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解説記事2017年02月27日 【ニュース特集】 地方税をめぐり納税者勝訴が相次ぐ(2017年2月27日号・№680)

ニュース特集
老人ホーム付属駐車場に住宅用地特例が認められた事例も
地方税をめぐり納税者勝訴が相次ぐ

 法人税や相続税などの国税だけでなく、地方税をめぐり納税者と地方自治体との間の見解の相違が税務訴訟にまで発展するケースも少なくないなか、地方税の賦課決定を取り消す判決が相次いで下されていたことがわかった。そこで本特集では、地方税をめぐり納税者が勝訴した2つの裁判事例を紹介する。最初に紹介する事例は、納税者が共有物である土地を現物分割したことにより単独所有することになった土地(飛び地)の不動産取得税が非課税と判断されたもの。2番目に紹介する事例は、介護付き有料老人ホームに付属する駐車場の敷地にも固定資産税を軽減する「住宅用地の特例」が適用されると判断された事例である。

数か所に分かれて存在する共有土地の現物分割も不動産取得税の非課税対象
 土地や建物を売買、贈与、交換などにより取得した場合には、その取得者に対して不動産取得税が課税される(地法73の2)。
 ただし、「共有物の分割による不動産の取得」(当該不動産の取得者の分割前の当該共有物に係る持分の割合を超える部分の取得を除く。)については、不動産取得税を課税することができないとされている(地法73の7第2号の3)。
 最初に紹介する事例で問題となったのは、納税者が共有物(土地)を現物分割したことにより取得した土地について、不動産取得税を非課税とする地方税法73条の7第2号の3の規定が適用されるか否かという点である。
 納税者とその兄は、相続により取得した共有物である土地(納税者が43.8%、兄が56.2%を所有)を3筆に分筆したうえで、真ん中の土地を代金分割として第三者に売却する一方で、両脇の土地を現物分割することにした(図表1参照)。現物分割により、納税者は本件土地1を単独所有する一方で、納税者の兄は本件土地3を単独所有することになった(なお、第三者に売却した本件土地2の売買代金は納税者と兄が合意した割合により分配されている)。

 これに対し東京都(都税事務所長)は、納税者が本件土地1に係る他の共有者(納税者の兄)の持分を取得したことが土地の取得に当たると判断したうえで、納税者に対して不動産取得税(17万8,100円)の賦課決定を行った。
東京都、隣接する共有地でないことから課税  本件で東京都は、納税者が共有物の分割により取得した本件土地1について不動産取得税が非課税とされる「共有物の分割による不動産の取得」(地法73の7第2号の3)には当たらないとしている。東京都がその根拠としたのが「地方税法の施行に関する取扱い」(図表2参照)の規定だ。この規定を踏まえ東京都は、本件土地2が第三者に売却されていることから本件土地1及び本件土地3は隣接する共有地にはなっていないと指摘したうえで、納税者の本件土地1に係る他の共有者(納税者の兄)の持分の取得に地方税法73条の7第2号の3の適用はないと主張していた。

【図表2】地方税法の施行に関する取扱いについて(平成22年4月1日総税都第16号総務大臣通知)
5の2 共有物の分割による不動産の取得のうち、分割前において有していた持分の割合を超えない取得であれば非課税とされているが、その取扱いに当たっては、次の諸点に留意すること。
(2)複数の共有地で互いに隣接し、その共有者が同一で、かつ、持分割合が同じである場合において、合筆することなく当該隣接する複数の共有地を一体としてとらえて当該持分に応じた分割をしたと認められるときは、一の共有物を分割した場合に準じて非課税として取り扱って差し支えないこと。

地裁、「共有物の分割」の意義は民法上と同義  裁判所はまず、地方税法73条の7第2号の3にいう「共有物の分割」の意義について、同法その他の関係法令において特段の定めがされていないことから民法上の共有物の分割と同義のものと解釈。民法上の理解(次頁の図表3参照)を踏まえると、「共有物の分割」(地法73の7第2号の3)は共有物である複数の不動産を一括して分割の対象とし、現物分割、代金分割及び価格賠償の各種方法を適宜織り交ぜて行われる共有物の分割も含まれると解するのが相当であるとした。

【図表3】民法上の「共有物の分割」の意義に関する裁判所の判示内容
 民法256条1項にいう「共有物の分割」には、その方法として、①共有物を持分割合に応じて物理的に分割する現物分割、②共有物を売却してその売得金を分割する代金分割、③共有物を特定の共有者に帰属させ、この者から他の者に対して持分の価格を賠償させる価格賠償の3つの方法があり、共有者間の協議により共有物を分割する場合には、契約自由の原則の下、どのような分割方法を採るかは共有者が自由に定めることができるものと一般に理解されており、また、地方税法73条の7第2号の3の規定が新設された当時には、既に、最高裁大法廷の判決(最高裁昭和59年(オ)第805号同62年4月22日大法廷判決・民集41巻3号408頁)において、民法258条の規定による裁判上の「共有物の分割」につき、分割の対象となる共有物が多数の不動産である場合には、これらの不動産が数か所に分かれて存在するときでも、これらの不動産を一括して分割の対象とし、分割後のそれぞれの部分を各共有者の単独所有とすることも、現物分割の方法として許されるものであることが明らかにされていたものである。

