カートの中身空

閲覧履歴

最近閲覧した商品

表示情報はありません

最近閲覧した記事

解説記事2017年08月21日 【税制改正解説】 平成29年度における法人税関係の改正について(下)(2017年8月21日号・№703)

税制改正解説
平成29年度における法人税関係の改正について(下)
 水野雅也

租税特別措置法(法人税関係)の改正 Ⅰ税額控除等関係(承前)

七 特定の地域において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除制度(雇用促進税制)

1 改正の内容
 本制度のうち地方事業所基準雇用者数に係る措置について、地方事業所税額控除限度額が次の金額の合計額(改正前:20万円又は50万円にその法人のその適用年度の地方事業所基準雇用者数を乗じて計算した金額)とされた(措法42の12②)。
(1)30万円(その法人の基準雇用者割合が10%以上であること又はその適用年度開始の日の前日における雇用者のうちその適用年度終了の日において高年齢雇用者に該当しない者の数が零であることにつき証明がされた場合(以下「証明がされた場合」という。)には、60万円)に、その法人のその適用年度の地方事業所基準雇用者数のうちその法人が受けた認定に係る特定業務施設においてその適用年度に新たに雇用された次の要件を満たす雇用者でその適用年度終了の日においてその特定業務施設に勤務するものの数として証明がされた数(以下「特定新規雇用者数」という。)に達するまでの数を乗じて計算した金額
 ① その法人との間で労働契約法の有期労働契約以外の労働契約を締結していること。
 ② 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の短時間労働者でないこと。
(2)20万円(証明がされた場合には、50万円)に、その法人が受けた認定に係る特定業務施設においてその適用年度に新たに雇用された雇用者でその適用年度終了の日においてその特定業務施設に勤務するものの総数として証明がされた数(以下「新規雇用者総数」という。)から特定新規雇用者数を控除した数のうちその新規雇用者総数の40%相当数に達するまでの数とその地方事業所基準雇用者数からその新規雇用者総数を控除した数とを合計した数を乗じて計算した金額
(3)10万円(証明がされた場合には、40万円)に、新規雇用者総数から特定新規雇用者数を控除した数のうちその新規雇用者総数の40%相当数を超える部分の数を乗じて計算した金額
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の15の2②)。

2 適用関係  上記1の改正は、法人の平成29年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則61)。連結納税制度の場合については、連結法人の連結親法人事業年度が平成29年4月1日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用し、連結法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則78)。

八 特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除(連結:特定中小連結法人が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除)制度

1 改正の内容
 本制度について、税額控除額の上限がこの制度における税額控除、上記三の制度における税額控除及び下記九の制度における税額控除の合計(改正前:この制度における税額控除のみ)で当期の調整前法人税額の20%相当額とされた上、その適用期限が平成31年3月31日まで2年延長された(措法42の12の3①~③)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の15の4①~③)。

2 適用関係  上記1の改正は、法人の平成29年4月1日以後に終了する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に終了した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則66)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則79)。

九 中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除(連結:中小連結法人が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除)制度(創設)

1 制度の概要
 中小企業者等が、平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に、特定経営力向上設備等の取得等をして、これを国内にあるその中小企業者等の営む指定事業の用に供した場合には、その指定事業の用に供した日を含む事業年度において、その特定経営力向上設備等の取得価額から普通償却限度額を控除した金額に相当する金額の特別償却(即時償却)とその取得価額の7%(中小企業者等のうち資本金の額又は出資金の額が3,000万円以下の法人がその指定事業の用に供したその特定経営力向上設備等は、10%)相当額(以下「税額控除限度額」という。)の税額控除との選択適用ができる制度が創設された(措法42の12の4①②)。
 なお、税額控除限度額は、この制度における税額控除、上記三の制度における税額控除及び上記八の制度における税額控除の合計で当期の調整前法人税額の20%相当額が上限とされ、税額控除限度超過額は1年間の繰越しができることとされている(措法42の12の4②~④)。
 連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられている(措法68の15の5①~④)。

2 適用関係  上記1の制度は、平成29年4月1日から施行されている(改正法附則1)。

十 雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除制度(所得拡大促進税制)

1 改正の内容
 本制度について、次の見直しが行われた。
(1)中小企業者等の税額控除限度額について、平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額のその比較平均給与等支給額に対する割合が2%以上であることとの要件を満たす中小企業者等にあっては、雇用者給与等支給増加額の10%相当額に、その雇用者給与等支給増加額のうちその中小企業者等の雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額に達するまでの金額に12%を乗じて計算した金額を加算した金額(改正前:雇用者給与等支給増加額の10%相当額)とされた(措法42の12の5①)。
(2)中小企業者等以外の法人の平均給与等支給額に係る要件及び税額控除限度額について、それぞれ次の見直しが行われた(措法42の12の5①)。
 ① 平均給与等支給額に係る要件が、平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額のその比較平均給与等支給額に対する割合が2%以上であること(改正前:平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を超えること)とされた。
 ② 税額控除限度額について、雇用者給与等支給増加額の10%相当額に、その雇用者給与等支給増加額のうちその法人の雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額に達するまでの金額に2%を乗じて計算した金額を加算した金額(改正前:雇用者給与等支給増加額の10%相当額)とされた。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の15の6①)。

