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解説記事2017年07月03日 【税制改正解説】 平成29年度における消費税・間接諸税関係の改正について(下)(2017年7月3日号・№697)

税制改正解説
平成29年度における消費税・間接諸税関係の改正について(下)
 三枝俊平

Ⅵ 自動車重量税関係の改正

一 自動車重量税の免税等の特例措置(いわゆる「エコカー減税」)の延長等

1 改正前の制度の概要
 排出ガス性能及び燃費性能の優れた環境負荷の小さい検査自動車のうち、平成27年5月1日から平成29年4月30日までの間に新車に係る新規検査を受けるものについて、その納付すべき自動車重量税を免税、75%軽減、50%軽減又は25%軽減とすることとされている(旧措法90の12①~④、旧措規40の4①~)。

2 改正の内容  対象となる自動車の範囲を見直した上、その適用期限を2年延長することとされた(措法90の12①~④、措規40の4①~)。
 具体的には、以下の表のとおり。




3 適用関係  上記の改正は、平成29年5月1日以後に自動車検査証の交付を受ける自動車について適用されている(改正法附則1一)。

二 自動車重量税の納付の事実の確認等の特例措置の創設

1 制度の概要
 自動車重量税の法定納期限後において納付すべき自動車重量税の額の全部又は一部が納付されていない事実が発覚した場合において、当該事実が生じた原因が自動車メーカー等が偽りその他不正の手段により国土交通大臣の認定等を受けたことを事由として国土交通大臣が当該認定等を取り消したことによるものであるときは、当該自動車メーカー等を当該納付不足額に係る自動車重量税の納税義務者とみなして、当該納付不足額にその1割に相当する金額を加算した額を当該自動車メーカー等から徴収することとされた(措法90の12の2③④)。

2 適用関係  本措置は、平成29年4月1日以後に法定納期限の到来する自動車重量税について適用される(改正法附則93④)。
 なお、平成29年3月31日以前に法定納期限の到来した自動車重量税について納付不足額が生じた場合において、その原因が自動車ユーザー以外の者(以下「第三者」という。)にあるときは、当該第三者に対し、当該納付不足額の納付を申し出る機会を与え、当該第三者が当該申出をしたときは、当該第三者を当該納付不足額に係る自動車重量税の納税義務者とみなして、当該第三者から当該納付不足額に係る自動車重量税を徴収することとする経過措置が講じられている(改正法附則93⑤⑥)。

三 車両安定性制御装置等を装備した乗合自動車等に係る自動車重量税率の特例措置の改正
 「車両安定性制御装置等を装備した乗合自動車等に係る自動車重量税率の特例」については、装備を義務付けることとされている車線逸脱警報装置の早期普及を図る観点から、本措置の対象に車線逸脱警報装置を装備した車両総重量が12tを超えるバス等を加え、当該バス等の新車に係る新規検査を受ける際に納付すべき自動車重量税を25%軽減することとされた(措法90の14④)。
 上記の改正は、平成29年4月1日以後に自動車検査証の交付を受ける自動車について適用されている(改正法附則1)。

四 被災自動車に係る自動車重量税の還付措置の創設
 これまで災害に対応するための臨時的な税制上の特例措置については、災害の状況等に応じ、所要の措置が講じられてきたが、近年災害が頻発していることも踏まえ、被災者の不安を早期に解消するとともに、復旧や復興の動きに税制が遅れをとることがないよう、今般、災害に対応するための特例的な税制措置を常設化することとされた。
 自動車重量税においては、自然災害(被災者生活再建支援法第2条第2項に規定する政令で定める自然災害をいう。以下同じ。)により被災した自動車(以下「被災自動車」という。)のうち、自動車検査証に記載された有効期間の満了する日前に自然災害を原因として滅失し、又は解体したもので一定の手続がされたものについて、自然災害の発生した日から同日以後5年を経過する日までの間に還付申請書を国土交通大臣等を通じて税務署長に提出することにより、納付した自動車重量税の額に相当する金額を自動車検査証の有効期間の月数で除し、これに被災自動車に係る自然災害から当該自動車検査証に記載された有効期間の満了する日までの月数を乗じて計算した金額を還付することとされた(災害減免法第9条の規定の適用がある場合は、本措置は適用されない。)(措法90の15、措令51の5)。
 本措置は、平成28年4月1日以後に発生した自然災害に係る被災自動車について適用される(改正法附則93⑩)。

Ⅶ 印紙税関係の改正

一 被災者が作成する不動産譲渡契約書等の印紙税の非課税措置の創設

1 制度の概要
 自然災害の被災者であって一定の者又はその者の相続人等が、次のいずれかに該当する場合に作成する不動産譲渡契約書又は建設工事請負契約書のうち、当該自然災害が発生した日から同日以後5年を経過する日までの間に作成されるものについては、印紙税を非課税とすることとされた(措法91の2、措令52)。
イ 自然災害により滅失した建物又は自然災害により損壊したため取り壊した建物(以下「滅失等建物」という。)が所在した土地を譲渡する場合(不動産譲渡契約書)
ロ 自然災害により損壊した建物(以下「損壊建物」という。)を譲渡する場合(不動産譲渡契約書)
ハ 滅失等建物に代わる一定の建物(以下「代替建物」という。)の敷地の用に供する土地を取得する場合(不動産譲渡契約書)
ニ 代替建物を取得する場合(不動産譲渡契約書)
ホ 代替建物を新築する場合(建設工事請負契約書)
ヘ 損壊建物を修繕する場合(建設工事請負契約書)
 この特例措置の適用を受けるためには、その適用を受けようとする不動産譲渡契約書又は建設工事請負契約書に、自然災害によりその所有する建物に被害を受けたことについてその建物の所在地の市町村長又は特別区の区長から交付を受けた証明書(以下「建物被災証明書」という。)を添付しなければならない(措令52③)。

