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解説記事2017年09月11日 【ニュース特集】 平成30年度における各省庁の税制改正要望は?(2017年9月11日号・№706)

ニュース特集
先進的省エネ・再エネ投資促進税制などに注目
平成30年度における各省庁の税制改正要望は?

 各省庁等の平成30年度税制改正要望が出揃った。経済産業省では先進的省エネ・再エネ投資促進税制の創設など注目すべき項目が並んでいる一方、他の省庁等の改正項目は全体的に技術的な見直しが中心となっている。本特集では、各省庁の主な税制改正要望を紹介する。

グリーン投資減税を最新の再エネ投資促進税制に見直し
 経済産業省における平成30年度税制改正要望の注目すべき項目としては、すでにお伝えしている自社株対価TOBに係る譲渡益課税の繰延べ(本誌704号9頁参照)や“事業の買換え特例”の創設(本誌705号8頁参照)のほか、先進的省エネ・再エネ投資促進税制の創設を挙げることができる。同税制は、省エネ法と連動した大規模又は高度な省エネ取組に資する省エネ設備投資や、再エネの自立化・長期安定化に資する投資を促進し、エネルギー利用の最適化・自給率向上を図るため、特別償却制度又は税額控除制度を講じるというもの。現行のグリーン投資減税を最新の省エネ・再エネに基づき全面的に見直したものといえそうだ。
 再生可能エネルギーでは、「太陽光発電設備(10kw以上)」「風力発電設備(1万kw以上)」「中小水力発電設備(3万kw未満)」などが対象になる見込みであり、詳細は図表1のとおりである。

【図表1】先進的省エネ・再エネ投資促進税制の概要
(省エネルギー)
対象者 年間1,500kl(原油換算)以上のエネルギーを使用し、「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」(以下「省エネ法」という。)において規制対象となっている事業者(以下「特定事業者」という。)や、年間3,000万トンキロ以上を輸送し、省エネ法において規制対象となっている荷主(以下「特定荷主」という。)等。
対象要件と支援措置の内容 特定事業者による大規模な省エネ設備投資や、複数事業者が連携して実施する高度な省エネ取組(先端的な省エネ設備投資、物流効率化に資するシステム構築等)に資する省エネ設備投資について、特別償却(30%(初年度))、又は税額控除(7%)を適用可能とする。
具体的対象設備 高効率誘導加熱装置、高効率ボイラー、省エネ型定置式坩堝(るつぼ)炉設備、省エネ油圧ジャンボプレス機、コジェネレーション設備、出荷状況管理システム、受発注管理システム等

(再生可能エネルギー)
対象者 対象要件に従い、再生可能エネルギー設備又は付帯的設備を導入する者。
対象要件と支援措置の内容 税制の適用期間内に取得・建設し、その日から1年以内に事業の用に供した場合、事業を開始した日を含む事業年度において、特別償却(30%)、又は税額控除(4%)を適用可能とする。
具体的対象設備 再エネの自立化や長期安定発電の促進に資する一定の要件を満たす設備、及び付帯的設備(全ての発電設備について、自営線(特定規模電気事業者が電力供給のために敷設した線)は対象)。
対象設備 要  件 付帯的設備
太陽光発電設備(10kw以上) ・固定価格買取制度の認定を受けていないもの ・蓄電池※1
風力発電設備
(1万kw以上)
・系統安定化・メンテナンス高度化に資すると認められる設備を合わせて導入するもの ・系統安定化・メンテナンス高度化に資すると認められる設備※2
中小水力発電設備
(3万kw未満)
・kwあたりの資本費が以下を満たすもの
200kw未満 ……272万円/kw以下
200kw以上1,000kw未満
……109万円/kw以下
1,000kw以上3万kw未満
……39万円/kw以下
木質バイオマス発電設備(2万kw未満、木質バイオマス燃料の年間利用率80%以上と見込まれるもの) ・年間稼働率80%以上と見込まれるもの
・kwあたりの資本費一定以下
2,000kw未満 ……62万円/kw以下
2,000kw以上2万kw未満
……41万円/kw以下
・熱電併給(発電設備及び熱供給設備を同時に新設)の場合
・熱供給設備
・燃料製造設備
バイオマス利用メタンガス発電装置 ・熱電併給(発電設備及び熱供給装置を同時に新設)の場合 ・原料受入・前処理設備
木質バイオマス熱供給装置(160GJ/h未満、木質バイオマス燃料年間利用率80%以上と見込まれるもの) ・装置の熱効率80%以上と見込まれるもの
・熱電併給(発電設備及び熱供給設備を同時に新設)の場合
・発電設備
・燃料製造設備
地熱発電設備
(1,000kw以上)
・年間発電時間利用率80%以上と見込まれるもの
※1 修繕及び増設のためにパネルやPCS等を交換及び増設した場合、これも適用対象とする。
※2 既存の発電設備に設置した場合も含む。