2 適用関係  上記1の改正は、法人の平成29年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則61)。連結納税制度の場合については、連結法人の連結親法人事業年度が平成29年4月1日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用し、連結法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則81)。

十一 その他の税額控除等制度

(1)申告要件に係る所要の改正
 当初申告の確定申告書等に適用金額を記載した場合等に限り適用を受けることができる税額控除等制度のうち調整前法人税額の一定額を上限とするものについて、要件を満たす場合に税額控除額を変更できることを明らかにするための所要の改正が行われ、更正の請求によらない更正による法人税額の増加に伴い反射的に税額控除上限額が増加した場合にはその更正で税額控除額を増加させることができることとされた。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている。
(2)適用期限の延長  中小企業者等の法人税率の特例の適用期限が、平成31年3月31日まで2年延長された(措法42の3の2①②)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の8①②)。

Ⅱ 特別償却関係

一 特定設備等の特別償却制度

1 改正の内容
 本制度について、次の見直しが行われた。
(1)公害防止用設備の特別償却について、取得価額要件が600万円以上(改正前:300万円以上)に引き上げられた上、その適用期限が平成31年3月31日まで2年延長された(措令28①、昭48.5大蔵告69別表1)。
  なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措令39の49①)。
(2)船舶の特別償却について、環境負荷低減に著しく資する内航船舶に航海支援システムを有している船舶が追加されるとともに、環境負荷低減に係る要件の見直しが行われた上、その適用期限が平成31年3月31日まで2年延長された(平27.3国土交通告473、昭48.5大蔵告69別表2)。
  なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている。
(3)自動車の運転に関する技能及び知識の教授に係る学習支援業を営む青色申告書を提出する中小企業者等で指定自動車教習所を設置するものが、平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に、その指定自動車教習所においてその学習支援業の用に供される自動車教習用貨物自動車の取得等をして、これをその中小企業者等のその学習支援業の用に供した場合には、その学習支援業の用に供した日を含む事業年度において、その自動車教習用貨物自動車の取得価額の20%相当額の特別償却ができる措置が追加された(措法43①表三)。
  なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられている(措法68の16①表三)。

2 適用関係
(1)
上記1(1)の改正は、法人が平成29年4月1日以後に取得又は製作若しくは建設をする公害防止用設備について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をした公害防止用設備については、なお従前の例によることとされている(改正措令附則19①)。連結納税制度の場合についても同様である(改正措令附則26①)。
(2)上記1(2)の改正は、平成29年4月1日から施行されている(平29.3国土交通告302附則)。
(3)上記1(3)の措置は、法人が平成29年4月1日以後に取得又は製作をする自動車教習用貨物自動車について適用することとされている(改正法附則67①)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則82②)。

二 被災代替資産等の特別償却制度(創設)

1 制度の概要
 法人が、特定非常災害に係る特定非常災害発生日からその特定非常災害発生日の翌日以後5年を経過する日までの間に、次の減価償却資産のうちその特定非常災害に基因してその法人の事業の用に供することができなくなった建物等、構築物若しくは機械装置に代わる一定のものの取得等をして、これをその法人の事業の用に供した場合又は次の減価償却資産の取得等をして、これを被災区域及びその被災区域である土地に付随して一体的に使用される土地の区域内においてその法人の事業の用に供した場合
には、その用に供した日を含む事業年度において、これらの減価償却資産の取得価額に、これらの減価償却資産の次の区分に応じたそれぞれ次の割合を乗じて計算した金額の特別償却ができる制度が創設された(措法43の3①)。
(1)建物等又は構築物(増築された建物等又は構築物のその増築部分を含む。)で、その建設の後事業の用に供されたことのないもの:次の区分に応じたそれぞれ次の割合
 ① 下記②以外のもの:15%(その法人が中小企業者等である場合には、18%)
 ② 発災後3年経過日以後に取得又は建設をしたもの:10%(その法人が中小企業者等である場合には、12%)
(2)機械装置でその製作の後事業の用に供されたことのないもの:次の区分に応じたそれぞれ次の割合
 ① 下記②以外のもの:30%(その法人が中小企業者等である場合には、36%)
 ② 発災後3年経過日以後に取得又は製作をしたもの:20%(その法人が中小企業者等である場合には、24%)
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられている(措法68の18①)。

2 適用関係  上記1の制度は、法人の平成29年4月1日以後に終了する事業年度分の法人税について適用することとされている(改正法附則67②)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則82③)。

