作若しくは建設をする特定電気通信設備に係る措置とした上、その適用期限が平成30年3月31日まで1年10月延長された(措法44の5①)。
(2)災害対策用基幹放送設備等の特別償却制度  本制度は、適用期限(平成28年3月31日)の到来をもって廃止された(旧措法44の5②、旧措規20の15③)。
 なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)及び(2)と同様の改正が行われている(措法68の26①、措令39の55、措規22の33、旧措法68の26②、旧措規22の34)。

2 適用関係
(1)
上記1(1)の改正は、法人が国立研究開発法人情報通信研究機構法及び特定通信・放送開発事業実施円滑化法の一部を改正する等の法律(平成28年法律第32号)の施行の日(平成28年5月31日)以後に取得又は製作若しくは建設をする特定電気通信設備について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をした特定信頼性向上設備については、なお従前の例によることとされている(改正法附則92②)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則115②)。
(2)上記1(2)の改正は、法人が平成28年4月1日前に取得又は製作若しくは建設をした災害対策用基幹放送設備等については、なお従前の例によることとされている(改正法附則92③)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則115③)。

Ⅳ 障害者を雇用する場合の機械等の割増償却制度

1 改正の内容
(1)適用対象資産の見直し
 適用対象資産が、障害者が労働に従事する事業所にあるものであることにつき法人の事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長の証明を受けた機械及び装置並びに工場用の建物及びその附属設備に限定された(措法46①、措令29①)。
(2)その他の見直し
 ① 障害者の範囲の見直し
  障害者雇用割合等の算定の基礎となる障害者が、障害者の雇用の促進等に関する法律第2条第2号に規定する身体障害者、同条第4号に規定する知的障害者及び同法第69条に規定する精神障害者(改正前:所得税の障害者控除の対象となる障害者のうち一定のもの)とされた(措法46②一)。
 ② 添付書類の見直し   上記(1)の見直しに伴い、償却限度額の計算に関する明細書に記載された金額を減価償却資産の種類ごとに、かつ償却の方法ごとに区分をし、その区分ごとの合計額を記載した書類を確定申告書等に添付したときは、その明細書を保存している場合に限り、その明細書の添付があったものとする特例が廃止された(旧措令29⑥)。
 ③ 圧縮記帳の特例との重複適用の禁止   上記(1)の見直しに伴い、本制度と次の圧縮記帳の特例との重複適用ができないこととされた(措法61の3④、64⑥、65の7⑦、67の4⑫、震災税特法19⑥)。
 イ 農用地等を取得した場合の課税の特例(措法61の3①)
 ロ 収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例(措法64①⑧)
 ハ 収用等に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例(措法64の2⑦⑧)
 ニ 換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例(措法65①③⑤)
 ホ 特定の資産の買換えの場合の課税の特例(措法65の7①⑨)
 ヘ 特定の資産の譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例(措法65の8⑦⑧)
 ト 転廃業助成金等に係る課税の特例(措法67の4②③⑨⑩)
 チ 震災税特法における特定の資産の買換えの場合の課税の特例(震災税特法19①⑧)
 リ 震災税特法における特定の資産の譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例(震災税特法20⑦⑧)
 ④ 指定期間の末日を含む事業年度における適用対象資産及び償却限度額の見直し   指定期間の末日を含む事業年度においては、指定期間の末日後に取得又は製作若しくは建設をした資産が適用対象外とされた(措法46①)。
  また、指定期間の末日を含む事業年度において、償却限度額を月数按分しないこととされた(措法46①)。
(3)適用期限の延長  制度の適用期限が、平成30年3月31日まで2年延長された(措法46①)。
 なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)から(3)までと同様の改正が行われている(措法68の31①、68の65④、68の70⑤、68の78⑦、68の102⑬、震災税特法27⑥、措令39の60①、旧措令39の60⑤)。

2 適用関係
(1)
上記1(1)及び(2)①②④の改正は、法人の平成28年4月1日以後に終了する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に終了した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則92④)。
  法人の平成28年4月1日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度においては、適用対象資産は、改正前と同様に5年以内に取得した全ての機械及び装置並びに工場用の建物及びその附属設備とした上で、障害者が労働に従事する事業所にあるものであることにつき法人の事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長の証明を受けた資産に該当しないものについては、特別償却限度額は普通償却限度額の24%(工場用の建物及びその附属設備については、32%)相当額に当該事業年度開始の日から平成28年3月31日までの期間の月数を乗じてこれを当該事業年度の月数で除して計算した金額とされている(改正法附則92⑤、改正措令附則17①)。
  連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則115④~⑥、改正措令附則30①)。
(2)上記(2)③の改正は、法人が平成28年4月1日以後に取得又は製作若しくは建設をする特定農業用機械等、代替資産、交換取得資産、買換資産及び固定資産について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をした特定農業用機械等、代替資産、交換取得資産、買換資産及び固定資産については、なお従前の例によることとされている(改正法附則96、97①④、100、142②)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則119、120①④、123、148②)。

