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解説記事2017年06月19日 【レポート】 文書回答手続の見直しで、照会者の範囲拡大も(2017年6月19日号・№695)

レポート
文書回答手続の見直しで、照会者の範囲拡大も
国税庁、利便性向上のために事務運営指針を改正

 平成29年7月受付分から「事前照会に対する文書回答の事務処理手続等」(事務運営指針)の見直しが実施される。今回の見直しは、照会対象のうち「将来行う予定の取引等」の範囲をわかりやすくするほか、取引を行う当事者以外で照会できる者の範囲を拡大するなど文書回答手続の使い勝手をよくするために実施されるものである。本レポートでは、今回の文書回答手続の見直しのポイントを解説する。

文書回答事例が増加する可能性も  国税当局では、納税者が実際に行う取引等に関する税務上の取扱いについて税務署などで事前照会に応じ回答している。
 そのうち、文書回答手続に基づく一定の要件を満たす文書回答の求めがあった場合には、文書による回答を行うとともに他の納税者の予測可能性を高めるために、その照会・回答の内容を国税庁のホームページ上で公表している。国税庁によると、平成28年4月から平成29年3月までに132件の受付があり、うち17件が同庁ホームページに公表されている。
 文書回答手続は、「個別の納税者」が申告期限前に具体的な取引等に係る税務上の取扱いを事前照会するものと「同業者団体等」が傘下の構成事業者等に共通する取引等に係る税務上の取扱いを事前照会するものとに分けることができる。「個別の納税者」の文書回答手続について今回実施される見直しの1つは、照会対象となる「将来行う予定の取引等」の範囲をわかりやすくするというものである。たとえば、認可申請予定(認可前)の金融商品など近い将来販売を予定しているものに係る照会が文書回答手続の対象となるにもかかわらず、「仮定の事実」に基づくもので対象外になるという誤解が見受けられたようだ。この誤解を解消するために今回の見直しでは、事前照会の範囲について「仮定の事実」という文言を削除することなどにより「将来行う予定の取引等」の範囲をわかりやすくする。なお、「仮定の事実」という文言は削除されるものの、改正後も「仮定の事実」に基づくものは文書回答手続の対象外とされている。
 また、「同業者団体等」の文書回答手続については、照会できる者の範囲を拡大する見直しが実施される。具体的には、国、地方公共団体又は業界最上部団体(××中央会等)に限定されていた照会者の範囲について、地方の同業者団体や商品取引市場の開設者など当事者間の取引と密接な関連を有する業務を行う者も照会可能とする。
 さらに、「個別の納税者」と「同業者団体等」の双方を対象とするものとして、照会文書ヘの記名・押印を担当役員でも可能(現行は代表取締役に限る)とする見直しが実施される。そのほか、照会文書がそのまま公表されるという誤解があることを踏まえ、公表される照会内容の記載について事前に照会者が国税当局と相談できることが明らかにされている。

○新旧対照表         (国税庁公表の新旧対照表に基づき編集部作成)
・事前照会に対する文書回答の事務処理手続等について(事務運営指針)
 (注)アンダーラインを付した部分は、改正部分である。
改 正 後 改 正 前
事前照会に対する文書回答の事務処理手続等について(事務運営指針)

1 文書回答を行う対象となる事前照会の範囲
 文書回答の趣旨を踏まえ、次の要件の全てを満たす事前照会に対して、事前照会者の求める見解への回答を文書により行うこととする。
 ただし、国税に関する法令に定める承認申請等に係るもの、譲渡所得等の課税の特例に係る事前協議、国等に対する寄附金の事前確認、独立企業間価格の算定方法等の確認、同業者団体等からの照会に対する文書回答など、それぞれの趣旨・目的に基づいて別途事務運営指針等により手続が定められているものについては、当該事務運営指針等によることに留意する。
 (1)~(2) (省略)
 (3)実際に行われた取引等又は将来行う予定の取引等で個別具体的な資料の提出が可能なものに係る事前照会であること
  (注) 「将来行う予定の取引等」に係る事前照会には、照会の前提とする事実関係について選択肢があるものは含まれないことに留意する。



 (4)~(8) (省略)
 (9)以上のほか、事前照会の内容が次に掲げるような性質を有しないものであること
  イ~リ (省略)
  ヌ 審査の途中において、照会の前提とする事実関係が合理的な理由なく変更されるもの
   (省略)
事前照会に対する文書回答の事務処理手続等について(事務運営指針)

1 文書回答を行う対象となる事前照会の範囲
 文書回答の趣旨を踏まえ、次の要件のすべてを満たす事前照会に対して、事前照会者の求める見解への回答を文書により行うこととする。
 ただし、国税に関する法令に定める承認申請等に係るもの、譲渡所得等の課税の特例に係る事前協議、国等に対する寄附金の事前確認、独立企業間価格の算定方法等の確認、同業者団体等からの照会に対する文書回答など、それぞれの趣旨・目的に基づいて別途事務運営指針等により手続が定められているものについては、当該事務運営指針等によることに留意する。
 (1)~(2) (省略)
 (3)仮定の事実関係や複数の選択肢がある事実関係に基づくものではなく、実際に行われた取引等又は将来行う予定の取引等で個別具体的な資料の提出が可能なものに係る事前照会であること
  (注) 「複数の選択肢がある事実関係に基づくものではなく」とは、一つの照会文書において前提としている事実関係が複数ではなく一つであることをいう。
 (4)~(8) (省略)
 (9)以上のほか、事前照会の内容が次に掲げるような性質を有しないものであること
  イ~リ (省略)



