解説記事2017年07月03日 【SCOPE】 国税庁が想定する将来像、税務調査や徴収でAI活用も(2017年7月3日号・№697)
税務相談の自動化など納税者の利便性向上も柱
国税庁が想定する将来像、税務調査や徴収でAI活用も
AI(人工知能)を中心とするICT(情報通信技術)の進化発展が税務行政にも大きな影響を与えることになりそうだ。国税庁は6月23日、10年後の税務行政をイメージした「税務行政の将来像」を公表した。内容は、AI技術の進展を踏まえた情報システムの高度化などを前提としているもので、税務行政にAI技術等を取り入れることが盛り込まれている点が注目される。具体的には、AIを活用したシステムによる税務調査先の選定や税務相談の自動化などが中長期的に検討される。国税庁は今後、予算の制約も踏まえながら詳細な検討を行うとともに、環境の変化に応じて見直しなどを行っていく方針だ。
課税・徴収事務の効率化で、国際的租税回避や富裕層対策の強化も
国税庁が取りまとめた「税務行政の将来像」は、ICTやAIの活用による「納税者の利便性の向上」と「課税・徴収の効率化・高度化」の2つを柱とするもの。
具体的にみると、「納税者の利便性の向上」については、①カスタマイズ型の情報配信、②税務相談の自動化、③申告・納付のデジタル化に向けた施策に取り組む。
たとえば、カスタマイズ型の情報配信では、今年秋ごろに本格的な運用が開始される予定のマイナポータルを通じて、不動産の売却者に対する申告案内など個々の納税者のニーズにあった税情報をタイムリーに配信することを検討する。また、税務相談の自動化については、メールやチャットなどを利用した相談・回答、AIを活用した相談内容の分析及び最適な回答を自動表示できるシステムを検討するとしている。
「課税・徴収の効率化・高度化」に向けた施策は、課税や徴収などの効率化を進める一方で、国際的租税回避への対応や富裕層に対する適正課税の確保など国税庁の重点課題への対応を強化することを狙いとするもの。課税や徴収を効率化するために、①申告内容の自動チェック、②軽微な誤りのオフサイト処理(手紙・電子メール等による接触)、③調査・徴収でのAI活用を検討する。
具体的にみると、申告内容の自動チェックについては現在でもある程度行っているものの、さらに自動化を進める。将来像としては、所得税では様々な取引等に関する情報と申告内容、相続税等では財産所有情報等と申告内容をシステム上で自動的にマッチングさせることで、申告漏れ所得や財産をより迅速かつ効率的に把握することが可能になるとされている。また、税務署等からの文書や電話により行われている行政指導(軽微な誤りの是正)の自動化も検討する。
AIで調査必要度判定、要調査項目の提示も 国税当局では、国税総合管理(KSK)システムを利用して法人の調査先の選定をある程度行っているものの、調査の必要性の判断やその調査手法などについては統括官などの長年の経験や勘によることも多いようだ。この点に関し国税庁は、人による部分はなくならないものの、その経験や勘をAIを活用したシステムに置き換えることができれば、調査必要度の判定がより精緻化されることで、限られた事務量を効率的に使うことができるとみている。また、徴収実務では、滞納者に対する過去の接触や滞納処分の状況等を踏まえた優先着手滞納事案の選定のほか、納税コールセンターの機能強化にAIを活用することも検討するとしている。
国税庁が想定する将来像、税務調査や徴収でAI活用も
AI(人工知能)を中心とするICT(情報通信技術)の進化発展が税務行政にも大きな影響を与えることになりそうだ。国税庁は6月23日、10年後の税務行政をイメージした「税務行政の将来像」を公表した。内容は、AI技術の進展を踏まえた情報システムの高度化などを前提としているもので、税務行政にAI技術等を取り入れることが盛り込まれている点が注目される。具体的には、AIを活用したシステムによる税務調査先の選定や税務相談の自動化などが中長期的に検討される。国税庁は今後、予算の制約も踏まえながら詳細な検討を行うとともに、環境の変化に応じて見直しなどを行っていく方針だ。
課税・徴収事務の効率化で、国際的租税回避や富裕層対策の強化も
国税庁が取りまとめた「税務行政の将来像」は、ICTやAIの活用による「納税者の利便性の向上」と「課税・徴収の効率化・高度化」の2つを柱とするもの。
具体的にみると、「納税者の利便性の向上」については、①カスタマイズ型の情報配信、②税務相談の自動化、③申告・納付のデジタル化に向けた施策に取り組む。
たとえば、カスタマイズ型の情報配信では、今年秋ごろに本格的な運用が開始される予定のマイナポータルを通じて、不動産の売却者に対する申告案内など個々の納税者のニーズにあった税情報をタイムリーに配信することを検討する。また、税務相談の自動化については、メールやチャットなどを利用した相談・回答、AIを活用した相談内容の分析及び最適な回答を自動表示できるシステムを検討するとしている。
「課税・徴収の効率化・高度化」に向けた施策は、課税や徴収などの効率化を進める一方で、国際的租税回避への対応や富裕層に対する適正課税の確保など国税庁の重点課題への対応を強化することを狙いとするもの。課税や徴収を効率化するために、①申告内容の自動チェック、②軽微な誤りのオフサイト処理(手紙・電子メール等による接触)、③調査・徴収でのAI活用を検討する。
具体的にみると、申告内容の自動チェックについては現在でもある程度行っているものの、さらに自動化を進める。将来像としては、所得税では様々な取引等に関する情報と申告内容、相続税等では財産所有情報等と申告内容をシステム上で自動的にマッチングさせることで、申告漏れ所得や財産をより迅速かつ効率的に把握することが可能になるとされている。また、税務署等からの文書や電話により行われている行政指導(軽微な誤りの是正)の自動化も検討する。
AIで調査必要度判定、要調査項目の提示も 国税当局では、国税総合管理(KSK)システムを利用して法人の調査先の選定をある程度行っているものの、調査の必要性の判断やその調査手法などについては統括官などの長年の経験や勘によることも多いようだ。この点に関し国税庁は、人による部分はなくならないものの、その経験や勘をAIを活用したシステムに置き換えることができれば、調査必要度の判定がより精緻化されることで、限られた事務量を効率的に使うことができるとみている。また、徴収実務では、滞納者に対する過去の接触や滞納処分の状況等を踏まえた優先着手滞納事案の選定のほか、納税コールセンターの機能強化にAIを活用することも検討するとしている。

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