Ⅴ サービス付き高齢者向け賃貸住宅の割増償却制度

1 改正の内容
(1)割増償却割合の見直し
 割増償却割合が、その耐用年数に応じて、次のとおり引き下げられた(措法47①)。
① 耐用年数が35年未満であるもの 10%(改正前:14%)
② 耐用年数が35年以上であるもの 14%(改正前:20%)
(2)適用期限の延長  制度の適用期限が、平成29年3月31日まで1年延長された(措法47①)。
 なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)及び(2)と同様の改正が行われている(措法68の34①)。

2 適用関係  上記2(1)の改正は、法人が平成28年4月1日以後に取得又は新築をするサービス付き高齢者向け賃貸住宅について適用し、法人が同日前に取得又は新築をしたサービス付き高齢者向け賃貸住宅については、従来どおり適用できることとされている(改正法附則92⑦⑧、改正措令附則17②、改正措規附則20)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則115⑦⑧、改正措令附則30②、改正措規附則25)。

Ⅵ 倉庫用建物等の割増償却制度

1 改正の内容
 流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(以下「物流効率化法」という。)が、流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律の一部を改正する法律(平成28年法律第36号)により改正されることに伴い、次の改正が行われた。
(1)適用対象法人の見直し  適用対象法人が、青色申告書を提出する法人で特定総合効率化計画について物流効率化法第4条第1項の認定を受けたものとされた(措法48①)。
(2)適用対象資産の見直し  適用対象資産である倉庫用建物等が、物流効率化法第4条第1項の認定を受けた特定総合効率化計画に記載された特定流通業務施設である倉庫用の建物(その附属設備を含む。以下同じ。)及び構築物のうち、物資の輸送の合理化に著しく資するものとして国土交通大臣が財務大臣と協議して指定するもので、耐火建築物又は準耐火建築物に該当するものとされた。また、貸付用の倉庫用建物等が対象資産から除外された(措法48①、措令29の6②)。
(3)その他の見直し  この制度の適用を受けるためには、その適用を受けようとする最初の事業年度の確定申告書等に、一定の書類を添付することとされた(措令29の6③)。
(4)適用期限の延長  制度の適用期限が、平成30年3月31日まで1年延長された(措法48①)。
 なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)から(4)までと同様の改正が行われている(措法68の36①、措令39の65②~④)。

2 適用関係  上記1(1)から(3)までの改正は、法人が物流効率化法改正法の施行の日以後に取得又は建設をする倉庫用建物等について適用し、同日前に物流効率化法改正法による改正前の物流効率化法の規定による認定又は確認を受けた法人が平成29年3月31日以前に取得又は建設をした倉庫用建物等については、従来どおり適用できることとされている(改正法附則92⑨⑩、改正措令附則17③)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則115⑨⑩、改正措令附則30③)。

第三 準備金等関係
Ⅰ 海外投資等損失準備金制度

1 改正の内容
(1)積立率の見直し
 資源探鉱事業法人及び資源探鉱投資法人の特定株式等に係る準備金の積立率が、70%(改正前:90%)に引き下げられた(措法55①三・四⑨)。
(2)資源開発事業法人等の範囲に係る整備  資源開発事業法人及び資源探鉱事業法人に外国政府が含まれないことが明確化された(措法55②一・三)。
(3)準備金の取崩しに係る整備  資本の払戻しにより特定法人の株式等の帳簿価額を減額した場合の準備金の取崩しによる益金算入額について、その資本の払戻しの直前の海外投資等損失準備金の金額にその資本の払戻しに係る法人税法施行令第119条の9第1項に規定する割合を乗じた金額とすることが法令上明確化された(措法55④五、措令32の2⑨)。
(4)適用期限の延長  制度の適用期限が、平成30年3月31日まで2年延長された(措法55①)。
 なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)から(4)までと同様の改正が行われている(措法68の43①②五④五⑧、措令39の72②⑥)。

2 適用関係
(1)
上記1(1)の改正は、法人が平成28年4月1日以後に取得する特定株式等について適用し、法人が同日前に取得した特定株式等については、なお従前の例によることとされている(改正法附則93①)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則116①)。
(2)上記1(3)の改正は、法人の平成28年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則85)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則85)。

