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解説記事2019年04月22日 【SCOPE】 時価算定会計基準案、適用時期延期を求める意見(2019年4月22日号・№784)

市場価格のない株式等の取扱いには賛成
時価算定会計基準案、適用時期延期を求める意見

 企業会計基準委員会(ASBJ)は4月5日まで意見募集を行っていた企業会計基準公開草案第63号「時価の算定に関する会計基準(案)」等に寄せられたコメントについての検討を開始した。賛成する意見は多かったものの、適用時期については2021年3月31日以後終了する連結会計年度等の年度末からの適用も容認することが提案されているが、延期を求める意見が寄せられている。同委員会では6月頃を目途に正式決定したい意向だ。

非金融業者には開示免除を
 時価算定会計基準(案)等は公正価値測定に関するガイダンス及び開示を定めるもの。基本的にIFRS第13号「公正価値測定」の内容を取り入れているが、市場価格のない株式等の取扱いなど、従来の実務に配慮した取扱いも設けている。
 公開草案には多くの賛成意見が寄せられたものの、様々な異論も寄せられている。開示については、IFRS第13号の開示項目との整合性を図っているものの(参照)、「レベル1の時価とレベル2の時価との間のすべての振替及びその振替の理由」「レベル3の時価について観察できないインプットを合理的に考え得る代替的な仮定に変更した場合の影響」については開示を不要とし、一定の配慮をしている。しかし、公開草案には、非金融業者及び非継続開示会社(上場会社の子会社等を含む)は免除又は開示項目の削減などを求める意見が寄せられた。逆に開示を不要とした項目を開示すべきとの意見もあった。

【表】開示項目(案)
貸借対照表又は注記のみで時価評価する金融商品
(1)時価のレベルごとの残高
貸借対照表又は注記のみで時価評価するレベル2の時価又はレベル3の時価の金融商品
(2)時価の算定に用いた評価技法及びインプットの説明
(3)時価の算定に用いる評価技法又はその適用の変更の旨及びその理由
貸借対照表において時価評価するレベル3の時価の金融商品
(4)時価の算定に用いた重要な観察できないインプットに関する定量的情報
(5)時価がレベル3の時価に分類される金融資産及び金融負債の期首残高から期末残高への調整表(純損益に計上した未実現の評価損益を含む。)
(6)企業の評価プロセスの説明
(7)重要な観察できないインプットを変化させた場合の時価に対する影響に関する説明

システム対応などの準備期間が必要  適用時期については、2020年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首からとしており、2021年3月31日以後終了する連結会計年度及び事業年度の年度末に係る連結財務諸表及び個別財務諸表から適用することも容認している。公開草案を策定する段階では、短期間でシステム開発などを行うと大きなコストが発生するとの意見もあったが、可能な限り早期に国際的に整合性を図ることが望ましいと判断した経緯がある。
 公開草案に対しては、会計士協会等からは賛成する意見が寄せられたが、生保協会や地銀協等からは、社内の態勢整備やシステム対応などの準備期間を確保するため、適用時期を1年後ろ倒しにすべきとの意見や、基準完成から2年以上先とすべきとの意見が寄せられた。また、経団連や日証協からは現在改訂が検討されている金融商品に関する会計基準の適用時期に合わせるべきとの意見があった。
投資信託の開示は延期すべき  投資信託に対する経過措置についても異論が多かった項目だ。
 現状、有価証券報告書等の開示義務のある投資信託においては、投資信託協会が公表する「投資信託財産の評価及び計理等に関する規則」に従い、各信託財産の評価を行っているものと想定されるが、当該計理規則は時価算定会計基準(案)の時価の定義にそぐわないため見直しが必要になる。しかし、見直しを行うには一定期間が必要であるため、企業会計基準委員会では時価算定会計基準(案)公表後おおむね1年をかけて検討することとし、改正を行うまでの間は現行の基準価格を時価とする金融商品実務指針の取扱いを容認することとしている。
 例えば、会計士協会や生保協会等からは、便宜的な時価のレベル分類は会計実務上の混乱を生じさせるおそれがあるため、投資信託の時価の算定に関する取り扱いが改正されるまでは時価のレベルの分類及び開示は延期すべきであるとしている。
期末前1か月の平均価額に関する定めの削除に同意
 公開草案を全体的にみると、適用範囲については賛成する意見が寄せられているが、リース取引から生じる債権債務を対象から除外すべきとの意見や、賃貸等不動産を対象に含めるべきとの意見もあった。また、「算定日において市場参加者間で秩序のある取引が行われると想定した場合の、当該取引における資産の売却によって受け取る価格又は負債の移転のために支払う価格をいう」とした時価の定義については会計士協会やアナリスト協会、経団連などの多くの団体から賛成意見が寄せられた。
 時価の定義の変更に伴い、現行の金融商品会計基準におけるその他有価証券の期末の貸借対照表価額に期末1か月の市場価格の平均に基づいて算定された価額を用いることができるとの取扱いについては削除されることになったが、この点についても削除に賛成する意見が多くの団体から寄せられている。
 そのほか、市場価格のない株式等に関しては、従来と同様、取得原価をもって貸借対照表価額とすることとしている。この点については多くの賛成意見が寄せられているが、一定期間取引されていない上場株式や不動産私募ファンドなどが範囲に含まるか明確化すべきとの意見もあった。

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