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解説記事2018年02月26日 【税務マエストロ】 非課税(7)~介護保険法の規定による居宅サービスなどの取扱い(2018年2月26日号・№728)

税務マエストロ 税務における第一人者“税務マエストロ”による税実務講座

今週のマエストロ&テーマ

非課税(7)~介護保険法の規定による居宅サービスなどの取扱い
#207 熊王征秀(税理士)

略歴 学校法人大原学園に税理士科物品税法の講師として入社し、在職中に酒税法、消費税法の講座を創設。その後、会計事務所勤務を経て税理士登録、独立開業。『消費税トラブルの傾向と対策』等、著書多数。
現在
東京税理士会会員相談室委員
東京税理士会税務審議部委員
東京地方税理士会税法研究所研究員
日本税務会計学会委員
大原大学院大学准教授

次回のテーマ
#208
トランプ大統領が署名:米国税制改革法の成立②
PwC税理士法人
品川克己
税制改正や、中国進出企業の増加に伴い、国際課税上のリスクは高まっている。国際課税の第一人者がそのリスクを検証する。

マエストロの解説  高齢化の進展に伴い、介護が必要な高齢者が年々増加するとともに、介護期間が長期化することなどにより、介護へのニーズは年々高まる一方である。こういった事情もあり、介護保険制度は度重なる改正により複雑化の一途をたどり、これに伴い消費税の非課税制度も非常に難解なものとなっている。今月は、介護保険に関する非課税制度について、国税庁の質疑応答事例の内容を確認する。
※質疑応答事例の【回答要旨】については、必要に応じて筆者が適宜内容をアレンジしている。

○要介護者が負担する介護サービス費用の取扱い(非課税-介護保険1)
【照会要旨】  要介護者が負担する介護サービス費用の1割相当額も消費税は非課税となるのでしょうか。
【回答要旨】  次頁表1参照


○「日常生活に要する費用」の取扱い(非課税-介護保険2)
【照会要旨】  「日常生活に要する費用」については、介護保険の給付対象とはなっておらず、全額利用者の負担とされていますが、消費税はどのような取扱いになるのでしょうか。
【回答要旨】  「日常生活に要する費用」とは、通所先又は入所先において、看護・介護の提供と同時にサービス事業者側から提供されることが一般に想定されるサービスであって、利用者もそのサービスを日常的に受けることを期待していると考えられるものに係る費用です。
 消費税においては、その介護サービスの性質上、日常生活に要する費用に係るサービスを提供することが通常であるものは、居宅介護サービス費の支給に係る居宅サービス又は施設介護サービス費の支給に係る施設サービスに含まれ、非課税となります(消基通6-7-2)。
<解説>  医療保険の世界では、保険診療の対象とならない自由診療報酬には消費税が課税される。言い換えれば、保険診療報酬だけが、患者の自己負担分も含めて非課税になるということである。
 これに対し、介護保険においては、交通費や利用者の選定により提供される費用などの特別なサービスを除き、次の①・②のようなサービスも非課税になる。
① 介護保険支給限度額(月間利用可能単位数)を越えている上乗せサービス部分の報酬
② 介護保険から支給されない日常生活費(横出しサービス)
 介護保険支給限度額を越えている介護保険サービス報酬は利用者の全額自己負担となるが、消費税の世界では全額が非課税となることに注意する必要がある(表2参照)。


