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解説記事2018年03月26日 【税務マエストロ】 非課税(8)~社会福祉事業・身体障害者用物品・教育・教科用図書の取扱い(2018年3月26日号・№732)

税務マエストロ 税務における第一人者“税務マエストロ”による税実務講座

今週のマエストロ&テーマ

非課税(8)~社会福祉事業・身体障害者用物品・教育・教科用図書の取扱い
#209 熊王征秀(税理士)

略歴 学校法人大原学園に税理士科物品税法の講師として入社し、在職中に酒税法、消費税法の講座を創設。その後、会計事務所勤務を経て税理士登録、独立開業。『消費税トラブルの傾向と対策』等、著書多数。
現在
東京税理士会会員相談室委員
東京税理士会税務審議部委員
東京地方税理士会税法研究所研究員
日本税務会計学会委員
大原大学院大学准教授

次回のテーマ
#210
恒久的施設(PE)に関する改正
PwC税理士法人
品川克己
税制改正や、中国進出企業の増加に伴い、国際課税上のリスクは高まっている。国際課税の第一人者がそのリスクを検証する。

マエストロの解説  今月は、下記の非課税制度について、国税庁の質疑応答事例を中心にその内容を確認する。
・社会福祉事業に係る資産の譲渡等
・身体障害者用物品の譲渡等
・教育に係る役務の提供
・教科用図書の譲渡
※質疑応答事例の【回答要旨】については、必要に応じて筆者が適宜内容をアレンジしている。

1 社会福祉事業に係る資産の譲渡等・身体障害者用物品の譲渡等
(1)概要
 介護保険法の規定による居宅サービスや社会福祉については、ハンディキャップを負った人々への配慮から、特に政策的配慮を要するものについて非課税としている。ただし、授産施設において行われる生産活動など(就業能力の限られている者により行われる資産の譲渡等)については、消費税を非課税とすると、その取引先である事業者サイドで仕入税額控除ができないという問題があるので例外的に課税することとしている。
 身体障害者用物品の譲渡についても、社会福祉事業にかかる資産の譲渡等と同様の理由により非課税とされたものである。具体的には、身体障害者用物品の譲渡、貸付け、製作の請負、修理などが非課税とされるのであるが、非課税とするためには厚生労働大臣の指定を受けることが要件とされているため、身体障害者用物品であってもその指定のないものは消費税が課税されることになる(消基通6-10-1)(次頁図表1参照)。
(2)国税庁質疑応答事例

○老人福祉センター等を経営する事業の取扱い(非課税-社会福祉事業1)
【照会要旨】  老人福祉センター、児童厚生施設を経営する事業について、例えば老人以外の者が老人福祉センターを利用する場合や児童以外の者が児童厚生施設を利用するような場合に、当該利用者から徴収する利用料の消費税の取扱いはどうなるのでしょうか。
【回答要旨】  老人福祉センターや児童厚生施設を経営する事業は、消費税法上、非課税となる社会福祉事業に該当し、それぞれ「経営する事業」を非課税としていますから、当該施設等が本来の趣旨に従い利用されている限り、質問の利用料についても非課税となります。
<解説>  私見ではあるが、社会福祉施設内に設置された自動販売機や売店の売上高、食堂の利用料収入なども、施設を利用する者の利用を前提としたものである限り、非課税になるものと思われる。


○生活福祉資金貸付制度等における貸付業務を一部委託した場合の消費税の取扱い(非課税-社会福祉事業2)
【照会要旨】  生活福祉資金貸付制度(注1)又は臨時特例つなぎ資金貸付制度(注2)に基づく資金の貸付けは、いずれも都道府県社会福祉協議会が実施主体として実施しており、消費税法別表第1第7号ロの「社会福祉法第2条に規定する社会福祉事業」に該当するものです。
 これらの貸付制度の実施に当たっては、その貸付業務の一部をその都道府県の区域内にある市町村社会福祉協議会に委託できることとされていますが、この貸付業務の一部委託についての消費税の課税関係はどうなるのでしょうか。
(注1)生活福祉資金貸付制度は、低所得者、障害者又は高齢者に対し、資金の貸付けと必要な相談支援を行うことにより、その経済的自立及び生活意欲の助長促進並びに在宅福祉及び社
会参加の促進を図り、安定した生活を送れるようにすることを目的とした制度です。
(注2)臨時特例つなぎ資金貸付制度は、離職者を支援するための公的給付制度又は公的貸付制度を申請している住居のない離職者に対して、当該給付金又は貸付金の交付を受けるまでの当面の生活費を迅速に貸付けることにより、その自立を支援することを目的とした制度です。
【回答要旨】  照会の生活福祉資金貸付制度及び臨時特例つなぎ資金貸付制度は、それぞれの制度要綱(厚生労働事務次官が定める「生活福祉資金貸付制度要綱」及び「臨時特例つなぎ資金貸付制度要綱」をいいます。)において、都道府県社会福祉協議会は貸付業務の一部を市町村社会福祉協議会に委託することができると定めており、当該委託を含めた事業が社会福祉法第2条第2項第7号の規定に基づく第一種社会福祉事業に該当するものと考えられます。
 したがって、それぞれの制度要綱に基づき実施される貸付業務の一部委託は、社会福祉法第2条第2項第7号に規定する「生計困難者に対して無利子又は低利で資金を融通する事業」の範囲で行われる取引であると認められることから、この場合の委託は、消費税法別表第一第7号ロに規定する社会福祉事業に該当し、消費税が非課税となります。