Ⅱ 金属鉱業等鉱害防止準備金制度

1 改正の内容
(1)積立限度額の見直し
 準備金の積立限度額が、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構に鉱害防止積立金として積み立てた金額の80%相当額(改正前:積み立てた金額に相当する金額)とされた(措法55の5①⑦)。
(2)適用期限の延長  制度の適用期限が、平成30年3月31日まで2年延長された(措法55の5①)。
 なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)及び(2)と同様の改正が行われている(措法68の44①⑥)。

2 適用関係  上記1(1)の改正は、法人の平成28年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則85)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則85)。

Ⅲ 特定災害防止準備金制度

1 改正の内容
(1)積立限度額の明確化
 準備金の積立限度額が、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第8条の5第1項及び第2項(これらの規定を同法第15条の2の4において準用する場合を含む。)の規定により独立行政法人環境再生保全機構に維持管理積立金として積み立てた金額のうち、同法第8条の5第1項(同法第15条の2の4において準用する場合を含む。)に規定する通知する額に限られることが明確化された(措法56①⑦)。
(2)適用期限の延長  制度の適用期限が、平成30年3月31日まで2年延長された(措法56①)。
 なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)及び(2)と同様の改正が行われている(措法68の46①⑥)。

2 適用関係  上記1(1)の改正は、法人の平成28年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則85)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則85)。

Ⅳ 新幹線鉄道大規模改修準備金制度

1 改正の内容
 制度が廃止された(旧措法56、旧措令32の5、旧措規21の7)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(旧措法68の48、旧措令39の76、旧措規22の49)。

2 適用関係  上記1の改正は、平成28年4月1日前に全国新幹線鉄道整備法第15条第1項の指定(指定所有営業主体の指定)を受けた法人のその指定に係る承認積立計画に係る新幹線鉄道大規模改修準備金については、従来どおり適用できることとされるとともに、法人の同日前に開始した各事業年度において所得の金額の計算上損金の額に算入された新幹線鉄道大規模改修準備金の金額については、改正前の規定により従来と同様の益金算入を行うこと等とされている(改正法附則93②、改正措令附則18、改正措規附則21)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則116②、改正措令附則31、改正措規附則26)。

Ⅴ 保険会社等の異常危険準備金制度

1 改正の内容
(1)洗替保証限度率等の見直し
 火災等共済組合等の共済の洗替保証限度率が、再共済を行う協同組合連合会にあっては60%(改正前:75%)に、その他の協同組合にあっては45%(改正前:60%)に、それぞれ引き下げられた(措令33の2⑬二ロ・ニ)。
 積立率の特例の適用が可能となるかどうかの判定の基礎となる率についても、同様に引き下げられた(措令33の2⑲)。
(2)積立率の特例の適用期限の延長  火災保険等に係る積立率の特例及び火災等共済組合等の共済に係る積立率の特例の適用期限が、平成31年3月31日まで3年延長された(措令33の2⑲⑳)。
 なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)及び(2)と同様の改正が行われている(措令39の83⑬二ロ・ニ⑲⑳)。

2 適用関係  上記1(1)の改正は、法人の平成28年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正措令附則13)。連結納税制度の場合についても同様である(改正措令附則13)。

Ⅵ 探鉱準備金又は海外探鉱準備金制度

1 改正の内容
(1)準備金の据置期間の延長
 各事業年度終了の日において有する探鉱準備金の金額又は海外探鉱準備金の金額のうちにその積み立てられた事業年度終了の日の翌日から5年(改正前:3年)を経過したものがある場合には、その経過した探鉱準備金の金額又は海外探鉱準備金の金額を取り崩して益金の額に算入することとされた(措法58④)。
(2)海外自主開発法人の認定に係る要件の見直し  海外探鉱準備金に係る措置における海外自主開発法人の認定に係る要件について、次の見直しが行われた。
 ① 役員及び技術者の派遣に係る要件の見直し   役員及び技術者の派遣に係る要件について、国内鉱業者等の役員の派遣に代えて、国内鉱業者等の重要な使用人が業務を執行する役員として派遣されている場合にも本要件を満たすこととされた(措令34⑩四)。
  また、技術者から重要な使用人が除外された(措令34⑩四)。
 ② 国内鉱業者等及び共同出資法人による出資等要件の見直し   国内鉱業者等及び共同出資法人による出資等要件について、国内鉱業者等による長期の資金の貸付けが、「単独で20%・共同で25%保有」の判定の基礎から除外された(措令34⑩一)。
  また、海外自主開発法人となるべき法人が資本又は出資を有しない法人である場合における「単独で20%・共同で25%保有」の要件の判定は、長期の資金の貸付けを受けた金額で行うことが明確化された(措令34⑩一)。
(3)新鉱床探鉱費からの長期の資金の貸付けの除外  新鉱床探鉱費の範囲から、長期の資金の貸付けが除外された(措法58③、措令34⑭、措規21の15⑥)。
 これに伴い、海外自主開発法人に対する一定の債権を貸倒引当金の対象から除外する措置が廃止された(措法58⑭、旧措令34⑱)。
(4)適用期限の延長  制度の適用期限が、平成31年3月31日まで3年延長された(措法58①②)。
 なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)から(4)までと同様の改正が行われている(措法68の61①~④⑬、措令39の88⑨一・四⑬、旧措令39の88⑰、措規22の59⑥)。

