解説記事2016年09月12日 【SCOPE】 積立NISA、平成31年1月から制度導入へ(2016年9月12日号・№658)
金融庁、非課税期間終了時の対応を
積立NISA、平成31年1月から制度導入へ
金融庁の平成29年度税制改正要望で注目されるのが「積立NISA」の創設だ。現行NISAとの選択制とし、少額で長期の積立を可能とし、さらなる普及を目指す。金融庁は平成31年1月からの制度導入を図りたいとしている。また、現行NISAに関しては、投資可能期間を恒久化した上、事務負担の軽減を図る観点から非課税期間(5年間)終了時の対応を求めている。
現行NISAの弱点をカヴァー、少額で長期の積立が可能に
NISA(少額投資非課税制度)とは、小口投資家向けに、毎年、新規投資額で120万円を上限に上場株式等への投資に係る配当・譲渡益を非課税とするもの。非課税投資総額は600万円(120万円×非課税期間5年間)で保有期間は平成35年までの10年間とされている。一方、金融庁が平成29年度税制改正で要望しているのは、「積立NISA」と呼ばれるもの。長期・分散投資のメリットを得られるよう、現行NISAよりも年間投資上限額を半分にする代わりに、非課税期間を現行NISAの5年から20年と長期にわたるものとしている(図表1参照)。
現行のNISAについては口座開設数が1,000万口座を突破。買付金額も約7.8兆円にのぼるなど、制度が開始して以来、着実に増え続けている。しかし、積立による利用は総口座数の1割以下であり、一度も買付けが行われていない非稼働口座が全体の50%以上存在することも事実。この理由を金融庁が調査したところでは、「まとまった資金がない」「どのように有価証券を購入したら良いのか分からない」との回答が上位を占めたという。これを受け、金融庁では、今回の積立NISAの創設を要望。少額から積立で投資でき、バランス型ファンドや非毎月分配型ファンドなど、長期の積立・分散投資に適した一定の投資商品に限定することとしたものである。投資対象商品については、平成29年度税制改正が実現した際に税務当局と協議して確定するとしている。
なお、金融機関のシステム対応次第となるが、金融庁では、平成31年1月1日から導入できるような制度設計を図るとしている。
現行NISA、平成30年に何が起こるのか?
一方、現行NISAに関しては、使い勝手をよくするための見直しを求めている。現行、投資可能期間は平成35年までとされているが、これを恒久化した上で非課税期間(5年間)終了時の対応を求めている。
NISA導入後、最初に非課税期間が終了する平成30年に何が起こるかというと、口座開設者は課税口座へ払い出すか、又は翌年の投資枠へロールオーバー(移管)することになる(図表2参照)。ロールオーバーする場合だが、現行制度では、年間投資上限額である120万円の範囲とされており、含み益が生じていても、120万円までしかロールオーバーできない。このため、年間投資上限額を一定額超過している場合であってもロールオーバーを可能とする。
また、課税口座へ払い出す際の取扱いだが、現行制度では、払出し価額は払出し時点の時価とされているため、仮に100万円で投資したものが80万円に値下がりしていた場合には、80万円で受け入れることになる。しかし、将来、時価が上昇すれば、その上昇分が課税されてしまうため、払出し価額は当初の取得価額である100万円のままとする。
積立NISA、平成31年1月から制度導入へ
金融庁の平成29年度税制改正要望で注目されるのが「積立NISA」の創設だ。現行NISAとの選択制とし、少額で長期の積立を可能とし、さらなる普及を目指す。金融庁は平成31年1月からの制度導入を図りたいとしている。また、現行NISAに関しては、投資可能期間を恒久化した上、事務負担の軽減を図る観点から非課税期間(5年間)終了時の対応を求めている。
現行NISAの弱点をカヴァー、少額で長期の積立が可能に
NISA(少額投資非課税制度)とは、小口投資家向けに、毎年、新規投資額で120万円を上限に上場株式等への投資に係る配当・譲渡益を非課税とするもの。非課税投資総額は600万円(120万円×非課税期間5年間)で保有期間は平成35年までの10年間とされている。一方、金融庁が平成29年度税制改正で要望しているのは、「積立NISA」と呼ばれるもの。長期・分散投資のメリットを得られるよう、現行NISAよりも年間投資上限額を半分にする代わりに、非課税期間を現行NISAの5年から20年と長期にわたるものとしている(図表1参照)。
【図表1】積立NISAの制度イメージ |
非課税投資枠 | 年間投資上限額60万円、非課税期間20年 |
投資対象商品 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資商品(例:バランス型ファンド、非毎月分配型ファンド等) |
投資方法 | あらかじめ締結した契約に基づき定期・定額で投資(積立)を行うものに限定 |
現行NISAとの関係 | 現行NISAとは選択的に利用可能とする |
(出典:金融庁) |
現行のNISAについては口座開設数が1,000万口座を突破。買付金額も約7.8兆円にのぼるなど、制度が開始して以来、着実に増え続けている。しかし、積立による利用は総口座数の1割以下であり、一度も買付けが行われていない非稼働口座が全体の50%以上存在することも事実。この理由を金融庁が調査したところでは、「まとまった資金がない」「どのように有価証券を購入したら良いのか分からない」との回答が上位を占めたという。これを受け、金融庁では、今回の積立NISAの創設を要望。少額から積立で投資でき、バランス型ファンドや非毎月分配型ファンドなど、長期の積立・分散投資に適した一定の投資商品に限定することとしたものである。投資対象商品については、平成29年度税制改正が実現した際に税務当局と協議して確定するとしている。
なお、金融機関のシステム対応次第となるが、金融庁では、平成31年1月1日から導入できるような制度設計を図るとしている。
現行NISA、平成30年に何が起こるのか?
一方、現行NISAに関しては、使い勝手をよくするための見直しを求めている。現行、投資可能期間は平成35年までとされているが、これを恒久化した上で非課税期間(5年間)終了時の対応を求めている。
NISA導入後、最初に非課税期間が終了する平成30年に何が起こるかというと、口座開設者は課税口座へ払い出すか、又は翌年の投資枠へロールオーバー(移管)することになる(図表2参照)。ロールオーバーする場合だが、現行制度では、年間投資上限額である120万円の範囲とされており、含み益が生じていても、120万円までしかロールオーバーできない。このため、年間投資上限額を一定額超過している場合であってもロールオーバーを可能とする。

また、課税口座へ払い出す際の取扱いだが、現行制度では、払出し価額は払出し時点の時価とされているため、仮に100万円で投資したものが80万円に値下がりしていた場合には、80万円で受け入れることになる。しかし、将来、時価が上昇すれば、その上昇分が課税されてしまうため、払出し価額は当初の取得価額である100万円のままとする。
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