○非課税となる「居宅サービス費の支給に係る居宅サービス」の具体的な範囲(非課税-介護保険3)
【照会要旨】  消費税法別表第一第7号イでは、消費税が非課税となる介護保険サービスを「居宅介護サービス費の支給に係る居宅サービス」と規定していますが、非課税となる居宅サービスの具体的な範囲はどのようになるのでしょうか。
【回答要旨】  消費税法に規定する「居宅介護サービス費の支給に係る居宅サービス」とは、介護保険法の規定に基づき、保険者(市町村)から要介護者に対して、実際に支給される居宅介護サービス費に対応する部分の居宅サービスに限って消費税を非課税とするというものではなく、非課税となる居宅サービスの種類を介護保険法第41条第1項《居宅介護サービス費の支給》に規定する指定居宅サービス(福祉用具貸与及び特定福祉用具販売を除く。)に特定し、消費税法施行令第14条の2第1項《居宅サービスの範囲等》において、介護保険法第8条第2項から第11項までに規定する訪問介護等を、非課税となる居宅サービスの範囲(特別の居室の提供その他の財務大臣が指定するサービスを除きます。)として定めています。
 したがって、介護保険法第43条《居宅介護サービス費等に係る支給限度額》に規定する支給限度額を超えて提供される居宅サービス(例えば、ケアプランの範囲(時間、回数、種類)を超えて提供される居宅サービス)のように、居宅介護サービス費が支給されないもの(利用者が全額負担)であっても、要介護者に対して提供される指定居宅サービスについては、消費税は非課税となります(消基通6-7-2)。
 また、通所系又は入所系のサービスにおいて、その介護サービスの性質上、当然にそのサービスに付随して提供されることが予定される日常生活に要する費用(例えば、通所系の食材料費・おむつ代等、入所系の食材料費・居住費用・理美容代等)についても、居宅介護サービス費の支給に係る居宅サービスに含まれ、消費税は非課税となります。

○居宅サービスにおける利用者負担の交通費等の費用の取扱い(非課税-介護保険4)
【照会要旨】  介護保険法の居宅サービスにおいては、全額利用者の負担とされている各種の費用がありますが、いずれも消費税は課税の対象となると考えてよいでしょうか。
【回答要旨】  介護保険法は、居宅サービスの種類の区分に応じ、次に掲げる費用について居宅介護サービス費の給付対象から除外し、利用者の全額負担としています(介法41①、④一、二、42②、介規61、基準省令)。
 これらの費用に対する消費税の課税上の取扱いは、次頁表3のとおりとなります。
 ※ 介法…………介護保険法
   介規…………介護保険法施行規則
   基準省令……指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準
         (平成11年厚生省令第37号)


○福祉用具貸与に係る取扱い(非課税-介護保険5)
【照会要旨】  介護保険制度の福祉用具貸与に係る費用の取扱いはどうなるのでしょうか。
【回答要旨】 1.介護保険法の規定に基づく福祉用具の貸付けは、消費税法別表第一第7号イに規定する資産の譲渡等に該当しませんが、当該福祉用具の貸付けが同別表第一第10号に規定する身体障害者用物品の貸付けに該当するときには、消費税は非課税となります(消基通6-7-3)。
2.福祉用具貸与に際して発生する福祉用具の搬出入に要する費用は、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)により、「現に指定福祉用具貸与に要した費用(貸与価格)」に含むものとされていることから、貸与する福祉用具が身体障害者用物品に該当するときは、当該費用を含む貸与価格の全体が非課税となります。
3.福祉用具の搬入に際して、特別な措置が必要な場合(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第197条第3項第1号《利用料等の受領》に規定する費用の額(特別地域加算))については、貸与価格には含まれず、利用者の全額負担とされています。
  したがって、貸与される福祉用具が身体障害者用物品に該当するものであっても、その措置に要する費用については課税の対象となります。
<解説>  福祉用具貸与に係る取扱いをまとめると下図のようになる。


○施設サービスにおいて提供される自己選択サービスの取扱い(非課税-介護保険6)
【照会要旨】  介護施設サービスにおいて提供される特別の食事等の自己選択サービスも消費税は非課税となるのでしょうか。
【回答要旨】  介護施設サービス等において提供される特別の食事等の自己選択サービスについては、消費税は非課税とはなりません。