   (省略)
別紙1 取引等に係る税務上の取扱い等に関する事前照会 (省略)

別紙1-1様式~別紙1-3様式 (省略)
別紙1 取引等に係る税務上の取扱い等に関する事前照会 (省略)

別紙1-1様式~別紙1-3様式 (省略)
「取引等に係る税務上の取扱い等に関する事前照会」の記載要領

1・2 (省略)

3 「③ 氏名・名称」及び「④ 総代又は法人の代表者
 事前照会者が個人である場合には、③欄に氏名を記載し、押印してください。なお、総代が互選されているときには、④欄に総代の住所又は居所及び氏名を記載し、押印してください。
 事前照会者が法人や団体である場合には、③欄に名称を、④欄に代表者等の住所又は居所並びに役職及び氏名を記載し、代表者等の印を押してください。なお、代表者等は、担当役員でも差し支えありません。
4~12 (省略)
「取引等に係る税務上の取扱い等に関する事前照会」の記載要領

1・2 (省略)

3 「③ 氏名・名称」及び「④ 総代又は法人の代表者」
 事前照会者が個人である場合には、③欄に氏名を記載し、押印してください。なお、総代が互選されているときには、④欄に総代の住所又は居所及び氏名を記載し、押印してください。
 事前照会者が法人や団体である場合には、③欄に名称を、④欄に代表者の住所又は居所及び氏名を記載し、代表者の印を押してください。


4~12 (省略)

・同業者団体等からの照会に対する文書回答の事務処理手続等について(事務運営指針)
 (注)アンダーラインを付した部分は、改正部分である。
改 正 後 改 正 前
同業者団体等からの照会に対する文書回答の事務処理手続等について(事務運営指針)

1 文書回答の対象となる照会の範囲
 同業者団体等からの事実認定を要しない一般的な照会のうち、次の要件の全てを満たすものであって、平成14年6月28日付課審1-14ほか8課共同「事前照会に対する文書回答の事務処理手続等について」(事務運営指針)によらず、本手続により一般的に回答を行うことが、多数の納税者の国税に関する法令の適用等についての予測可能性の向上等の観点から適切と認められるものについては、同業者団体等の求める見解への回答を文書により行うこととする。
 ただし、それぞれの趣旨・目的に基づいて別途事務運営指針等により手続が定められているものについては、当該事務運営指針等によることに留意する。
(注)
 1 この事務運営指針において、「同業者団体等」とは、次の者をいう。
 (1) 事業者としての共通の利益を増進することを主たる目的とする、業種等を同じくする相当数の事業者の結合体又はその連合体
 (2) 国又は地方公共団体の行政機関
 (3) 照会の対象となる取引等の当事者ではないが当該取引等と密接な関連を有する業務を行う者
  (注) 「取引等と密接な関連を有する業務を行う者」には、例えば、商品取引所が自ら開設する商品市場における取引等に係る照会を行う場合の当該商品取引所がこれに該当する。
2 (省略)
同業者団体等からの照会に対する文書回答の事務処理手続等について(事務運営指針)

1 文書回答の対象となる照会の範囲
 同業者団体等からの事実認定を要しない一般的な照会のうち、次の要件のすべてを満たすものであって、平成14年6月28日付課審1-14ほか8課共同「事前照会に対する文書回答の事務処理手続等について」(事務運営指針)によらず、本手続により一般的に回答を行うことが、多数の納税者の国税に関する法令の適用等についての予測可能性の向上等の観点から適切と認められるものについては、同業者団体等の求める見解への回答を文書により行うこととする。
 ただし、それぞれの趣旨・目的に基づいて別途事務運営指針等により手続が定められているものについては、当該事務運営指針等によることに留意する。
(注)
 1 この事務運営指針において、「同業者団体等」とは、事業者としての共通の利益を増進することを主たる目的とする、業種等を同じくする相当数の事業者の結合体又はその連合体(当該団体に連合会、中央会等の上部団体がある場合には、原則として、最も上部の団体に限る。)及びこれを所管する国又は地方公共団体の行政機関をいう。






2 (省略)
別紙1 取引等に係る税務上の取扱い等に関する照会(同業者団体等用) (省略)
別紙1-1~別紙1-3 (省略)
別紙1 取引等に係る税務上の取扱い等に関する照会(同業者団体等用) (省略)
別紙1-1~別紙1-3 (省略)
「取引等に係る税務上の取扱い等に関する照会(同業者団体等用)」の記載要領

1・2 (省略)
3 「③ 団体の名称」及び「④代表者等」
 ③欄に照会者である団体の名称及び連絡先の電話番号を、④欄に代表者等の役職及び氏名を記載し、代表者等の印を押してください。なお、代表者等は、担当役員でも差し支えありません。また、担当者の氏名及び連絡先の電話番号を記載してください。
4~11 (省略)
「取引等に係る税務上の取扱い等に関する照会(同業者団体等用)」の記載要領

1・2 (省略)
3 「③ 団体の名称」及び「④代表者等」
 ③欄に照会者である団体の名称及び連絡先の電話番号を、④欄に代表者氏名を記載し、代表者の印を押してください。また、担当者の氏名及び連絡先の電話番号を記載してください。


4~11 (省略)

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