三 関西文化学術研究都市の文化学術研究地区における文化学術研究施設の特別償却制度

1 改正の内容
 本制度について、研究所用の施設の取得等資金に係る要件が3億円以上(改正前:2億円以上)に引き上げられた上、その適用期限が平成31年3月31日まで2年延長された(措法44①、措令28の4①一)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の19①)。

2 適用関係  上記1の改正は、法人が平成29年4月1日以後に取得又は製作若しくは建設をする研究施設について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をした研究施設については、なお従前の例によることとされている(改正措令附則19③)。連結納税制度の場合についても同様である。

四 共同利用施設の特別償却制度

1 改正の内容
 本制度について、取得価額要件が200万円以上(改正前:100万円以上)に引き上げられた上、その適用期限が平成31年3月31日まで2年延長された(措法44の3①、措令28の5)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の24①、措令39の52)。

2 適用関係  上記1の改正は、法人が平成29年4月1日以後に取得又は製作若しくは建設をする共同利用施設について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をした共同利用施設については、なお従前の例によることとされている(改正措令附則19④)。連結納税制度の場合についても同様である(改正措令附則26③)。

五 特定地域における工業用機械等の特別償却制度

1 改正の内容
 本制度について、次の見直しが行われた。
(1)過疎地域に係る措置について、対象事業につき農林水産物等販売業の追加及びコールセンター業の除外がされるとともに、対象資産等の見直しが行われた上、その適用期限が平成31年3月31日まで2年延長された(措法45②、措令28の9①一④三⑤三、旧措令28の9④三)。
(2)特定地域における工業用機械等の特別償却における産業高度化・事業革新促進地域に係る措置、国際物流拠点産業集積地域に係る措置、経済金融活性化特別地区に係る措置及び沖縄の離島の地域に係る措置並びに特定地域における産業振興機械等の割増償却の適用期限が、平成31年3月31日まで2年延長された(措法45②、措令28の9①二~五)。
 なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)及び(2)と同様の改正が行われている(措法68の27②)。

2 適用関係  上記1(1)の改正は、法人が平成29年4月1日以後に取得又は製作若しくは建設をする工業用機械等について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をした工業用機械等については、なお従前の例によることとされている(改正措令附則19⑤)。連結納税制度の場合についても同様である。

六 医療用機器の特別償却制度

1 改正の内容
 本制度について、高度な医療の提供に資する機器につき対象機器の追加及び除外がされた上、その適用期限が平成31年3月31日まで2年延長された(措法45の2①、平21.3厚生労働告248)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の29①)。

2 適用関係  上記1の改正は、平成29年4月1日から適用することとされている(平29.3厚生労働告167前文)。連結納税制度の場合についても同様である。

七 サービス付き高齢者向け賃貸住宅の割増償却制度

1 改正の内容
 本制度は、その適用期限(平成29年3月31日)の到来をもって廃止された(旧措法47、旧措令29の4、旧措規20の20)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(旧措法68の34、旧措令39の63、旧措規22の41)。

2 適用関係  上記1の改正は、法人が平成29年3月31日以前に取得又は新築をしたサービス付き高齢者向け賃貸住宅については、従来どおり適用できることとされている(改正法附則67⑦、改正措令附則19⑥)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則82⑧、改正措令附則26④)。

八 事業再編計画の認定を受けた場合の事業再編促進機械等の割増償却制度(創設)

1 制度の概要
 青色申告書を提出する法人で農業競争力強化支援法の認定事業再編事業者(同法の施行の日から平成31年3月31日までの間に認定を受けた法人又はその認定に係る事業再編計画に従って設立された法人に限る。)であるものが、その認定事業再編計画に係る実施期間内に、事業再編促進機械等の取得等をして、これをその法人の事業再編促進対象事業の用に供した場合には、その用に供した日以後5年以内の日を含む各事業年度において、その事業再編促進機械等の普通償却限度額の40%(建物等及び構築物は、45%)相当額の割増償却ができる制度が創設された(措法47①)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられている(措法68の34①)。

2 適用関係  上記1の制度は、農業競争力強化支援法の施行の日から施行することとされている(改正法附則1十一)。

九 特定都市再生建築物等の割増償却制度

1 改正の内容
 本制度について、次の見直しが行われた上、その適用期限が平成31年3月31日まで2年延長された(措法47の2①)。
(1)特定都市再生建築物等から次の建築物及び構築物並びに機械装置が除外された。
 ① 中心市街地の活性化に関する法律の認定特定民間中心市街地経済活力向上事業計画に基づく特定民間中心市街地経済活力向上事業により整備される建築物及び構築物(旧措法47の2③二、旧措令29の5③⑤、旧措規20の21②④二)
 ② 雨水貯留利用施設と併せて設置される滅菌装置及びろ過装置(措法47の2③二、旧措規20の21③)
(2)都市再生特別措置法の認定計画(国家戦略特別区域法による認定を受けた区域計画を含む。)に基づく都市再生事業により特定都市再生緊急整備地域を除く都市再生緊急整備地域内において整備される建築物に係る都市再生事業の要件のうち都市再生事業の施行される事業区域内に整備される建築物の延べ面積要件が、75,000㎡以上(改正前:50,000㎡以上)に引き上げられた(措令29の5①一)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(旧措法68の35③二、措法68の35①③二、旧措令39の64③④、旧措規22の42②③二)。

