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解説記事2017年11月20日 【最新判決研究】 分掌変更に伴って支給した役員退職慰労金の損金性(2017年11月20日号・№716)

最新判決研究
分掌変更に伴って支給した役員退職慰労金の損金性

東京高裁平成29年7月12日判決(平成29年(行コ)第39号)
東京地裁平成29年1月12日判決(平成27年(行ウ)第204号)

 筑波大学名誉教授・弁護士 品川芳宣

一、事実

(1)X(原告、控訴人)は、平成2年に設立され、プラスチック製品等の製造販売を業とし、T社の100%子会社である。Xは、平成23年4月1日から同24年3月31日までの事業年度(以下「本件事業年度」という。)分法人税について、平成23年5月30日に代表取締役を退任したYに対し、役員退職慰労金5609万円余(以下「本件金員」という。)を支給し、同金額を損金の額に算入して、平成24年5月31日に、確定申告書(以下「本件当初申告書」という。)を提出した。しかし、Xは、平成24年11月27日、本件事業年度分法人税について、本件金員を損金の額に算入しないとする修正申告書(以下「本件修正申告書」という。)を提出した。
 ところが、Xは、平成25年4月23日、本件事業年度分法人税について、本件金員は損金の額に算入されるべきであったとして、更正の請求をした。これに対し、所轄税務署長は、平成25年6月26日、上記更正の請求に対し、更正をすべき理由がない旨の通知処分(以下「本件通知処分」という。)をした。Xは、平成27年4月3日、国(被告、被控訴人)に対し、本件通知処分の取消しを求めて、本訴を提起した。
(2)Yは、Xの設立当時からXの取締役の地位にあり、平成16年5月28日から同23年5月30日までの間、代表取締役を務めていた。Nは、平成23年5月30日にXの代表取締役に就任し、現在もXの代表取締役を務めている。Sは、T社の代表取締役を務めている者であり、T社の筆頭株主である。
 Y、K及びSは、いずれも平成23年5月30日の任期満了までXの取締役の地位にあったところ、同日に開催された株主総会の決議により、Y及びKが取締役に再任され、Sが監査役に選任されたほか、XのU工場の営業部長であったNが新たに取締役に選任され、同時に代表取締役に選任された。
 Xの取締役会は、平成23年5月30日、Yの退職慰労金を5609万円余と決議した。Xの役員の退職慰労金については、当時、T社の役員退職慰労金規則に準じて算出するものとされていた。Xは、平成23年6月15日、Yに対し、本件金員(ただし、源泉所得税及び地方税を控除した4728万円余)を支給し、同月30日付で本件金員相当額を退職金勘定に計上した。

二、争点及び当事者の主張

1 争  点
 本件の争点は、次の(1)及び(2)の点である。
(1)本件金員が法人税法34条1項括弧書き所定の「退職給与」に該当するか否か。
(2)本件金員を損金の額に算入しないことが租税公平主義に違反するか否か。

2 Xの主張 (1)役員が実際に退職した場合でなくても、役員の分掌変更又は改選による再任等がされた場合において、例えば、常勤取締役が経営上主要な地位を占めない非常勤取締役になったり、取締役が経営上主要な地位を占めない監査役になるなど、役員としての地位又は職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にあると認められるときは、上記分掌変更又は再任の時に支給される給与も「退職給与」として損金に算入することとされるのが相当である。
 この点につき、以下の事情に鑑みれば、Yの役員としての地位又は職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にあると認められる。
① Yは、代表取締役の交代について適法な手続を経た後、Nを伴って取引関係者を回り、退任の挨拶及び社長交代の引継ぎの挨拶に連日出向いており、退任の挨拶状も取引関係者に送付されている。
② Xが契約当事者となっている土地の賃貸借契約書やXと銀行との間の金銭消費貸借契約書の名義がNを代表者とするものに変更され、銀行取引の連帯保証人もYからNに変更されている。
③ Yの月額報酬は、代表取締役を退任する前の205万円から3分の1に相当する70万円に引き下げられて激減している。これは、Yの地位や職務上の権限及び責任に激変があったことを示す事実であり、法人税基本通達9-2-32(以下「本件通達」という。)における役員の給与の激減に係る基準も充足するものである。
④ Nは利息を軽減するとともに、主に取引を行う金融機関(以下「メインバンク」という。)を地元のものに変更したいと考え、Yの意見に反して、自らの判断により、平成23年11月にメインバンクであったA信用金庫に対し約2700万円の繰上返済を行い、XのメインバンクをB銀行に変更した。
⑤ Nは、平成23年10月2日、新規訪問先管理票を作成し、自らの判断で実績管理を行うとともに人事評価等を行っており、この点についてYの指示を受けていない。
⑥ Nは、平成25年から、ISO(国際標準化機構をいう。以下同じ。)の目標として環境目的・目標実施計画書を自ら指示して作成させている。
⑦ Nは、独自の判断により新規開拓状況の管理を行っているほか、平成25年度から毎月の代表者会議で新規取引ユーザーの売上金額を発表させるなど、数値で見える形での管理を完成させるという成果を上げている。
(2)Yが常勤取締役として毎日出社していたのは、引継ぎを適切に行うためであり、従来のYの隣にNの席を設けたのは、引継業務を行う便宜のためのものであり、いずれも役員としての地位や職務内容とは無関係である。
(3)仮にYが代表取締役から取締役相談役に分掌変更した時点では「実質的に退職したと同様の事情」として十分な事情が認められなかったとしても、法人税法が事業年度の所得に課税するという期間税の構造を採用しており、法人税の納税義務が事業年度終了の時に成立することからすれば、「実質的に退職したと同様の事情」は、事業年度末までに具備されれば足りるというべきである。
(4)憲法14条を法的根拠とする租税公平主義は、担税力に応じた課税を求めている。仮に本件金員の損金算入が否認されると、Xは、永久的に担税力の減殺の事実を課税所得計算(担税力に)反映する機会を逸することになる。このように、本件金員の支払により担税力が減殺されている事実があるにもかかわらず、その事実を担税力の把握の指標となる課税所得に永久的に反映させることができないとすれば、担税力に応じた課税を求める憲法原理である租税公平主義に反するというべきである。