○住宅改修費の支給に係る消費税の取扱い(非課税-介護保険7)
【照会要旨】  介護保険給付の対象となる住宅改修費の支給に係る住宅の改修を行った場合は、消費税は非課税となるのでしょうか。
【回答要旨】  住宅改修費の支給は、事業者指定制度のない償還払い方式(要介護者等が支払った費用相当額の一定割合を後日の請求により支給する方式)により行われるものですが、介護保険給付の対象となる住宅改修費の支給については、消費税法上、非課税となる介護保険に係る資産の譲渡等には該当しないことから、非課税とはなりません。

○市町村特別給付の取扱い(非課税-介護保険8)
【照会要旨】  市町村特別給付として介護保険法に規定する介護サービス以外の種類のサービス(例えば、寝具の乾燥)を提供する場合も、非課税となるのでしょうか。
【回答要旨】  介護保険法に規定する介護給付又は予防給付としてのサービス以外の種類のサービスを市町村特別給付として行う場合については、消費税法施行令第14条の2第3項第11号の規定に基づく厚生省告示に定められているサービス(配食サービス)を除き、消費税が課税されます。
(参考)  介護保険法に規定するサービスには、訪問介護、訪問入浴介護等の居宅サービス、介護老人福祉施設等の施設サービス等があります。
 介護保険の給付対象外のサービスとしては、例えば、通所介護における移送サービス(通常の事業実施地域以外の地域への移送)、居宅への配食サービス、寝具丸洗い乾燥サービスや居宅での理髪サービス等が考えられます。

○バス会社が介護サービス事業者からの依頼により、通所介護等の利用者の送迎を行う場合の取扱い(非課税-介護保険9)
【照会要旨】  バス会社が通所介護、短期入所生活介護等の介護サービスを受ける要介護者等の送迎をその介護サービスを提供する事業者からの依頼によって行う場合、その送迎も消費税は非課税となるのでしょうか。
【回答要旨】  介護サービス事業者の依頼によってバス会社が行う要介護者の送迎は、当該介護サービス事業者に対する役務の提供であり、消費税が課税されます。
 なお、通所介護、短期入所生活介護等の介護サービスの利用者の送迎(通常の事業実施地域以外の地域への送迎)については、その介護サービスを提供する事業者が料金を徴収して自ら行った場合でも、非課税の対象とはなりません。(法別表第一七イ、令14の21、平成12年大蔵省告示第27号別表第一)。

(参考)  通所介護、短期入所生活介護等の利用者の送迎(通常の事業実施地域以外の地域への送迎)を行った場合でも、その送迎に要する費用は、居宅介護サービス費の支給対象とされていませんから、有料で行う場合には全額が利用者の負担となります。
 なお、通常の事業実施地域内における送迎については、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)において利用者から費用を徴収することが認められていません。

○いわゆるNPO法人が介護保険サービス事業を行う場合の消費税の取扱い(非課税-介護保険10)
【照会要旨】  いわゆるNPO法人が介護保険サービス事業を行う場合の消費税の取扱いはどうなるのでしょうか。
【回答要旨】  介護保険制度における居宅介護サービス及び施設介護サービスについては、これらのサービスを提供する介護サービス事業者がいわゆるNPO法人か否かに関わらず、原則として、消費税は非課税となります。
(注意) 1.介護サービスとして行われるサービス等であっても、要介護者の求めに応じて提供される特別な食事や特別な居室等の料金は、非課税範囲から除かれます(これらの料金は介護保険の給付対象からも除かれています)。
2.NPO法人とは、特定非営利活動促進法の規定に基づいて設立される特定非営利活動法人のことであり、同法において、消費税法の適用に関しては法別表第三に掲げる法人とみなすこととされています。

記事に関連するお問い合わせ先 記事に関するお問い合わせは週刊「T&Amaster」編集部にお寄せください。執筆者に質問内容をお伝えいたします。
TEL:03-5281-0020 FAX:03-5281-0030 e-mail:ta@lotus21.co.jp
※なお、内容によっては回答いたしかねる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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