 なお、グリーン投資減税は平成30年3月31日で適用期限切れとなる。
IT投資減税の創設を要望  第4次産業革命の下でデータ量が増大する中、データを介して企業、消費者などが連携するためのIT投資をバックアップする税制措置が要望されている。生産管理システム等の高度化によるデータ利活用の取組みや、それに不可欠な高レベルのサイバーセキュリティ対策に必要なシステムの構築やサービスの利用に対して、特別償却制度又は税額控除制度の税制措置を2年間講じるというもの。対象は「機械装置」「器具備品」「ソフトウエア」となっている。現行の中小企業経営強化税制の対象と重なる部分があるが、要件等が異なることにより自ずと棲み分けができることになりそうだ。
生産性低い業種に所得拡大促進税制の支援  所得拡大促進税制では、これまでの賃上げの実施に加えて人材投資を増加させている企業に対しても支援措置を行うことが要望されている。具体的には、前年度から教育訓練費を一定割合増加させた企業については、雇用者給与等支給増加額の一定額を税額控除する。
 中小企業に対しては、新たに外部から中核人材を登用した場合、給与等支給増加額の一定額を税額控除の対象とするほか、生産性が低い業種の賃上げに対して重点的に支援を行いたいとしている。“生産性が低い業種”の認定は難しい部分があるが、例えば、「宿泊業」「飲食サービス業」「生活関連サービス業(クリーニング等)」「娯楽業」等が該当する可能性が高そうだ。

事業承継、ファンドの出資を受けても中小企業優遇税制の適用を
 事業承継税制については、既存の制度の要件の見直しに加え、後継者がいないため事業承継が行えない、あるいは投資余力がないため事業継続が困難といった課題を抱える中小企業においては事業を売却したりM&Aにより事業を再編・統合を図ることが行われている実態を踏まえ、①株式、事業の譲渡益に係る税負担の軽減、②不動産の移転及び地上権等の設定に係る登録免許税の軽減、③不動産の所有権移転に係る不動産取得税の軽減措置を講じる。また、ファンドから出資を受けた後に事業承継を行うこともあるが、ファンドの出資を受けたことにより大企業とみなされ中小企業関連の優遇税制の適用が受けられないケースがあるため、この要件を緩和することを求めている(図表2参照)。
 そのほか、交際費課税の特例措置(中小法人の交際費は800万円まで全額損金算入)や、中小企業者の少額減価償却資産の特例について適用期限を平成31年度末まで2年間延長するよう要望している。

金融庁、リストリクテッドストックも特定口座での保有を可能に
 平成29年度では「積立NISA」の創設という大きな目玉となる税制改正要望があったが、平成30年度税制改正の金融庁の要望は技術的な項目が並んだ格好だ。
 NISA(少額投資非課税制度)に関しては利便性向上としてNISA(一般NISA、ジュニアNISA、積立NISA)の口座開設申込時に、即日で買付けができることを要望している。NISAの口座数は約1,000万口座を突破しているが、このうちの約40%が一度も買付けが行われていない口座であるとされており、いかに稼働率を向上させるかが大きな課題となっている。現状では投資家がNISA口座の開設を申し込んでも、二重口座でないことの確認が税務署で2週間程度必要になるため、当日には買付けができない。金融庁は、このタイムラグが投資家の買付け意欲を失ってしまう1つの要因であると分析。即日買付けを実現させることにより投資家の利便性を図る。
 また、最近増えている役員報酬として支給されるリストリクテッドストックだが、一定期間後に譲渡が可能になった際、現行では一般口座でしか保有できないとの取扱いとなっていることから、特定口座でも保有できるよう見直しを要望している。
公募投資信託に係る二重課税の調整求める  公募投資信託等の内外二重課税の見直しも求めている(図表3参照)。公募投資信託等が海外の資産に投資している場合、その配当等に対して外国で課税が行われている。一方、この公募投資信託等が国内の投資家に分配金を支払う際には国内で源泉所得税が課されることになり二重課税となっている。諸外国では、公募投資信託等を経由して支払った外国税を投資家が支払う所得税から控除できる仕組みが講じられており、日本でも同様の措置を講じるよう求めている。また、CFC税制(外国子会社合算税制)の対象から海外の金融持株会社を除外するよう求める。租税回避目的がないにもかかわらず外国政府の出資規制のため株式を保有できないケースに対応する。