2 適用関係
(1)
上記1(1)の改正は、法人が平成28年4月1日以後に積み立てる探鉱準備金又は海外探鉱準備金の金額の益金の額への算入について適用し、法人が同日前に積み立てた探鉱準備金又は海外探鉱準備金の金額の益金の額への算入については、なお従前の例によることとされている(改正法附則94)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則117)。
(2)上記1(2)の改正は、平成28年4月1日以後に海外自主開発法人の認定を受ける外国法人について適用し、同日前に海外自主開発法人の認定を受けた外国法人については、なお従前の例によることとされている(改正措令附則19)。連結納税制度の場合についても同様である(改正措令附則32①)。
(3)上記1(3)の改正は、法人の平成28年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則85)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則85)。

Ⅶ 新鉱床探鉱費又は海外新鉱床探鉱費の特別控除制度

1 改正の内容
(1)損金算入限度額の見直し
 損金算入限度額のうち所得基準額について、この制度を適用しないで計算した場合の所得の金額から、翌期繰越欠損金額(①の金額が②の金額を超える部分の金額)を控除することとされた(措令35②)。
 ① 次の金額の合計額(前期から繰り越された欠損金額)  イ 法人税法第57条第1項ただし書の規定を適用しないものとした場合に同項本文の規定によりその事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されることとなる欠損金額
 ロ 法人税法第58条第1項ただし書の規定を適用しないものとした場合に同項本文の規定によりその事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されることとなる欠損金額
 ② 法人税法第57条第1項又は第58条第1項の規定によりその事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される欠損金額
(2)海外投資等損失準備金との重複適用ができないことの明確化
 この制度の適用を受けた法人がその適用を受けた事業年度において支出を行った新鉱床探鉱費又は海外新鉱床探鉱費のうちに国外にある鉱物の探鉱のための探鉱費用に充てられることが確実である出資が含まれている場合には、その出資については、海外投資等損失準備金の積立額の損金算入(措法55①⑨)を適用しないことが明確化された(措法59④)。
(3)新鉱床探鉱費からの長期の資金の貸付けの除外  新鉱床探鉱費の範囲から、長期の資金の貸付けが除外された(措法58③、措令34⑭、措規21の15⑥)。
 なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)から(3)までと同様の改正が行われている(措法68の62④、措令39の89①、措法68の61③、措令39の88⑬、措規22の59⑥)。この場合において、連結納税制度における上記(1)の改正は、連結欠損金個別帰属額を用いて個別計算することとされている。

2 適用関係 (1)上記1(1)の改正は、法人の平成28年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正措令附則13)。連結納税制度の場合については、連結法人の連結親法人事業年度が平成28年4月1日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用し、連結法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正措令附則32②)。
(2)上記1(2)の改正は、法人の平成28年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則85)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則85)。

Ⅷ 農業経営基盤強化準備金制度

1 改正の内容
 農業協同組合法等の一部を改正する等の法律(平成27年法律第63号)により農地法が改正され、農業生産法人の要件について、構成員要件が「農業者以外の構成員の議決権が原則として総議決権の2分の1未満(改正前:4分の1以下)であること」とされ、役員要件が「役員の過半が農業従事者であり、かつ、役員等のうち1人以上の者(改正前:農業の常時従事者である役員の過半数の者)が農作業に従事していること」とされた上、その名称が「農地所有適格法人」に変更された(農地法2③)。
 これに伴い、制度の対象法人が農地所有適格法人とされた(措法61の2①③⑦)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の64①③⑦)。

2 適用関係  上記1の改正は、平成28年4月1日から施行されている(改正法附則1)。

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