3 国の主張 (1)本件通達は、同通達が例示する基準のいずれかを形式的に満たしても、他の事情をも併せ勘案すると、役員としての地位又は職務の内容が激変して実質的に退職したと同様の事情があるとはいえない場合にまで、退職金として支払われた金員を退職給与として取り扱ってもよいとしたものとは解されない。
(2)Yの代表取締役の退任は、平成23年3月24日のT社グループの合同役員会で初めて正式に決まったものであるところ、Nは、代表取締役に就任した当時、代表取締役の業務遂行に必要な知識及び経験をいまだ備えていなかったことから、Xの経営体制の移行を円滑なものとするため、S、Y及びNの意思やT社グループ全体としての要請に基づき、Yの取締役再任という形が採られ、同人の2年間の任期中にNが単独で代表取締役としてXの経営を遂行できるようになることを見込み、Yが、退任前と同様にXの経営において主要な地位を占めながら、Xの経営に関与を続け、重要な経営判断を行うとともに、Nに対する指導及び育成を行うこととなったものである。
 そうすると、Yが、事実上、当時のXの経営判断そのものを行うことが想定されていたということができるのであり、Yが代表取締役を退任した後もXの経営について引き続き責任を負っていたものと評価すべきである。
(3)Nは、代表取締役に就任した後、単独でXの経営全般について判断し実行する知識及び能力を有していなかったため、あらゆる場面でYの助言、提案等を必要としていたのであり、実際、Yは、代表取締役を退任した後においても、新規に生ずる個別の稟議案件を確認して稟議書の「相談役」欄に押印するなど、Xの経営情報に接して判断をしていたほか、人事についても、従業員賞与の査定を確認し、従業員の評価についてNに助言をするなどし、予算や資金調達についても、Nから相談を受けて方策について提案をするなどしていた。
(4)本件金員の損金算入が否定されたことにより、法人の課税所得を減少させる機会を永久的に逸することとなったとしても、正当な法令に基づく制限の結果なのであるから、租税公平主義に反するとはいえない。