2 適用関係
(1)
上記1(1)の改正は、法人が平成29年4月1日以後に取得又は新築をする雨水貯留利用施設について適用し、法人が同日前に取得又は新築をした特定民間中心市街地経済活力向上事業により整備される建築物及び構築物並びに雨水貯留利用施設については、従来どおり適用できることとされている(改正法附則67⑧⑨、改正措令附則19⑧、改正措規附則9)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則82⑨⑩、改正措令附則26⑤、改正措規附則13)。
(2)上記1(2)の改正は、法人が平成29年4月1日以後に取得又は新築をする特定都市再生建築物について適用し、法人が同日前に取得
又は新築をした特定都市再生建築物については、なお従前の例によることとされている(改正措令附則19⑦)。連結納税制度の場合についても同様である。

Ⅲ 準備金等関係

一 新事業開拓事業者投資損失準備金制度

1 改正の内容
 本制度について、積立割合が50%(改正前:80%)に引き下げられた上、その適用期限が平成30年3月31日まで1年延長された(措法55の2①④)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の43の2①⑤)。

2 適用関係  上記1の改正は、平成29年4月1日から施行されている(改正法附則1)。

二 特定事業再編投資損失準備金制度

1 改正の内容
 本制度は、その適用期限(平成29年3月31日)の到来をもって廃止された(旧措法55の3、旧措令32の4、旧措規21の3)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(旧措法68の43の3、旧措令39の72の3、旧措規22の46の2)。

2 適用関係  上記1の改正は、計画の認定を平成29年4月1日前に受けた法人の同日以後に開始する各事業年度の所得の金額の計算については、従来どおり適用できることとされている(改正法附則68、改正措令附則20、改正措規附則10)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則83、改正措令附則27、改正措規附則14)。

三 特定原子力施設炉心等除去準備金制度(創設)

1 制度の概要
 青色申告書を提出する法人で廃炉等実施認定事業者であるものが、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改正する法律の施行の日から平成32年3月31日までの期間内の日を含む各事業年度において、特定原子力施設に係る炉心等除去費用の支出に充てるため、その特定原子力施設ごとに、その特定原子力施設につき原子力損害賠償・廃炉等支援機構に廃炉等積立金として積み立てた金額に相当する金額以下の金額を損金経理の方法により特定原子力施設炉心等除去準備金として積み立てたときは、その積み立てた金額をその事業年度において損金の額に算入できる制度が創設された(措法57の4の2①)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられている(措法68の54の2①)。

2 適用関係  上記1の制度は、機構法改正法の施行の日から施行することとされている(改正法附則1十三)。

四 中小企業等の貸倒引当金の特例(連結:中小連結法人等の貸倒引当金の特例)

1 改正の内容
 本制度について、公益法人等又は協同組合等の繰入限度額の割増率の適用に関する特例の割増率が10%(改正前:12%)に引き下げられた上、その適用期限が平成31年3月31日まで2年延長された(措法57の9③)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の59③)。

2 適用関係  上記1の改正は、法人の平成29年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則61)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則61)。

五 その他の準備金制度
 農業経営基盤強化準備金制度の適用期限が、平成30年3月31日まで1年延長された(措法61の2①)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の64①)。

Ⅳ 土地税制関係

一 土地の譲渡等がある場合の特別税率

 本制度について、次の見直しが行われた上、その適用停止措置の期限が平成32年3月31日まで、優良住宅地等のための譲渡に該当する土地等の譲渡に係る適用除外措置及び確定優良住宅地等予定地のための譲渡に該当する土地等の譲渡に係る適用除外措置の期限が平成31年12月31日まで、それぞれ3年延長された(措法62の3④⑤⑭)。
(1)土地の譲渡等のうちその有する資産が主として土地等である法人の発行する株式又は出資の譲渡から適格株式分配による移転が除外された(措法62の3②一ロ)。
(2)優良住宅地等のための譲渡に該当する土地等の譲渡に係る適用除外措置の対象となる土地等の譲渡に、土地開発公社に対する次の土地等の譲渡で、その譲渡に係る土地等が独立行政法人都市再生機構が施行するそれぞれ次の事業の用に供されるものが追加された(措法62の3④二の二)。
 ① 被災市街地復興特別措置法により都市計画に定められた被災市街地復興推進地域内にある土地等:同法による被災市街地復興土地区画整理事業
 ② 被災市街地復興特別措置法の住宅被災市町村の区域内にある土地等:都市再開発法による第二種市街地再開発事業
(3)確定優良住宅地等予定地のための譲渡に該当する土地等の譲渡に係る適用除外措置に、その適用を受けた土地等の譲渡の全部又は一部が、特定非常災害に基因するやむを得ない事情により、予定期間内に優良住宅地等のための譲渡に該当することが困難となった場合において、その予定期間の初日からその予定期間の末日後2年以内の日のうち一定の日までの間にその譲渡の全部又は一部が優良住宅地等のための譲渡に該当することが確実であると認められることにつき証明がされたときは、予定期間をその初日からその一定の日までの期間とする措置が講じられた(措法62の3⑧、措令38の4 )。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の68④⑤⑧⑭、措令39の97⑩)。

