カートの中身空

閲覧履歴

最近閲覧した商品

表示情報はありません

最近閲覧した記事

資料2018年07月13日 【主要判例】 平成30(わ)180 関税法違反,消費税法違反,地方税法違反

事件番号 平成30(わ)180
事件名 関税法違反,消費税法違反,地方税法違反
裁判年月日 平成30年7月13日
裁判所名・部 名古屋地方裁判所 刑事第5部

主 文
被告人を懲役1年6月に処する。
未決勾留日数中40日をその刑に算入する。
この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。
理 由
(罪となるべき事実)
被告人は,A,B,C,D及び氏名不詳者らと共謀の上,シンガポール共和国か
ら金地金を不正に輸入し,これに対する消費税及び地方消費税を免れようと考え,
平成29年7月23日,Aが,シンガポール共和国所在のa国際空港において,b
航空c便に搭乗する際,金地金5個(合計5キログラム)を携行し,同日,台湾所
在のd国際空港において,e国際空港到着後に非外国貿易機に資格変更する予定の
f航空g便に乗り換えた上,同航空機内において,携行していた前記金地金5個を
同航空機左尾翼部後方トイレ内の便座一体型壁パネルの裏側に隠匿し,同航空機に
より,同日午後7時27分頃,愛知県常滑市所在のe国際空港に到着し,同日午後
7時44分頃,同空港内の名古屋税関e空港税関支署旅具検査場において,法令に
より通関に関する税関長の権限の委託を受けた同税関支署長に対し,金地金を輸入
する事実を秘し,申告すべきものはない旨の虚偽の輸入及び納税の申告を行い,非
外国貿易機への資格変更後の同航空機に前記金地金5個を積載させたまま,同航空
機を同空港からh国際空港に向けて出発させようとし,税関長の許可を受けないで,
前記金地金5個を輸入しようとするとともに,不正の行為により保税地域から引き
取られる課税貨物である前記金地金5個(課税価格2280万1031円相当)に
対する消費税143万6400円及び地方消費税38万7600円を免れようとし
たが,同支署職員によって前記金地金5個を発見されたため,その目的を遂げなか
ったものである。
(法令の適用)
1 罰条
無許可で金地金を輸入しようとしたが未遂に終わった点
刑法60条,関税法111条3項,1項1号,67条
不正の行為により消費税を免れようとした点
刑法60条,消費税法64条1項1号
不正の行為により地方消費税を免れようとした点
刑法60条,地方税法72条の109第1項
2 科刑上一罪の処理
刑法54条1項前段,10条
(刑及び犯情の最も重い消費税法違反の罪の刑で処断)
3 刑種の選択
懲役刑
4 未決勾留日数の本刑算入
刑法21条
5 刑の執行猶予
刑法25条1項
6 訴訟費用の不負担
刑事訴訟法181条1項ただし書
(量刑の理由)
本件は,被告人が,共犯者らと共謀の上,無許可で金地金を輸入するとともに不
正の行為により消費税及び地方消費税を免れようとしたが,税関職員に金地金を発
見されたために未遂に終わったという事案である。密輸入しようとした金地金の重
量は5kg(課税価格2280万1031円相当),免れようとした消費税及び地方
消費税の総額は182万4000円であり,公判請求がなされる密輸ないし脱税の
事案としては高額なものといえないが,密輸入した金地金を国内において消費税を
上乗せして売りさばくことによって利益を得るために,実行犯として金地金を携行
して国際線航空機に搭乗し機内に金地金を隠匿する運搬役,その後国内線となった
航空機に搭乗して隠匿された金地金を回収する回収役,回収された金地金を売りさ
ばく換金役,換金により得られた現金を国外へ持ち出す持ち出し役,経理を担当す
る経理役等の役割を大勢で分担した上で,判示のとおり極めて巧妙な手口で密輸入
を図り,脱税しようとしたものであり,組織的かつ計画的に行われた悪質な犯行で
ある。
被告人は, かかる犯行において, 実行犯( 運搬役) のA に銀行のキャッ
シュカードを渡すなどして犯行資金の準備に関わったほか,密輸入が成功していれ
ば経理をも担当することになっていたものであって,その役割を軽視することはで
きない上,勤務先の社長から金地金の密輸入の話を持ち掛けられて報酬欲しさの気
持ちなどからこれを承諾し,平成28年10月頃以降繰り返し行われた金地金の密
輸入及びこれと一体となる脱税に関与しており,常習性が認められる。もっとも,
本件犯行の首謀者は国外にいるとみられる氏名不詳の外国人であると認められ,組
織における被告人の地位は低く,本件犯行に係る密輸入が成功して金地金の換金が
できた場合であっても,被告人に報酬が約束されていたわけではないことにも,十
分留意する必要がある。
これらの事情に加え,被告人が公訴事実を認めて反省の弁を述べていることや,
被告人には前科がないことなども併せ考慮すると,被告人に対しては主文掲記の懲
役刑を科すものの,その執行については今回に限り猶予するのが相当である。
(求刑 懲役1年6月)
平成30年7月13日
名古屋地方裁判所刑事第5部
裁判官 村瀬賢裕
PDFファイルを表示(087940_hanrei.pdf)

当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。

週刊T&Amaster 年間購読

お申し込み

新日本法規WEB会員

試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。

週刊T&Amaster無料試読申し込みはこちら

人気記事

人気商品

  • footer_購読者専用ダウンロードサービス
  • footer_法苑WEB
  • footer_裁判官検索