三、一審判決要旨

請求棄却。
1 本件金員が「退職給与」に該当するか否か
(1)本件の認定事実に関し、①Nは、税務調査の際に、「前代表取締役Y氏及び、前専務取締役K氏から退職の申し出がありましたが、その場合、会社の業務遂行上多少の支障をきたすため、私が両氏に対し当分の間、退任前と同様程度の業務内容で、取締役として留任していただきたいと慰留し両氏が承諾したことに相違ありません。」と記載した「確認書」と題する書面(以下「本件確認書」という。)及び本件金員を損金に算入しない内容の本件修正申告書に署名押印し、これらをO税務署に提出しているところ、②本件訴訟におけるX代表者の供述中には、本件確認書は当時の状況からその内容を十分に理解して署名押印したものではなく、上記「退任前と同様程度の業務内容で」との記載は、時間をかけてゆっくりと引継ぎを行うという意味であり、業務内容や責任が退任前と同程度という意味ではない旨の供述がある。
 しかしながら、本件確認書の上記「退任前と同様程度の業務内容で」との記載は、その文言の内容及び前後の文脈に照らし、Yが代表取締役を退任した後も実質的には同様程度の業務内容で取締役を留任することを内容とするものであることは明らかであり、税務調査の際にNが自らの意思に反して書面への署名押印等を強制されるなどの事情の存在はうかがわれないこと等に照らせば、X代表者の上記②の供述は採用することができない。
(2)法人税法34条1項括弧書きは、損金の額に算入しないこととする役員給与の対象から、役員に対する退職給与を除外しており、この退職給与は、法人の所得の計算上、損金の額に算入することができるものとされている。これは、役員の退職給与は、役員としての在任期間中における継続的な職務執行に対する対価の一部であって、報酬の後払いとしての性格を有することから、役員の退職給与が適正な額の範囲で支払われるものである限り、定期的に支払われる給与等と同様の経費として、法人の所得の金額の計算上、損金の額に算入すべきものとする趣旨に出たものと解される。そして、同項括弧書きが損金の額に算入しないものとする給与の対象から役員の退職給与を除外している上記の趣旨に鑑みれば、同項括弧書きにいう退職給与とは、役員が会社その他の法人を退職したことによって支給され、かつ、役員としての在任期間中における継続的な職務執行に対する対価の一部の後払いとしての性質を有する給与であると解すべきであり、役員が実際に退職した場合でなくても、役員の分掌変更又は改選による再任等がされた場合において、例えば、常勤取締役が経営上主要な地位を占めない非常勤取締役になったり、取締役が経営上主要な地位を占めない監査役になるなど、役員としての地位又は職務の内容が激変し、実質的には退職したと同様の事情にあると認められるときは、その分掌変更等の時に退職給与として支給される金員も、従前の役員としての在任期間中における継続的な職務執行に対する対価の一部の後払いとしての性質を有する限りにおいて、同項括弧書きにいう退職給与に該当するものと解するのが相当である。
(3)これを本件についてみるに、Yは、平成23年5月30日、株主総会において取締役として再任された上で代表取締役を退任し、Nが、新たに株主総会において取締役に選任されるとともに、取締役会において代表取締役に選任された。そして、Nは、同年6月、Xの従業員に対し代表取締役に就任した旨の挨拶をしたほか、Xの取引先に対しても、Yと共に挨拶に赴き、又は挨拶状を送付し、Xの代表取締役に交代があったことを伝え、同年7月29日にXのB銀行に対する銀行取引の債務についてYからNの保証人変更手続をするなど、代表取締役の交代に伴う対外的な周知や契約上の手続を行っている。
 しかしながら、代表取締役の交代の経緯についてみると、Yは、前任の代表取締役から全く業務の引継ぎをしてもらえず、代表取締役に就任した際に苦労をした経験があったことから、68歳の定年まで3年を残していたものの、早めに代表取締役を退任して後任の代表取締役への引継ぎに当たろうと考えていたものであり、Nも、平成23年2月頃、Yから代表取締役に就任することについての打診を受けたが、直ちに代表取締役の任務を果たせるかどうか自信を持てなかったことから、当分の間は退任前と同程度の業務内容により取締役とし留任することをYに求め、Yが引き続き2年間はXに常勤することを条件として代表取締役への就任を承諾したものである。これらの事情に照らすと、営業部長の職にあったNがYに代わりXの代表取締役に就任するに当たっては、Xの経営に支障が生じないよう、Yが、引き続き当分の間はXの経営に関与してNに対する指導や助言を行うことによって、専ら営業部門で勤務してきたNの経営責任者としての経営全般に関する知識や経験の不足を補うことが予定されていたものと認められる。
 実際に、Yは、Xの代表取締役を退任した後も、常勤の相談役として毎日出社をし、退任前と同じ代表取締役の執務室の席において執務をしたのであり、Nの席はYの席の隣に設けられ、YとNが共同してXの経営に当たる執務環境が整えられていた。そして、NはXの営業以外の業務や組織管理等の経営全般に関する知識や経験が少なかったことから、Xの売上げや粗利、従業員の成績の管理、棚卸し等に関する事項についてYから指導を受けたほか、従業員からの報告事項など様々な案件についてYに相談し、平成23年の夏季賞与の査定やその支払のための借入れ、同年の冬季賞与の査定、マシニングの管理や設置についても、案件ごとにYに確認を求め、その助言に従って業務を実施するなどしていたのであり、そのような状況は少なくとも同年12月頃まで継続していたものである。これらの事情に照らすと、Nは、代表取締役に就任した後、Xの経営に関する法令上の代表権を有してはいたものの、NがXの営業以外の業務や組織管理等の経営全般に関する経営責任者としての知識や経験等を十分に習得して自ら単独で経営判断(組織管理の判断を含む。以下同じ。)を行うことができるようになるまでは、Yが、Xの経営(組織管理を含む。以下同じ。)についてNに対する指導と助言を行い、引き続き相談役としてXの経営判断に関与していたものと認められる。
 なお、Xの取締役会は、平成23年5月30日、Nの月額報酬を85万円、Yの月額報酬を70万円、Kの月額報酬を60万円とする旨の決議をしており、Yの月額報酬はXの代表取締役を退任する前の205万円から70万円に減額されているが、Yがその減額後もNと遜色のない月額報酬の支払を受けていることや上記のとおり退任後も引き続きXの経営判断に関与してNへの指導や助言を続けていたことなどに照らすと、各取締役の上記変更後の月額報酬は、Yが引き続きXの経営判断への関与及びNの指導や助言を続けていたことを前提として定められたものとみるのが相当であり、代表取締役の交代後もなおYがXの経営上主要な地位を占めていたことと別段そごするものではないというべきである。
 以上の諸事情に鑑みると、Yは、Xの代表取締役を退任した後も、その直後の本件金員の支給及び退職金勘定への計上の前後を通じて、引き続き相談役としてXの経営判断に関与し、対内的にも対外的にもXの経営上主要な地位を占めていたものと認められるから、Nが代表取締役に就任したことによりYの業務の負担が軽減されたといえるとしても、本件金員の支給及び退職金勘定への計上の当時、役員としての地位又は職務の内容が激変して実質的には退職したと同様の事情にあったとは認められないというべきである。

