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会計ニュース2003年03月03日 いま話題のDESってなんデスか?(会計編) ニュース特集

ニュース特集

いま話題のDESってなんデスか?(会計編)

 DES(デス) はDebt Equity Swapの略で、債務の株式化を指します。文字通り、債務(Debt)と株式(Equity)を交換(Swap)する手法です。DESは主に、金融機関が不振取引先を支援する目的で用いられてきました。不良債権問題が社会問題化した今日、脚光を浴びることとなったDESにつき、会計面を中心に特集してみました。

DESの図解
 DESの実行前と実行後を比べてみました。債務者の借入金が消え、資本金が増加しているのがポイントです(なお、以下の解説では新株発行を伴うDESを前提としています)。


メリットとデメリット
 DESはいいことづくしではありません。デメリットにも要注意です。


DESの手法
現預金が動かないDES
 帳簿上の操作で振り替えるだけです。債権者からみれば、貸付金という現物を持って増資に応じるわけですから、現物出資型ともいわれます。

現預金が動くDES
 債権者は、まず増資に応じます。債務者は、その払込金を借入金返済に充てます。逆に、債務者が借入金を返済し、債権者がその返済金で増資に応じるケースもあります。


DES実行時の会計処理
 現預金が動かないDES(現預金が動いても、金銭出資と債権回収が一体と考えられるような場合も含む)実行時の会計処理は次のようになります。なお、債権者側に関しては企業会計基準委員会実務対応報告第6号「デット・エクイティ・スワップの実行時における債権者側の会計処理に関する実務上の取扱い」に準じた処理です。 また、債務者側の処理としては、額面振替型(いわゆる券面額説)と時価振替型(いわゆる評価額説)の2通りが考えられます。

設例:貸付金100(貸倒引当金40引当済)をDES(資本金に全額繰入)。DES取得株式の時価は50。


DES取得株式の期末評価
 DESにより取得した株式の期末評価については、企業会計基準委員会が2月6日に公表した実務対応報告公開草案第9号「種類株式の貸借対照表価額に関する実務上の取扱い(案)」によると、次のようなフローチャートに従い、評価することとなります。
 なお、「種類株式」については本誌8号の特集をご参照下さい。

 DESで取得した株式が普通株式であれば、市場価格の有無で時価評価か取得原価で評価するか変わってきます。
 もっとも、DESで取得した株式は種類株式であるケースが通常です。そうであれば、次に債券と同様の性格を持つか否かを判定します。債券と同様の性格を持つとは、償還株式のように、形式的には株式であっても、発行会社が一定の時期に一定の金額で償還すると定めている種類株式等を指します。
 債券と同様の性格を持たず、かつ、市場価格のない種類株式の減損処理を行う場合の実質価額の算定に際しては、まず、評価モデルを利用する方法を検討する必要があります。ここで、評価モデルには割引キャッシュ・フロー法やオプション価格モデルなどが考えられます。しかし、実務的には評価モデルの利用にも困難が生じる面が多々あると想定されます。その場合は、1株当たりの純資産額を基礎とする方法や優先的な残余財産分配請求額を基礎とする方法も考えられます。

一口解説
DESと会計基準

 DESは資本に関する箇所以外は金融商品会計基準に従うこととなります。加えて、企業会計基準委員会から実務対応報告第6号「デット・エクイティ・スワップの実行時における債権者側の会計処理に関する実務上の取扱い」が公表されています。また、3月3日まで、実務対応報告公開草案第9号「種類株式の貸借対照表価額に関する実務上の取扱い(案)」がコメントを募集しています。
 なお、第6号はすでに適用されており、公開草案第9号についてもDESにより取得した種類株式については、平成15年3月決算より適用されることとなります。
DESの実態
 DESは、企業の再建目的で用いられるのが通常です。しかし、平成2年に商法改正で株式会社の最低資本金制度が導入された際に、DESを用いて最低資本金制度をクリアする事例も散見されました。
また、債権者は銀行であるケースが多いといえます。しかし、銀行以外の金融機関、たとえば企業再生ファンドが債権者であるケースも増えてきましたし、役員借入金をDESとするケースもあります。
なお、銀行が債権者のDESでは、借入金全額のDESを行うことは少なく、借入金の大部分の債務免除と同時に、残額につきDESが行われるのが通常です。
DESと検査役調査
 現物出資型のDESの場合、現物出資である以上、原則として検査役による調査が必要となります。この点、東京地裁は額面振替型(いわゆる券面額説)の見解を採用しています。これによれば、検査役の調査が簡易なものとなる(債権の時価を評価する必要がない)というメリットがあります。また、平成14年商法改正(平成15年4月1日より施行)により、面倒な検査役による調査に替えて、税理士や会計士、弁護士等の証明で済ませることも可能となりました。もっとも、証明した者は無過失でない限り財産価格填補責任が生じることには注意が必要です。
DESと改正産業再生法
 改正産業再生法(案)は、DES実施時の登録免許税の減免、減資手続の緩和、検査役調査の省略等の税務上・商法上の特典を設け、DESを行いやすい環境の整備を図っています。また、有限責任組合法に基づく組合(ファンドの一種)が貸付金につき債権譲渡を受けることも認められました。これは、ファンドが単に株式を取得するのではなく、債権譲渡を受けた貸付金をDESにより株式とするという手法を認めることで、ファンドによる再生支援の選択肢を拡げたものといえます。

DESにより取得する株式
 債権者が銀行の場合、通常は議決権のない配当優先株式です。なぜなら、銀行は事業会社の議決権の5%を超えて株式を取得できないからです(銀行法第16条の3、独占禁止法第11条)。この点、平成13年商法改正前は、議決権のない配当優先株式の配当が停止すると議決権が復活するという規定がありました。しかし、13年改正で完全無議決権株式を発行することも可能となりました。これにより、銀行がDESを実施しやすくなったといえます。

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