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会社法ニュース2003年02月24日 いろいろ増えた種類株式簡単説例でしっかり理解!! ニュース特集

 最近の商法改正で種類株式の使い勝手が飛躍的に改善されました。種類株式を使いこなせれば、会社の組織再編の選択肢がぐーんと広がります。そこで、そもそも種類株式の種類って何?という基礎的なところから、その実践的使用法までやさしく解説してみました(なお、条文及び解説は平成14年改正、すなわち平成15年4月1日より施行される商法をベースとしております)。


■「種類」とはなにか
 種類株式の種類とは下記の222条1項に規定されているように様々な種類があるという意味です。なお、①の利益の配当には中間配当も含みます。また、利息の配当とは建設利息の配当のことで普通の会社には関係ありません。



■どうやって発行するのか?
 会社が種類株式を発行するには、通常次のような手続を踏むこととなります。




■どんな種類があるのか?
 下記の①~⑥は自由に組み合わせることができます。すなわち、①利益配当かつ②残余財産分配面で優先株式として、④償還条項(会社側に償還の選択権)をつけ、⑤議決権を与えないことも可能です(そのような種類株式はもはや社債と経済的実質が等しいといえます)。


経済的側面から普通株式と異なる株式①~④

①利益の配当
 普通株式に対し、配当が優先的な種類株式と配当が後回しにされる株式(劣後株式)とがあります。また、利益の配当につき優先も劣後もしない株式、たとえばトラッキング・ストックといわれるようなものもあります。



②残余財産の分配
 残余財産の分配につき、普通株式に対し、優先的な種類株式と劣後的な種類株式とがあります。また、優先も劣後もしない株式、たとえばトラッキング・ストックといわれるようなものもあります。



③株式の買受(買受株式)
④利益をもってする株式の消却(狭義の償還株式)
 両方とも、将来、償還する(させる)権利のついた株式。③は保有(自己株式)を前提とし、④は消却を前提とするという違いがあります。
 償還するのかどうかのオプション(選択権)は、会社側にある場合もあれば株主側にある場合もあります。




会社を支配するという面から普通株式と異なる株式⑤~⑥

⑤議決権を行使できる事項につき内容の異なる株式
 議決権を完全に取り上げてもOK。議決権を行使できる事項については、定款をもって株主総会又は取締役会の決議事項につき、そこでの決議のほかに種類株主総会での決議を要求することも可能。その場合、種類株主にあたかも拒否権があるかのように機能することとなります。発行済株式総数の1/2までしか発行できません。



⑥取締役又は監査役の選任につき内容の異なる株式
 自分たちだけで取締役又は監査役を独自に選出できます。株式の譲渡制限がついている会社でなければ発行できません。よって、公開会社はこのような種類株式を発行できません。




■種類株式の様々な利用法








一口解説

トラッキング・ストック
 会社の一事業部門や子会社の業績に株式の価値が連動するように設計された株式。日本では、子会社連動配当株としてソニーコミュニケーションネットワーク株式会社(SCN)に連動するソニー社株式が東京証券取引所に上場されています。投資家は、ソニーの業績でなくSCN(ソニーの100%子会社)の業績に着目して売買することとなります。なお、トラッキング・ストックの購入者はあくまでソニーの株主になるのであり、SCNの株主になるのではないという点は注意が必要です。

配当優先と議決権停止
 平成13年改正前は議決権無き配当優先株式の優先配当が停止すると議決権が復活するという規定がありました。しかし、改正でこの規定が撤廃されました。現在では、議決権の有無と配当の有無は無関係なものとなっています。

優先株と劣後株
 優先株とは普通株式よりも有利な権利を有する株式で、劣後株とは普通株式よりも劣る権利しか有さない株式です。優先か劣後かは、通常①利益の配当か②残余財産の分配で問題となります。もっとも、優先か劣後かはある局面に限ってのみ妥当する分類です。すなわち、利益配当面で優先であっても、残余財産分配面で劣後する株式を発行することもできます(なお、そのような株式は混合株と呼ばれます)。

累積的優先株と非累積的優先株
 仮に、今期優先配当がもらえなくても次期以降配当が払えるようになったときに、累積されていった未払分の受取が保障されている優先株を累積的優先株といいます。一方、未払分があっても毎期毎期繰り越さないものを非累積的優先株といいます。未払分が積み立てられていくのか、それともチャラになるのかの違いです。
 累積的優先株の場合、未払分が累積すると、いつまでたっても普通株式の株主は配当をもらえないことになります。また、会社の財務的負担も大きくなります。そこで、ベンチャー企業に対しては非累積的優先株により投資するのが通常です。




参加的優先株と非参加的優先株
 利益配当優先株の場合、優先配当し終わった後に、配当原資があれば普通配当が行われます。その際に、普通株式としても配当を受けることができる優先株を参加的優先株といい、優先配当以上の配当を受けることができない優先株を非参加的優先株といいます。




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