2 本件金員を損金の額に算入しないことが租税公平主義に違反するか否か (1)租税は、今日では、国家の財政需要を充足するという本来の機能に加え、所得の再配分、資源の適正配分、景気の調整等の諸機能をも有しており、租税負担を定めるについて、財政、経済、社会政策等の国政全般からの総合的な政策判断を必要とするばかりでなく、課税要件等を定めるについて、極めて専門技術的な判断を必要とすることも明らかであって、租税法の定立については、国家財政、社会経済、国民所得、国民生活等の実態についての正確な資料を基礎とする立法府の政策的、技術的な判断に委ねるほかはなく、裁判所は、基本的にはその裁量的判断を尊重せざるを得ないものというべきであるから、租税法の分野における費用の性質の違い等を理由とする取扱いの区別は、その立法目的が正当なものであり、かつ、当該立法において具体的に採用された区別の態様が上記目的との関連で著しく不合理であることが明らかでない限り、その合理性を否定することができず、これを租税公平主義に反するものとして憲法14条1項の規定に違反するものということはできないものと解するのが相当である(最高裁昭和60年3月27日大法廷判決・民集39巻2号247頁参照)。
(2)法人税法34条1項の規定に関しては、その立法目的は正当なものというべきであり、その課税要件等の定めも当該立法目的との関連で合理性を有するものであって、著しく不合理であることが明らかであるとは認められない。そして、本件金員が、法人税法34条1項括弧書き所定の「退職給与」に該当せず、同項各号に掲げる給与のいずれにも該当しないとして損金の額への算入が否定される結果になるとしても、それは、上記のとおり課税の公平を図るために正当な立法目的と合理的な関連を有するものとして設けられた同項の規定の結果によるものであるから、上記の結果は租税公平主義に反するものではなく、所論の違法ないし違憲の問題を生ずる余地はないものというべきである。

四、控訴審判決要旨

控訴棄却。
(1)当裁判所も、Xの請求は理由がないと判断する。その理由は、次のとおり付加するほかは、原判決の理由のとおりであるから、これを引用する。
(2)法人税法34条1項括弧書きが損金の額に算入しないものとする給与の対象から役員の「退職給与」を除外している趣旨に鑑みれば、「退職給与」とは、役員が会社その他の法人を退職したことによって支給され、かつ、役員としての在任期間中における継続的な職務執行に対する対価の一部の後払いとしての性質を有する給与であると解すべきであり、役員が実際に退職した場合でなくても、役員の分掌変更又は改選による再任等がされた場合において、役員としての地位又は職務の内容が激変し、実質的には退職したと同様の事情にあると認められるときは、その時に退職金として支給される金員も、従前の役員としての在任期間中における継続的な職務執行に対する対価の一部の後払いとしての性質を有する限りにおいて、「退職給与」に該当するものと解するのが相当である。この点に関し、Xは、分掌が実質的に変更された場合も退職に該当すると主張するが、分掌が実質的に変更されたとしても、役員としての地位又は職務の内容が激変せず、実質的に退職したのと同様の事情にあるとは認められない場合についてまで退職に該当すると解することは、文理解釈の限界を超えるものであって、相当でない。
(3)また、Xは、法人税は期間税としての性格を有しているから、Yが「実質的に退職したのと同様の事情」は本件事業年度末までに具備されれば足りる旨主張するが、本件金員が「退職給与」に該当するか否かについては、本件金員の支払債務が確定した平成23年6月を基準として判断すべきであり、そのことは、法人税が事業年度の所得に課税するという期間税としての性格を有しており、事業年度終了の時に法人税の納付義務が成立することをもって左右されるものではない。
(4)Xは、前記のとおり、本件金員を損金の額に算入しないことが租税公平主義に反するものではないとする原判決の判断は、誤った事実認定を前提とするものである旨主張するが、原判決の事実認定及び認定事実の評価が相当であることは前記のとおりである。