二 短期所有に係る土地の譲渡等がある場合の特別税率
 本制度について、その適用停止措置の期限が、平成32年3月31日まで3年延長された(措法63⑦)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の69⑦)。

三 収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例等
 本制度について、次の見直しが行われた。
(1)収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例の対象となる場合に、次の土地等が次の事業の用に供するために地方公共団体又は独立行政法人都市再生機構(土地開発公社を含む。)に買い取られ、対価を取得する場合が追加された(措法64①三の六・三の七)。
 ① 地方公共団体又は独立行政法人都市再生機構が被災市街地復興特別措置法により都市計画に定められた被災市街地復興推進地域において施行する減価補償金を交付すべきこととなる被災市街地復興土地区画整理事業の施行区域内にある土地等:公共施設の整備改善に関する事業
 ② 地方公共団体又は独立行政法人都市再生機構が被災市街地復興特別措置法の住宅被災市町村の区域において施行する第二種市街地再開発事業の施行区域内にある土地等:第二種市街地再開発事業
(2)法人が、特定非常災害に基因するやむを得ない事情により、収用等に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例及び換地処分等に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例の代替資産の指定期間内における取得をすることが困難となった場合において、その指定期間の初日からその指定期間の末日後2年以内の日のうち一定の日までの間に代替資産の取得をする見込みであり、かつ、納税地の所轄税務署長の承認を受けたときは、指定期間をその初日からその一定の日までの期間とする措置が講じられた(措法64の2⑰、措令39 )。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の71⑱、措令39の99⑬)。

四 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除(連結:特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の連結所得の特別控除)制度(2,000万円特別控除制度)
 本制度における古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法、都市緑地法等の買取請求に基づき地方公共団体等に土地等が買い取られる場合について、対象となる買取りを行う者から特定緑地管理機構が除外されるとともに、都市緑地法の改正後の緑地保全・緑化推進法人が引き続き対象となる買取りを行う者とされた(措令39の4③)。連結納税制度の場合についても同様である。

五 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除(連結:特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の連結所得の特別控除)制度(1,500万円特別控除制度)
 本制度について、対象となる場合に次の場合が追加された(措法65の4①二十・二十一の二)。
(1)土地等が被災市街地復興特別措置法の買取りの申出に基づき都道府県知事等に買い取られる場合
(2)土地等につき被災市街地復興土地区画整理事業が施行された場合において、保留地が定められたことに伴い、土地等に係る換地処分により土地等のうち保留地の対価の額に対応する部分の譲渡があったとき
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている。

六 特定の資産の買換えの場合等の課税の特例

1 改正の内容
 本制度について、次の見直しが行われた上、その適用期限が平成32年3月31日まで3年延長された(措法65の7①、65の8①、65の9)。
(1)既成市街地等の内から外への買換えに係る措置について、譲渡資産から事務所として使用されている建物等及びその敷地の用に供されている土地等が、買換資産から都市再生特別措置法の立地適正化計画を作成した市町村のその立地適正化計画に記載された都市機能誘導区域以外の地域内にあるその立地適正化計画に記載された誘導施設に係る土地等、建物等及び構築物が、それぞれ除外された(措法65の7①表一、措令39の7②)。
(2)市街化区域又は既成市街地等の内から外への農業用資産の買換えに係る措置が、制度の対象から除外された(旧措法65の7①表二、旧措令39の7⑩一、旧措規22の7③三④一⑤一)。
(3)農用地区域内にある土地等の買換えに係る措置が、制度の対象から除外された(旧措法65の7①表七、旧措規22の7④七・八)。
(4)所有期間が10年を超える国内にある土地等、建物等又は構築物から国内にある一定の土地等、建物等若しくは構築物又は国内にある鉄道事業用車両運搬具への買換えに係る措置について、買換資産のうち鉄道事業用車両運搬具の範囲が貨物鉄道事業用の電気機関車に限定された(措令39の7⑦)。
(5)日本船舶から日本船舶への買換えに係る措置について、次の見直しが行われた。
 ① 譲渡資産の見直し
  イ 譲渡資産から漁船が除外された(措法65の7①表八、措令39の7⑧一)。
  ロ 譲渡資産のうち建設業又はひき船業の用に供されている日本船舶の船齢要件における船齢が40年(改正前:45年)に引き下げられた(措令39の7⑧二)。
 ② 買換資産の見直し
  イ 買換資産から漁船が除外された(措法65の7①表八、措令39の7⑨一・二、旧措令39の7 )。
  ロ 買換資産のうち沿海運輸業の用に供される船舶(総トン数が2,000トン以上の船舶に限る。)につき環境負荷低減に係る要件の見直しが行われた(平29.3国土交通告303)。
(6)法人が、特定非常災害に基因するやむを得ない事情により、買換対象資産の特定の資産の譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例の取得指定期間内における取得をすることが困難となった場合において、その取得指定期間の初日からその取得指定期間の末日後2年以内の日のうち一定の日までの間にその買換対象資産の取得をする見込みであり、かつ、納税地の所轄税務署長の承認を受けたときは、取得指定期間をその初日からその一定の日までの期間とする措置が講じられた(措法65の8⑲)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の78①、68の79①⑳、68の80、旧措法68の78①、措令39の106③、旧措令39の106④一、旧措規22の69③三④一・七・八⑤一)。