今年も上場株式の相続税評価の見直し  そのほか、昨年度に引き続き生命保険料控除制度の所得控除限度額を所得税15万円まで拡充することや、上場株式等の相続税に係る評価の見直しなどを盛り込んだ。相続財産となった上場株式等については、相続時の時価と、相続時以前3か月間(相続発生月、その前月、前々月)の各月のおける終値平均額のうち、最も低い価額で評価されることになるが、上場株式等は価格変動リスクの高い金融商品でもあるにも関わらず、相続時から納付期限までの10か月間の価格変動リスクが考慮されていないと金融庁は指摘している。昨年度は、上場株式等の相続税評価額については10%程度割り引いて評価することが適当としていたが、平成29年度税制改正では改正が実現しなかったため、10%の評価減にかかわらず幅広い議論を行いたいとしている。
空き家問題解決に相続登記の登免税を免除  法務省では、相続登記の促進のための登録免許税の特例の創設を求めている。不動産の登記名義人(所有者)が死亡した場合、所有権の移転の登記(相続登記)が必要になるが、相続登記が未了のまま放置されている不動産が増加している状況がある。これが所有者不明土地問題や空き家問題の一因になっているとの指摘があることを踏まえ、相続登記に係る費用負担を軽減することにより相続登記を促すとしている。
 具体的には、①相続発生から30年以上経過している土地に関して相続を基因とした登記を申請した場合、②課税標準額が一筆当たり20万円以下の土地に関して相続を基因とした登記を申請した場合に登録免許税を免除することを求めており、適用期間は平成30年度からの3年間となっている。法務省によると、①の要件では約123万筆、②の要件では約235万筆について適用の見込みがあるとしている。
 相続登記の未了に関する問題に関しては、政府の「経済財政運営と改革の基本方針2017」(平成29年6月9日閣議決定)において、関係省庁が一体となって検討を行うこととされたほか、自民党の所有者不明土地等に関する特命委員会が今年6月にまとめた中間とりまとめでは必要な税制上の措置を講じるべきとされており、何らかの税制上の対応が講じられる可能性が高そうだ。

文科省、美術品に係る相続税の納税猶予特例を求める
 文部科学省では、美術品・文化財に係る相続税の納税猶予の特例の創設を求めている(図表4参照)。具体的には、①美術品の所有者である個人が、寄託期間中は解約の申し入れをすることができない旨の定めがあることを受け入れた上で寄託を約し、当該美術品を相続又は贈与により取得した者もその状態を維持する場合、②相続又は贈与により美術品を取得した個人が寄託期間中は解約の申し入れをすることができない旨の定めがあることを受け入れた上で寄託を約し、かつ、その状態を維持する場合については、相続人の相続税又は贈与税の納税を免除するというもの。併せて、保存活用計画が策定された文化財についても同様に相続税又は贈与税の納税を猶予することを求める。

 また、寄附金税制に関しては、日本学生支援機構に対する法人からの寄附金について、従来からの貸与型奨学金に充てられるものに加え、新たに創設された給付型奨学金についても全額を損金算入することを要望したほか、現行制度上、確定申告が必要とされている学校等への寄附に係る寄附金控除に係る手続きを年末調整の対象とすることを求めている。
 そのほか、例年どおりゴルフ場利用税の廃止も求めている。
個人住民税を財源に森林環境税は導入へ  農林水産省や環境省では、森林吸収源対策の財源確保に係る森林環境税(仮称)の創設を盛り込んだ。与党の平成29年度税制改正大綱で、「市町村が主体となって実施する森林整備等に必要な財源に充てるため、個人住民税均等割の枠組みの活用を含め都市・地方を通じて国民に等しく負担を求めることを基本とする森林環境税(仮称)の創設に向けて、地方公共団体の意見も踏まえながら、具体的な仕組み等について総合的に検討し、平成30年度税制改正において結論を得る。」と明記されたことを踏まえたもの。9月中には具体的な仕組みが明らかになる見込みであり、実現に向けた検討が年末にかけて行われることになる。
リフォームの際の不動産取得税を減額  国土交通省は、住宅関係で、居住用財産の買換え特例が平成29年12月31日で期限切れとなることから、現行の措置を2年間延長することを求めているほか、買取再販事業者が既存住宅を取得し一定のリフォームを行った場合、敷地に係る不動産取得税を減額する特例措置の創設を求めている(本誌705号11頁参照)。また、不動産関係では、土地に係る固定資産税の負担調整措置及び条例減額制度について、平成33年3月31日まで3年間延長することを求めたほか、依然として土地取引件数が低水準であることから、土地等に係る不動産取得税の特例措置の3年間の延長を要望した。
飲食費用の50%損金算入の延長も  厚生労働省は、個人開設医療機関への軽減税制措置の導入や、社会医療法人及び特例医療法人の認定要件の見直しなどのほか(本誌705号9頁参照)、特定の地域において雇用者の数が増加した場合の法人税額等の特別控除の適用期限の2年間延長などを求めている。
 また、交際費課税については、経済産業省とは異なり、①飲食のために支出する費用の額(社内接待費を除く)の50%以上、②中小法人に係る交際費は800万円まで全額損金算入(中小法人は①又は②の選択適用)する制度の両方の適用期限を平成31年度末まで2年間延長することを求めている。
 内閣府は、地方拠点強化税制について、雇用要件の緩和や支援対象施設の拡充のほか、現在は対象外となっている中部圏・近畿圏を支援対象地域に追加することを求めている。また、国家戦略特区における課税の特例措置について制度の拡充及び適用期限の延長などを求めた。

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