五、解説

はじめに
 本件は、会社(X)の代表取締役を退任し、平取締役として当該会社の役員に留まった場合に支給された役員退職慰労金(本件金員)が、法人税法上損金の額に算入される「退職給与」に該当するか否かが争われた事案である。本件では、直接争点として争われているわけではないが、役員退職慰労金が「退職給与」に該当しないということは、当該「退職」の事実が否定されることになるので、原則として、所得税法上も「退職所得」としての課税が否定されることになり、多大な所得税負担が生じることになる。その点では、同じ役員退職給与の損金算入が否認される場合であっても、過大退職給与として否認されることに比し、税負担が過重となる。
 しかも、本件のような分掌変更に伴う役員退職慰労金の支給は、実務上多く行われていることであるので、その支給方法に細心の注意が必要である。その点では、本件各判決は、分掌変更に伴って役員退職慰労金を支給しようとしている会社にとって、重要な参考事例となるものであり、それらの判示事項について留意すべきである。

1 法人税法上の役員給与課税 (1)法人税法は、役員給与課税について、平成18年に大幅に改正している。平成18年改正前には、同法34条において、「過大な役員報酬等の損金不算入」と題し、役員報酬のうち、不相当に高額な部分と事実を隠ぺい・仮装したものを損金不算入とし、同法35条において、「役員賞与等の損金不算入」と題し、役員賞与については、使用人兼務役員に対して支給する所定の金額を除き、損金不算入とし、同法36条において、「過大な役員退職給与の損金不算入」と題し、役員退職給与の額のうち、損金経理をしなかったもの及び損金経理をしたもので不相当に高額な部分を損金不算入としていた(注1)。
 しかしながら、平成14年の商法改正及び平成17年の会社法制定において、役員報酬について、業績連動型報酬の導入等大幅な改正が行われ、企業会計においても、平成17年に制定された「役員賞与に関する会計基準」(企業会計基準委員会、平成17年11月29日)において、役員賞与が費用として処理されることとなり、それらに対応して(注2)、平成18年度税制改正において、役員給与課税が大幅に改正されることになった(注3)。その後、当該改正法の一部は、再改正(削除)されることになったが(注4)、現行法の概要は、次のとおりである。
(2)法人税法34条は、「役員給与の損金不算入」と題し、その1項が、「内国法人がその役員に対して支給する給与(退職給与で業績連動給与に該当しないもの、使用人としての職務を有する役員に対して支給する当該職務に対するもの及び第3項の規定の適用があるものを除く。以下この項において同じ。)のうち次に掲げる給与のいずれにも該当しないものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。」と定め、上記規定に基づき、損金の額に算入する役員給与を次の3項目と定めている(同項1号~3号)。
① 定期同額給与
② 事前確定届出給与(①及び③に該当しないもので、所定のもの)
③ 業績連動給与
 以上の規定により、役員に支給する退職給与は、損金不算入の対象となる役員給与からはずされる(損金算入される)のであるが、その場合にも、「不相当に高額な部分の金額として政令で定める金額」(法法34②)及び「事実を隠蔽し、又は仮装して経理をすることによりその役員に対して支給する給与の額」(法法34③)は、損金の額に算入されないことになっている。