2 適用関係
(1)
上記1(1)並びに(5)①イ及び②イの改正は、法人が平成29年4月1日以後に譲渡資産の譲渡をして、同日以後に買換資産の取得(建設及び製作を含む。)をする場合のその買換資産及びその買換資産に係る特別勘定又は期中特別勘定について適用し、法人が同日前に譲渡資産の譲渡をした場合における同日前に取得をした買換資産又は同日以後に取得をする買換資産及びこれらの買換資産に係る特別勘定又は期中特別勘定並びに法人が同日以後に譲渡資産の譲渡をする場合における同日前に取得をした買換資産については、下記(3)の場合を除き、なお従前の例によることとされている(改正法附則69⑦)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則84⑦)。
(2)上記1(2)及び(3)の改正は、法人が平成29年4月1日前に行った譲渡資産の譲渡に係る法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則69⑧)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則84⑧)。
(3)上記1(5)①イ及び②イの改正は、その有する譲渡資産のうち漁船につき平成29年4月1日前に漁船法第27条の規定により農林水産大臣に対して試験の依頼をした法人が、同日から平成31年12月31日までの間に譲渡をするその譲渡資産については、従来どおり適用できること等とされている(改正法附則69⑪、改正措令附則23⑧~⑩⑫、改正措規附則11②)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則84⑪、改正措令附則29⑦~⑨⑪、改正措規附則15②)。
(4)上記1(4)及び(5)①ロの改正は、法人が平成29年4月1日以後に譲渡資産の譲渡をして、同日以後に買換資産の取得(建設及び製作を含む。)をする場合のその買換資産及びその買換資産に係る特別勘定又は期中特別勘定について適用し、法人が同日前に譲渡資産の譲渡をした場合における同日前に取得をした買換資産又は同日以後に取得をする買換資産及びこれらの買換資産に係る特別勘定又は期中特別勘定並びに法人が同日以後に譲渡資産の譲渡をする場合における同日前に取得をした買換資産については、なお従前の例によることとされている(改正措令附則23②)。連結納税制度の場合についても同様である(改正措令附則29①)。
(5)上記1(5)②ロの改正は、平成29年4月1日から施行されている(平29.3国土交通告303前文)。連結納税制度の場合についても同様である。
(6)上記1(6)の改正は、法人の取得指定期間の末日が平成29年4月1日以後である譲渡資産に係る特別勘定について適用することとされている(改正法附則69⑬)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則84⑬)。

七 その他の土地税制
 収用等に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例等について、法人税法等の改正によって、全部取得条項付種類株式の端数処理、株式併合の端数処理及び株式売渡請求により対象法人が他の法人との間に完全支配関係を有することとなることが株式交換等として非適格株式交換等に係る完全子法人等の有する資産の時価評価制度等の対象とされたことに伴う改正が行われた(措法64の2⑪等)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の71⑫等)。

Ⅴ その他の特別措置関係

一 対外船舶運航事業を営む法人の日本船舶による収入金額の課税の特例(連結:対外船舶運航事業を営む連結法人の日本船舶による収入金額の課税の特例)(トン数標準税制)

 本制度について、その適用を受ける法人が有する外航船舶のうち日本船舶に該当するもの及びその法人の子会社に該当する法人が有する外航船舶のうち日本船舶に該当しないものに対する不適用措置に特定船舶に係る特別修繕準備金制度、特定の資産の買換えの場合の課税の特例等が追加されるとともに、平成32年3月31日までに日本船舶・船員確保計画の認定を受けた法人につきこの制度を適用することとされた(措法59の2①⑦、措令35の2④)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の62の2①⑦、措令39の89の2④)。

二 中小企業者等以外の法人の欠損金の繰戻しによる還付の不適用措置(連結:中小企業者等以外の連結親法人の欠損金の繰戻しによる還付の不適用措置)(改正後:中小企業者の欠損金等以外の欠損金の繰戻しによる還付の不適用措置(連結:中小連結法人の欠損金等以外の欠損金の繰戻しによる還付の不適用措置))