 そして、納税者及びその兄は本件土地を一括して共有物の分割の対象とする意思の下、納税者は本件土地1、納税者の兄は本件土地3をそれぞれ単独所有する一方で、納税者及びその兄は本件土地2を第三者に売却したうえでその売買代金を合意した割合に従って分配したと認定。
 また、「分割後の本件土地の総面積に占める納税者の取得地(本件土地1)の面積割合(30.1%)」が「分割前の本件土地における納税者の持分に相当する面積割合(約43.8%)」を大きく下回ることから、不動産取得税が課税される「当該不動産の取得者の分割前の当該共有物に係る持分の割合を超える部分の取得」(地法73の7第2号の3括弧書き)に当たる部分がないと認定した。
 以上の点を踏まえ裁判所は、納税者の本件土地1に係る他の共有者(納税者の兄)の持分の取得は地方税法73条の7第2号の3が掲げる「共有物の分割による不動産の取得」に当たることから不動産取得税は非課税になると判断。都税事務所が納税者に対して行った不動産取得税の賦課決定を取り消した(東京地裁平成28年11月30日判決・平成27年(行ウ)第654号)。
 なお、敗訴した東京都は控訴を断念しているため、本判決は平成28年12月15日付けで確定済となっている。

老人ホームの付属駐車場の敷地が「住宅用地」か否かが問題に
 土地に対して課税される固定資産税の課税標準は、原則として固定資産課税台帳に登録された価格とされているが(地法349)、住宅用地については課税標準を本来の価格の3分の1(小規模住宅用地の場合は6分の1)とする特例措置が設けられている(地法349の3の2)。2番目に紹介する事例で問題となったのは、介護付き有料老人ホームの付属駐車場の敷地が固定資産税の特例の適用を受ける「住宅用地」に該当するか否かという点である。
 納税者は、所有する本件土地上に建築した本件家屋(介護付き有料老人ホーム及び小規模多機能型居宅介護施設)について、賃貸借期間を30年間、使用目的を「介護付有料老人ホーム、これに類似する高齢者福祉施設(ケアセンターを含む)及びその付属施設としての駐車場」として介護事業などを営む法人に賃貸していた。
 本件土地上には駐車場(9か所、合計面積約141㎡)があったものの、老人ホームの入居者のなかには自動車を自ら運転し、駐車場を利用する者はいなかった。都税事務所は、老人ホームが併用住宅に該当することを前提としたうえで、本件土地のうち駐車場については住宅用地に該当しないと判断。駐車場以外の部分についてのみ住宅用地(小規模住宅用地)に該当すると判断し、納税者に対して固定資産税等の賦課決定を行った。
 これを不服とした納税者は、賦課決定の取り消しを求める訴訟のなかで、本件土地は駐車場を含むその全体が併用住宅である本件家屋の敷地の用に供されている土地であることは明らかであると指摘し、駐車場を含む本件土地全体が住宅用地(小規模住宅用地)に該当すると主張した。
 これに対し東京都は、住宅用地の認定について東京都主税局資産税部長通達(平成27年3月20日付け26主資評第352号)が「第一は、駐車場等が当該住宅の附属的な施設と認定できることである。したがって、専ら当該住宅の居住者のための施設であることを要し、……駐車場等自体で独立の効用を果たしている場合は除かれる。」等の要件を定めている点を指摘。同通達がいう「居住者のための施設」とは居住者自らが利用する施設を意味するものであるとした。
 また東京都は、入居者の家族等が駐車場を利用することがあるとしても、本件家屋(老人ホーム)を運営する法人の事業に付随して多数来訪する外部事業者(訪問診療、清掃業者、リネン業者、イベント関係者等)も駐車場を利用していることなどを指摘。入居者自らが利用する「居住者のための施設」とは認められないため、駐車場については住宅用地に該当しないと主張した。

住宅を維持し又は効用を果たすために使用されている土地が特例の適用対象
 裁判所はまず、住宅用地に該当するか否かについて、土地と専用住宅又は併用住宅の形状や利用状況等を踏まえ社会通念に従い、その土地が専用住宅又は併用住宅を維持し又はその効用を果たすために使用される一画地の土地であるかどうかにより判断すべきとした。
 そして本件で問題となった駐車場については、駐車場とそれ以外の部分に柵等の区分はなく本件家屋の主な出入口まで接続されていること、一部の駐車場に設けられている柵には扉が設けられており、本件家屋から駐車場まで立ち入り、道路に至ることが可能な状態にあることを指摘。また、入居者は入居契約書に基づき共用施設として来訪者用駐車場を利用することができること、買い物や外部の病院に行くために入居者が呼ぶタクシーが駐車場を利用していること、外部の業者等が駐車場として利用することもあるもののその利用は入居者の生活等のためのものでもあることなどを指摘した。
 これらの点などを踏まえ裁判所は、本件の駐車場は利用状況に照らし併用住宅としての本件家屋と一体のものとして利用されている土地であると認めたうえで、本件の駐車場は住宅用地(小規模住宅用地)に該当すると判断。都税事務所が納税者に対して行った固定資産税等の賦課決定の一部を取り消した(東京地裁平成28年11月30日判決・平成27年(行ウ)第421号)。なお、敗訴した東京都は控訴を提起している。

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