2 「退職給与」と「退職所得」の意義 (1)前記1で述べたように、法人が役員に対して支給した「退職給与」は、原則として、損金の額に算入されるのであるが、当該「退職給与」の意義については、法人税法では特段の定めを設けていない。この場合、本件のように、分掌変更等に伴って支給される「退職給与」については、特に、実際に「退職」しているのか否かという事実認定が問題となる。
 他方、所得税法においては、使用人又は役員に対して支給する退職給与については、それが「給与所得」に当たるか、「退職所得」に当たるかが、重要な問題となる(所法28、30)。すなわち、上記の所得区分如何によっては、所得金額と所得税額の計算が異なるので、税負担にも大幅な差異が生じ、それが、当該支払法人に対して所得税の源泉徴収にも大きな影響を及ぼすことになる。
 すなわち、所得税法では、給与所得とは、「俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与」(所法28①)に係る所得をいい、退職所得とは、「退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与」(所法30①)に係る所得をいうが、両者の区分が問題となることがままある。
(2)特に、これらの定義の中では、退職所得についての「退職」の事実等が問題となるが、その点については、最高裁昭和58年9月9日第二小法廷判決(民集37巻7号962頁)(注5)によって、解決されている。すなわち、同判決では、上告会社が、勤続5年定年制を採用し、5年毎に退職金を支給することとし、当該退職翌日に原則として再雇用を認めるとした場合の当該退職金が退職所得に当たるか否かが争われたが、同判決は、次のように判示し、当該退職金が退職所得に当たらないとした。
 「ある金員が、右規定にいう「退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与」にあたるというためには、それが、(1)退職すなわち勤務関係の終了という事実によってはじめて給付されること、(2)従来の継続的な勤務に対する報償ないしその間の労務の対価の一部の後払の性質を有すること、(3)一時金として支払われること、の要件を備えることが必要であり、また、右規定にいう「これらの性質を有する給与」にあたるというためには、それが、形式的には右の各要件のすべてを備えていなくても、実質的にみてこれらの要件の要求するところに適合し、課税上、右「退職により一時に受ける給与」と同一に取り扱うことを相当とするものであることを必要とすると解すべきである。」
 なお、定年10年制に基づいて10年ごとに支払われた退職金の所得区分が争われた事件においては、一審の大阪地裁昭和52年2月25日判決(訟務月報23巻3号581頁)及び控訴審の大阪高裁昭和53年12月25日判決(同25巻5号1439頁)は、当該退職金を退職所得に当たると判示したが、上告審の最高裁昭和58年12月6日第三小法廷判決(税資134号308頁)は、前掲最高裁判決と同様に、これを退職所得に当たらないと判断した。
 以上のように、雇用契約等によって支払われた給与が所得税法上の「退職所得」に当たるためには、原則として、前掲最高裁各判決が判示する3つの要件を満たす必要があることになる。しかし、所得税法は、このような原則的「退職所得」のほか、「これらの性質を有する給与」についても「退職所得」に当たることを認めるところ、前掲最高裁昭和58年9月9日判決も、形式的には前記3要件に適合しなくとも、実質的にみてこれらの要件に適合するものについて「退職所得」に当たることを認めている。この考え方は、法人税法34条1項括弧書に定める「退職給与」の解釈においても適合するものと考えられる。そして、本件で問題となっている分掌変更等に伴う役員退職給与の解釈(取扱い)にも、関係することになる。

3 分掌変更等の場合の退職給与 (1)かくして、法人税基本通達では、本判決も引用している本件通達において、役員が分掌変更等の場合に支給を受ける金員が実質的に「退職給与」に当たるものとして、次のように定めている。
 「法人が役員の分掌変更又は改選による再任等に際しその役員に対し退職給与として支給した給与については、その支給が、例えば次に掲げるような事実があったことによるものであるなど、その分掌変更等によりその役員として地位又は職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にあると認められることによるものである場合には、これを退職給与として取り扱うことができる。
(1)常勤役員が非常勤役員(常時勤務していないものであっても代表権を有する者及び代表権は有しないが実質的にその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者を除く。)になったこと。
(2)取締役が監査役(監査役でありながら実質的にその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者及びその法人の株主等で令第71条第1項第5号((使用人兼務役員とされない役員))に掲げる要件のすべてを満たしている者を除く。)になったこと。
(3)分掌変更等の後におけるその役員(その分掌変更後等の後においてもその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者を除く。)の給与が激減(おおむね50%以上の減少)したこと。
(注)本文の「退職給与として支給した給与」には、原則として、法人が未払金等に計上した場合の当該未払金等の額は含まれない。」
 このような取扱いは、所得税法上の「退職所得」の解釈においても共通するところである。そこで、所得税基本通達30-2でも、本件通達と同様に、役員の分掌変更等により支給された給与を退職所得として取り扱うことを定めている(注6)。
(2)前記法人税の取扱いの趣旨については、国税庁の担当者は、次のように説明している(注7)。
 「法人がその役員の分掌変更又は改選による再任等に際して役員退職給与を支給した場合において、その分掌変更等が実質的に退職と同様の事情にあるときには、その支給した金額は退職給与として取り扱うことが相当であることから、その分掌変更等に際して支給する退職給与は、その額が過大でない限り損金の額に算入することとし、その分掌変更が退職と同様の事情にあるかどうかは、その分掌変更後における職務の内容、役員としての地位の激変等の事実により実質的に判定することが本通達において明らかにされている。
 〈中略〉
 なお、本件通達の(1)から(3)は、あくまでも例示であり、たとえ形式的に報酬が激減したという事実があったとしても実質的に退職したと同様の事情にない場合には、その支給した臨時的な給与を退職給与として損金算入できる余地がないことは言うまでもない。
 退職給与は、本来「退職に因り」支給されるものであるが、本通達においては引き続き在職する場合の一種の特例として打ち切り支給を認めているものであり、あくまでも法人が分掌変更等により「実質的に退職したと同様の事情にあると認められる」役員に対して支給した臨時的な給与を退職給与として認める趣旨である。したがって、本通達の適用により退職給与とされるものは、法人が実際に支払ったものに限られ、未払金等に計上したものは含まれないこととなるのである。
 ただし、役員退職給与という性格上、その法人の資金繰り等の理由による一時的な未払金等への計上までも排除することは適当ではないことから、「原則として」という文言が付されているものである(このような場合であっても、その未払いの期間が長期にわたったり、長期間の分割支払いとなっているような場合には本通達の適用がないことは当然であろう。)。
 本通達の(注)において、このことが明らかにされている。
 ところで、このように、原則としては未払金等への計上を認めないとしていることとの関係上、退職金を分割して支払いその都度、損金算入するといったことも認められないのではないかと見る向きがある。この点、役員の分掌変更等が実質的に退職したと同様の事情にあることが前提であることは言うまでもないが、分割支払いに至った事情に一定の合理性があり、かつ、分掌変更段階において退職金の総額や支払いの時期(特に終期)が明確に定められている場合には、恣意的に退職金の額に分割計上を行ったと見ることは適当ではないことから、支払いの都度損金算入することが認められると考えられる。」
 なお、所得税基本通達30-2の趣旨についても、国税庁担当者による同様な解説が行われている(注8)。
 以上のように、役員の分掌変更等により支給された退職金名義の金員が、「退職給与」又は「退職所得」に当たるか否かについては、前述の最高裁各判決の考え方等に照らし、国税庁の各通達も限定的に取り扱うことを明らかにしている。