1 改正の内容
 本制度について、次の措置が講じられた。
(1)災害損失欠損金の繰戻しによる還付制度の常設化に伴い、この措置の対象となる欠損金額から災害損失欠損金額が除外された(措法66の13①ただし書)。
  なお、連結納税制度の場合についても同様の整備が行われている(措法68の98①)。
(2)認定事業再編事業者である法人の農業競争力強化支援法の施行の日から平成30年3月31日までの間に終了する事業年度において生じた一定の設備廃棄等欠損金額がこの措置の対象から除外され、中小企業者等以外の法人であっても、その繰戻しによる還付ができることとされた(措法66の13①ただし書②)。
  なお、連結納税制度についても、同様の措置が講じられている(措法68の98①ただし書②)。

2 適用関係
(1)
上記1(1)の改正は、平成29年4月1日から施行されている(改正法附則1)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則1)。
(2)上記1(2)の改正は、農業競争力強化支援法の施行の日から施行され(改正法附則1十一、71)、同日以後に終了する事業年度において生じた設備廃棄等欠損金額について適用される(措法66の13②)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則1十一、86、措法68の98②)。

三 協同組合等が有する普通出資に係る受取配当等の益金不算入の特例(創設)

1 制度の内容
 協同組合等の各事業年度において、その有する連合会等に対する出資のうち優先出資以外のもの(以下「普通出資」という。)につき支払を受ける配当等の額がある場合には、その普通出資に係る受取配当等の益金不算入額は、その普通出資が完全子法人株式等、関連法人株式等及び非支配目的株式等のいずれにも該当しないものとして計算することとされた(措法67の8①)。
 なお、連結納税制度についても、同様の措置が講じられている(措法68の105)。

2 適用関係  上記1の制度は、法人の平成29年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用することとされている(改正法附則61)。連結納税制度の場合については、連結親法人の同日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用することとされている(改正法附則61)。

四 課税所得の範囲の変更等の場合の特例
 本制度について、対象となる特定普通法人に生産森林組合が追加され、特定普通法人が特定普通法人等に名称変更された(措法68の3の4①②⑤、措令39の35の4①三④)。

五 その他の特別措置

1 中小企業向けの租税特別措置の適用要件の見直し
(1)制度の概要
 中小企業向けの租税特別措置(要件の特例を含む。)について、中小企業者のうち事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得の金額の年平均額が15億円を超える法人に該当するものの事業年度においては、その適用等を停止することとされた(措法42の4⑧六の二)。
 なお、連結納税制度についても、同様の措置が講じられている(措法68の9⑧五の二)。
(2)適用関係  上記(1)の制度は、平成31年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用することとされている(改正法附則62①)。連結納税制度の場合については、連結法人の連結親法人事業年度が平成31年4月1日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用することとされている(改正法附則75③)。

2 適用期限等の延長
(1)
沖縄の認定法人の所得の特別控除制度(改正後:沖縄の認定法人の課税の特例)の適用期限が、平成31年3月31日まで2年延長された(措法60①表一・二②)。
  なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の63①表一・二②)。
(2)農地所有適格法人の肉用牛の売却に係る所得の課税の特例の適用期限が、平成33年3月31日まで3年延長された(措法67の3①)。
  なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の101①)。
(3)投資法人に係る課税の特例について、特例特定資産に係る措置における特例特定資産の取得期限が平成32年3月31日まで3年延長された(措令39の32の3⑩)。
(4)退職年金等積立金に対する法人税の課税の停止措置の期限が、平成32年3月31日まで3年延長された(措法68の4)。

Ⅵ 震災税特法関係

一 復興産業集積区域等において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度

1 改正の内容
 本制度のうち復興居住区域内における賃貸住宅供給事業に係る措置について、被災者向け優良賃貸住宅のうち認定地方公共団体の指定を受けた法人が取得又は建設をしてその認定に係る認定復興推進計画に定められた復興居住区域内において賃貸住宅供給事業の用に供したものの特別償却限度額及び税額控除率が次のとおりとされた上、その適用期限が平成33年3月31日まで4年延長された(震災税特法17の2①④一ホヘ・二ヘ)。
(1)特別償却限度額:次の区分に応じたそれぞれ次の金額
 ① 平成32年3月31日以前に取得又は建設をしたもの:その取得価額の25%相当額
 ② 平成32年4月1日から平成33年3月31日までの間に取得又は建設をしたもの:その取得価額の17%相当額
(2)税額控除率:次の区分に応じたそれぞれ次の割合  ① 平成32年3月31日以前に取得又は建設をしたもの:8%
 ② 平成32年4月1日から平成33年3月31日までの間に取得又は建設をしたもの:6%
  なお、認定を受けた福島県又は福島県の区域内の市町村の指定を受けた法人が取得又は建設をしてその認定に係る認定復興推進計画に定められた復興居住区域内において賃貸住宅供給事業の用に供したものの特別償却限度額及び税額控除率は、従前どおりとされている。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(震災税特法25の2①④一ホヘ・二ヘ)。

