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解説記事2019年06月03日 【SCOPE】 時価算定会計基準、2021年4月1日から適用へ(2019年6月3日号・№789)

コメントを踏まえ公開草案から変更
時価算定会計基準、2021年4月1日から適用へ

 企業会計基準委員会(ASBJ)は4月5日まで意見募集を行っていた企業会計基準公開草案第63号「時価の算定に関する会計基準(案)」等に寄せられたコメントについて検討を行っているが、適用時期については2021年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用するよう、公開草案から変更する。システムの開発など、十分な準備期間が必要との意見などに配慮した。なお、同委員会では6月頃を目途に時価算定会計基準等を正式決定したい意向だ。

システム開発など、十分な準備期間が必要
 企業会計基準委員会では、時価算定会計基準案等に寄せられたコメントについて検討を行っているが、多くのコメントが寄せられた項目の1つが適用時期に関するものである。
 公開草案では、可能な限り早期に国際的に整合性を図ることが望ましいとの判断から2020年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用することを提案した(2020年3月期からの早期適用も可)。その一方では、システム対応などの準備期間が必要との声に配慮し、2021年3月31日以後終了する連結会計年度及び事業年度の年度末に係る連結財務諸表及び個別財務諸表から適用することも容認している。
 公開草案に対しては、日本公認会計士協会等からは提案された適用時期に同意する意見が寄せられたが、損保協会や生保協会、地銀協等からは、社内の態勢整備やシステム対応などの準備期間を確保するため、適用時期を1年後ろ倒しにすべきとの意見や、基準完成から2年以上先とすべきとの意見が多く寄せられた。また、経団連や日証協からは現在改訂が検討されている金融商品に関する会計基準の適用時期に合わせるべきとの意見があった。
 このため企業会計基準委員会では、公開草案に寄せられたコメントを踏まえ、2021年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用するよう、公開草案から変更する方針を明らかにした。
2020年3月期からの早期適用は可  なお、早期に時価算定会計基準等を適用したいとの企業のニーズもあることから、早期適用については公開草案を変更せず、2020年3月31日以後終了する連結会計年度及び事業年度からの適用を認める。

第三者から入手した相場価格の利用、経過措置は削除へ
 適用時期を変更することに伴い、第三者から入手した相場価格の利用に関する経過措置は削除する。
 公開草案では、取引相手の金融機関、ブローカー、情報ベンダー等、第三者から入手した相場価格が会計基準に従って算定されたものであると判断する場合には、当該価格を時価の算定に用いることができるとの取扱いが示されているが、円滑な導入を実現するため、2021年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度から適用することとし、それまでの間は現行の取扱いを継続することができるといった経過措置が設けられていた。 しかし、原則的な適用時期を延期することを踏まえ、同経過措置は削除することとしている。
時価の確認手続を例示、選択可能  なお、第三者から入手した相場価格の確認手続については、例示として、第三者から入手した価格と企業が計算した推定値とを比較し検討する方法など(参照)を示すとともに、状況に応じて選択することが可能な旨を明確化する。

【表】第三者から入手した相場価格が会計基準に従って算定されたものであると判断する場合の確認手続(例示)
① 第三者から入手した価格と企業が計算した推定値とを比較し検討
② 他の第三者から基準に従って算定がなされていると期待される価格を入手できる場合、当該他の第三者から入手した価格を当該第三者から入手した価格とを比較し検討
③ 当該第三者が時価を算定する過程で、本会計基準に従った算定(インプットが算定日の市場の状況を表しているか、観察可能ものが優先して利用されているのか、また、評価技法がそのインプットを十分に利用できるものであるかなど)がなされているかを確認
④ 企業が保有しているかどうかにかかわらず、会計基準に従って算定されている類似銘柄(同じアセットクラスであり、かつ同格付銘柄など)の価格と比較
⑤ 過去に会計基準に従って算定されていると確認した当該金融商品の価格の時系列推移の分析など商品の性質に合わせた分析を行う

遡及適用した場合の累積的影響額を期首の利益剰余金に加減も可
 時価算定会計基準の適用初年度に関しては、実務に配慮した一定の経過措置が設けられている。
 例えば、時価算定会計基準の適用初年度においては、本会計基準が定める新たな会計方針を将来にわたって適用することとされる。しかし、時価の算定にあたり観察可能なインプットを最大限利用しなければならない定めなど、本会計基準の適用に伴い時価を算定するために用いた方法を変更することとなった場合で、当該変更による影響額を分離することができるときは、会計方針の変更に該当するものとし、当該会計方針の変更を過去の期間のすべてに遡及適用することができるとしている。また、適用初年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場合の累積的影響額については、適用初年度の期首の利益剰余金に加減し、当該期首残高から新たな会計方針を適用することもできる。
 投資信託については、時価算定会計基準公表後に検討することとするため、改正までは現行の取扱いを継続することができる(本誌788号参照)。また、金融商品の時価のレベルごとの内訳等に関する開示項目に関しては、適用初年度の比較情報を不要とする経過措置が設けられている。

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