2 適用範囲等 イ 適用対象者(被災者の範囲)
  この特例措置の適用を受けることができる者は、自然災害の被災者であって一定のもの又はその相続人その他の一定の者(以下「被災者」という。)であり、具体的には、以下の者が該当する。
(イ)自然災害によりその所有する建物に被害を受けた個人又は法人で、その建物に被害を受けた者であることについて建物の所在地の市町村長又は特別区の区長から建物被災証明書の交付を受けた者(法人の分割により被害を受けた建物を承継させた分割法人は除く。)(措令52①)
(ロ)被災者である個人が建物被災証明書の交付を受けた後に死亡した場合においては、その相続人(措令52②一)
(ハ)被災者である個人が建物被災証明書の交付を受ける前に死亡した場合においては、その相続人であって被災者の所有する建物の所在地の市町村長又は特別区の区長から建物被災証明書の交付を受けたもの(措令52②二)
(ニ)被災者である法人が建物被災証明書の交付を受けた後に合併により消滅した場合又は分割により被害を受けた建物を承継させた場合においては、その合併に係る合併法人又は分割に係る分割承継法人(措令52②三)
(ホ)被災者である法人が建物被災証明書の交付を受ける前に合併により消滅した場合又は分割により被害を受けた建物を承継させた場合においては、その合併に係る合併法人又は分割に係る分割承継法人であって被災者の所有する建物の所在地の市町村長又は特別区の区長から建物被災証明書の交付を受けたもの(措令52②四)
 (注)上記の(ロ)から(ホ)までの相続人、合併法人又は分割承継法人は、被災者である個人の相続人又は被災者である法人の合併法人若しくは分割承継法人に該当することが契約書その他の書面により明らかにされている必要がある(措令52②)。
ロ 適用文書(適用文書の範囲)
  この特例措置の対象となる契約書は、次に掲げる契約書である。
(イ)印紙税法別表第一第1号の物件名の欄1に掲げる不動産の譲渡に関する契約書(第1号の1文書)
(ロ)印紙税法別表第一第2号に掲げる請負に関する契約書のうち建設工事の請負契約に基づき作成されるもの(第2号文書)
 (注1)建設工事とは、建設業法第2条第1項に規定する建設工事をいい、土木工事、建築工事のほか電気工事、塗装工事など土木建築工事全般が該当する。具体的には、昭和47年の建設省告示第350号「建設業法第2条第1項の別表の上欄に掲げる建設工事の内容」に規定されている工事となる。
 (注2)上記の(イ)及び(ロ)に掲げる契約書の範囲は、租税特別措置法第91条の規定により印紙税の軽減措置の適用を受ける契約書の範囲と同様。
ハ 共同作成の場合の課税関係
  自然災害の被災者と被災者以外の者(例えば、不動産業者や建設業者)とが共同で作成する契約書については、被災者が作成するものは非課税になる一方、被災者以外の者が作成するものは課税となる。

3 適用関係  本措置は、平成28年4月1日以後に発生した自然災害に係る不動産譲渡契約書及び建設工事請負契約書(以下「不動産譲渡契約書等」という。)について適用される(改正法附則94①)。なお、平成28年4月1日から平成29年3月31日までの間に本措置が適用される不動産譲渡契約書等が作成され、当該不動産譲渡契約書等に係る印紙税が納付されている場合には、当該納付された印紙税は印紙税法第14条第1項の過誤納金とみなして還付することとする措置が設けられている(改正法附則94②)。

二 特別貸付けに係る消費貸借契約書の印紙税の非課税措置の創設

1 制度の概要
  
 公的貸付機関等又は金融機関が、指定災害(激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律第2条第1項の規定により激甚災害として指定され、同条第2項の規定により当該激甚災害に対して同法第12条に規定する措置が適用されたものをいう。以下同じ。)により被害を受けた者に対して他の金銭の貸付けの条件に比し特別に有利な条件で行う特別貸付けに係る消費貸借契約書のうち、当該指定災害が発生した日から同日以後5年を経過する日までの間に作成されるものについては、印紙税を非課税とすることとされた(措法91の4、措令52の3)。

2 適用関係  本措置は、平成28年4月1日以後に発生した指定災害に係る消費貸借契約書について適用される(改正法附則94①)。なお、平成28年4月1日から平成29年3月31日までの間に本措置が適用される消費貸借契約書が作成され、当該消費貸借契約書に係る印紙税が納付されている場合には、当該納付された印紙税は印紙税法第14条第1項の過誤納金とみなして還付することとする措置が設けられている(改正法附則94②)。

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