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解説記事2017年02月13日 【SCOPE】 社会福祉法人の定款変更ミスで措置法40条の非課税承認は?(2017年2月13日号・№678)

直ちに非課税承認の取消しはせず
社会福祉法人の定款変更ミスで措置法40条の非課税承認は?

 運営費の不正流用など、不祥事が相次いだ社会福祉法人。事業運営の透明性の向上やガバナンス強化などを目的とした制度改革の一環として社会福祉法が一部改正され、平成29年4月1日から全面的に施行される。今回の改正法の施行により、経営組織の見直し等が行われることになるが、これに伴い約2万社あるとされる社会福祉法人において定款の変更が求められる。この点、過去に公益法人等に財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税の特例(措法40条)を受けていた法人が、失念等により、同特例を前提としない定款に変更したとしても直ちには国税庁長官の非課税承認が取り消されることはないとのことだ。

法改正で約2万社ある社会福祉法人が定款変更する事態に
 個人が土地、建物などの資産を法人に寄附した場合には、これらの資産は寄附時の時価で譲渡があったものとみなされ、これらの資産の取得時から寄附時までの値上がり益に対して所得税が課税される(所法59条)。しかし、これらの資産について社会福祉法人を含む公益法人等に寄附した場合には、一定の要件を満たし国税庁長官の承認を受けたときは、この所得税について非課税となる。これが、公益法人等に財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税の特例(措法40条)である。例えば、一定の要件として、社会福祉法等における規定を遵守するほか、理事に係る親族等特殊関係者の制限などの一定の事項が定款に規定されていることが必要になる。
 この点、社会福祉法等の一部を改正する法律(平成28年法律第21号)により、社会福祉法人の経営組織の見直し等が行われることに伴い、各社会福祉法人においては全面的な定款の変更が必要となっているので留意したい。
 公益法人等に財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税の特例の適用を受けるか否かは、各社会福祉法人の判断となるが、仮に同特例の適用を受けることを考えている社会福祉法人においては、これに沿った定款変更を行う必要がある(表1参照)。

【表1】社会福祉法人が受贈法人として国税庁長官の非課税の承認を受けるにあたっての留意事項
(1)租税特別措置法第40条の特例の適用を受けるにあたっては、社会福祉法等における規定を遵守するほか、次に掲げる事項が定款に規定されていることが必要となる。
① 社会福祉法等における親族等特殊関係者の制限及び租税特別措置法施行令第25条の17第6項第1号で定める親族等特殊関係者に関する規定が規定されていること。
② 残余財産の帰属先については、国若しくは地方公共団体又は他の公益法人等に帰属する旨の定めがあること。なお、社会福祉法人定款例のとおり規定されている、または、社会福祉法人に帰属先が限定されていても問題はない。
③ 評議員の定数(現在数)は、理事の定数(現在数)を超える数であること
④ 重要事項の議決のうち、以下の事項については、
 ・理事会における理事総数(現在数)の3分の2以上の多数による同意又は承認
 ・評議員会の承認
 を必要とすること。
  「事業計画及び収支予算」
  「基本財産の処分」
  「臨機の措置(予算外の新たな義務の負担及び権利の放棄)」
  「公益事業・収益事業に関する重要な事項※」※公益事業・収益事業を行う法人に限る。
⑤ 贈与又は遺贈に係る財産が贈与又は遺贈をした者又はこれらの者の親族が法人税法第2条第15号に規定する役員となっている会社の株式又は出資である場合には、その株式又は出資に係る議決権の行使に当たっては、あらかじめ理事会において理事総数(現在数)の3分の2以上の同意を得ることを必要とすること。
 (「社会福祉法人制度改革の施行に伴う定款変更に係る事務の取扱いについて」より一部抜粋)

 ただし、今回の定款変更は約2万社あるとされる社会福祉法人に求められるもの。定款変更に関しては、厚生労働省が定款例を示すなど、周知・対策等を行っているが、なかには不備等により同特例の適用を受けるための定款変更とはならないケースもあることが想定されている。このため、厚生労働省は国税庁と協議の上、「社会福祉法人制度改革に伴う租税特別措置法第40条の適用に関するQ&Aについて」と題する事務連絡を各都道府県等に通知している(表2参照)。

【表2】社会福祉法人制度改革に伴う租税特別措置法第40条の適用に関するQ&A
【社会福祉法人からの問合せへの対応】
問1 過去に租税特別措置法第40条の適用を受けていた法人が、失念等により、租税特別措置法第40条の適用を前提としない定款例に沿った内容の定款に改正した場合に、直ちに国税庁長官の非課税承認が取り消されることになるのか。
(答)
 直ちに国税庁長官の非課税承認が取り消されることはなく、税務署等からの指摘の際に、租税特別措置法第40条の適用要件を満たす定款へ改正すれば取り消されない。
【所轄庁監査の際の対応】
問1
 租税特別措置法第40条の適用要件を満たす定款に改正したにもかかわらず、監査において、理事等について、親族等特殊関係者(4〜6親等以内の親族等)が3分の1を超えて含まれていることが判明した場合には、どのように対応するべきか。
(答)
1.法人においては、社会福祉法等に基づく親族等特殊関係者(3親等以内)の制限については遵守しているが、租税特別措置法第40条の適用要件を満たす定款に改正したため、親族等特殊関係者(6親等以内)の制限に抵触することになった場合には、直ちに文書指摘等を行うことはせず、次回の評議員会で理事を選任し直すよう助言することが適当である。
2.なお、評議員・監事においても、直ちに文書指摘等を行うことはせず、法人における準備期間を考慮して、一定期間の猶予を設けることが適当である。
 (厚生労働省社会・援護局福祉基盤課)

 事務連絡では、失念等により、同特例の適用を前提としない定款に変更した場合であっても、直ちに国税庁長官の非課税承認が取り消されることはなく、税務署等からの指摘の際に同特例の適用要件を満たす定款へ改正すればよいとの取扱いがなされる旨が明記されている。

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