4 本件金員の「退職給与」該当性 (1)本件では、Xの役員異動に関連し、Xの設立時(平成2年)から取締役を務め、平成16年5月28日から同23年5月31日までの間代表取締役を勤めていたYが、代表取締役を辞任し、取締役に留まったものの、役員報酬の額が月額205万円から70万円に減額された場合に、退職慰労金として支給された5609万円余(本件金員)が本件事業年度の損金の額に算入されるか否かが争われたものである(本件金員が法人税法34条1項括弧書にいう「退職給与」に該当するか否か)。具体的には、本件通達(3)の適用において、「分掌変更等の後におけるその役員の給与が激減(おおむね50%以上の減少)したこと」は事実であるが、同通達にいう「その分掌変更等の後においてもその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者」に該当するか否かである。
 この点につき、Xは、本件当初申告書の提出段階では、本件金員を損金の額に算入したものの、約半年後の本件修正申告書の提出段階では、本件金員を損金不算入とした。しかし、その5か月後、Xは、本件金員は損金の額に算入すべきであったとして更正の請求をしたが、所轄税務署長から、更正をすべき理由がない旨の本件通知処分を受けたというものである。
 以上のように、X自身、本件金員の経理処理(税務処理)について、本件金員が法人税法34条1項括弧書に定める「退職給与」に該当するか否かについて迷いがあったように推測されるが、本訴においては、Xは、前述したように、本件事業年度において、Yが、Nが代表取締役に就任するに際しての引継事務に当たったことがあるとしても、「法人の経営上主要な地位を占めてい」たわけではないので、実質的に「退職と同様の事情」にあった旨主張していた。また、Xは、本訴において、本件金員が本件事業年度の損金の額に算入されない場合には憲法14条が保障する租税公平主義に反する旨も主張した。
(2)かくして、本件の一審判決は、前述したように、法人税法34条1項括弧書にいう「退職給与とは、役員が会社その他の法人を退職したことによって支給され、かつ、役員としての在任期間中における継続的な職務執行に対する対価の一部の後払いとしての性質を有する給与であると解すべきであ」ると判示し、かつ、役員の分掌変更又は改選による再任等がされた場合であっても、役員としての地位又は職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にあると認められる時に退職給与として支給される金員も、上記の「退職給与」に該当するものと解するのが相当である旨判示した。それらの判示を踏まえ、本判決は本件の事実関係を具く検討した上で、次のように、判示して、Xの主張を斥け、その請求を棄却した。
 「以上の諸事情に鑑みると、Yは、Xの代表取締役を退任した後も、その直後の本件金員の支給及び退職金勘定への計上の前後を通じて、引き続き相談役としてXの経営判断に関与し、対内的にも対外的にもXの経営上主要な地位を占めていたものと認められるから、Nが代表取締役に就任したことによりYの業務の負担が軽減されたといえるとしても、本件金員の支給及び退職金勘定への計上の当時、役員としての地位又は職務の内容が激減して実質的には退職したと同様の事情にあったとは認められないというべきである。」
 そして、控訴審判決も、前述のように、若干、原判決を補正、追加したものの、その結論において原判決を支持した。
(3)以上のように、本件各判決は、Xの代表取締役の交替の際のYの執務状況について、「法人の経営上主要な地位」を占めていると判断し、本件金員の退職給与性を否定した。このような判断は、前掲最高裁昭和58年9月9日判決に代表される実質的にみて「退職」すなわち勤務関係の終了と同視し得ることの解釈論に照らし、妥当なものであると考えられる。
 しかしながら、前掲の最高裁昭和58年9月9日判決及び最高裁昭和58年12月6日判決は、いずれも使用人が5年勤続又は10年勤続を区切って支給された退職金名義の金員の所得税法上の退職所得税について判断したものであるから、そのような解釈論をそのまま本件のような役員の分掌変更等に際してそのまま適用し得るかについては疑問がないわけではない。
 けだし、役員の場合には、代表取締役の交替については、経営の継続性の必要から、本件においてもみられるように、経営上のノウハウ等の引継を含めた事務処理に比較的長期間要することが考えられる。そうなると、代表取締役交替後も、前任者が「経営上主要な地位」を占めているような外観を呈することも十分考えられる。そうであれば、役員の場合には、「退職すなわち勤務関係」の終了について使用人の場合よりも一層弾力的に解する余地があるものと考えられる。
 なお、本件においては、本件金員が所得税法上の「退職所得」として経理処理されているようであるが、その後の処理は不明である。