○共同生活援助に係る生活支援員の業務を受託した場合の消費税の取扱い(非課税-社会福祉事業3)
【照会要旨】  障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)に規定する「共同生活援助」を行う事業は、消費税法別表第1第7号ロに規定する「社会福祉法第2条に規定する社会福祉事業」として、非課税となる資産の譲渡等に該当します。
 また、この「共同生活援助」は、当該援助に係る事業者の従業者によって提供されなければなりませんが、当該事業者が業務の管理及び指揮命令を確実に行うことができる場合は、共同生活援助に係る生活支援員の業務を他の事業者に委託することができるとされています。なお、受託者の要件に定めはなく、あくまで当該業務の管理及び指揮命令は委託者が行い、受託者は当該業務の実施主体とはなりません。
 この場合、受託者の行う共同生活援助に係る生活支援員の業務は、社会福祉法に規定する社会福祉事業には該当しないものと考えますが、受託者が受け取る委託料についての消費税の課税関係はどうなるのでしょうか。
(注)共同生活援助とは、障害者総合支援法において、障害者につき、主として夜間において、共同生活を営むべき住居において相談、入浴、排せつ又は食事の介護その他の日常生活上の援助を行うことをいいます。
【回答要旨】  障害者総合支援法第5条第15項に規定する「共同生活援助」を行う事業は、同条第1項に規定する「障害福祉サービス事業」に該当し、国及び都道府県以外の者は、同法第79条第2項の規定に基づき、都道府県知事にあらかじめ届出を行うことにより障害福祉サービス事業を行うことができることとされています。また、この「障害福祉サービス事業」は、社会福祉法第2条第3項に規定する第二種社会福祉事業に該当するところ、国及び都道府県以外の者が第二種社会福祉事業を開始したときは、同法第69条の規定に基づき、事業経営地の都道府県知事に届出を行わなければならないとされています。
 ご質問の受託者の行う共同生活援助に係る生活支援員の業務は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第212条第3項及び第4項の規定に基づき、指定共同生活援助事業者が指定共同生活援助に係る生活支援員の業務の全部又は一部を委託により他の事業者に行わせる場合の業務に該当し、当該業務を行う受託者の要件に定めはなく、あくまで当該業務の管理及び指揮命令は委託者が行い、受託者は当該業務の実施主体とはなり得ません。
 したがって、受託者は、障害者総合支援法第79条又は社会福祉法第69条の規定に基づく都道府県知事へ所定の届出を行って当該業務を行うものでもなく、当該業務は、障害者総合支援法第79条に規定する障害福祉サービス事業又は社会福祉法第2条第3項に規定する第二種社会福祉事業のいずれにも該当しないことから、当該業務は、非課税となる資産の譲渡等には該当せず、受託者が受け取る委託料は、課税の対象となります。

○身体障害者用自動車の付属品の取扱い(非課税-その他2)
【照会要旨】  非課税の対象となる身体障害者用の改造自動車に装着する冷房装置、ラジオ受信機、立体音響装置等の付属品(オプション)の取扱いはどうなるのでしょうか。
【回答要旨】  非課税となる身体障害者用の自動車に係る付属品については、当該自動車の引渡しの時に当該自動車に取り付けられ、当該自動車と一体として取引されるもので、使用に当たって常時当該自動車と一体性があると認められるものは、当該付属品を含めた全体が身体障害者用の自動車に該当して非課税となります。
(非課税となる付属品の例)
・カーオーディオ
・カーラジオ
・カークーラー、エアコン
・空気清浄器
・字光式ナンバープレート
・フォグランプ
・アルミホイール
・リアスポイラー
・ハイマウントストップランプ
・エアフォルムバンパー(別称「フロントスポイラー付バンパー」)
・フロントガード(別称「フロントグリルガード」または「フロントロアスカート」)
・フードオーナーメント(別称「シャイニングエンブレム」)
・カーナビゲーション
 また、納車時までに備えられるフロアマット、愛車セット等の備品についても身体障害者用の自動車の車両と一体とみなして非課税として差し支えありません。