2 適用関係  上記1の改正は、平成29年4月1日から施行されている(改正法附則1)。

二 避難解除区域等において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度

1 改正の内容
 本制度について、適用期間の始期に特定復興再生拠点区域復興再生計画につき認定があった日が追加され、適用期間が避難等指示が解除された日又は特定復興再生拠点区域復興再生計画につき認定があった日のいずれか早い日からその避難等指示が解除された日又は居住等制限指示が解除された日のいずれか遅い日以後5年を経過する日までの期間とされる等の見直しが行われた(震災税特法17の2の3①②)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(震災税特法25の2の3①②)。

2 適用関係  上記1の改正は、福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律(平成29年法律第32号)の施行の日(平成29年5月19日)から施行されている(改正法附則1十八)。

三 避難解除区域等において避難対象雇用者等を雇用した場合の法人税額の特別控除制度

1 改正の内容
 本制度について、福島県知事の確認を受けることができる期間の始期に特定復興再生拠点区域復興再生計画につき認定があった日が追加され、確認期間が避難等指示が解除された日又は特定復興再生拠点区域復興再生計画につき認定があった日のいずれか早い日からその避難等指示が解除された日又は居住等制限指示が解除された日のいずれか遅い日以後3年を経過する日までの期間とされる等の見直しが行われた(震災税特法17の3の3①等)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(震災税特法25の3の3①等)。

2 適用関係  上記1の改正は、福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律(平成29年法律第32号)の施行の日(平成29年5月19日)から施行されている(改正法附則1十八)。

四 被災者向け優良賃貸住宅の割増償却制度

1 改正の内容
 本制度について、次の見直しが行われた上、その適用期限が平成33年3月31日まで4年延長された(震災税特法18の2①)。
(1)対象となる特定激甚災害地域から認定復興推進計画に定められた復興居住区域が除外された。
(2)割増償却割合が、次の被災者向け優良賃貸住宅の区分に応じそれぞれ次のとおり引き下げられた。
 ① 被災者向け優良賃貸住宅のうちその新築の時における耐用年数が35年未満であるもの
  イ 平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に取得し、又は新築したもの:40%(改正前:50%)
  ロ 平成31年4月1日から平成33年3月31日までの間に取得し、又は新築したもの:20%
 ② 被災者向け優良賃貸住宅のうちその新築の時における耐用年数が35年以上であるもの
  イ 平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に取得し、又は新築したもの:56%(改正前:70%)
  ロ 平成31年4月1日から平成33年3月31日までの間に取得し、又は新築したもの:28%
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(震災税特法26の2①)。

2 適用関係  上記1の改正は、法人が平成29年4月1日以後に取得又は新築をする被災者向け優良賃貸住宅について適用し、法人が同日前に取得又は新築をした被災者向け優良賃貸住宅については、従来どおり適用できることとされている(改正法附則98、改正震災税特令附則3、改正震災税特規附則3)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則101、改正震災税特令附則4、改正震災税特規附則4)。

五 福島再開投資等準備金制度

1 改正の内容
 本制度について、適格分割が行われた場合における期中準備金積立額の損金算入措置及び準備金の引継ぎ措置が創設された(震災税特法18の8⑧⑬)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(震災税特法26の8⑨⑭)。

2 適用関係  上記1の改正は、法人の福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律(平成29年法律第32号)の施行の日(平成29年5月19日)以後に終了する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に終了した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則99)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則102)。

六 その他の改正

(1)申告要件に係る所要の改正
 当初申告の確定申告書等に適用金額を記載した場合等に限り適用を受けることができる税額控除等制度のうち調整前法人税額の一定額を上限とするものについて、要件を満たす場合に税額控除額を変更できることを明らかにするための所要の改正が行われ、更正の請求によらない更正による法人税額の増加に伴い反射的に税額控除上限額が増加した場合にはその更正で税額控除額を増加させることができることとされた(震災税特法17の2⑦⑨等)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(震災税特法25の2⑧⑩等)。
(2)非適格株式交換等に係る完全子法人等の有する資産の時価評価制度等の対象の見直しに係る所要の改正  特定の資産の譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例について、法人税法等の改正によって、全部取得条項付種類株式の端数処理、株式併合の端数処理及び株式売渡請求により対象法人が他の法人との間に完全支配関係を有することとなることが株式交換等として非適格株式交換等に係る完全子法人等の有する資産の時価評価制度等の対象とされたことに伴う改正が行われた(震災税特法20⑪)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(震災税特法28⑫)。

当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。

週刊T&Amaster 年間購読

お申し込み

新日本法規WEB会員

試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。

週刊T&Amaster無料試読申し込みはこちら

人気記事

人気商品

  • footer_購読者専用ダウンロードサービス
  • footer_法苑WEB
  • footer_裁判官検索