5 本件判決の意義と問題点  以上のように、本件は、Xの代表取締役の交替に際し、かつ、前代表取締役であったYの分掌変更に際し支給された退職慰労金名義の本件金員の法人税法上の「退職給与」性が争われたものである。そして、本件各判決は、前述のように、Yの代表取締役退任後の勤務状況を具さに認定し、実質的「退職」についての従前の解釈論に照らし、本件金員の「退職給与」性を否定した。このような判決は、実務上、役員の分掌変更に際し退職慰労金が支給されることが多いだけに、重要な参考事例として注目される。また、このような事案をみるに、Yに対する退職慰労金の支給時期についてもっと工夫すべきであったとも考えられる。
 特に、中小企業における役員の分掌変更等に伴う退職慰労金の支給については、当該中小企業の自社株式の評価額の引下げを意図したり、非上場株式の納税猶予制度(措法70の7)の適用に際して、支給される場合が多いので、それぞれの目的が円滑(適法)に行われるように、より慎重に検討されるべきである。
 なお、前記4で述べたように、実質的な「退職すなわち勤務関係の終了」についての従前の判例上の解釈論は使用人についてのものであるだけに、それをそのまま役員について適用することにはやや酷な場合があるように考えられる。
(注1)平成18年改正前の役員報酬課税の内容と問題点については、品川芳宣「役員報酬課税の問題点と方向性」JICPAジャーナル No.607、39頁参照。
(注2)これらの内容については、品川芳宣「役員給与課税の本質を衝く!(前)」本誌2008年4月14日号27頁参照。
(注3)当該改正の内容と問題点については、品川芳宣「役員給与課税の本質を衝く!(後)」本誌2008年4月21日号24頁等参照。
(注4)平成18年度改正の法人税法35条は、「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入」と題し、業務主宰役員に支給した給与に係る所得税法上の給与所得控除額相当額を損金不算入としていたが、当該制度に対して批判が強かったこともあって、平成22年度税制改正で廃止された。
(注5)この事件の一審の東京地裁昭和51年10月6日判決(訟務月報22巻11号2648頁)及び控訴審の東京高裁昭和53年3月28日判決(行裁例集29巻3号364頁)も、当該退職金を退職所得に当たらないと判断している。
(注6)同通達では、分掌変更等のほか、退職給与規程の改正、使用人から役員への昇任、定年後引き続き勤務する場合、法人の解散等の場合において支給される金員が、「退職所得」に当たることを定めている。なお、法人税基本通達では、分掌変更等以外の取扱いについては、同通達9-2-23の2から9-2-27までにおいて定めている。
(注7)小原一博編著「法人税基本通達逐条解説 八訂版」(税務研究会 平成28年)769頁。
(注8)後藤昇他共編「平成21年版 所得税基本通達逐条解説」(大蔵財務協会)153頁参照。

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