2 教育に係る役務の提供・教科用図書の譲渡
(1)概要
 学校教育については、その政策的な必要性を重視し、学校教育法に規定する学校について、授業料、入学金などを非課税としている。専修学校については、高等課程、専門課程又は一般課程において行うものに限り非課税とされるのであり、いわゆる付帯教育として行われるものは消費税が課税されることになる。
 各種学校や職業訓練校については、修業年限、授業時間数などの要件をクリアしたものでなければ非課税とはならない(消基通6-11-1)。
 専修学校や各種学校に該当しない進学塾や予備校については当然のことながら課税となる。
 また、教科用図書についても教育に直接かかわるものであることから、その譲渡については非課税とされている。教科用図書については、いわゆる検定済教科書や文部科学省が著作したものだけが非課税とされるのであり、参考書の類は非課税とはならない(消基通6-12-1、3)(次頁図表2参照)。
(2)国税庁質疑応答事例

○予備校等の授業料(非課税-その他3)
 学校教育に類似する次のものの授業料、入学検定料は課税されるのでしょうか。
【照会要旨】 【回答要旨】
予備校、進学塾、そろばん塾における教授  学校教育法に規定する学校、専修学校及び各種学校が受け取る授業料、入学検定料は非課税となりますが、これらの学校等に該当しない予備校、進学塾、そろばん塾等が受け取る授業料、入学検定料は課税されます。
幼稚園の授業  幼稚園は学校教育法第1 条に規定する学校に該当し、幼稚園が受け取る授業料、入園検定料には課税されません(法別表第一11)。

○学習塾等の授業料(非課税-その他4)
【照会要旨】  学習塾、英会話教室、自動車教習所、各種のカルチャースクール等の入学金等は、課税の対象になるのでしょうか。
【回答要旨】  学習塾、英会話教室、自動車教習所、各種のカルチャースクール等、学習塾やけいこごと塾(茶道、ピアノ、剣道、水泳等)は、一般的には学校教育法上の各種学校とはなっていないと認められることから、当該塾等の入学金、授業料等は課税の対象となります。
 なお、これらの塾等であっても、学校教育法第134条第1項の各種学校に該当し、年間授業時間数等一定の要件を満たすものに係る入学金、授業料等は非課税となります(法別表第一11ハ)。

○認可外保育施設の利用料(非課税-その他5)
【照会要旨】  消費税が非課税となる認可外保育施設の利用料の範囲を教えてください。
【回答要旨】  認可外保育施設(都道府県知事の認可を受けていない保育施設)のうち、一定の基準(認可外保育施設指導監督基準)を満たすもので都道府県知事等からその基準を満たす旨の証明書の交付を受けた施設及び幼稚園併設型認可外保育施設の利用料については、保育所(児童福祉法の規定に基づく認可を受けて設置された保育所)の保育料と同様に非課税とされます。
非課税範囲    保育所において行われるサービスと同様のサービスで、次の料金等を対価とするサービス
(1)保育料(延長保育、一時保育、病後児保育に係るものを含みます。)
(2)保育を受けるために必要な予約料、年会費、入園料(入会金・登録料)、送迎料
 また、給食費、おやつ代、施設に備え付ける教材を購入するために徴収する教材費、傷害・賠償保険料の負担金、施設費(暖房費、光熱水費)等のように通常保育料として領収される料金等については、これらが保育料とは別の名目で領収される場合であっても、保育に必要不可欠なものである限りにおいては、(1)(2)と同様に非課税となります。
課税されるもの   施設利用者に対して販売する教材等の販売代金のほか次のような料金等を対価とする資産の譲渡等などは、乳児又は幼児を保育する業務として行われるものに該当しないので、課税となります。
(1)施設利用者の選択により付加的にサービスを受けるためのクリーニング代、オムツサービス代、スイミングスクール等の習い事の講習料等
(2)バザー収入


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