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解説記事2019年02月25日 【ニュース特集】 裁判事例で確認する土地の相続税評価額(2019年2月25日号・№776)

ニュース特集
土地の評価単位や私道の評価などが問題に
裁判事例で確認する土地の相続税評価額

 納税者(相続人)が相続により取得した土地をめぐり、納税者と課税当局との間でその土地の相続税評価額が争われるケースは少なくない。審査請求や税務訴訟にまで発展するケースもみられるなか、本特集では、相続により取得した土地の相続税評価額が問題となった最近の裁判事例をもとに、土地の相続税評価額に関する納税者の主張と裁判所の判断内容を論点(争点)ごとに紹介する。今回紹介する2つの裁判事例では、土地の評価単位や私道の評価のほか、土地相続後の売却価額を相続税評価額とすることができるか否かなどに関する裁判所の判断が示されている。

>農地、生産緑地、宅地のそれぞれが評価単位に
納税者の主張
 本件1土地は、土地①から土地④までのすべてを一つの評価単位として評価すべきである。土地③は、土地①及び土地②に沿って間断なく続いている極めて細長い形状の土地であり、その形状から土地①及び土地②と切り分けて個別に評価することは不当である。土地④も、土地①及び土地②と物理的にも法的にも分断されておらず、一体として評価すべきである。実際、本件相続開始後に本件1土地は全体を一体とした開発がされている。

裁判所の判断内容  土地①及び土地②は生産緑地として一体利用されているのに対し、土地④は生産緑地ではない農地である。そうすると、評価通達により土地①及び土地②は一つの評価単位である1枚の農地として、土地③及び土地④はそれぞれの土地ごとに評価すべきである。土地①及び土地②と土地④は、一定の制限を受ける生産緑地に対して農地はそのような制限を受けないことから、一体として評価することは相当とはいえない。また、土地①及び土地②と土地③が一体として利用されていたとは認められないから、それらを一体として評価することはできない。相続税に係る財産評価は相続開始時の現況によるため相続開始後の事情を理由として一体として評価すべきとはいえない(東京地裁平成30年11月30日判決)。
【参考】評価通達の定め(要旨)
評価通達6(土地の評価上の区分)  土地の価額は、宅地、田、畑……という地目の別に評価する。ただし、一体として利用されている一団の土地が2以上の地目からなる場合には……主たる地目からなるものとして、その一団の土地ごとに評価するものとする。
評価通達7-2(評価単位)  宅地は、1画地の宅地を評価単位とする。田及び畑(農地)は、1枚の農地を評価単位とする。ただし、市街地周辺農地、市街地農地及び生産緑地は、それぞれを利用の単位となっている一団の農地を評価単位とする。

>駐車場として隣接も利用形態等が異なれば個別に評価
納税者の主張
 本件2土地は、土地⑤及び土地⑥を一つの評価単位として評価すべきである。土地⑤及び土地⑥は、いずれも駐車場敷地としての利用という同一利用目的を有していることは明らかである。また、土地⑤及び土地⑥は、フェンス等の堅固なものをもって境界を分けているものではないから、かかる利用形態からも一体として評価すべきである。

裁判所の判断内容  土地⑤及び土地⑥の地目は、いずれも雑種地である。評価通達7-2(評価単位)によれば、雑種地については利用の単位となっている一団の雑種地(同一の目的に供されている雑種地)を評価単位とするところ、土地⑤及び土地⑥はともに駐車場として利用されているものの、それぞれ経営者及び利用形態が異なる(土地⑤は被相続人が駐車場利用者に月極駐車場として利用させている。また土地⑥は被相続人がA社に同土地を貸付け、同社が必要な設備等を設置したうえで駐車場経営を行っている)。したがって、土地⑤及び土地⑥は同一の目的に供されている雑種地とは言えず、個別に評価するのが相当である(東京地裁平成30年11月30日判決)。

>青地を含む土地は青地部分の払下費用相当額を控除して評価
納税者の主張
 本件3土地の青地部分(市が所有)は相続財産から除かれるべきであるところ、その青地部分は本件3土地全体の評価額を算出したうえで、青地面積と青地以外の面積の割合に応じて按分すべきである。
裁判所の判断内容  課税当局が主張する評価方法(評価通達20-2(無道路地の評価)に準じて青地部分も含めた本件3土地全体の評価額から、その青地部分の払下費用相当額を控除するというもの)は、適正な時価を算定する方法として一般的な合理性を有するものである。本件3土地は、課税当局の主張する評価通達に準じた評価方法により評価するのが相当である(東京地裁平成30年11月30日判決)。

>行き止りの私道は固定資産税非課税でも30%相当評価
納税者の主張
 本件4土地は、近隣住民6軒の生活道路として利用されていることから、評価通達24の後段の定め(不特定多数の者の通行の用に供されている私道)により0円と評価すべきである。生活道路として6軒が使用している土地は、公共的な色彩を強く帯び、私有物としての利用が大きく制約されることは明らかであり、その私道の所有物としての価値がほとんどないことは本件4土地の固定資産税が評価上非課税となっていることとも合致する。

裁判所の判断内容  本件4土地は行き止まりの私道であり、相続開始時において利用する者は本件4土地に隣接する6棟の住宅に居住する者等に限られていたと認められることから、評価通達24の前段の定めにより、宅地としての価額の100分の30に相当する価額によって評価するのが相当である。納税者は、固定資産税が非課税となっていることを指摘するが、固定資産税が非課税であるからといって財産としての時価(客観的交換価値)が0円になるわけではない(東京地裁平成30年11月30日判決)。
【参考】評価通達の定め(要旨)
評価通達24(私道の用に供されている宅地の評価)  私道の用に供されている宅地の価額は……100分の30に相当する価額によって評価する。この場合において、その私道が不特定多数の者の通行の用に供されているときは、その私道の価額は評価しない。

>相続土地の売却価格を相続税評価額と認める特別の事情なし
納税者の主張
 納税者は、本件相続開始後に本件土地Aの一部を売却したが、最も高い申込金額ですら1平方メートル当たり2万9385円であり、課税当局による評価通達に基づく評価額である1平方メートル当たり3万8727円を大きく下回っていることから、課税当局による評価額は過大である。
裁判所の判断内容  本件土地Aの売買は納税者が相続税を支払うことを理由としてなされたものであり、契約当事者の個別的な事情を踏まえて合意されたものであるといえるし、本件土地Aの一部の売買契約が締結されたのは平成24年11月29日であり、本件相続開始日である平成24年2月17日から約9か月後であるから、その売却価格を根拠に本件土地Aの時価を求めることはできない。したがって、その売却価格をもって評価通達に規定する評価方法によるべきではない「特別の事情」があるとは認められない(東京地裁平成30年10月30日判決)。

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